JPH0414863B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、射出成形機の金型から成形製品が落
下したか否かを確認する製品落下確認装置に関す
る。

従来の技術 射出成形機を用いた成形作業においては、冷却
および型開きの完了後に製品エジエクタもしくは
ロボツトアーム等を作動させて成形製品の離型操
作を行わせるのが一般的であるが、この操作によ
つて製品やランナー等を正常に離型させることが
できないと様々な問題が生じる。例えば、製品や
ランナーもしくはその一部が金型内に残留すると
次のサイクルの射出・保圧工程で過充填が生じて
製品の品質が損なわれるし、また、離型された製
品やランナーが完全に落下せずに金型パーテイン
グ面に引つ掛かつたままの状態で型締め動作が行
われたりするとコアブロツクやキヤビテイブロツ
ク自体に損傷を生じる場合もある。

このような問題に対処するため、成形製品の落
下を確認する種々の装置が考案されている。

この種の装置としては、製品排出経路に光電管
やマイクロスイツチを配設して製品の通過を検出
したり製品の落下音を検出したりすることによつ
て間接的に製品の落下を確認するもの、落下した
製品の総重量を計量することによつて製品の落下
を確認するもの等が知られている。しかし、間接
的に製品の落下を確認するものでは充分な信頼性
を確保することできず、また、落下した製品の総
重量を計量して落下を確認するものであつても、
軽量製品を多数個取りするような金型において一
部の製品の残留を確認できる程の計量精度を保証
することは困難である。

また、残留樹脂の温度が金型の温度よりも高い
ことを利用し、両者の温度差に基いて製品の残留
を検出しようとする試みもあるが、この装置は赤
外線センサーによつて観測対象の放射熱を検出し
て温度差を測定する構成であるため、太陽光や溶
融樹脂のガス等から生じる温度変化の外乱に影響
され易いという欠点を有している。

赤外線センサーとコンピユータによる波形観測
技術とを組み合わせて外乱に対処したものが特開
昭57−34914号として提案されている。このもの
は製品が残留し易い金型の特定位置に向けて配備
された赤外線センサーにより１成形サイクル毎所
定周期で上記特定位置の温度を測定し、該特定位
置の温度変化を時系列で記憶して時間・温度系の
波形データを作成し、この波形データと予めコン
ピユータに設定された正常な波形データとを比較
して波形データのパターン認識を行うものであ
る。しかし、各成形サイクルにおいて時間軸を基
準として作成された波形データの温度ピーク値の
大小や温度ピーク値の数を予め設定された正常波
形のそれと比較することで実質的な波形データの
パターン認識を行うため、各成形サイクルにおけ
る製品の離型操作のタイミングに変化が生じたよ
うな場合では、この整形サイクで作成された時
間・温度系の波形データと予め設定された正常波
形データとの間に時間軸方向のずれが生じる結果
となり、この成形サイクルで作成された波形デー
タと予め設定された正常波形のデータとを比較す
ることは必ずしも容易でない。

また、温度ピーク値の大小や残留樹脂と金型間
の温度差といつたデータは射出成形機に設定され
た樹脂温度や温調器に設定された金型温度等の関
係により様々に変化するものであつて、あらゆる
成形条件にマツチする単一の正常波形というもの
は存在せず、また、成形条件は無数であり、各成
形条件に対応する正常波形の全てをコンピユータ
に設定しておくというのも事実上不可能である。

更に、１成形サイクル毎所定周期で特定位置の
温度を測定する結果、離型操作で金型の上部から
突き落とされて赤外線センサーの視野を落下する
製品の温度が検出される場合もあり、各成形サイ
クルで作成された波形データの状況が様々に変化
するので、製品が様々な位置から落下する多数個
取りの金型やエジエクタロツドによる突き出し動
作が複数回行われるような金型、即ち、製品の落
下時期が特定できないような金型では、コンピユ
ータによるパターン認識に全く信用を置くことが
できない。

さらに、金型の映像をブラウン管を有する受像
機に結像させ、この映像上に複数個の輝度センサ
ーを配して、成形品の突き出し後の輝度を測定し
て正常時の輝度を対比し、該金型から製品が完全
に落下したかどうかを検出することも、特開昭53
−15830号、特開昭53−15831号に示されている。
しかし、この輝度を測定するにあたつては周囲の
光の測定値に与える影響を考慮せざるをえないた
め、測定時の周囲条件と基準設定時の周囲条件と
を同じにする必要があるので、この装置を用いて
の検出作業は手間がかかることになる。

発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、これら従来技術の欠点を解消
し、多数個取りの金型からすべての製品が落下し
たか否かを適確に確認することのできる製品落下
確認装置を提供することにある。

問題点を解決するための手段 本発明は、成形製品が残る金型の金型分割面の
パターンを成形製品の離型操作後に検出するパタ
ーン検出手段と、該パターン検出手段からの検出
パターンと設定パターンとを比較するパターン比
較手段とを設け、該パターン比較手段により離型
操作後に検出されたパターンと予め設定されたパ
ターンとの比較に基く一致出力により成形製品が
金型から取出されたことを検出することにより上
記目的を達成した。

作 用 金型が開き、エジエクタ装置が作動し、製品を
金型内から突出した後、上記パターン検出手段か
らのパターン検出信号を上記パターン比較手段で
比較し、このパターン比較手段からの一致出力に
よりすべての製品が落下したか否かを確認する。

実施例 第１図は本発明の一実施例を示すブロツク図
で、１は可動プラテンに固着された可動側金型、
２は固定プラテン４に固着された固定側金型、５
は固定プラテン４に設置され、金型１，２が開い
てエジエクタ装置等による製品の離型操作が実行
された段階で可動側金型１の金型分割面１ａの画
像パターンを取込むカメラ、６は該カメラ５から
取込まれた画像パターンを２値化し、パターンの
形状、面積、周囲長、穴の数等の特徴を描出し、
予め教示していたこの特徴と比較照合し、カメラ
５から取込まれた画像パターンが教示データと一
致すると一致出力を出力する画像処理装置で、こ
の画像処理装置６及びカメラ５はすでに特願昭59
−216990号公報等により公知となつており市販さ
れている視覚センサを利用するものである。７は
射出成形機全体を制御する制御装置である。

次に、この実施例の動作について説明する。

まず、画像処理装置６に可動側金型１から製品
が取出されたときの金型分割面１ａの画像パター
ンの特徴を教示する。この実施例では、例えば形
状パターンを教示するものとして、第２図ｉに示
すように可動側金型１の金型分割面１ａの空にな
つたキヤビテイ１ｂの形状を教示する。

そして、射出成形動作を開始させ、射出・冷却
工程が終了し、金型が開き、エジエクタ装置等が
作動し、可動側金型１から製品を突出し落下させ
た後、制御装置７は画像処理装置６にパターン比
較指令を出力すると画像処理装置６はカメラ５か
らの画像データ、すなわち、可動側金型１の金型
分割面１ａの画像であるキヤビテイ１ｂの画像デ
ータを取込み２値化して教示データと比較する。
第２図に示すようにすべてのキヤビテイ１ｂに
製品がなければ、教示データを取込んだ画像デー
タは一致するので画像処理装置６は一致出力信号
を制御装置７に出力し、次の成形サイクルへ移行
する。また、第２図に示すように、キヤビテイ
１ｂの一部に製品８が残留していると、カメラ５
から取込んだ画像データのパターンが教示のもの
と異なる。そのときに画像処理装置６は不一致出
力信号を制御装置７に出力し、警報等の表示を行
う。

以上の処理はカメラ５の視野で捉えた画像デー
タの全て、即ち、可動側金型１の金型分割面全体
に対して２値化等の画像処理を施して設定データ
とのパターンを比較するものであるから、データ
の設定により、キヤビテイ１ｂの樹脂の残留のみ
ならず、可動側金型１のスライドブロツクやガイ
ドポスト等の突出部（図示せず）に引つ掛かつた
製品やランナーをも検出することができ、不用意
な型締め動作による金型の損傷等を回避すること
もできる。

なお、カメラ５は上記実施例では固定プラテン
に固着したが、必ずしも固定プラテンに固着する
必要がなく、金型が開き成形製品が残る金型分割
面が観視できる位置であれば射出成形機のどこに
設置してもよい。

発明の効果 以上述べたように、本発明は、成形製品が残る
金型の金型分割面のキヤビテイパターンを成形製
品の離型操作後にパターン検出手段で検出し、パ
ターン比較手段よりキヤビテイ内のすべての樹脂
（製品及びランナ）が落下したときのキヤビテイ
パターンと比較し、一致したとき製品がすべて落
下してと判断するようにしたから、離型操作のタ
イミングの変化や多数個取り金型におけるキヤビ
テイの配設位置（製品の落下開始位置）およびエ
ジエクタ装置の作動回数（製品の落下時期）並び
に樹脂や金型温度等の成形条件の如何、或いは照
明光、自然光等の周囲条件に何ら影響されること
なく製品落下の判断を確実に行うことができ、多
数の製品が一度に成形されるような金型において
もすべての製品及びランナが落下したか否かを確
実に検出することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１の実施例のブロツク図、
第２図は可動側金型の金型分割面のキヤビテイ
パターンを示す図、第２図は第２図において
一部キヤビテイ内に製品が残留したときの図であ
る。 １…可動側金型、２…固定側金型、３…可動プ
ラテン、４…固定プラテン、５…カメラ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 成形製品が残る金型の金型分割面のパターン
   を成形製品の離型操作後に検出するパターン検出
   手段と、該パターン検出手段からの検出パターン
   と設定パターンとを比較するパターン比較手段と
   を設け、該パターン比較手段からの一致出力によ
   り成形製品が金型から取出されたことを検出する
   ようにした射出成形機製品落下確認装置。 ２ 上記パターン検出手段は画像を取込むカメラ
   で構成され、上記パターン比較手段は上記カメラ
   から取込まれた画像のパターンを記憶し教示され
   ている設定パターンと比較する画像処理装置で構
   成されている特許請求の範囲第１項記載の射出成
   形機製品落下確認装置。 ３ 上記パターン検出手段は上記金型分割面の複
   数の個所の反射光を各々検出する光電素子で構成
   され、上記パターン比較手段は各光電素子からの
   出力が設定パターンのとき出力する特許請求の範
   囲第１項記載の射出成形機製品落下確認装置。