JPH0414675Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ビードを設けた金属ガスケツトに関
するものであり、更に詳細にはビードを締め付け
る力が不均一となる部分に適した金属ガスケツト
のビード構造に関するものである。

〔従来技術〕

内部に穴を有し、表面にその穴の開口部を有す
る部材、例えばシリンダヘツドとシリンダボデイ
とをボルトにより一体的に締付ける場合には、シ
リンダボア開口部やオイル通路、冷却水通路など
の開口部から気体や液体が洩れないように密封し
て接続する必要があり、この部分にガスケツトが
配置される。このように２つの部材を複数のナツ
トと該部材を通るボルトにより互いに接続すると
同時に穴の周りを密封する手段は周知である。

ところで、前記のような締付け用ボルト間の距
離の遠近によつてボルトが締付けられたとき、均
一な面圧が穴の周りに得られないという問題があ
る。即ち、ボルトに隣接する領域の密封性は、ボ
ルトから離れた領域における密封性と異なる。

例えば、マルホルドガスケツトが４つのボルト
とナツトでマニホルドとシリンダヘツドの間にし
つかりと取付けられたとき、排気穴の周りのマル
ホルドガスケツトの面圧は均一とはならない。即
ちボルトに近い領域では高い面圧を有し、且つボ
ルトからの距離が増加するにしたがい面圧は低下
する。

又、シリンダヘツドガスケツトにおいては、オ
イル穴又は水穴が締付ボルトから離れたシリンダ
ヘツドガスケツトの端部に設けられたときには、
液体がオイル穴又は水穴から漏れることがある。
これは穴の周りの圧接力が等しくないためで、こ
の結果、もし液体に高圧が突然加わつたときに
は、液体が穴の周りから漏れてしまうという問題
が起こる。

この点に関して、ビードの周を囲んで第２のビ
ードを形成し、２重としたビードで漏れを阻止す
るようにした実開昭54−15160号公報の考案が提
案されている。このように２重にビードが設けら
れた場合は、ガスケツトに強い締付け圧を加える
ことができる。

しかしながら、ガスケツトのビードに加えられ
る面圧が均一ではない場合には、低い面圧を有す
るガスケツト部分においては流体がまだ漏れるこ
とがある。しかもビード板は通常ステンレスなど
鉄合金材料を使用するので、２重に設けたビード
を両側から押圧して圧縮変形させるには大きい締
付け力を必要とする。したがつて締め付け力が弱
いガスケツトに使用することは不向きである。即
ち、２条のビードが穴の周りに形成されたとして
も低い締付け力が作用する部分のシール力が十分
に得られず、液体はガスケツトの低い面圧部分か
ら漏れることとなる。前記問題を解決する手段と
して、例えば、実開昭58−148247号公報には、２
枚の芯材の両側に表面板を積層し、シリンダ穴側
で一方の表面板を折り返し。他方の表面板の上に
重ね合わせ、前記芯材のシリンダ穴側端部に膨出
部を形成したシリンダヘツドガスケツトを開示し
ている。そして、ヘツドボルトの中間部などの面
圧が不足する部分の膨出部厚さを、ヘツドボルト
に近く、高い面圧が得られる部分の膨出部厚さよ
り暑くしている。

このように形成したシリンダヘツドガスケツト
をヘツドボルトで締め付けると、厚く形成した部
分の膨出部は、それより薄く形成した膨出部より
高い面圧が発生すると説明している。しかしなが
ら、ビードが高すぎると圧縮した際に潰れてしま
い、また、低すぎると十分な面圧が発生しなくな
るので、ビード高さによつて面圧調整を確実に行
うことは困難であるという問題がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

以上に説明したようにガスケツト密封する穴の
形状、配置などにより、それぞれの穴に設けるビ
ードを全周に亙り均一な圧接力を作用させること
は困難である。

本考案の目的は締付けられたとき、面圧が不均
一でも穴の周りに等しい密封性を提供することが
できる金属ガスケツトを提供することにある。

本考案の別の目的はビードを設けた金属ガスケ
ツトであつて、締め付けボルトに対し偏在した位
置にある穴をシールする場合など、シールの面圧
が不足する部分のビードと接合面との接触部分を
増加させた金属ガスケツトのビード構造を提供す
ることにある。

本考案の更に別の目的は、上述の如き特性の金
属ガスケツトであつて、簡単で経済的に製造する
ことができる金属ガスケツトのビード構造を提供
することにある。

〔課題を解決するための手段〕

以上の目的を達成するための本考案の金属ガス
ケツトのビード構造の構成は、金属板に設けたシ
ールする穴を取囲んでビードを形成し、該ビード
が圧縮されて生じる面圧が不足するボルト穴から
離れた部分の両端で、ビードを分岐し、該面圧不
足部分のビードを複数条とし、且つ、ビードの全
体形状を端部のないループ状に形成した。

前記構成のビード構造は、１枚板から成る金属
ガスケツト又は積層型の金属ガスケツトのいずれ
にも適用することができる。また、該ビードを複
数条とする部分は、通常ビードの圧接力が低くな
る部分に設ける。分岐する数には特に限定はない
が、通常は２条、必要に応じ３条以上とすること
ができ、また分岐は、１箇所で行つてもよく、ま
た順次分岐して条数を増加させてもよい。また分
岐した各ビードの幅、高さ、断面形状は適宜に実
験的手段などにより決定することができる。

〔作用〕

前記構成のビード構造は、該ビードを圧接する
面圧が低くなる部分のビードを、複数条に分岐し
て、ビードの数を増加させて該部分の圧接力不足
による密封力を補強し、全体としてより均一な密
封性能を得ることができる。

〔実施例〕

以下添付の図面を対照して一実施例により本考
案を具体的に説明する。

第１図および第２図に示した実施例１の金属ガ
スケツトＡは図示しないシリンダヘツドとマニホ
ールドとの間に設置するよう設計されている。即
ち、ガスケツトＡは、角に４つのボルト穴Hbと
中心に流体通路１１を有する１枚の金属板１０よ
り成る。ガスケツトＡは、ボルト穴Hbを挿通す
る図示しないボルトとナツトにより同様に図示し
ないシリンダヘツドとマニホールドとの間に固定
される。

金属板１０を貫通する流体通路１１の周りに設
けたビードＢには４箇所の単線部１２と、４箇所
の複線部１３を備えている。該複線部１３は、隣
接する２つのボルト穴Hb間の中央領域に位置す
る該複線部１３は単線部１２から分れ、その間に
細長い平たん領域１４が形成される。

複線部１３の幅と高さは単線部１２と同じであ
り、その幅と高さは、単線部１２のものと異なつ
ても良い。単線部１２及び複線部１３の幅と高さ
は流路の形状、ビードに加えられる圧力等により
決定される。

本実施例１のガスケツトＡが前記シリンダヘツ
ドとマニホールドの間に設置され、保持される
と、ガスケツトＡは流体通路１１の周囲により均
等な密封性をもたらす。即ち、ビードＢの角部に
設けた単線部１２は締付ボルト及びナツトに隣接
して配置し、一方線部１３は締付ボルトから強い
締付け圧を受け、一方、隣接する２つのボルト穴
Hb間の中央領域は、角部における圧力より低い
締付け圧を受ける。それ故、ビードＢの単線部１
２の一部は締付ボルトに隣接して配置し、一方複
線部１３は締付ボルト間の中央領域に位置する。
したがつて、単線部１２と複線部１３との密封性
はほぼ等しい密封性を提供できる。

第３図は、第２図と同様の斜視断面図による第
２実施例の金属がスケツトＡを示す。図において
ガスケツトＡは第１図、第２図に示すガスケツト
Ａと同様、単線部１２と複線部１３を備えた板１
０より成る。ガスケツトＡにおいては、複線部１
３の間にはごく狭い平たん領域１４が形成され
る。このように複線状のビードの間隔はそれぞれ
の実態に応じ適宜選定することができる。

第４図および第５図（第４図のＶ−Ｖ線断面
図）に示した実施例３の金属積層型のガスケツト
Ａは、図示しないシリンダヘツドとシリンダブロ
ツクとの間に設置されるよう設計されている。即
ち実施例３のガスケツトＡは上板２０、中板２１
及び下板２２より成り、通常のガスケツトと同
様、複数のシリンダボアHc、水穴Hw、ボルト
穴Hb、オイル穴Ho等を含んでいる。そしてビー
ドＢは第５図に示すように前記中板２１に設けら
れており、該ビードＢの単線部１２とその反対側
にある複線部１３とが、オイル穴Hoを囲うよう
に中板２１に形成される。

実施例３のガスケツトＡのオイル穴Ho（第４
図）はガスケツトの角部に位置しており、前記ボ
ルト穴Hbに挿通するボルト２５による締め付け
の際には、ボルト穴Hbの近い側の単線部１２に
締付け力の大部分が作用する。

実施例３のガスケツトＡにおいては、単線部１
２の一部がボルト穴Hbに近い領域に位置し、一
方単線部１２の一部と複線部１３の在る側がボル
ト穴Hbから離れた領域に位置する。従つて、ガ
スケツトＡが図示しないシリンダヘツドとシリン
ダブロツクの間に配置され且つ締付けられると、
ビードＢに加わる締付圧が等しくなくても、オイ
ル穴Hoの周りは等しく密封することができる。

本考案のビード構造においては、締付け圧の強
い部分に単線部１２が形成され、また、締付圧が
強くない部分には複線部１３が形成される。した
がつて、ガスケツトが締付けられたときには、穴
の周り全体に等しい密封性を実質上もたらすこと
ができる。この結果、穴Hoからの流体の漏れは
実質上阻止される。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案の金属積層形ガスケ
ツトは、ビードの面圧が不足する部分のビードを
複数条としたので、ビードと接合面との接触面を
増加させて、圧接力の不足を補うこをができる。
したがつた、ビードを圧接する面圧が均一でない
場合でも、ビード全体に亙り均一なシール性能を
与えることができる。しかも、従来の金属ガスケ
ツト製造手段をそのまま使用することができるの
で、経済的にも有利に本考案の金属ガスケツトを
提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１実施例のマニホールド用金属ガス
ケツトの平面図、第２図は第１図の−線部分
の拡大斜視断面図、第３図は第２実施例により第
２図と同様部位の斜視断面図、第４図は第３実施
例のシリンダヘツド用金属ガスケツトの平面図、
第５図は第４図の−線部分の拡大断面図であ
る。 １０……金属板、１１……流体通路、１２……
ビードの単線部、１３……ビードの複線部、Ａ…
…金属ガスケツト、Ｂ……ビード、Hb……ボル
ト穴、Ho……オイル穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属板に設けたシールする穴を取囲んでビード
   を形成し、該ビードが圧縮されて生じる面圧が不
   足するボルト穴から離れた部分の両端で、ビード
   を分岐し、該面圧不足部分のビードを複数条と
   し、且つ、ビードの全体形状を端部のないループ
   状に形成した金属ガスケツトのビード構造。