JPH0322541Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、組付け面をシールする際に、前記組
付け面に開口する穴の周囲をシールし、且つ盲に
する金属積層ガスケツト、ないしは前記穴が複数
あり、その一部の穴を盲にする金属積層ガスケツ
トに関するものである。

〔従来技術〕

例えば、エンジンのシリンダブロツク及びシリ
ンダヘツドの内部には、冷却水や潤滑油などの流
体通路が設けられており、しかも前記部材の間を
連通させるために、組付け面に前記流体通路が開
口した穴を設けていることは周知のとおりであ
る。

ところで周知のとおり、シリンダブロツク及び
シリンダヘツドは、異なる仕様のエンジンに流用
できるように、ある程度の汎用性を持たせて設計
されている。そのために前記穴もエンジンの仕様
によつては不用となるものもある。したがつて、
このような場合には両部材の組付け面に開口した
穴を封止する必要が生じる。この封止を該穴に蓋
又はその類似物によつて行うと、部品点数及び作
業工数などが増加するので、シリンダブロツクと
シリンダヘツドとの間に介装するガスケツトの該
当部分に穴を設けずに盲にすることで封止する試
みが行われている。

このようにガスケツトによつて封止する場合に
は、この部分から液体が漏洩することを防止する
必要が生じるので、この部分にもシール手段が施
されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

前記の開口した穴を盲にするガスケツトとして
金属ガスケツトを使用する場合のシール手段は、
ビードによつて行うことが最も工業的に好まし
い。ただし、ビードによるシールを効果的に行
い、且つ製造を容易にするには一般に金属板の厚
みを、例えば0.2〜0.3mm程度とする必要がある。

したがつて、エンジンの冷却水、潤滑油などの
ように圧力を持つ穴を封止する場合には、その穴
位置に対応する位置のシリンダヘツド側にも同様
に穴が開いていると、前記圧力で、盲にした金属
板が反対側に膨出するように押し出される変形が
起こる場合がある。一般にこの変形によつてシー
ル性能にも影響し、長期間使用する間には外部に
流体が漏れるようになり、全体の寿命が縮まる危
険がある。

本考案は、以上の問題に着目して成されたもの
であり、接合面に開口した穴を塞ぐ盲部を設ける
と共に、該盲部を設けた穴の周囲を効果的にシー
ルし、該穴を封止できる盲部を設けた金属積層ガ
スケツトを提供することを目的としている。

更に本考案は、シリンダヘツド用ガスケツトの
ように、種々の目的を有する複数の穴の一部の穴
を封止するために盲部を設け、その周囲を有利に
シールすることのできる金属積層ガスケツトを提
供することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

以上の目的を達成するための本考案の盲部を設
けた金属積層ガスケツトの第１の構成は、シール
する穴の外側に平底皿状に窪ませた段差部を設
け、前記穴を盲にするくぼみ部を形成し、前記穴
をシールするビードを、前記くぼみ部を囲んで形
成したものである。

本考案の金属積層ガスケツトは、前記くぼみ部
とビードとは適宜の態様で組み合せることができ
る。また前記くぼみ部に液体圧を作用させる側は
窪みのいずれの例でもよい。本考案を実施するに
際し盲板を複数枚使用する構成で実施する場合に
は以下のような態様で行うことができる。

即ち、前記盲部を設ける第２の構成は、シール
する穴の外側に平底皿状に窪ませた段差部を設
け、前記穴を盲にする平底皿状のくぼみ部を設け
た第１盲板と、前記くぼみ部が突出した側の周囲
を囲み、前記穴をシールするビードを設け、該穴
の部分を平板状に形成して盲にした第２盲板とを
設けると共に、前記窪み深さを、前記ビードの高
さ以下とした盲部を設けたものである。

また、本考案の盲部を設けた金属積層ガスケツ
トの第３の構成は、シールする穴の周囲を囲むビ
ードを設けたビード板の一方の側に、シールする
穴の周囲を囲むビードを設けたビード板の一方の
側に、シールする穴の外側に平底皿状に窪ませた
段差部を設け、前記穴を盲にするくぼみ部を設け
た第１盲板を配置し、もう一方の側に前記穴の部
分を平板状に形成して盲にし、前記穴をシールす
るビードを設けた第２盲板を配置し、前第１及び
第２盲板の間に配置する金属板には、前記くぼみ
部を挿通する貫通穴を設け、また前記くぼみ部の
深さを、荷重の掛らない状態で、前記第１盲板と
第２盲板との間隔以下とした盲部を設けたもので
ある。

即ち、前記第２の構成は、２枚の盲板を互いに
隣接して配置する構成であり、また前記第３の構
成は、前記２枚の盲板の間に１枚以上の他の板
（１板の場合はビード板）を介装する場合の構成
を示すものである。

前記皿状のくぼみの断面形状は、通常は周縁部
に段差を設けた縁部と、大部分を平坦な底部との
構造とするが、これに限定されず、他の形状とす
ることもできる。また前記くぼみ部は、締め付け
力を加えない状態では、もう一方の盲板に接して
いることを妨げないが、製作精度を考慮すると接
しないように形成することがより好ましい。

〔作用〕

前記くぼみ部は、金属薄板から成る盲板の強度
を補強し、流体圧による盲板の変形を防止するよ
うに作用する。

また、前記めくら部に設けた段差部は、シール
する部材に組付ける際に圧縮されて接合面を圧接
するので、補助的なシール作用がある。

そしてくぼみ部の深さを、前記構成の２枚の盲
板が、本考案の金属積層ガスケツトに締め付け荷
重を加えない状態で互いに接するか、又は締め付
け荷重を加えると互いに接するようにする構成
は、締め付け荷重を加えることにより、くぼみ部
に影響されないでビードによるシール作用を有効
に発揮させ、また該くぼみ部を第１、第２盲板で
積層することで、薄い金属板の強度を増強して盲
とした部分に作用する流体圧に耐え得るように作
用する。

また前記第１及び第２盲板の間には、複数の板
を介在させて窪み深さをより大きくして、くぼみ
部周囲の段差部によるシール作用をより強く発揮
させるようにすることもできる。

〔実施例〕

以下添付図面を対照して実施例により本考案を
具体的に説明する。

第２図は、実施例１のシリンダヘツド用金属積
層ガスケツト１の部分平面図であり、第１図は、
第２図の−線断面による取付け状態を説明す
る図（但し締付け力を加えない状態で）である。
図において、金属積層ガスケツト１には、盲とす
るくぼみ部２の外にシリンダボアHcとその周囲
を取囲んでそれぞれ複数の冷却水用穴（以下水穴
という）Hw、潤滑油用穴Ho、ボルト挿通用穴
Hb、ブツシユロツド用穴Hpを設け、ボルト穴
Hb以外の穴の周囲にはビード（点線で表示）を
設けている。なお本実施例の前記くぼみ部２は、
水穴Hwに設けている。

そして前記くぼみ部２は、第１図に示すよう
に、シリンダヘツド３及びシリンダブロツク４に
設けた冷却水通路が組付け面に開口する開口部５
に設けられており、深さh₂の皿状のくぼみから成
るものである。前記くぼみ部２は、一方の表面板
（以下第１盲板という）６に設け、且つシリンダ
ブロツク４側の表面板７との間には、該くぼみ部
２の周囲を囲み、高さh₁としたビード８を設けた
第２盲板９を配置して金属積層ガスケツト１を形
成している。

前記くぼみ部２の周囲の段差部１０は、シリン
ダヘツド３とシリンダブロツク４とを締め付ける
ことにより圧縮されて補助ビードとして作用する
と共に、第１図の矢印で示す水圧によりくぼみ部
２が押されて変形する際に前記段差部１０がシー
ル作用を増強すると共に、くぼみ部２、第２盲板
９及び表面板７相互に接触圧を発生させて水圧に
よる長期間の塑性変形を防止することができる。

第１図は前記各部材の相互関係を理解し易いよ
うに記載したものであり、前記したようにシリン
ダヘツド３とシリンダブロツク４とを締め付けな
い状態を記載している。したがつて、締付け力を
加えると、くぼみ部２及びビード８は押潰（圧
縮）されて各金属板６，７，９は互いに密着ない
しそれに近い状態となる。なお、図示しないボル
トで締め付ける際のビード８の圧縮量を調節する
ために第１盲板６と第２盲板９との間に図示しな
い中板を設けてもよい。

なお第１図はくぼみ部２の凹側に液体圧が作用
している場合を示したが、凸側から液体圧を作用
させるようにすることもできる。

第３図は実施例２の金属積層ガスケツト１の要
部断面を示したものであり、ビード８の内側に貫
通穴１１を設けた通常のビード板１２及び第２盲
板９の３枚構成としたものである。この場合の前
記h₁は、図に示すようにビード８の高さとビード
板１２の厚みとの和となる。

第４図は実施例３の金属積層ガスケツト１の要
部断面図を示すものであつて、第１盲板６とビー
ド８を設けた第２盲板９との間に通常のビードを
設けたビード板１２と中板１４を設けたものであ
り、前記ビード板１２と中板１４には貫通穴１１
を設けたものである。この場合にはくぼみ深さh₂
をより深い値として、段差部１０によりシール効
果を高めることができる。このように本考案は、
適宜変形した態様で実施することができる。

また液体圧、開口部の大きさ、板厚などの条件
によつては、第３図の第１盲板６とビード板１２
との２枚によつて本考案を実施することもでき
る。この場合、くぼみ部２とビード８との組合せ
は、実際に則し適宜な方向に組み合せることがで
きる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案の盲板部を設けた金
属積層ガスケツトは、シールする穴を覆う盲部を
皿状のくぼみ部と、該穴をシールするビードとを
有する構成としたので、薄い金属板で構成する前
記盲部の補強と、シール性能の補強とが得られ、
しかも加工性、取扱性、コスト面などに優れ、し
かもそのために特別な部品を必要とせず、従来の
ガスケツト製造手段を適用して金属積層ガスケツ
トを提供できるという効果が得られる。

そして更に、封止する穴の部分を皿状に窪ませ
たくぼみ部を有する第１盲板の外に第２盲板を設
け、締め付け力を作用させない状態ではビードに
より互いに接するか、又は間隙を開けた状態に配
置する構成とすることによつて、盲部分の強度の
増強とシール性能の向上とを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例１による盲板部を設けた金属積
層ガスケツトの部分平面図、第２図は第１図の
−線部分断面による使用状態説明図、第３図は
実施例２の盲板部を設けた金属積層ガスケツトの
要部断面図、第４図は実施例２の盲板部を設けた
金属積層ガスケツトの要部断面図である。 １…盲板部を設けた金属積層ガスケツト、２…
くぼみ部、５…開口部、６…第１盲板、８…ビー
ド、９…第２盲板、１２…通常のビード板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シールする穴の外側に平底皿状に窪ませた段
   差部を設け、前記穴を盲にするくぼみ部を形成
   し、前記穴をシールするビードを、前記くぼみ
   部を囲んで形成した盲部を設けた金属積層ガス
   ケツト。 (2) シールする穴の外側に平底皿状に窪ませた段
   差部を設け、前記穴を盲にする平底皿状のくぼ
   み部を設けた第１盲板と、前記くぼみ部が突出
   した側の周囲を囲み、前記穴をシールするビー
   ドを設け、該穴の部分を平板状に形成して盲に
   した第２盲板とを設けると共に、前記窪み深さ
   を、前記ビードの高さ以下とした盲部を設けた
   金属積層ガスケツト。 (3) シールする穴の周囲を囲むビードを設けたビ
   ード板の一方の側に、シールする穴の外側に平
   底皿状に窪ませて段差部を設け、前記穴を盲に
   するくぼみ部を設けた第１盲板を配置し、もう
   一方の側に前記穴の部分を平板状に形成して盲
   にし、前記穴をシールするビードを設けた第２
   盲板を配置し、前記第１及び第２盲板の間に配
   置する金属板には、前記くぼみ部を挿通する貫
   通穴を設け、また前記くぼみ部の深さを、荷重
   の掛らない状態で、前記第１盲板と第２盲板と
   の間隔以下とした盲部を設けた金属積層ガスケ
   ツト。