JPH04143214A - 耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents
耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法Info
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- JPH04143214A JPH04143214A JP26610490A JP26610490A JPH04143214A JP H04143214 A JPH04143214 A JP H04143214A JP 26610490 A JP26610490 A JP 26610490A JP 26610490 A JP26610490 A JP 26610490A JP H04143214 A JPH04143214 A JP H04143214A
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Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分封)
本発明は高濃度硝酸溶液中あるいは原子炉のような高温
高圧水環境て優れた耐粒界腐食性及び耐粒界応力腐食割
れ性を示すオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法に
関するものである。
高圧水環境て優れた耐粒界腐食性及び耐粒界応力腐食割
れ性を示すオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法に
関するものである。
(従来の技術)
耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼は、たと
えば原子炉の配管のように普通鋼が使用できないような
環境の構造材料として広範囲に用いられているが、溶接
熱影響部では、しばしば粒界のみか選択的に腐食されて
いく粒界腐食現象か発生し、問題となっていた。かかる
粒界腐食の発生原因は600〜700℃付近の温度域に
加熱される溶接熱影響部において固溶限を越えた鋼中C
か粒界にCr2.C,として析出し、C「炭化物のまわ
りのCr濃度か欠乏するため、この欠乏領域か選択的に
腐食され粒界腐食か発生する。それゆえ、粒界腐食の発
生を抑制するために鋼中C濃度を0.025(重り%以
下に下げたステンレス鋼やCと親和力の強いTi、Nb
を添加した安定化ステンレス鋼が開発されており、この
ようなステンレス鋼は溶接熱影響部においても粒界腐食
が起こりにくいとされている。
えば原子炉の配管のように普通鋼が使用できないような
環境の構造材料として広範囲に用いられているが、溶接
熱影響部では、しばしば粒界のみか選択的に腐食されて
いく粒界腐食現象か発生し、問題となっていた。かかる
粒界腐食の発生原因は600〜700℃付近の温度域に
加熱される溶接熱影響部において固溶限を越えた鋼中C
か粒界にCr2.C,として析出し、C「炭化物のまわ
りのCr濃度か欠乏するため、この欠乏領域か選択的に
腐食され粒界腐食か発生する。それゆえ、粒界腐食の発
生を抑制するために鋼中C濃度を0.025(重り%以
下に下げたステンレス鋼やCと親和力の強いTi、Nb
を添加した安定化ステンレス鋼が開発されており、この
ようなステンレス鋼は溶接熱影響部においても粒界腐食
が起こりにくいとされている。
しかしながら耐孔食性を改善するために、M。
を2〜3%添加したS U S 316系のオーステナ
イト系ステンレス鋼の場合は、鋼中C濃度を0.025
%以下に低減しても、溶接熱影響部を模擬するために6
00〜750℃の温度域で数時間加熱しくこのような熱
処理は一般的に鋭敏化処理と呼ばれてLる)、高濃度硝
酸溶液中で腐食試験(ヒューイ(Huey)試験−JI
S GO573:沸騰65%硝酸溶液中に試料を浸漬し
て、48時間毎に液を交換しながら240時間まで浸漬
を行う腐食試験であり、粒界でのC「欠乏層の形成を検
出する腐食試験として一般に用いられている)した場合
には第1図に示すごとく、同図は厚さ22+smのS
U S 316L鋼を表層近傍1/4t、l/2tより
切り出した試料を鋭敏化処理(650x 2 h、空冷
)し、Huey試験した場合の腐食速度のサイクル依存
性を示したものであるが、これから粒界腐食の発生によ
り非常に速い速度で腐食されることがわかる。それゆえ
硝酸を用いるプラントではS U S 316系のステ
ンレス鋼は、はとんど使用されないのが現状である。
イト系ステンレス鋼の場合は、鋼中C濃度を0.025
%以下に低減しても、溶接熱影響部を模擬するために6
00〜750℃の温度域で数時間加熱しくこのような熱
処理は一般的に鋭敏化処理と呼ばれてLる)、高濃度硝
酸溶液中で腐食試験(ヒューイ(Huey)試験−JI
S GO573:沸騰65%硝酸溶液中に試料を浸漬し
て、48時間毎に液を交換しながら240時間まで浸漬
を行う腐食試験であり、粒界でのC「欠乏層の形成を検
出する腐食試験として一般に用いられている)した場合
には第1図に示すごとく、同図は厚さ22+smのS
U S 316L鋼を表層近傍1/4t、l/2tより
切り出した試料を鋭敏化処理(650x 2 h、空冷
)し、Huey試験した場合の腐食速度のサイクル依存
性を示したものであるが、これから粒界腐食の発生によ
り非常に速い速度で腐食されることがわかる。それゆえ
硝酸を用いるプラントではS U S 316系のステ
ンレス鋼は、はとんど使用されないのが現状である。
この316L系ステンレス鋼で発生する粒界腐食の発生
原因はCr炭化物ではなく、熱処理によって粒界に析出
するσ相(F e Crの金属間化合物)に起因すると
考えられており、この考えに基すき粒界へのび相の析出
を抑制するために、(C+N≦0,15%、120c+
38N≧0JEi (Cr+Mo+1.5S i) −
N i−0,5Mロー11.8)なる式を満足する、N
を添加した316 L系ステンレス鋼が開発されている
。このNを添加したステンレス鋼は、700℃XtO時
間空冷の鋭敏化処理を受けた場合でも、優れた耐食性を
示すことが報告されている(特公昭57−28740号
公報参照)。
原因はCr炭化物ではなく、熱処理によって粒界に析出
するσ相(F e Crの金属間化合物)に起因すると
考えられており、この考えに基すき粒界へのび相の析出
を抑制するために、(C+N≦0,15%、120c+
38N≧0JEi (Cr+Mo+1.5S i) −
N i−0,5Mロー11.8)なる式を満足する、N
を添加した316 L系ステンレス鋼が開発されている
。このNを添加したステンレス鋼は、700℃XtO時
間空冷の鋭敏化処理を受けた場合でも、優れた耐食性を
示すことが報告されている(特公昭57−28740号
公報参照)。
しかしながら、現場操業において上記の関係式を満足す
べくNi11度を制御するのは必ずしも、容易な方法で
はなく、製造上困難を伴うという問題があった。
べくNi11度を制御するのは必ずしも、容易な方法で
はなく、製造上困難を伴うという問題があった。
(発明が解決しようとする課題)
かかる問題に対して本発明者らは、製造条件を検討する
ことによってS U S 316L系鋼の耐粒界腐食性
を改善することを鋭意検討した。すなわち熱処理によっ
て粒界に析出する化合物の同定及びその析出挙動につい
て母金に研究した結果、粒界腐食はσ相の析出の他にχ
相(Fe、、Cr、、Mosなる金属間化合物)の析出
によって引き起こされており、この粒界へのχ相の析出
速度は固溶化熱処理後の冷却速度に依存するとの知見を
得た。
ことによってS U S 316L系鋼の耐粒界腐食性
を改善することを鋭意検討した。すなわち熱処理によっ
て粒界に析出する化合物の同定及びその析出挙動につい
て母金に研究した結果、粒界腐食はσ相の析出の他にχ
相(Fe、、Cr、、Mosなる金属間化合物)の析出
によって引き起こされており、この粒界へのχ相の析出
速度は固溶化熱処理後の冷却速度に依存するとの知見を
得た。
本発明はかかる知見に基づいて開発したものであって、
Moを2〜396含有する耐孔食性に優れたオーステナ
イト系ステンレス鋼(316L系)を適正な熱処理をす
ることによって、原子炉のような高温高圧水環境あるい
は硝酸溶液中及びCr”Ru Reのような高酸化性イ
オンを含有する硝酸溶液中においても溶接熱影響部を含
めて優れた耐粒界腐食性を示すこのようなオーステナイ
ト系ステンレス鋼の製造方法を提供することを目的とす
るものである。
Moを2〜396含有する耐孔食性に優れたオーステナ
イト系ステンレス鋼(316L系)を適正な熱処理をす
ることによって、原子炉のような高温高圧水環境あるい
は硝酸溶液中及びCr”Ru Reのような高酸化性イ
オンを含有する硝酸溶液中においても溶接熱影響部を含
めて優れた耐粒界腐食性を示すこのようなオーステナイ
ト系ステンレス鋼の製造方法を提供することを目的とす
るものである。
(課題を解決するための手段)
本発明は粒界腐食の発生原因となるχ相の析出を抑制す
るために、鋼板を熱間圧延し、さらに再結晶温度以上で
固溶化熱処理を施した後、所定の冷却速度で鋼板を冷却
するものである。すなわち本発明の要旨とするところは
、 重量%で C: 0.025%以下、 Si:1.0(1%以下、
Mn:2.0%以下、 P : 0.045%以下
、S :0.03%以下、 Ni:12〜15%、
Cr:16〜19%、 MO=2〜3%残部鉄及び
不可避的不純物から成るオーステナイト系ステンレス鋼
を熱延し、さらに1010−1150℃の温度域で炭化
物の溶解及び再結晶が完了するまで加熱した後、1〜b 却することを特徴とする耐粒界腐食性に優れたオーステ
ナイト系ステンレス鋼の製造方法である。
るために、鋼板を熱間圧延し、さらに再結晶温度以上で
固溶化熱処理を施した後、所定の冷却速度で鋼板を冷却
するものである。すなわち本発明の要旨とするところは
、 重量%で C: 0.025%以下、 Si:1.0(1%以下、
Mn:2.0%以下、 P : 0.045%以下
、S :0.03%以下、 Ni:12〜15%、
Cr:16〜19%、 MO=2〜3%残部鉄及び
不可避的不純物から成るオーステナイト系ステンレス鋼
を熱延し、さらに1010−1150℃の温度域で炭化
物の溶解及び再結晶が完了するまで加熱した後、1〜b 却することを特徴とする耐粒界腐食性に優れたオーステ
ナイト系ステンレス鋼の製造方法である。
以下本発明の詳細な説明する。
C:Cは粒界へのCr炭化物の析出に伴いC「欠乏層を
形成し、耐粒界腐食性を劣化させる元素であるので、そ
のa*Jiiは0.025%以下とした。
形成し、耐粒界腐食性を劣化させる元素であるので、そ
のa*Jiiは0.025%以下とした。
Si:Siは粒界へのχ相の析出を促進し耐粒界腐食性
を劣化させる元素で、その含有量は1,0%以下とした
。
を劣化させる元素で、その含有量は1,0%以下とした
。
Mn:Mnは2.0%を越えた場合には熱間加工性を劣
化させるので、その含有量を2.0%以下とした。
化させるので、その含有量を2.0%以下とした。
FDPは粒界偏析しやすい元素であり、粒界腐食及び粒
界割れの発生原因となるので、その含有量を0.045
%以下とした。
界割れの発生原因となるので、その含有量を0.045
%以下とした。
S:SはMnSを形成し、ステンレス鋼の耐孔食性、耐
発錆性を低減させる元素であるので、その含有量を0.
03%以下とした。
発錆性を低減させる元素であるので、その含有量を0.
03%以下とした。
Ni:Niは耐食性の向上と共に、オーステナイト単相
組織を得るのに不可欠な元素であるが、Nilの上昇は
コストの大幅な上昇をもたらすので、その含有量は12
〜15%とした。
組織を得るのに不可欠な元素であるが、Nilの上昇は
コストの大幅な上昇をもたらすので、その含有量は12
〜15%とした。
Cr:Crは表面にCr2O3の不働態皮膜を形成し、
ステンレス鋼の耐食性を担う非常に重要な元素であるか
、同時に粒界へのχ相の析出を促進させる元素でもある
ので、その含有量は16〜19%とした。
ステンレス鋼の耐食性を担う非常に重要な元素であるか
、同時に粒界へのχ相の析出を促進させる元素でもある
ので、その含有量は16〜19%とした。
Mo:Moは耐孔食性の向上に不可欠な元素であるが、
Crと共に粒界へのχ相の析出を促進させる元素である
ので、その含有量は2.0〜3.0%とした。
Crと共に粒界へのχ相の析出を促進させる元素である
ので、その含有量は2.0〜3.0%とした。
上記のような成分のステンレス鋼は熱間圧延後、101
0〜1150℃の間の温度域で10〜30分程度加熱し
た後、水冷却によって常温まで冷却し、次に用途によっ
て酸洗仕上げ、研磨仕上げをして製品となり出荷する。
0〜1150℃の間の温度域で10〜30分程度加熱し
た後、水冷却によって常温まで冷却し、次に用途によっ
て酸洗仕上げ、研磨仕上げをして製品となり出荷する。
このようなプロセスで製造された316L鋼板に650
℃×2時間+空冷の鋭敏化処理を施し、ヒューイ試験(
JAS GO573)に供すると上述したように激しい
粒界腐食を発生し、非常に速い速度で腐食されていく。
℃×2時間+空冷の鋭敏化処理を施し、ヒューイ試験(
JAS GO573)に供すると上述したように激しい
粒界腐食を発生し、非常に速い速度で腐食されていく。
かかるステンレス鋼の粒界腐食は粒界へのび相の析出に
起因すると考えられているが、本発明者らは、σ相ては
なく微細なχ相(ASTM k8−200)の粒界析出
により粒界腐食か引き起こされていることを明らかにし
た。
起因すると考えられているが、本発明者らは、σ相ては
なく微細なχ相(ASTM k8−200)の粒界析出
により粒界腐食か引き起こされていることを明らかにし
た。
さらにχ相の析出形態及び析出速度について詳しく研究
した結果、鋼中Mo、Stの粒界偏析か粒界でのχ相の
析出を促進している可能性が高いことを突き止めた。そ
こで次に、Mo、Siの粒界偏析挙動を鋭意検討したと
ころ、固溶化熱処理後の冷却過程中に非平衡偏析によっ
て粒界に集まる可能性が高いことか判明した。粒界への
非平衡偏析は固溶化熱処理後の冷却速度が速いほど起こ
り易く、固溶化熱処理後の冷却速度を遅くすることによ
ってかかる元素の粒界偏析を抑制し、さらにχ相の析出
も遅延しうるのではないかと考え、粒界腐食の発生に及
はす固溶化熱処理後の冷却速度の影響を調べた。
した結果、鋼中Mo、Stの粒界偏析か粒界でのχ相の
析出を促進している可能性が高いことを突き止めた。そ
こで次に、Mo、Siの粒界偏析挙動を鋭意検討したと
ころ、固溶化熱処理後の冷却過程中に非平衡偏析によっ
て粒界に集まる可能性が高いことか判明した。粒界への
非平衡偏析は固溶化熱処理後の冷却速度が速いほど起こ
り易く、固溶化熱処理後の冷却速度を遅くすることによ
ってかかる元素の粒界偏析を抑制し、さらにχ相の析出
も遅延しうるのではないかと考え、粒界腐食の発生に及
はす固溶化熱処理後の冷却速度の影響を調べた。
その結果を第2図に示すごとく、固溶化熱処理後の冷却
速度を30℃/see以下にすると鋭敏化処理(650
℃×2時間+空冷)を施しても粒界腐食の発生か抑制さ
れ腐食速度か著しく低減されることが判明した。本発明
において下限の冷却速度を1’C/seeに制限したの
はこれにより遅い冷却速度ではχ相ではなく粒界にCr
2.C6の析出が起こり、それに陣い粒界腐食か発生す
るためである。
速度を30℃/see以下にすると鋭敏化処理(650
℃×2時間+空冷)を施しても粒界腐食の発生か抑制さ
れ腐食速度か著しく低減されることが判明した。本発明
において下限の冷却速度を1’C/seeに制限したの
はこれにより遅い冷却速度ではχ相ではなく粒界にCr
2.C6の析出が起こり、それに陣い粒界腐食か発生す
るためである。
上記に示した通常のステンレス鋼製造プロセスにおける
固溶化熱処理後の冷却速度は、鋼材の厚さによって異な
るか、表面での冷却速度は約50〜200℃/seeと
非常に速く、この場合には鋭敏化処理すると粒界に沿っ
てχ相か容易に析出し、著しい粒界腐食を発生する。し
かしながら本発明のごとく冷却速度を適正な値にすれば
、製造ままはもちろんのこと、鋭敏化処理しても耐粒界
腐食性の劣化しないオーステナイト系ステンレス鋼を得
ることが可能となる。
固溶化熱処理後の冷却速度は、鋼材の厚さによって異な
るか、表面での冷却速度は約50〜200℃/seeと
非常に速く、この場合には鋭敏化処理すると粒界に沿っ
てχ相か容易に析出し、著しい粒界腐食を発生する。し
かしながら本発明のごとく冷却速度を適正な値にすれば
、製造ままはもちろんのこと、鋭敏化処理しても耐粒界
腐食性の劣化しないオーステナイト系ステンレス鋼を得
ることが可能となる。
本発明において固溶化熱処理温度を1010℃から11
50℃の間に規定したのは、10IO℃より低い温度域
では、熱間圧延時に形成されたCr炭化物の溶解が十分
行われず、かつ再結晶も起こりにくく耐食性、機械的性
質の劣化を招き、また1150℃より高い温度域では結
晶粒の粗大化が起こり、機械的性質が劣化するためであ
る。
50℃の間に規定したのは、10IO℃より低い温度域
では、熱間圧延時に形成されたCr炭化物の溶解が十分
行われず、かつ再結晶も起こりにくく耐食性、機械的性
質の劣化を招き、また1150℃より高い温度域では結
晶粒の粗大化が起こり、機械的性質が劣化するためであ
る。
上記のような本発明法によって得られたステンレス鋼は
、優れた耐粒界腐食性を示す。
、優れた耐粒界腐食性を示す。
次に本発明の実施例について説明をする。
(実 施 例)
第1表に示す成分(重量%)の熱延された供試鋼を、第
2表に示す条件で本発明法および比較法の固溶化処理を
行い、第3表にこれら各供試鋼:こついてHuey試験
を行った際の腐食速度を示した。
2表に示す条件で本発明法および比較法の固溶化処理を
行い、第3表にこれら各供試鋼:こついてHuey試験
を行った際の腐食速度を示した。
第3表の結果より、比較法では鋭敏化熱処理を施した場
合には激しい粒界腐食が発生し、腐食速度か大きくなる
のに対して、本発明法のように固溶化熱処理後の冷却速
度を1〜b した場合には、鋭敏化熱処理を施しても腐食速度はあま
り上昇せず優れた耐粒界腐食性を示すことが明らかであ
る。
合には激しい粒界腐食が発生し、腐食速度か大きくなる
のに対して、本発明法のように固溶化熱処理後の冷却速
度を1〜b した場合には、鋭敏化熱処理を施しても腐食速度はあま
り上昇せず優れた耐粒界腐食性を示すことが明らかであ
る。
(発明の効果)
以上説明したように、本発明の製造法により、例えば、
原子炉のような高温高圧水環境や高濃度硝酸溶液中にお
いて優れた耐粒界腐食性および耐粒界応力腐食割れ性を
有するオーステナイト系ステンレス鋼を得ることかでき
る。
原子炉のような高温高圧水環境や高濃度硝酸溶液中にお
いて優れた耐粒界腐食性および耐粒界応力腐食割れ性を
有するオーステナイト系ステンレス鋼を得ることかでき
る。
第1図は316L鋼の表層近傍より切り出した試料を鋭
敏化処理し、Huey試験に供した場合の腐食速度のサ
イクル数依存性を示すグラフ、第2図はHuey試験に
おける316L鋼の腐食速度に及はす冷却速度の影響を
示すグラフである。 第 図 C濃度(wf九)
敏化処理し、Huey試験に供した場合の腐食速度のサ
イクル数依存性を示すグラフ、第2図はHuey試験に
おける316L鋼の腐食速度に及はす冷却速度の影響を
示すグラフである。 第 図 C濃度(wf九)
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 重量%で C:0.025%以下、Si:1.00%以下、Mn:
2.0%以下、P:0.045%以下、S:0.03%
以下、Ni:12〜15%、Cr:16〜19%、Mo
:2〜3%残部鉄及び不可避的不純物から成るオーステ
ナイト系ステンレス鋼を熱延し、さらに1010〜11
50℃の温度域で炭化物の溶解及び再結晶が完了するま
で加熱した後、1〜30℃/secの間の冷速で冷却す
ることを特徴とする耐粒界腐食性に優れたオーステナイ
ト系ステンレス鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26610490A JPH04143214A (ja) | 1990-10-03 | 1990-10-03 | 耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26610490A JPH04143214A (ja) | 1990-10-03 | 1990-10-03 | 耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04143214A true JPH04143214A (ja) | 1992-05-18 |
Family
ID=17426370
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26610490A Pending JPH04143214A (ja) | 1990-10-03 | 1990-10-03 | 耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH04143214A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2112237A1 (en) | 2008-04-21 | 2009-10-28 | Secretary, Department Of Atomic Energy | Development of a very high resistance to sensitization in austenitic stainless steel through special heat treatment resulting in grain boundary microstructural modification |
-
1990
- 1990-10-03 JP JP26610490A patent/JPH04143214A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2112237A1 (en) | 2008-04-21 | 2009-10-28 | Secretary, Department Of Atomic Energy | Development of a very high resistance to sensitization in austenitic stainless steel through special heat treatment resulting in grain boundary microstructural modification |
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