JPH04135016U - 圧電共振部品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダンピングしてスプリアスを減らし、減衰性
能を良くした。 【構成】 圧電基板に電極を形成し、該圧電基板を外部
電極が形成された挿入部材に接着し、前記外部電極と前
記電極とを導通させてなる圧電共振部品において、前記
圧電基板の電極の端部に接着剤を帯状に塗布して挿入部
材に接着した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、圧電セラミックス製等の圧電基板によるエネルギー閉じ込め形厚み 振動を利用した圧電共振部品に関し、例えば厚みすべり振動を利用した圧電フィ ルタに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、ＰＺＴ系圧電セラミックスを用いたエネルギー閉じ込め形厚みすべ り振動を利用した圧電共振部品としては、図７及び図８に示すようなものが知ら れている。この圧電共振部品は、板状の圧電基板１と、この圧電基板１を収容す る挿入部材６とから構成している。 圧電基板１の表面に振動電極２，３，４を形成し、裏面に振動電極５を形成し ている。挿入部材６は函状に形成され、外部表面に所定の外部電極７，８，９が 形成され、その内部に各外部電極７，８，９と上記振動電極２，３，４とをそれ ぞれ導通させる導電パターンが形成されている。 そして挿入部材６内に圧電基板１を載置し、導電性接着剤１０によりこれを接 着して固定し、導通させ、シリコーンゴム等の封止材を空間に充填し、外部表面 に所定の外部電極７，８，９を形成していた。この場合、導電性接着剤１０は表 面の電極２及び３の一部に局部的に付着させて圧電基板１を挿入部材６に接着し ていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記の圧電共振部品は、圧電基板の電極に導電性接着剤を局部的に付着させて いるのみであり、使用量が少量であり、例えば４．３２ＭＨｚのフィルタとした 場合の３ＭＨｚ近傍のスプリアスが励振されて、フィルタ性能が劣っていた。

【０００４】 本考案は、従来技術が有する上記事情に鑑みてなされたものであり、ダンピン グしてスプリアスを減らし、減衰性能を良くした圧電共振部品を提供することを 目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、圧電基板に電極を形成し、該圧電基板を外部電極が形成された挿入 部材に接着し、前記外部電極と前記電極とを導通させてなる圧電共振部品におい て、前記圧電基板の電極の端部に接着剤を帯状に塗布して挿入部材に接着したこ とを特徴とする。 接着剤として、導電性接着剤を使用することができる。

【０００６】

【作用】

本考案に係る圧電共振部品によれば、圧電基板の電極の端部に接着剤を帯状に 塗布し、これを挿入部材に接着したので、エネルギー閉じ込め形厚み振動の所要 の周波数に調整できるとともに、スプリアスをよく抑えることができ、ダンピン グが良好になる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１ないし図３は、本考案の一実施例による圧電共振部品、例えば、エネルギ ー閉じ込め形厚みすべり振動の圧電フィルタを説明する図である。従来例に相当 する部分については同一符号を付して説明する。 圧電基板１は、表面に電極２，３，４が形成され、裏面に電極５が表面の電極 ２，３，４に対向して形成されている。この圧電基板１を、外部電極７，８，９ に導通する導体パターンが形成されたアルミナ等からなる挿入部材６に載置し、 これに接着剤により接着するとともに、電極２と外部電極７を導通させ、電極３ と外部電極８を導通させ、電極４と外部電極９を導通させている。 本実施例では、電極２及び電極３の端部に帯状に接着剤１１，１２をそれぞれ 塗布している。

【０００８】 上記圧電基板１は、従来と同様に、例えばＰＺＴ系圧電セラミックスから矩形 状に成形され、表面に所定の電極２，３，４が、例えば、表面にＨ字形状に形成 され、裏面に矩形状の電極５が形成されている。 また、挿入部材６は函状の本体６ａと蓋体６ｂとからなり、本体６ａの内部の 対向する側面に段部が設けられ、中央部に突起が設けられている。そしてこれら 段部及び突起に上記の電極と導通する導体パターンが形成されている。

【０００９】 なお、圧電基板１と挿入部材６の各電極及び導体パターンは、スパッタリング 、真空蒸着、導電ペーストの塗布・焼付等により形成される。また、圧電基板１ に帯状に塗布する接着剤としては、導電性接着剤に限られずエポキシ系樹脂の接 着剤等であってもよい。

【００１０】 次に、圧電共振部品の製造工程を説明する。 先ず、所定の圧電基板１を、挿入部材６の本体６ａの段部と突起に橋渡すよう にして挿入部材６に載置する。そして、導電性接着剤を圧電基板１の少なくとも 長手方向の両端面及びこの近辺か両端の電極の端縁に沿って帯状に塗布し、圧電 基板１を挿入部材６に接着して固定するとともに、所定の電極と導体パターンを 導通させる。さらに、必要に応じて、圧電基板１の周囲の空間にシリコーンゴム 等の充填材を充填した後、蓋体６ｂを固定する。次いで、挿入部材６の表面に、 導体パターンに導通させて外部電極７，８，９を形成すると、図４に示す等価回 路の圧電共振部品を構成する。

【００１１】 上記のような本実施例において、圧電基板の端縁に沿って帯状の導電性接着剤 の幅を０．５mmに塗布し、主振動を４．３２ＭＨｚとした圧電共振部品の減衰特 性を調べたところ、図５に示すようになった。この結果と局部的に接着剤を付着 させた従来例の図６に示す減衰特性とを比較した。 本実施例では、４．３２ＭＨｚの損失３ｄＢ、３ＭＨｚ近傍のスプリアスの減 衰量が３９．５ｄＢで、実質３６．５ｄＢの減衰量となった。これに対して、従 来例では４．３２ＭＨｚの損失４ｄＢ、３ＭＨｚ近傍のスプリアスの減衰量が３ ３．０ｄＢで、実質２９．０ｄＢの減衰量となった。このように本実施例では、 ３ＭＨｚ近傍のスプリアスの減衰量を７．５ｄＢ改善することができた。また、 ３ＭＨｚ近傍のスプリアスを減少させるのみでなく、主振動の４．３２ＭＨｚを 含み全体的にダンピングされている。特にピークの尖った部分がダンピングされ て滑らかにされている。

【００１２】 上述のように本考案に係る圧電共振部品によれば、スプリアスを減少させるの みでなく、主振動を含んで全体的にダンピングすることができ、フィルタとして 特性の優れたものとなる。 なお、上記において振動モードが厚みすべり振動の例について示したが、他の 振動モードのものでもよい。また、主周波数とスプリアスの周波数も上記実施例 に限らない。さらに、シリコーンゴムを充填しないものであってもよいし、さら に、圧電基板の電極の形状が他の形状のものであってもよい。

【００１３】

【考案の効果】

上述のように本考案に係る圧電共振部品によれば、スプリアスを減少させるの みでなく、主振動を含み全体的にダンピングすることができ、共振子又はフィル タとして特性の優れたものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係る圧電共振部品の一実施例の断面
図である。

【図２】 本実施例の斜視図である。

【図３】 本実施例の一部を拡大した斜視図である。

【図４】 本実施例の等価回路図である。

【図５】 本実施例の減衰特性の図である。

【図６】 従来例の減衰特性の図である。

【図７】 従来の圧電共振部品の平面図である。

【図８】 従来の圧電共振部品の斜視図である。

【符号の説明】

１ 圧電基板 ２，３，４，５ 電極 ６ 挿入部材 ７，８，９ 外部電極 １１，１２ 接着剤

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧電基板に電極を形成し、該圧電基板を
   外部電極が形成された挿入部材に接着し、前記外部電極
   と前記電極とを導通させてなる圧電共振部品において、
   前記圧電基板の電極の端部に接着剤を帯状に塗布して挿
   入部材に接着したことを特徴とする圧電共振部品。