JPH04132662U - デイスク装置の軸部支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ディスク装置の軸部の支持構造に関し、組立
てを容易且つ精度良く行うことを目的とする。 【構成】 パイプ状の外軸の内部に中心を一致させて固
定されたベアリングに内軸を挿入し、内軸の外周部を埋
設したピンでベアリングの内輪に押圧して回転自在に固
定する磁気ディスク装置の軸部支持構造であって、ピン
は共に内軸に埋設された形状記憶合金製ばねで付勢可能
であり、形状記憶合金製ばねは、室温で収縮状態であっ
て所定温度以上で加熱した時ピンを内軸から突出する形
状に構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はディスク装置の軸部の支持構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

本考案が適用される磁気ディスク装置１は、図３の平面図及び図４の側面図に 示す如く、記録媒体である磁気ディスク２の面上のトラックと呼ばれる数10μｍ 幅のドーナッツ状の領域に情報を記録し、且つ記録された情報を読取る為のもの である。

【０００３】 トラックは、木の年輪のように磁気ディスク２の面上に同心円状に配され、１ トラックは１つの磁気ヘッド３が連続して書込み／読取りの出来る領域である。 磁気ディスク２は、図４に示す如く複数枚が等間隔で１軸上に積層され、回転 機構（スピンドル）４に依って高速回転する。

【０００４】 磁気ヘッド３は、軸６を中心に図３に示す矢印Ａ−Ｂの如く回動（シーク）す るキャリッジ７に保持され、キャリッジ７は、例えばボイスコイルモータ（ＶＣ Ｍ：Voice Coil Moter) ５に依って回動される。

【０００５】 ボイスコイルモータ５は、間隙を介して対向したヨーク８、９と、ヨーク８、 ９に固定された永久磁石10、11と、間隙に介挿されて永久磁石10、11の磁界に作 用し、磁束に対し直角方向に回動する枠状のコイル12とから成るものである。

【０００６】 このコイル12は、図４に示す如くキャリッジ７から突出したアーム７ａに依っ て支持されている。 キャリッジ７はフレーム13に固定された軸（以下内軸と称す）６にベアリング 15を介して回転自在に取付けられたパイプ状の外軸16で構成され、外軸16に複数 個の磁気ヘッド３が保持されている。

【０００７】 従って、コイル12に通電することでコイル12は間隙内を所定方向に移動し、キ ャリッジ７に回動力を与えて磁気ヘッド３をシークする。 キャリッジ７の組立ては、図５の断面図に示す如くパイプ状の外軸16の内部に 中心を一致させてベアリング15を固定し、ベアリング15に内軸６を挿入する。

【０００８】 内軸６の外径はベアリング15の内輪15ａの内径よりも若干細くなっており、遊 嵌するようになっている。 従って、内軸６は外周部を押圧機構17でベアリング15の内輪15ａに押圧して固 定する必要がある。

【０００９】 押圧機構17は、内軸６に埋設されたピン18とばね19とから成り、ばね19は例え ばコイルばねであってピン18を突出させるべく付勢している。 又、内軸14がベアリング15に接する部分は、Ｄカット20がしてあって、両端20 ａとピン18で３点支持を行うようになっている。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

以上の説明のようにして、キャリッジの組立てが行われるが、ピンは常に内軸 から突出しており、ピンがベアリングの内輪を押圧し乍ら挿入される為に内輪の 一端がピンに依って持ち上げられ、内軸のＤカットの部分の両端（図５で20ａの 部分）が内輪に依って削り取られると言う不具合が生じる。

【００１１】 すると、嵌合が不安定なものとなり、温度の変化に伴って発生する位置決め誤 差、所謂サーマルオフトラックや振動の発生原因となると言う問題点があった。 本考案は、組立てを容易且つ精度良く行うことを目的とするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

本考案に於いては、図１の部分側面図に示す如く、ピン18は共に内軸６に埋設 された形状記憶合金製ばね21で付勢され、形状記憶合金製ばね21は、室温で収縮 状態であって所定温度以上で加熱した時ピン18を内軸６から突出する形状に形成 されたものである。

【００１３】

【作用】

内軸の挿入は、形状記憶合金製ばねが収縮した室温で行われる為、ピンがベア リングの内輪を押圧することが無く削り取られることも無い。

【００１４】 挿入後、所定温度以上で加熱することで、形状記憶合金製ばねはピンを付勢す る形状に戻り、ベアリングの内輪を押圧し組立てが完了する。

【００１５】

【実施例】

本考案に於いては、図１の部分側面図に示す如く、ピン18は内軸６に共に埋設 された形状記憶合金製ばね21で付勢されるようになっており、形状記憶合金製ば ね21は室温で潰れた収縮状態にしてある。

【００１６】 従って、ピン18は付勢されておらずに内軸６の内部に嵌入している。 内軸６の挿入は室温で行われる為、ピン18がベアリング15の内輪15ａを押圧す ることは無く、内軸６の面が内輪15ａで削り取られることも発生しない。

【００１７】 形状記憶合金製ばね21は、所定温度以上で加熱した時図２の部分側面図に示す 如くピン18を内軸６から突出するリング状の形状になるように成形されている。 従って、内軸６を挿入後所定温度以上で加熱すると、形状記憶合金製ばね21は ピン18を付勢してベアリング15の内輪15ａを押圧し内軸６の外面が内輪15ａに圧 接して組立てが完了する。

【００１８】 一般にアクチェータ組立時には、急激に環境温度を変化させて残留応力の除去 等を図る為、所謂ヒートショックと呼ばれる工程があるが、形状記憶合金製ばね 21の形状復元温度をヒートショック時の環境温度に合わせておけば、工程を増や すことなく実現可能である。

【００１９】

【考案の効果】

本考案に依って、軸を支持する組立てが容易、且つ精度良く行われるようにな り、経済上及び産業上に多大の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案のディスク装置の軸部支持構造の部分
側面図（ピン無付勢）、

【図２】 図１のピン付勢状態を示す部分側面図、

【図３】 本考案が適用される磁気ディスク装置の平面
図、

【図４】 図３の側面図、

【図５】 従来のキャリッジの断面図、

【符号の説明】

６ 内軸、 ７ キャリッジ、 15 ベアリング、 15ａ 内輪、 16 外軸、 18 ピン、 20 Ｄカット、 21 形状記憶合金製ばね、

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パイプ状の外軸(16)の内部に中心を一致
   させて固定されたベアリング(15)に内軸(6) を挿入し、
   該内軸(6) の外周部を埋設したピン(18)で前記ベアリン
   グ(15)の内輪(15a) に押圧して回転自在に固定するディ
   スク装置の軸部支持構造であって、前記ピン(18)は共に
   内軸(6) に埋設された形状記憶合金製ばね(21)で付勢可
   能であり、前記形状記憶合金製ばね(21)は、室温で収縮
   状態であって所定温度以上で加熱した時前記ピン(18)を
   前記内軸(6) から突出する形状に形成されたことを特徴
   とするディスク装置の軸部支持構造。