JPH041301Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、内燃機関において吸入空気を冷却す
る空気冷却器の取付構造に係り、特にクランクケ
ースの給気ダクト内に高いシール性能をもつて空
気冷却器を設けることができる取付構造に関する
ものである。

［従来の技術］ 内燃機関において過給機を用いると、吸入空気
は圧力と共に温度も上昇するため、空気密度の減
少すなわち出力の減少を招くことがある。これを
補うため、このような機関には過給空気の冷却器
が設けられていることが多いが、このような空気
冷却器はクランクケースの側壁に組付けた構造と
されていることがある。空気冷却器をクランクケ
ースに直接取付ける場合の従来の例としては、例
えば第５図に示すような取付構造が知られてい
る。即ち、クランクケース１の側壁に水平方向に
長い形状の開口部２を形成し、空気冷却器３の出
口側半部がクランクケース１の側壁内に入り、入
口側半部がクランクケース１の側壁外に出るよう
に空気冷却器３を開口部２に設置する。そして前
記入口側の半部を外側から給気ダクト４で覆い、
シール材５を介して該給気ダクト４をクランクケ
ース１にボルトで固定するものである。

［考案が解決しようとする問題点］ 前記従来の取付構造によれば、クランクケース
１の側壁に大きな開口部２を設けなければならな
いため、クランクケース１の剛性が低いという問
題点があつた。またクランクケース１の側壁と給
気ダクト４との間のシール性はある程度確保され
るとしても、空気冷却器３と開口部２との間はシ
ールが完全ではないという問題点があつた。従つ
て給気ダクト４内に吸込まれた空気の一部は空気
冷却器３を通らず、開口部２との〓間を通過して
しまうといつた不具合が生じていた。

［考案の目的］ 本考案は、内燃機関におけるクランクケース内
への空気冷却器の取付構造において、クランクケ
ースの剛性を従来よりも向上させ、吸入した空気
の流通路と空気冷却器との間のシールを確実にし
て空気冷却器の効率を高めるようにすることを目
的としている。

［問題点を解決するための手段］ 本考案に係る空気冷却器の取付構造は、内燃機
関のクランクケースの給気ダクト部内において、
空気の流通路を囲むように壁体から棚部を突設
し、前記棚部にシール溝を形成して該シール溝内
にシール材料を設け、空気の入口又は出口を囲む
ように空気冷却器エレメントに設けられた補強板
の端縁部が、前記シール溝内に位置するように空
気冷却器エレメントを給気ダクト内に固定したこ
とを特徴としている。

［作用］ 空気冷却器エレメント全体をクランクケース内
に設けるので、クランクケースの側壁に大きな開
口部を設ける必要がなく、さらに空気冷却器エレ
メントを取付けるための棚部を給気ダクト部内に
突設するので、クランクケース全体の剛性は従来
よりも大きい。給気ダクト内の空気の流通路と空
気冷却器エレメントとのシールは、空気冷却器エ
レメントの出入口を囲む補強板とシール溝内のシ
ール材とによつて行なうので、確実である。

［実施例］ 第１図〜第４図によつて本考案の一実施例を説
明する。

第２図〜第４図は本実施例に用いられる空気冷
却器エレメント１０を示す図である。空気冷却器
エレメント１０は、吸熱作用をするコア１１と、
コア１１の両端に接続連通されたアツパータンク
１２及びロアタンク１３とによつて構成されてい
る。さらにコア１１は、冷却水の流れる波状のフ
イン１４と空気の流れる波状のフイン１５とを交
互に積層させることによつて構成され、各波状の
フイン１４内にはアツパータンク１２からロアタ
ンク１３に向けて冷却水が流れて、コア１１のフ
イン１５内を通過していく空気の熱をとり去るよ
うになつている。第３図に示すように、コア１１
における空気の出口１６及び入口１７を囲むよう
に、コア１１の両側面には計４枚の補強板１８，
１９が固設されている。入口１７側の補強板１９
は、補強板１８よりも幅が大きく、その端縁部１
９ａが入口１７側に突出している。さらに入口１
７側の補強板１９，１９の間には、アツパータン
ク１２及びロアタンク１３の下方位置に、補助補
強板１９ｂ，１９ｂが固設されており、補強板１
９，１９及び補助補強板１９ｂ，１９ｂによつて
入口１７は全周を枠状にとり囲まれている。さら
に図示はしないが、両補強板１９，１９ｂとコア
１１及び両タンク１２，１３との〓間には、シリ
コンゴム等のシール材が埋め込まれており、入口
１７を枠状に囲む連結された補強板１９，１９ｂ
の内部に吸込まれた空気は、すべて空気冷却器エ
レメント１０の入口１７に導かれるように構成さ
れている。そして、入口１７側の２枚の補強板１
９，１９及び出口１６側の２枚の補強板１８，１
８は、それぞれ互いに取付管２０で連結されてい
る。そして各補強板１８，１９には取付管２０に
連通する取付孔が設けられている。

次に前記空気冷却器エレメント１０を内燃機関
のクランクケース２１に取付ける場合について説
明する。本実施例のクランクケース２１は、側壁
に設けた開口面積の大きい取付用の開口部に、大
きな別体の給気ダクトを取付ける構造ではなく、
点検にも利用できる窓部２２が壁体に形成されて
いて、内部の給気ダクト部２３に空気冷却器エレ
メント１０の全体を収納できる構造とされてい
る。

従つてクランクケース２１自体の剛性は従来よ
りも向上している。第１図に示すように、給気ダ
クト部２３内の壁体２３ａからは棚部２４が突設
されている。棚部２４の上面にはシール溝２５が
形成されており、シール溝２５の内部にはシリコ
ンゴム等のシール材料２６が流し込まれている。
そして前記空気冷却器エレメント１０の入口１７
側を囲む補強板１９，１９ｂの端縁部１９ａが、
シール溝２５の内部に入り込み、シール材料２６
によつて気密状態に固められている。この空気冷
却器エレメント１０は、取付管２０に挿通された
ボルト２７によつて給気ダクト部２３内の当該位
置に確実に固定されている。従つて、棚部２４に
よつて囲まれた空気の流通路２８と、空気冷却器
エレメント１０との間のシール機能は確実であ
り、本実施例における空気冷却器エレメント１０
の効率はきわて高い。さらに空気冷却器エレメン
ト１０の取付けにおけるシール材料２６の扱いに
ついては、シール溝２５にシリコンゴム等を流し
込むだけでよいため、従来に比べて作業は容易で
ある。また、前記棚部２４及びシール溝２５は、
鋳造によつてクランクケース２１と一体に形成す
ることができる。

［考案の効果］ 本考案によれば、クランクケースの給気ダクト
内に設けた棚部にシール溝を設け、空気冷却器エ
レメントの出入口を囲む補強板をシール材料を介
してシール溝内に挿入した構成になつている。

従つて本考案によれば、クランクケースの剛性
を従来に比べて向上させることができると共に、
空気冷却器エレメントのシール部におけるシール
機構が確実で、空気冷却器エレメントの効率を高
めることができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図は同実施例における空気冷却器エレメントの平
面図であつて、空気の出口側を示す図、第３図は
同空気冷却器エレメントの正面図、第４図は第２
図のＡ−Ａ切断線における断面図、第５図は空気
冷却器エレメントの従来の取付構造の一例を示す
断面図である。 １０……空気冷却器エレメント、１６……出
口、１７……入口、１８，１９，１９ｂ……補強
板、１９ａ……短縁部、２１……クランクケー
ス、２３……給気ダクト部、２３ａ……壁体、２
４……棚部、２５……シール溝、２６……シール
材料、２８……流通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランクケースの給気ダクト部内において空気
   の流通路を囲むように壁体から棚部を突設し、内
   部にシール材料が設けられるシール溝を前記棚部
   に形成し、空気の入口又は出口を囲むように空気
   冷却器エレメントに設けられた補強板の端縁部
   が、前記シール溝内に位置するように空気冷却器
   エレメントを給気ダクト部内に固定したことを特
   徴とする内燃機関における空気冷却器の取付構
   造。