JPH04127914U

JPH04127914U - ランプケース

Info

Publication number: JPH04127914U
Application number: JP3313291U
Authority: JP
Inventors: 法葭原; 秀敏佐藤; 研二郎大上
Original assignee: 東洋紡績株式会社
Priority date: 1991-05-13
Filing date: 1991-05-13
Publication date: 1992-11-20
Anticipated expiration: 2006-05-13
Also published as: JP2535622Y2

Abstract

(57)【要約】【目的】良好な表面性と成形性を有し、かつ樹脂組成物
に含まれる物質がガラス面に付着してガラス面が曇るの
を防止する。【構成】ポリエチレンテレフタレートおよび／またはポ
リブチレンテレフタレート100重量部に対して、エポキ
シ樹脂0.01〜15重量部、無機強化材０〜100重量部を含
有するポリエステル樹脂組成物を成形する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車用のランプケースや密閉型の照明用ランプケースとして使用される、ガラス面が曇らないランプケースに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ランプケースとしては、板金製のものや不飽和ポリエステル樹脂組成物の成形品が使用されていた。ところが、最近では機能性アップの要求に伴いランプケースの形状が複雑になり、ケース用材料に深絞り加工性が要求されるようになってきたので、図１及び図２に示すような樹脂の成形品が使用されている。なお、図１は自動車用ランプケース１と、このランプケース１と組み合わせて使用されるガラス２と、ガラス２とランプケース１によって密閉されるランプ３とを備えた自動車用ランプユニットの平面を示し、図２は室内用ランプケース１１と、このランプケース１１と組み合わせて使用されるガラス１２と、ガラス１２とランプケース１１によって密閉されるランプ１３とを備えた室内用ランプユニットの正面を示す。

【０００３】また、不飽和ポリエステル樹脂組成物は成形性に劣るために、より生産性の高いポリエチレンテレフタレート樹脂組成物やポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形品が使用されるようになってきた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、ランプの熱容量が大きい場合やランプと成形品が近接している場合では、成形品の温度が高温になるために、成形品から分解物や配合物が昇華して、成形品と組み合わせられているガラス面にこれらが析出し、ガラス面が曇るという問題が発生していた。このためポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート樹脂成形品の用途が制限されていた。

【０００５】本考案は、上記問題を解消するためになされたものであって、その目的は、良好な表面性と成形性を有する上に、長期間の使用においてもガラス面を曇らせることのないランプケースを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案者らは、組み合わせて使用されるガラス面を曇らせないランプケースを鋭意検討した結果、ついに本考案を完成するに至った。

【０００７】すなわち、本考案のランプケースは、ポリエチレンテレフタレートおよび／またはポリブチレンテレフタレート100重量部に対して、エポキシ樹脂0.01〜15重量部、無機強化材０〜100重量部を含有するポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。

【０００８】本考案において使用されるポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートとしては、エチレングリコールまたはブチレングリコールとテレフタル酸（その誘導体を含む）との重合体のみならず、少なくとも80モル％以上のエチレンテレフタレートやブチレンテレフタレート繰り返し単位を含む共重合ポリエステルが挙げられる。共重合成分としては公知の酸成分および／またはグリコール成分が使用できる。すなわち、共重合成分としては、例えば、イソフタル酸、ナフタレン１，４または２，６ジカルボン酸、ジフェニルエーテル４，４ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸のような酸成分；エチレングリコース、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、２，２−ビス（４−ヒドロキシフェニール）プロパンのようなグリコール成分；ｐ−オキシ安息香酸、ｐ−ヒドロキシエトキシ安息香酸のようなオキシ酸等が挙げられる。

【０００９】また本考案に使用されるポリエステル樹脂（ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート）は、フェノール／テトラクロロエタン混合溶媒（６／４重量比）により30℃で測定して求めた固有粘度が通常0.4以上であり、0.5以上が好ましい。また上記ポリエステル樹脂を主体とし、これにポリシクロジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステルやポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、ポリラクトン等の脂肪族ポリエステルやポリカーボネート等や他の熱可塑性樹脂を混合しても良い。

【００１０】本考案に用いられるエポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を有する化合物であれば如何なるものでも用い得る。例えば、ビスフェノールＡ等の多価フェノールのグリシジルエーテルや多価グリシジルエーテル；モノまたは多価フェノールのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルや多価グリシジルエーテル；アルキレングリコールのジグリシジルエーテル；高級アルコールのグリシジルエーテル；高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル；ポリアルキレングリコールのグリシジルエーテル；ポリラクトンジグリシジルエーテル；１種または２種以上のα−オレフィンとグリシジルメタアクリレートとの共重合体；α−オレフィン・アルキルアクリレート・メタアクリレート・ビニルモノマーから選ばれた１種以上のモノマーとグリシジルメタアクリレートとの共重合体またはグラフトポリマー等が挙げられる。特にポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、１種または２種以上の α−オレフィンとグリシジルメタアクリレートとの共重合体、多価フェノールのエチレンオキサイド付加物のグリシジル化合物が好ましい。

【００１１】エポキシ樹脂の配合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.01〜１５重量部である。0.01未満ではエポキシ樹脂の添加効果が小さく、１５重量部を超えると、得られる成形品（ランプケース）の表面性が低下するばかりか析出量を低下させる効果も上がらないので好ましくない。

【００１２】本考案に必要に応じて用いられる無機強化材としては、ガラス繊維・炭素繊維等の繊維強化材、チタン酸カリ等のウイスカー、タルク、クレイ、ワラストナイト、ベントナイト、炭酸カルシウム等の粉末強化材が挙げられる。無機強化材により成形品の剛性や熱変形温度が上がり、寸法安定性が増すので、用途により、ポリエステル樹脂100重量部に対して、０〜100重量部配合される。１００重量部を超えると成形品の外観が悪くなるので好ましくない。

【００１３】なお、通常のポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂を含む組成物からなるランプケースを使用した場合、使用中に組成物に含まれる低分子量物質や熱分解により発生する物質、例えばテレフタル酸が昇華してガラス面に析出しガラス面に雲りが発生するが、本考案のランプケースでは、その曇りがかなり抑制される。この理由は明確ではないがエポキシ樹脂がそれらの低分子物質や熱分解物質のキャッチャーとして作用するものと考察される。

【００１４】上記ポリエステル組成物は、目的、用途に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、着色剤等の添加剤を配合することが好ましい。

【００１５】また上記ポリエステル組成物の製造方法としては特に制限されるものではなく、任意の方法で行われる。例えば、全成分を予備混合した後、押出機やニーダ中で混合する方法や、予め任意の数種の成分を押出機やニーダ中で混練配合して得たペレットに、さらに他の成分を溶融混合する方法等が挙げられる。

【００１６】得られた組成物は、特殊な成形法や成形条件は必要ではなく通常の熱可塑性ポリエステル樹脂の成形条件によって成形することができ、各種成形品（ランプケース）が成形される。

【００１７】

【作用】

ランプケースは、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート樹脂を含む樹脂組成物から形成されるので、良好な表面性と成形性を有する。しかも、その樹脂組成物にはエポキシ樹脂が配合されていることにより、使用中に発生する低分子量物質や熱分解物質がポキシ樹脂によって捕捉される。

【００１８】

【実施例】

以下本考案を実施例により説明する。なお、実施例中の部および％は重量基準である。射出成形品の熱変形温度はＡＳＴＭＤ６４８に準じて測定した。また、ガラス面への析出量は、次のようにして評価した。

【００１９】射出成形により得られた42×42×２mmの成形品を、表面温度200℃に調節されたホットプレート上に置き、それを60φ、高さ80mmのガラス秤量瓶で覆い、420 時間処理した。ガラス秤量瓶の上面は約50℃で、その内面に成形品から昇華したテレフタル酸を主成分とした白粉が析出して失透した。そのガラス秤量瓶の重量変化より昇華析出物の量を評価した。

【００２０】（実施例１〜１１、比較例１〜３）ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ガラス繊維、タルク、各種エポキシ樹脂、モンタン酸エステルを表１に示した割合で予備混合した後、２軸押出機のホッパーに投入し、溶融混練してコンパウンドチップを得た。このコンパウンドチップを130℃で４時間乾燥した後、シリンダー温度270℃に調節した射出成形機によりテストピースの平板を成形し、昇華析出物の発生量を上述の方法で評価した。

【００２１】使用したエポキシ樹脂は以下の通りである。

【００２２】エポキシ樹脂Ｉ…ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルエポキシ樹脂II…

【００２３】

【化１】

【００２４】エポキシ樹脂III…ビスフェノールＡジグリシジルエーテルエポキシ樹脂IV…ラウリルアルコールグリシジルエーテルエポキシ樹脂V…エチレン−グリシジルメタアクリレート１０モル％共重合体この結果を表１に示す。なお、表１において、昇華物質析出量は成形品に対する重量％を示す。熱変形温度の測定における荷重は、１８．６ｋｇ／ｃｍ²とした。

【００２５】

【表１】

【００２６】

【表２】

【００２７】表１および表２の結果から、本考案品は昇華析出量が減少し透明性が保持されることを示している。また、この結果は、ランプケースの実用テストの結果とよく対応した。

【００２８】

【考案の効果】

本考案によれば、良好な表面性と成形性を保持しながら、高温時の昇華物の析出量を低減してガラス面を曇らせるのを減少することができる。従って、設計の自由度が大きくなり、また高温での使用も可能になり、従来使用できなかった用途にも応用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】自動車用ランプユニットの平面図である。

【図２】室内用ランプユニットの正面図である。

【符号の説明】

１自動車用ランプケース２ガラス３ランプ１１室内用ランプケース１２ガラス１３ランプ

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ポリエチレンテレフタレートおよび／また
はポリブチレンテレフタレート100重量部に対して、エ
ポキシ樹脂0.01〜15重量部、無機強化材０〜100重量部
を含有するポリエステル樹脂組成物を成形してなること
を特徴とするランプケース。