JPH04127436U - 車両用デイスクブレーキのハンガーピン抜止め構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ハンガーピンの着脱時に、ハンガーピン抜け止
め用の弾性クリップを指の力で軽く外せるようにする。
弾性クリップに耐久性を持たせる。 【構成】ハンガーピン１０の軸部１０ａより小径のルー
プ部１１ａを中間に備えた弦巻きばねの両端を、弦巻き
ばねの交差部からハ字状に開き、その両端部を一側方へ
コ字状に折曲して、ループ部１１ａ側の平行片をつまみ
部１１ｂとし、それぞれ先端側に連続するＬ字片を係止
部１１ｃとして、弾性クリップ１１を形成する。弾性ク
リップ１１の係止部１１ｃを、キャリパ半体３ｃの係止
孔３ｇに係止し、ループ部１１ａをキャリパ半体３ａの
ハンガーピン挿通孔３ｅに臨ませて配置した後、ハンガ
ーピン１０を差込む。ハンガーピン１０の係合溝１０ｄ
がループ部１１ａと同一面上に位置すると、ループ部１
１ａが係合溝１０ｄに落込んで係合し、ハンガーピン１
０の軸方向の移動を規制する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車や自動二輪車等の車両に用いられるディスクブレーキに係り 、詳しくは、摩擦パッドを保持するハンガーピンの抜止め構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ハンガーピンを用いて摩擦パッドを保持するディスクブレーキでは、例えば、 実開平２−１６８３５号公報に示されるように、弾性板材の中央部をＵ字状に折 曲した弾性クリップの一端をキャリパに固定し、折曲部分をキャリパから突出す るハンガーピンの係合溝に係合させて、ハンガーピンを抜止めする構造が知られ ている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし上述の弾性クリップは、弾性の板材を単に曲げたもので、ハンガーピン を着脱する際に、Ｕ字状の折曲部分を指の力によってハンガーピンの係合溝から 外せる程度のわずかなスプリング力で設定されるため、少ない使用回数でヘタる ことが多く、抜止めの働きをしなくなっていた。また、耐久性を向上させるため に弾性クリップを厚くしてスプリング力を上げると、指の力では容易に外せなく なるという相反した問題を生じる。

【０００４】 そこで本考案は、ハンガーピンの着脱時には、ハンガーピン抜け止め用の弾性 クリップを指で軽く外すことができ、同時に耐久性にも優れたハンガーピンの抜 止め構造を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上述の目的を達成するため、本考案の車両用ディスクブレーキのハンガーピン 抜止め構造は、ディスクロータの両側に対向配置される摩擦パッドを、ディスク ロータの外周を跨いでキャリパに横架されるハンガーピンによって、ディスク軸 方向へ移動可能に吊持する車両用ディスクブレーキにおいて、中間に前記ハンガ ーピンの軸部より小径のループ部を備えた弦巻きばねの両端部を、一側方に折曲 して、前記ループ部を拡縮させる一対のつまみ部を形成し、該つまみ部の端部を それぞれ折曲して係止部を形成した弾性クリップの前記係止部を、前記キャリパ に穿設したハンガーピン挿通孔の近傍に係止させることにより、前記ループ部を 前記キャリパのハンガーピン挿通孔に臨ませて配置すると共に、前記ハンガーピ ンに係合溝を形成して、該係合溝に前記ループ部を係合したことを特徴としてい る。

【０００６】

【作用】

このようにしてキャリパに取付けられた弾性クリップのループ部は、ハンガー ピンの軸部より小径に形成されているために、キャリパに横架したハンガーピン の係合溝に落込んで係合し、ハンガーピンを抜止めする。

【０００７】 また、ハンガーピンを取外す場合には、弾性クリップのつまみ部をつまんでル ープ部を拡開して係合溝との係合を外してからハンガーピンを引抜く。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

【０００９】 ディスクブレーキ１は、ディスクロータ２の側部に分割されたキャリパ半体３ ａ，３ｂのシリンダ孔４，４に、ピストン５，５を対向して設けたピストン対向 型で、キャリパ３は、キャリパ半体３ａ，３ｂの両側部を、それぞれ２本の連結 ボルト６，６で連結して構成される。

【００１０】 キャリパ半体３ａ，３ｂの間には、一対の摩擦パッド７，７が、ディスクロー タ２を挟んで対向配置されている。摩擦パッド７は、ディスクロータ２の側面と 摺接するライニング８と、ハンガーピン１０に保持される裏板９とからなってお り、裏板９の上部中央に延びる吊下げ片９ａには、ハンガーピン１０が差込まれ るピン孔９ｂが穿設されている。また、キャリパ半体３ａ，３ｂの上部には、隆 条部３ｃ，３ｄが設けられており、該隆条部３ｃ，３ｄには、ハンガーピン１０ を挿通する挿通孔３ｅ，３ｆが設けられる。さらに、挿通孔３ｅの上部には、弾 性クリップ１１をする係止孔３ｇが穿設される。

【００１１】 ハンガーピン１０は、隆条部３ｃ，３ｄの挿通孔３ｅ，３ｆに架け渡される軸 部１０ａと位置決め用の頭部１０ｂから成っている。軸部１０ａの先端部には、 テーパ状に面取りしたガイド部１０ｃが形成され、その近傍には係合溝１０ｄが 周設されている。また、上述の係止孔３ｇには、このハンガーピン１０の抜止め として、弾性クリップ１１が取付けられる。

【００１２】 弾性クリップ１１は、中間にハンガーピン１０の軸部１０ａより小径のループ 部１１ａを備えた弦巻きばねを交差部からハ字状に開き、その両端部を一側方へ コ字状に折曲して、ループ部１１ａ側の平行片をつまみ部１１ｂと成し、また、 それぞれ先端側に連続するＬ字片を係止部１１ｃと成している。この弾性クリッ プ１１は、係止部１１ｃ，１１ｃを、キャリパ半体３ｃの係止孔３ｇに引掛けて 係止され、ループ部１１ａをハンガーピン挿通孔３ｅに臨ませて配置される。

【００１３】 このように構成されるディスクブレーキ１では、ハンガーピン１０の軸部１０ ａを挿通孔３ｅ，３ｆへ挿通する際に、予め弾性クリップ１１を上述のようにキ ャリパ半体３ａに配置しておき、キャリパ半体３ｂの挿通孔３ｆ側よりハンガー ピン１０を差込んでいく。軸部１０ａはキャリパ半体３ａ側の挿通孔３ｅを貫通 した後、先端部に形成されるテーパ状のガイド部１０ｃによって、弾性クリップ １１のループ部１１ａを開きながら差込まれ、頭部１０ｂが挿通孔３ｆの外面に 当接して、ハンガーピン１０の係合溝１０ｄがループ部１１ａと同一面上に位置 すると、ループ部１１ａが縮小しながら係合溝１０ｄに落込んで係合し、ハンガ ーピン１０の軸方向の移動が規制される。

【００１４】 さらに、摩擦パッド７を交換やメンテナンス等で取外す場合には、図５に示す ように、つまみ部１１ｂを指でつまんでループ部１１ａを拡開して係合溝１０ｄ より外せば、ハンガーピン１０をキャリパ半体３ｂ側に引抜くことができる。

【００１５】 本実施例はこのように、ハンガーピン１０を所定位置まで差込むだけで、弾性 クリップ１１のループ部１１ａが、ハンガーピン１０の係合溝１０ｄに落込んで 係合し、ハンガーピン１０の抜止めを容易に行なうことができる。またつまみ部 １１ｂをつまんでループ部１１ａを拡開し、係合溝１０ｄから外すことにより、 容易にハンガーピン１０を引抜くことができる。さらに弾性クリップ１１に弦巻 きばねのトーション力を利用するので、従来の板ばねに較べて、使用を重ねても ヘタることがない。

【００１６】 尚、本考案のハンガーピン抜止め構造では、弾性クリップを、ハンガーピンの 差込み側と先端突出側のどちらに取り付けてもよい。また、ハンガーピンに設け る係合溝は全周に限らず、一部にだけ設けてもよい。

【００１７】

【考案の効果】

本考案は以上のように、中間にハンガーピンの軸部より小径のループ部を備え た弦巻きばねの両端を、一側方に折曲して一対のつまみ部を形成し、つまみ部の 端部をさらに折曲して係止部を形成した弾性クリップの前記係止部を、キャリパ に穿設した係止孔に係止させ、前記ループ部をキャリパのハンガーピン挿通孔に 臨ませて配置すると共に、ハンガーピンに形成した係合溝に係合させることによ り、ハンガーピンの係脱をワンタッチで簡便に行うことができる。また、この弾 性クリップに弦巻きばねのトーション力を利用するので、使用を重ねてもヘタる ことがなく、耐久性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すディスクブレーキの一
部断面平面図

【図２】図１のII−II断面図

【図３】ハンガーピンと弾性クリップの分解斜視図

【図４】図２のIV−IV断面図

【図５】ハンガーピンを取外す時の弾性クリップの説明
図

【符号の説明】

１…ディスクブレーキ、２…ディスクロータ、３…キャ
リパ、３ａ，３ｂ…キャリパ半体、３ｃ，３ｄ…隆条
部、３ｅ，３ｆ…挿通孔、３ｇ…係止孔、７…摩擦パッ
ド、８…ライニング、９…裏板、１０…ハンガーピン、
１０ａ…軸部、１０ｂ…頭部、１０ｃ…ガイド部、１０
ｄ…係合溝、１１…弾性クリップ、１１ａ…ループ部、
１１ｂ…つまみ部、１１ｃ…係止部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ディスクロータの両側に対向配置される
   摩擦パッドを、ディスクロータの外周を跨いでキャリパ
   に横架されるハンガーピンによって、ディスク軸方向へ
   移動可能に吊持する車両用ディスクブレーキにおいて、
   中間に前記ハンガーピンの軸部より小径のループ部を備
   えた弦巻きばねの両端部を、一側方に折曲して、前記ル
   ープ部を拡縮させる一対のつまみ部を形成し、該つまみ
   部の端部をそれぞれ折曲して係止部を形成した弾性クリ
   ップの前記係止部を、前記キャリパに穿設したハンガー
   ピン挿通孔の近傍に係止させることにより、前記ループ
   部を前記キャリパのハンガーピン挿通孔に臨ませて配置
   すると共に、前記ハンガーピンに係合溝を形成して、該
   係合溝に前記ループ部を係合したことを特徴とする車両
   用ディスクブレーキのハンガーピン抜止め構造。