JPH04127274U - ドラフト装置のフロントローラ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フロントローラの導入側における繊維束の繊
維の随伴気流による拡散を防止することを可能とする。 【構成】 フロントローラ４を構成するトップローラ４
ａおよびボトムローラ４ｂのうちの少なくともボトムロ
ーラ４ｂに、通過する繊維束５の両側に位置させて周方
向に連続した溝７，７を形成したことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、紡績機におけるドラフト装置のフロントローラ構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

紡績機に用いられているドラフト装置は、バックローラ、エプロン、フロント ローラから主に構成され、供給されるスライバを所定太さの繊維束に引き揃える ようになっている。

【０００３】 このドラフト装置においては、下流のフロントローラが最も高速で回転するた め、図４に示すようにフロントローラ４を構成するトップローラ４ａとボトムロ ーラ４ｂには繊維束の導入側においてこれらローラ４ａ，４ｂの回転に伴う随伴 気流Ａ，Ａが発生し、これらの気流が両ローラの接点（ニップ点）で衝突した後 、ニップ線Ｌに沿って軸方向左右に拡散する気流Ｂ，Ｂとなる。

【０００４】 そのため、ドラフトされてエプロンの把持を離れた繊維束５の繊維がフロント ローラ４の導入側においてニップ線に沿って軸方向左右に流れる気流Ｂ，Ｂに乗 って大きく拡散するようになる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上述のように繊維束の繊維がフロントローラの導入側において 左右に大きく拡散すると、これを空気紡績ノズルで加撚して結束糸を得る場合、 巻付繊維に比して芯繊維の量が減少し、製造される糸に糸強力が低い等の欠陥が 発生する問題がある。

【０００６】 そこで、本考案の目的は、フロントローラの導入側における繊維束の繊維の随 伴気流による拡散を防止することができるドラフト装置のフロントローラ構造を 提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案は、フロントローラを構成するトップローラ およびボロムローラのうちの少なくともボトムローラに、通過する繊維束の両側 に位置させて周方向に連続した溝を形成したことを特徴とする。

【０００８】

【作用】

フロントローラを構成するトップローラおよびボトムローラには繊維束の導入 側においてこれらローラの回転に伴う随伴気流が発生し、これらの気流が両ロー ラの接点で衝突した後、ニップ線に沿って軸方向左右に拡散する。

【０００９】 ところが、ボトムローラには通過する繊維束の両側に位置させて周方向に連続 した溝が形成されているので、フロントローラのニップ線に沿って軸方向左右に 拡散する上記随伴気流の流れが途中で両側の溝を通って逃げ、ニップ線に沿って 更に軸方向左右に流れるのを阻止される。その結果、フロントローラの導入側に おける繊維束の繊維が気流に乗って大きく拡散するのが防止される。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。

【００１１】 図１において、１は紡績機のドラフト装置で、図示例ではバックローラ２、エ プロン３およびフロントローラ４からなる３線式であるが、４線式その他であっ てもよい。これらのローラ２，４およびエプロン３はそれぞれ上下で対２ａと２ ｂ，４ａと４ｂ，３ａと３ｂになっており、駆動側のボトムローラ２ｂ，４ｂお よびボトムエプロン３ｂに対して、従動側のトップローラ２ａ，４ａおよびトッ プエプロン４ａが所定の力で押圧されている。

【００１２】 バックローラ２の上流にはスライバＳを導入するためのトランペットガイド６ が設けられ、これより導入されるスライバＳは回転速度が段階的に大きく設定さ れたバックローラ２、エプロン３およびフロントローラ４を順次通過する間に所 定の太さの繊維束５に引き揃えられるようになっている。

【００１３】 そして、フロントローラ４の下流にはドラフトされた繊維束５に撚を加える図 示しない空気紡績ノズルが設けられ、これにより製造された糸はパッケージに巻 取られるようになっている。

【００１４】 上記ドラフト装置１において、そのフロントローラ４を構成するトップローラ ４ａとボトムローラ４ｂのうち、ボトムローラ４ｂには通過する繊維束５の両側 に位置する左右一対の周方向に連続した溝７，７が形成されている。これらの溝 ７はＵ溝、Ｖ溝、角溝等の適宜の断面形状であり、巾が３〜１０ｍｍ、深さが３ 〜６ｍｍである。

【００１５】 次に実施例の作用を述べる。高速で回転するフロントローラ４の両ローラ４ａ ，４ｂの周辺にはこれらの回転による随伴気流が発生し、これらの随伴気流は繊 維束５の導入側において両ローラ４ａ，４ｂのニップ点で衝突し、ニップ線に沿 って両ローラ４ａ，４ｂの軸方向左右に拡散する。

【００１６】 ところが、ボトムローラ４ｂには通過する繊維束５の両側に位置させて周方向 に連続した溝７，７が形成されているので、フロントローラ４のニップ線に沿っ て軸方向左右に拡散する上記随伴気流の流れが途中で両側の溝７，７を通って逃 げ、ニップ線に沿って更に軸方向左右に流れるのを阻止される。これによりフロ ントローラ４の導入側における繊維束５の繊維が気流に乗って大きく拡散するの を防止することができ、その結果、空気紡績ノズルで加撚する場合、巻付繊維に 比して芯繊維の量を多く確保することができるので、糸強力の高い品質の優れた 糸を得ることができる。

【００１７】 一般に、駆動側のボトムローラ４ｂは金属ローラにより、従動側のトップロー ラ４ａはゴムローラにより構成されているが、実施例のようにボトムローラ４ｂ に溝７を設ければ、トップローラ４ａと違って摩耗が少ないので、半永久的に使 用することができ、経済的である。また、ボトムローラ４ｂの表面には摩擦を大 きくするための細い筋等の表面処理８が施されているため、トップローラ４ａよ りも随伴気流が多く発生するが、その発生源であるボトムローラ４ｂに溝７を設 けているので、随伴気流の衝突および拡散を効果的に抑制できる。

【００１８】 なお、実施例ではフロントローラ４のボトムローラ４ｂのみに溝７を設けた場 合に付いて説明したが、図３に示すようにボトムローラ４ｂだけでなく、トップ ローラ４ａにも同様の溝７，７を設けるようにしてもよく、これにより更に効果 を上げることができる。

【００１９】

【考案の効果】

以上要するに本考案によれば、フロントローラの少なくともボトムローラの繊 維束通過部分の両側に形成した周方向の溝により、ニップ線に沿って軸方向左右 に拡散する随伴気流の流れが阻止されるため、フロントローラの導入側における 繊維束の繊維が気流に乗って大きく拡散するのを防止することができ、製造され る糸の品質の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すドラフト装置の斜視図
である。

【図２】図１のドラフト装置におけるフロントローラを
示す正面図である。

【図３】フラントローラの他の実施例を示す正面図であ
る。

【図４】フロントローラに発生する随伴気流を示す斜視
図である。

【符号の説明】

１ ドラフト装置 ４ フロントローラ ４ａ トップローラ ４ｂ ボトムローラ ５ 繊維束 ７ 溝

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フロントローラを構成するトップローラ
   およびボロムローラのうちの少なくともボトムローラ
   に、通過する繊維束の両側に位置させて周方向に連続し
   た溝を形成したことを特徴とするドラフト装置のフロン
   トローラ構造。