JPH0412184Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は建築、構築物の内、外装の壁体を形成
するのに有用なサイデイングボード（以下、単に
ボードという）に関するものである。

〔従来の技術〕

従来から使用されているこの種ボードとしては
特公昭51−29339号、実公昭51−11882号、
実公昭54−26649号などがある。しかしながら、
上記ボードにおいては種々の問題があつた。すな
わち、のボード（下見板）では雨水が風で吹き
つけられたりすると単なる平板同士の連結構造の
ため、雨水が裏面に漏洩し、胴縁、柱を腐食させ
たり、室内や押入れに湿気を与えたりする欠点が
あつた。またのボードでは下縁の傾斜部の立ち
上がり部までの長さが長いため引張り力に弱く、
目地なしの外装しか形成できない不利があつた。
しかも、本来は目地なしの外装なのに施工者の技
術によつて目地なし、目地ありのバラバラな幅の
目地からなる外装となると共に、施工の際に立ち
上がり部で負傷する危険があつた。さらに、の
ボードは側面の形状が複雑で成形が難しく、か
つ、高価となる欠点があつた。

〔考案の目的〕

本考案は、上述した欠点を除去するため、化粧
面の一端縁に雄型連結部、他端縁に雌型連結部を
形成すると共に、雄型連結部の傾斜片と雌型連結
部の側壁の高さをほぼ同一とし、壁体を形成した
際、ボードの化粧面が平坦となり、かつ、雄型連
結部の突出片の先端に突起を設け、雌型連結部の
嵌合溝の上縁と突出片との中間に空隙を形成する
ことにより毛細管現象を阻止すると共に、雨返し
を図り、かつ、雌型連結部の側壁の上端には化粧
面と面一になるように突出した水切りリブを形成
して、側壁の下端と突出片の接触部を被覆して、
雨水のあたらない位置として、連結部における防
水性を大幅に向上させると共に、ボードの施工を
容易に１人の作業員で、しかも熟練を要さずに行
なうことができる横張り、縦張り兼用のボードを
提案するものである。

〔考案の構成〕

以下に図面を用いて本考案に係るボードの代表
的な実施例を詳細に説明する。すなわち、第１図
は上記ボードＡを示す斜視図であり、例えば表面
処理鋼板、亜鉛・ニツケル合金をメツキした鋼
板、アルミ・亜鉛合金メツキ鋼板（商品名ガルフ
アン、ガルバリウム鋼板、スーパージンク）、ア
ルミニウム板、アルミニウム合金板、銅板等の１
種からなる金属板（平板、エンボス加工板も含
む）、または合成樹脂板をロール、プレスで成形
したり、あるいは押出し成形などの１種により成
形したものである。すなわち、ボードＡは化粧面
１雄型連結部２、雌型連結部１０とから形成され
る。なお、図示しないが化粧面１には１本、また
は複数本の凹状、凸状の化粧リブを設けてもよ
い。また雄型連結部２は化粧面１の一端縁を角度
θ₁（θ₁≧90°）で屈曲した傾斜片３と、その端縁を
角度θ₂（θ₂≒θ₁）で屈曲し、化粧面１とほぼ平行
に外側方に延長した突出片４と、その先端を内側
方に折り返し、次に外側方に屈曲して、断面をほ
ぼＵ字状に形成した係合溝６と、係合溝６の下縁
７を外側方に延長した延長部８と延長部８の先端
に設けたはぜ状の舌片９とから形成したものであ
る。さらに説明すると、傾斜片３はボードＡを横
張りとして使用した場合、θ₁≧90°であるため、
雨水の流れをよくし、目地部に雨水が貯留するの
を防止すると共に、目地部の立体感を助長し、か
つ、働き幅を増大するのに役立つものである。ま
た、突出片４は傾斜片３の下端をθ₂（θ₂≒θ₁）で
屈曲した面、所謂化粧面１と平行、あるいは幾分
傾斜した面からなり、第２図に示すように壁体の
目地部の防水下地として役立つものである。さら
に、突出片４は後述する嵌合溝１５と嵌合するも
のであり、係合溝６と後述する下縁１４の係合と
共に、ボードＡの連結構造を２重にすることによ
りボードＡの係合力を強化し、かつ、連結部の防
水性に役立つものである。その上、この突出片４
の先端にはボードＡの長手方向と平行に上方に突
出した突起５を設ける。この突起５は第２図に示
すようにボードＡを連結した際に上段のボード
Ａ、あるいは隣接するボードＡの嵌合溝１５の上
縁１３と接触し、突出片４の上側面４ａと嵌合溝
１５の上縁１３との間に空間を生み出すことによ
り、毛細管現象を阻止し、かつ、雨返しとして機
能するものである。また延長部８は直接雨水の侵
入しない部分で釘等の固定具によりボードＡを固
定する部分である。さらに舌片９は延長部８の先
端をはぜ状に屈曲したものであり、延長部８の端
部の波打ちを防止すると共に、作業を行う際、延
長部８の端部による負傷を防止するためのもので
ある。また、雌型連結部１０は化粧面１の他端縁
を外方へ延長し、次に内方へ折り返した水切りリ
ブ１１と、その先端を下方に屈曲した側壁１２
と、その下縁を内方へ屈曲した上縁１３とその先
端を外方へ屈曲した下縁１４とから断面をほぼＵ
字状に形成した嵌合溝１５と、下縁１４の先端を
はぜ状に屈曲した舌片１６とから形成したもので
あり、下縁１４は第２図に示すように、突出片４
を嵌合溝１５に嵌合する際に係合溝６に挿入さ
れ、より係合力、防水性を強化するのに役立つも
のである。また水切りリブ１１はボードＡの連結
部で、目地部において側壁１２と突出片４との接
触位置を覆い隠すように化粧面と面一に位置し、
化粧面１を流れる雨水を側壁１２と突出片４との
接触部に触れることなく下方へ流れさせるため、
目地部の防水性が大幅に向上する。さらに、水切
りリブ１１は目地部に影を落とすため、目地部の
立体関を助長するのにも役立つものである。ま
た、舌片１６は下縁１４の先端の波打ちを防止
し、ボードＡの連結をスムーズに行うのに役立つ
と共に、舌片９と同様に作業の安全性を向上する
ものである。

ここで本考案に係るボードＡの寸法関係につい
て説明する。第１図に示すように傾斜片３の高さ
をh₁、化粧面１から側壁１２の下端までの高さを
h₂、化粧面１と平行で延長部８に接する補助線イ
を引いた場合、化粧面１から補助線イまでの高さ
をh₃、水切りリブ１１の上側面から補助線イまで
の高さをh₄、突出片４の先端から係合溝６の最奥
までの距離をl₁、下縁１４の先端から嵌合溝１５
の最奥までの最奥までの距離をl₂、突出片４の先
端から傾斜片３の下端までの距離をl₃、嵌合溝１
５の最奥から側壁１２までの距離をl₄，突出片４
の先端から傾斜片３の上端までの距離をl₅、嵌合
溝１５の最奥から水切りリブの先端までの距離を
l₆とするとh₁≒h₂、h₃≒h₄、l₁≧l₂、l₃≧l₄，l₅≧l₆
の関係にある。また下縁１４から補助線イまでの
距離ΔhはボードＡとして用いる素材の厚さとほ
ぼ同じ程度である。この関係はボードＡを施工し
た際に、化粧面１が平坦となるためである。こ
の、コーナー部、ボードＡ同士の長尺方向の突き
合わせ部における役物の形状を単純で、しかも連
続した長尺状に形成したものを使用することがで
きる。

〔施工例〕

いま、第１図に示すようなボードＡを第２図に
示すように横張り用として使用し、壁体を形成す
ると仮定する。なおボードA₁、A₂は0.35mm厚の
カラー鋼板を用いて形成したものである。そこ
で、主柱、間柱、防水シート、石膏ボード、シー
ジングボード等からなる壁下地αに第ｎ段目のボ
ードA₁の延長部８を釘βを介して固定する。次
に第ｎ＋１段目のボードA₂の雌型連結部１０の
嵌合溝１５をボードA₁の雄型連結部２の突出片
４に嵌挿し、第２図のような横目地部を形成する
ものである。また、壁体全体を形成するには、上
記したような工程を土台から桁に向かつて行なえ
ばよいものである。このようにして形成した壁体
は目地部における防水性に富むものとなる。な
お、土台部分にはスタータ（図示せず）、出、入
隅等の部分（図示せず）にはコーキング材、役物
を用いる必要がある。また本ボードＡは縦張りと
しても使用することができる。

〔その他の実施例〕

以上説明したのは本考案に係るボードＡの一実
施例にすぎず、第３図ａ〜ｑ、第４図ａ〜ｐに示
すように形成することもできる。すなわち、第３
図ａ〜ｑは雄型連結部２の変形例であり、ａ図は
下縁７に対し係合溝６の上縁６ａを角度θ₃となる
ように形成した雄型連結部２、ｂ図はａ図におい
て突出片４の上側面４ａを上縁６ａとを平行にな
るように形成した雄型連結部２、ｃ図は突出片４
の上側面４ａを後下がり（θ₂＞θ₁）に傾斜した雄
型連結部２、ｄ図は延長部８の途中、または下縁
７に突条８ａを設けた雄型連結部２、ｅ図は延長
部８の途中、または下縁７に溝条８ｂを形成した
雄型連結部２、ｆ，ｇ図は突条８ａ、溝条８ｂを
図示するように設けた雄型連結部２、ｈ図は上縁
６ａの途中に突条６ｂを設けた雄型連結部２、ｉ
図は突出片４の上側面４ａの途中に突起４ｂを設
けた雄型連結部２、ｊ，ｋ図は延長部８に段差を
設けた雄型連結部２、ｌ図は舌片９を上はぜ状に
形成した雄型連結部２、ｍ図は舌片９の部分を上
方に屈曲した雄型連結部２、ｎ図はθ₁を90°に形
成した雄型連結部２、ｏ図は傾斜片３と突出片４
の中間に窪部３ａを設けた雄型連結部２、ｐ図は
突出片４を途中から斜め上方に屈曲した雄型連結
部２、ｑ図は突起５を図のように突出片４の下方
にまで円弧状に形成した雄型連結部２である。ま
た第４図ａ〜ｐは雌型連結部１０の変形例であ
り、ａ図は上縁１３の途中に長尺方向と平行に形
成した溝１３ａ、あるいは図示しないがリブを形
成し、防止、係合力の強化を図つた雌型連結部１
０、ｂ図は下縁１４にａ図と同じような溝１４ａ
を形成した雌型連結部１０、ｃ，ｄ図は嵌合溝１
５の断面形状を図示するように形成した雌型連結
部１０、ｅ，ｆ図は側壁１２と上縁１３との中間
を図示するように形成した雌型連結部１０、ｇ図
は嵌合溝１５をつぼ状に形成した雌型連結部１
０、ｈ図は上縁１３と側壁１２との角度θ₄を鋭角
に形成した雌型連結部１０、ｉ図は舌片１６を下
はぜ状に形成した雌型連結部１０、ｊ，ｋ図は側
壁１２を傾斜した雌型連結部１０、ｌ図は下縁１
４を側壁１２より外方に突出した雌型連結部１
０、ｍ，ｎ図は水切りリブ１１を傾斜して形成し
た雌型連結部１０、ｏ図は側壁１２の下端に突出
部１２ａを設けた雌型連結部１０、ｐ図は水切り
リブ１１の上側面１１ａと下側面１１ｂとの中間
に空間を設けた雌型連結部１０である。なお、第
３図ａ〜ｑ、第４図ａ〜ｐにおいては板厚を省略
している。勿論、第３図ａ〜ｑ、第４図ａ〜ｐを
各々組み合わせたボードＡとすることもできる。
さらに、図示しないが雄型連結部２、または雌型
連結部１０の適宜位置にコーキング材を植設する
ことも可能である。

〔考案の効果〕

上述したように本考案に係るボードによれば、
雄、雌型連結部を前記した落し込み構造にしたた
め、１人でも十分に施工でき、かつ、目地幅を一
定にすることができ、施工性が向上する。また、
ボードの連結構造が２重構造となるため、係合力
が向上する。さらに、突出片の先端に上方に突出
した突起を設けたため、嵌合溝の上縁と突出片と
の間に空間が形成され、毛細管現象を阻止し、か
つ、雨返しの役目をするため、防水性が向上す
る。その上、側壁の上端に化粧面と面一に水切り
リブを設けたため、化粧面を流れる雨水が直接連
結部に侵入せず、連結部の防水性が大幅に向上す
る。また、目地以外は平坦である壁体を形成する
ため、付属品として用いられる役物は単純な形状
で、長尺状のものを使用することができる。しか
も、目地の上側には水切りリブが位置し、目地部
に落とす陰影により目地部の立体感が大幅に向上
する。さらに、本ボードは素材幅を有効に利用で
きるので経済性にすぐれる。等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るサイデイングボードの一
実施例を示す斜視図、第２図は上記ボードを横張
りに形成した壁体の縦断面の一部を示す説明図、
第３図ａ〜ｑ、第４図ａ〜ｐはその他の実施例を
示す説明図である。 Ａ……サイデイングボード、１……化粧面、２
……雄型連結部、４……突出片、５……突起、１
０……雌型連結部、１１……水切りリブ、１２…
…側壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 横長の金属板、または合成樹脂板の化粧面の一
   端縁を傾斜して屈曲した傾斜片と、該傾斜片の端
   縁を化粧面と平行に外方に延長した突出片と、該
   突出片を上縁とし、断面Ｕ字状に形成した係合溝
   と該係合溝の下縁を外方へ突出した延長部とから
   形成した雄型連結部と、該化粧面の他側縁を内方
   へ屈曲した側壁と、該側壁の先端を内方に屈曲
   し、再び外方に屈曲して断面をほぼＵ字状に形成
   して前記突出片と嵌合する嵌合溝を設けた雄形連
   結部とを形成したサイデイングボードにおいて、
   前記雌型連結部の側壁の高さと雌型連結部の傾斜
   片の高さをほぼ等しくし、ボードを施工して形成
   される壁体において化粧面が平坦となると共に、
   前記突出片の先端にはボードの長手方向と平行に
   しかも上方へ突出した突起を設け、また前記化粧
   面の雌型連結部側の端縁を面一で外方に延長し、
   次に側壁の上端まで折り返して水切りリブを設け
   たことを特徴とするサイデイングボード。