JPH04119499U - 電子消音システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 空調用ダクト周辺部に空間が少ない等の理由
から、電子消音システムの設置が困難な空調用ダクトに
対し、取り付けが容易となる電子消音システムを提供す
ること。 【構成】 空調用ダクト１内の騒音に対して逆位相の音
を放射する消音スピーカ４をスピーカキャビネット６に
取り付け、さらに、その内部に、上記逆位相の音波を生
成し、消音スピーカ４を駆動させる制御装置５を収納す
ることにより、一体構造とし、空調用ダクト１の内部に
挿入して設置した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、音波を伝播する空調用ダクト内の騒音に対し、上記騒音と同一の 音圧を有する逆位相の音波を放射し、その音波と騒音との相互干渉により消音を おこなうためのスピーカを備えた電子消音システムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図５は、たとえば、実開平２−８３５９９号公報に開示されている従来の管路 用電子消音システムの原理を説明するための図である。 同図において、１は音波の伝播通路となる空調用ダクトであり、この空調用ダ クト１には、第１のマイクロホンと、その下流側に消音評価用の第２のマイクロ ホン３が配置されている。また、第１のマイクロホン２と、第２のマイクロホン ３との間には消音スピーカ４が設置されており、この消音スピーカ４と第２のマ イクロホン３との間には制御装置５が設置されている。なお、６は上記消音スピ ーカ４のためのスピーカキャビネット、７は上記スピーカキャビネット６と制御 装置５を収納するためのボックスである。

【０００３】 上記のように構成される従来の電子消音システムでは、騒音源からの伝播波は 第１のマイクロホン２により検出され、電気信号に変換されて制御装置５に入力 される。また、第１のマイクロホン２より下流に設置された第２のマイクロホン ３によって検出された信号も同様に制御装置５に入力される。制御装置５では、 第２のマイクロホン３の設置位置にて、消音スピーカ４から放射された消音用の 放射音波と騒音源から伝播してきた音波との干渉により、第２のマイクロホン３ の出力がゼロになるような駆動信号を生成し、消音スピーカ４に出力し、第２の マイクロホン３の設置位置において騒音源より発せられた音波を消去することが できるように構成されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】 上記のような従来の電子消音システムでは、たとえば、すでに建造物内に設置 されている空調用ダクト１に対し、この電子消音システムの取り付けを考えた場 合、空調用ダクト１の外壁に消音スピーカ４のための開口部を設ける必要がある ばかりではなく、消音用スピーカ４のためのスピーカキャビネット６と制御装置 ５とを収納するボックス７を取り付けるための空間を空調用ダクト１の周辺部に 設ける必要があり、取り付け場所によって設置が困難となるという不都合があっ た。

【０００５】 この考案は、上記のような課題に解決するためになされたものであり、消音ス ピーカのための開口部を不要とするとともに、制御装置等を収納するボックスを 取り付けるための空間を空調用ダクト周辺部に設ける必要もなく、しかも取り付 け場所を問わず、設置作業が容易となる電子消音システムを提供することを目的 としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため、この考案では、音波の伝播通路である空調用ダク ト内における騒音源からの伝播音波を検出するために設けた第１のマイクロホン と、騒音源から発生する騒音に対して逆位相の音波を放射し、その音波干渉によ り上記伝播音波を消音するための消音スピーカと、上記騒音源からの伝播音波と 消音スピーカからの放射音波との合成音波を検出する第２のマイクロホンと、上 記第２のマイクロホンより検出される合成音波の音圧がゼロとなるように消音ス ピーカの駆動を制御する制御装置とから構成される電子消音システムにおいて、 とくに、消音スピーカのスピーカキャビネットと制御装置とを、空調用ダクトの 内部に挿入して設置した。

【０００７】 また、上記スピーカキャビネットの内部に制御装置を収納し、このスピーカキ ャビネットを空調用ダクト内に挿入して設置した。

【０００８】 また、消音スピーカと、その制御装置とを納めたスピーカキャビネットの一部 にマイクロホンスタンドを設け、このマイクロホンスタンドの先端部に騒音検出 用の第１のマイクロホンと、消音効果を評価するための第２のマイクロホンとを 取り付け、上記スピーカキャビネットを空調用ダクト内部に挿入して設置した。

【０００９】 さらに、望ましくは、スピーカキャビネットの外形形状を流線形状のものとし た。

【００１０】

【作用】

この考案における電子消音システムによれば、消音スピーカとその制御装置と を空調用ダクトの内部に挿入することにより構成されているので、空調用ダクト 外壁に消音スピーカのための開口部を設ける必要がなくなるとともに、空調用ダ クト周辺部にスピーカキャビネットを設置するための空間も不要となり、電子消 音システムの設置を容易にすることができる。

【００１１】 また、消音スピーカとその制御装置とをスピーカキャビネット内に収納して一 体構造とすることにより、設置の際の取扱いが容易かつ簡単となる。

【００１２】 また、スピーカキャビネットを、上記消音スピーカと制御装置に加え、騒音検 出用の第１のマイクロホンと、消音効果を評価するための第２のマイクロホンと を含めて一体構造としたので、設置の際の取扱い及びマイクロホンのセッティン グが容易となる。

【００１３】 さらに、スピーカキャビネットを空調用ダクト内部の媒体の流れの方向に対し て流線形状としたことにより、空調用ダクト内媒体の流れの妨げを最小のものに 抑えることができる。

【００１４】

【実施例】

実施例１． 図１は、この考案の一実施例を示す断面図であり、同図で示すようち、１は音 波の伝播通路となる断面形状が方形な空調用ダクトであり、この空調用ダクト１ の内部に、第１のマイクロホン２と、その下流側に消音評価用の第２のマイクロ ホン３を配置する。また、第１のマイクロホン２と第２のマイクロホン３との間 に、消音スピーカ４を取り付けたスピーカキャビネット６を設置し、その内部に 制御装置５を収納する。

【００１５】 上記のように構成した電子消音システムのためのスピーカキャビネットにおい ては、消音スピーカ４と、その制御回路５とをスピーカキャビネット６内に収納 して一体構造としているので、たとえば、すでに建造物内に設置されている空調 用ダクト１に対し、上記電子消音システムの取り付けをおこなう場合においても 、空調用ダクト１の外壁に消音スピーカ４のための開口部を設けなくてもよく、 消音スピーカ４のためのスピーカキャビネット６と制御装置５とを収納するボッ クスを取り付けるための空間も空調ダクト１周辺部に設ける必要がない。

【００１６】 なお、上記実施例では、断面形状が方形となった空調用ダクトについて述べた が、上記電子消音システムのスピーカキャビネット６の少なくとも１つの面が空 調用ダクト１の内壁と密着する形状に変更することにより、断面形状が方形以外 の空調用ダクト１に対しても取り付けが可能となり、同様の効果を有する。

【００１７】 実施例２ 図２は、この考案の第２の実施例を示す断面図であり、同実施例では、消音ス ピーカ４と制御装置５とを納めたスピーカキャビネット６の一部に取り付けた第 １のマイクロホンスタンド８と、第２のマイクロホンスタンド９の各々の先端部 に騒音検出用の第１のマイクロホン２と、消音効果を評価するための第２のマイ クロホン３とを取り付けて一体構造とした。

【００１８】 上記実施例２によれば、実施例１においてスピーカキャビネット６と分離設置 していた第１のマイクロホン２と第２のマイクロホン３とを、第１のマイクロホ ンスタンド８と第２のマイクロホンスタンド９とによって一体構造としたので、 空調用ダクト１内部への取り付けが容易になる。

【００１９】 実施例３ 図３は、この考案の第３の実施例を示す断面図てあり、同実施例では、実施例 １において示したスピーカキャビネット６の形状を流線形状とした。また、仕切 り板１０によりスピーカキャビネット６の内部に区切られた密閉空間に制御装置 ５を収納した。なお、図４は図３で示したスピーカキャビネットの斜視図を示し ている。

【００２０】 上記実施例３によれば、スピーカキャビネット６の外形形状を流線形状とした ので、空調用ダクト１内部を通過する流体の流れの妨げを最小のものに抑える効 果がある。

【００２１】 なお、上記実施例に限らず、スピーカキャビネット６内部に仕切り板１０によ って作られた密閉室内に制御装置５を設置することにより、消音スピーカ４から 放射する背圧により生じるスピーカキャビネット６内の振動から制御装置５を保 護することができる。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案によれば、電子消音システムにおいて、消音ス ピーカと、その制御装置とを空調用ダクト内部に挿入して設置するので、空調用 ダクトに対し、その外壁に消音スピーカのための開口部を不要とし、消音スピー カのためのスピーカキャビネットと制御装置とを取り付けるための空間を空調用 ダクト周辺部に設ける必要もなくなる。

【００２３】 また、消音スピーカとその制御装置とを、スピーカキャビネット内に収納して 一体構造としたので、小型化が可能となり、取扱い及び設置が容易となる。

【００２４】 また、スピーカキャビネットに、消音スピーカと制御装置と騒音検出用の第１ のマイクロホンと消音効果を評価するための第２のマイクロホンとを含めて一体 構造としても同様の効果を奏する。

【００２５】 さらに、上記スピーカキャビネットの形状を空調用ダクト内部の媒体の流れに 対し、流線形状とした場合には、空調用ダクト内の媒体の流れの妨げを最小のも のに抑える効果がある。

【提出日】平成３年９月１２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００３

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００３】 上記のように構成される従来の電子消音システムでは、騒音源からの伝播音波 は第１のマイクロホン２により検出され、電気信号に変換されて制御装置５に入 力される。また、第１のマイクロホン２より下流に設置された第２のマイクロホ ン３によって検出された信号も同様に制御装置５に入力される。制御装置５では 、第２のマイクロホン３の設置位置にて、消音スピーカ４から放射された消音用 の放射音波と騒音源から伝播してきた音波との干渉により、第２のマイクロホン ３の出力がゼロになるような駆動信号を生成し、消音スピーカ４に出力し、第２ のマイクロホン３の設置位置において騒音源より発せられた音波を消去すること ができるように構成されている。

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１４

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１４】

【実施例】

実施例１ 図１は、この考案の一実施例を示す断面図であり、同図で示すように、１は音 波の伝播通路となる断面形状が方形な空調用ダクトであり、この空調用ダクト１ の内部に、第１のマイクロホン２と、その下流側に消音評価用の第２のマイクロ ホンを配置する。また、第１のマイクロホン２と第２のマイクロホン３との間に 、消音スピーカ４を取り付けたスピーカキャビネット６を設置し、その内部に制 御装置５を収納する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例１を示す断面図である。

【図２】この考案の実施例２を示す断面図である。

【図３】この考案の実施例３を示す断面図である。

【図４】この考案の実施例３で用いたスピーカキャビネ
ットの斜視図である。

【図５】従来の管路用電子消音システムの原理を説明す
るための断面図である。

【符号の説明】

１ 空調用ダクト ２ 第１のマイクロホン ３ 第２のマイクロホン ４ 消音スピーカ ５ 制御装置 ６ スピーカキャビネット ７ ボックス ８ 第１のマイクロホンスタンド ９ 第２のマイクロホンスタンド １０ 仕切り板

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 音波の伝播通路である空調用ダクト内に
   おける騒音源からの伝播音波を検出するために設けた第
   １のマイクロホンと、騒音源から発生する騒音に対して
   逆位相の音波を放射し、その音波干渉により上記伝播音
   波を消音するための消音スピーカと、上記騒音源からの
   伝播音波と消音スピーカからの放射音波との合成音波を
   検出する第２のマイクロホンと、上記第２のマイクロホ
   ンより検出される合成音波の音圧がゼロとなるように消
   音スピーカの駆動を制御する制御装置とから構成される
   電子消音システムにおいて、上記電子消音システムを空
   調用ダクト内部に設置するとともに、消音スピーカのス
   ピーカキャビネットと制御回路とを空調用ダクト内壁
   に、少なくとも一個所以上の面が密着するように取り付
   けたことを特徴とする電子消音システム。
2. 【請求項２】 消音スピーカのスピーカキャビネットの
   内部に制御回路を収納し、消音スピーカと制御回路とを
   一体構造とした請求項１記載の電子消音システム。
3. 【請求項３】 消音スピーカのスピーカキャビネット内
   部に制御回路を収納するとともに、第１のマイクロホン
   と第２のマイクロホンのいずれか一つ以上をスピーカキ
   ャビネットから突出させたマイクロホンスタンドの先端
   部に配置することにより、電子消音システムを一体構造
   とした請求項１記載の電子消音システム。
4. 【請求項４】 スピーカキャビネットの形状を流線形状
   とした請求項１ないし３のいずれかに記載の電子消音シ
   ステム。