JPH04116613U - エンジンの潤滑装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 いわゆるスラントエンジンにおいて，ヘッド
カバーを取り外しても潤滑油が外部へ流出しないような
構造のオイルバスを備えた潤滑装置の提供。 【構成】 シリンダヘッド９上に一体的に形成された堰
１２と例えばカムキャップ１３に一体的に形成された延
長堰１５とによりオイルバス１０が形成される。そし
て，上記オイルバス１０は，カムシャフト２等と共にヘ
ッドカバー６にて覆われる。上述の如き構成された当該
潤滑装置では，ヘッドカバー６から独立した状態でオイ
ルバス１０がシリンダヘッド９上に形成されていること
から，該エンジンの搭載状態において上記ヘッドカバー
６が取り外されても，潤滑油が外部へ流出することはな
い。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は，シリンダ軸芯を傾斜させた状態で配設されるいわゆるスラントエン ジンの潤滑装置に係り，詳しくは，カムの当接部分を潤滑油に浸漬させるオイル バスの構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種のエンジンでは，例えば図４に示す如く，シリンダを収容したシ リンダブロック（不図示）上にシリンダヘッド１が取り付けられており，該シリ ンダヘッド１上には，カムシャフト２が横設されている。上記カムシャフト２は ，その軸芯方向の適宜箇所に図外のバブルリフタの上面に摺接させカム３が一体 的に形成されており，上記シリンダヘッド１上の軸受部１_a と該軸受部１_a にボ ルト４，４にて固定されるカムキャップ５とにより回転自在の状態で挟持されて いる。 そして，上記シリンダヘッド１の上面には，上記カムシャフト２及びカムキャ ップ５等を覆うようにしてヘッドカバー６が取り付けられている。 上記のようなエンジンは，自動車ボディに対し，上記シリンダの軸芯を傾斜さ せた状態で搭載される。 この状態において上記シリンダヘッド１とヘッドカバー６との接合面の空間近 傍に，上記カム３の一部分を潤滑油７に浸漬させるオイルバス８が形成される。 そして，上記のように構成された潤滑装置としては，従来，例えば実開平１− １４１３１３号公報に開示のものが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが，上記したような潤滑装置を具備したエンジンでは，該エンジンを搭 載した状態で例えばメンテナンス等を施す際，上記ヘッドカバー６を取り外すと ，上記オイルバス８内に貯溜されていた潤滑油が外部へ流出し，当該エンジンの 表面やその周囲を汚してしまうという問題点があった。 そこで，本考案が目的とするところは，いわゆるスラントエンジンにおいて， ヘッドカバーを取り外しても潤滑油が外部へ流出しないような構造のオイルバス を備えた潤滑装置を提供することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために，本考案が採用する主たる手段は，その要旨とする ところが，ヘッドカバーにて覆われたシリンダヘッド上のカム当接部分を潤滑油 に浸漬させるオイルバスを具備し，シリンダ軸芯を傾斜させた状態で配設される エンジンの潤滑装置において，上記オイルバスを，上記ヘッドカバーから独立さ せて上記シリンダヘッド上に形成してなる点に係るエンジンの潤滑装置である。

【０００５】

【作用】

本考案に係る潤滑装置では，オイルバスがヘッドカバーから独立した状態でシ リンダヘッド上に単独で形成されていることから，単にヘッドカバーを取り外し たのみでは該オイルバス内に貯溜されている潤滑油が外部へ流出することはない 。

【０００６】

【実施例】

以下添付図面を参照して，本考案を具体化した実施例につき説明し，本考案の 理解に供する。尚，以下の実施例は，本考案を具体化した一例であって，本考案 の技術的範囲を限定する性格のものではない。 ここに，図１は本考案の一実施例に係る潤滑装置の要部側断面図，図２は上記 潤滑装置を構成するシリンダヘッドの要部平面図，図３は上記シリンダヘッドと 共にオイルバスを形成するカムキャップの斜視図である。 また，図４に示した前記従来の潤滑装置と共通する要素には，同一の符号を使 用すると共に，その詳細な説明は省略する。 この実施例に係る潤滑装置は，図１に示す如く，前記従来の潤滑装置と基本的 構造をほぼ同様とし，この従来の潤滑装置との相違点は，いわゆるスラントエン ジンにおいて，シリンダヘッド９に取り付けられる前記ヘッドカバー６から独立 させて，上記シリンダヘッド９上にオイルバス１０を形成したことである。 即ち，この実施例に係る潤滑装置では，図１から図３に示す如く，上記シリン ダヘッド９上において，図外の一組のバルブリフタを収容するリフタ孔１１，１ １を取り囲むようにして平面視で略コの字形状に形成された堰１２が立設されて おり，上記リフタ孔１１，１１の中間部分であって上記堰１２の中央部分には， 後述するカムキャップ１３を上記シリンダヘッド９上に固定するためのボルト４ ，４を螺着するメネジ１４，１４が刻設されている。

【０００７】 上記カムキャップ１３は，カム３を備えたカムシャフト２を上記シリンダヘッ ド９上に回転自在の状態で支持するためのものであって，該カムシャフト２の軸 芯方向に向けて平面視で鉤の手状にそれぞれ延長堰１５，１５が延設されている 。上記延長堰１５，１５は，上記カムキャップ１３が上記ボルト４，４にて上記 シリンダヘッド９上に固定された際，上記シリンダヘッド９上に形成された上記 堰１２の一方の上端面１２_a に当接され，上記堰１２と共に上記カム３のバルブ リフタとの当接部を潤滑油７に浸漬させる上記オイルバス１０が形成される。 なおこの場合，上記のような延長堰１５を，上記カムキャップ１３から独立さ せて単独で上記シリンダヘッド９の堰１２に対して着脱可能なように構成しても よい。 更に，本実施例装置においては，当該エンジンの作動時に上記オイルバス１０ から溢れ出た潤滑油を滞らせることなくスムーズに回収し得るように，当該エン ジンの搭載状態において上記シリンダヘッド９の壁部９_a が適宜の角度下方に向 けて傾斜し得るように形成されている。 そして，上記したようにシリンダヘッド９の堰１２とカムキャップ１３に一体 的に形成された延長堰１５，１５からなるオイルバス１０は，上記カムシャフト ２等と共にヘッドカバー６にて覆われる。 本実施例に係る潤滑装置は上記したように構成されているため，例えば，いわ ゆるスラントエンジンの搭載状態において，該エンジンにメンテナンス等を施す 際，ヘッドカバー６を取り外しても従来装置の場合のように潤滑油が外部へ流出 することはなく，エンジンの取り扱い性が向上される。

【０００８】

【考案の効果】

本考案は，上記したように，ヘッドカバーにて覆われたシリンダヘッド上のカ ム当接部分を潤滑油に浸漬させるオイルバスを具備し，シリンダ軸芯を傾斜させ た状態で配設されるエンジンの潤滑装置において，上記オイルバスを，上記ヘッ ドカバーから独立させて上記シリンダヘッド上に形成してなることを特徴とする エンジンの潤滑装置であるから，いわゆるスラントエンジンにおいて，ヘッドカ バーを取り外しても潤滑油が外部へ流出することはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例に係る潤滑装置の要部側断
面図。

【図２】 上記潤滑装置を構成するシリンダヘッドの要
部平面図。

【図３】 上記シリンダヘッドと共にオイルバスを形成
するカムキャップの斜視図。

【図４】 従来の潤滑装置の要部の構造を示すものであ
って図１の相当図。

【符号の説明】

２…カムシャフト ３…カム ６…ヘッドカバー ７…潤滑油 ９…シリンダヘッド １０…オイルバス １２…堰 １２_a …上端面 １３…カムキャップ １５…延長堰

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヘッドカバーにて覆われたシリンダヘッ
   ド上のカム当接部分を潤滑油に浸漬させるオイルバスを
   具備し，シリンダ軸芯を傾斜させた状態で配設されるエ
   ンジンの潤滑装置において，上記オイルバスを，上記ヘ
   ッドカバーから独立させて上記シリンダヘッド上に形成
   してなることを特徴とするエンジンの潤滑装置。