JPS6034732Y2 - バ−チカルエンジンの油跳ね上げ式潤滑装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、バーチカルエンジンの油跳ね上げ車式潤滑装
置、特に、オイルパン内の一側寄り部に横軸ないし傾斜
軸心周りに回転する油跳ね上げ車を配設したものに関す
る。

従来、かかる潤滑装置では、油跳ね上げ車のある側が他
側よりも高くなる方向へエンジンが傾斜したときに、潤
滑油がオイルパン内の他側に片寄り、油跳ね上げ車が油
面上に出てしまって油を跳ね上げられなくなり、油切れ
を招く欠点がある。

本出願人は、かかる欠点を解消するために、例えば、第
１図に示すように、バーチカルエンジン１のオイルパン
２内の一側寄り部に横軸心周りに回転する油跳ね車３を
配設した、バーチカルエンジンの油跳ね上げ車式潤滑装
置において、油跳ね上げ車３の前側から左右両側に連続
する堰４をオイルパン２の底壁５から立上げて、オイル
パン２内を堰４よりも油跳ね上げ車側の油跳ね上は室６
とその反対側の油溜室７とに区書七、堰４の両端部８と
これらに対面するオイルパン２の各周壁部分９との間に
、上記油跳ね上げ室６と油溜室７とを連通ずる各通油路
１０を連通したことを特徴とする先行考案を考えた。

この先行考案は、エンジンが上述のように傾斜するとき
には、油跳ね上げ室６から油溜室７への油の流れが堰４
によってせき止められ、油跳ね上げ室６内の油圧が油跳
ね上げ車３の下方まで低下することを従来品よりも長時
間にわたって防止し、比較的長時間にわたって、エンジ
ン傾斜時の油切れを防止できた。

しかし、油跳ね上げ車３で跳ね上げられようとする油が
、油跳ね上げ車３の部下の直角状隅部６ａに逃げ込んで
乱流を生じ、油の跳ね上げ効率が悪（、潤滑性能が良く
ない。

そこで本考案は、堰の少なくとも油跳ね上げ車に対面す
る部分を油跳ね上げ車の周面にほぼ沿う凹曲面状の導油
面に形成することにより、その導油面が油を円滑に案内
することにより、油跳ね上げ車による油の跳ね上げ効率
を高めるものである。

以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。

第３図ないし第５図は本考案の一実施例を示し、これは
、バーチカルエンジン１のオイルパン２の一側（反シリ
ンダ側）寄り部に横軸心周りに回転する羽根車よりなる
油跳ね上げ車３を配設し、この油跳ね上げ車３からオイ
ルパン２の他側（シリンダ側）に向って、油跳ね上げ車
３の前側から左右両側に連続する堰４をオイルパン２の
底壁５から立上げて、オイルパン２内を堰４よりも油跳
ね上げ車側の油跳ね上げ室６とその反対側の油溜室７と
に区書する。

そして、堰４の両端部８とこれらのそれぞれ対面するオ
イルパン２の各周壁部分９との間に、上記油跳ね上げ室
６と油溜室７とを連通する各通油路１０を設け、エンジ
ン１が直立姿勢になったり、オイルパン２の一側（シリ
ンダ側）が他側（シリンダ側）よりも低くなる姿勢にエ
ンジンが傾斜したりするときに、潤滑油か油溜室７から
各通油路１０を通って油跳ね上げ室６に流入できるよう
にする。

この場合、堰４の突曲面１４は油の流れを通油路１０に
案内する案内面として作用する。

エンジンが、オイルパン２の一側が他側よりも低くなる
姿勢に傾斜するときは、油跳ね上げ室６内の油の大部分
は堰４でせき止められて油跳ね上げ室６内に残り、油跳
ね上げ室６内の油面が油跳ね上げ車３の下方まで低下す
ることが妨げられる。

堰４の油跳ね上げ車側の壁面は、油跳ね上げ車３の周面
にほぼ沿う、油跳ね上げ車３の周面よりも大曲りの凹曲
面状の導油面１１に形威しである。

その結果、エンジンが、オイルパン２の一側が他側より
も低くなる姿勢に傾斜する状態で、油跳ね上げ車３に対
する油跳ね上げ室６の実質的底面が導油面１１によって
かさ上げされる、いわば導油面１１の上げ底効果が発揮
され、上記先行考案のものに比べて、油跳ね上げ車３に
対する油跳ね上げ室６内の油面高さが高くなるとともに
、油跳ね上げ室６の油跳ね上げ車３下方の容積が小さく
なるので、油跳ね上げ室６内にせき止められた油が比較
的多量に跳ね上げられることになり、比較的長期間にわ
たって油切れを防止できることになる。

因みに、符号１２はクランク軸、１５はクランク軸１２
と油跳ね上げ車３を連動させる歯車式伝動装置である。

本考案は、上述のように、オイルパン内の一側寄り部に
配設した油跳ね上げ車からオイルパンの他側に向って、
油跳ね上げ車の前側から左右両側に連続して広がる堰を
オイルパンの底壁から立上げて、オイルパン内を堰より
も油跳ね上げ車側の油跳ね上げ室とその反対側の油溜室
とに区書するとともに、堰の両端部とこれらに対面する
オイルパンの各周壁部分との間に、油跳ね上げ室と油溜
室とを連通ずる各通油路を設け、オイルパンの上記−側
が他側よりも低くなる姿勢にエンジンが傾斜するときや
、エンジンが直立するときには、油跳ね上げ室に油が容
易に流入し、オイルパンの上記−側が他側よりも高くな
る姿勢にエンジンが傾斜するときには、油跳ね上げ室の
油をせき止めて油跳ね上げ室から流出し難くしであるの
で、オイルパンの上記−側が他側よりも高くなる姿勢に
エンジンが傾斜するときに、油跳ね上げ車に対する油跳
ね上げ室内の油面が比較的長時間にわたって必要な高さ
以上に位置させられるから、エンジン傾斜による油切れ
を比較的長時間にわたって防止でき、エンジンの傾斜性
能を高められるうえ、堰は、オイルパンの補強リブの役
割も演じるので、オイルパンを堰によって補強ないし強
化できる。

また、堰の少なくとも油跳ね上げ車に対面する部分を油
跳ね上げ車の周面にほぼ沿う凹曲面状の導油面に形成し
であるので、この導油面が油を円滑に案内して、油跳ね
上げ車による油の跳ね上げ効率を高め、潤滑能力を高め
る。

さらに、何ら可動部品が付加されるわけではなく、堰や
通油路の機能が経時的に減損したり、これらが故障した
りすることもないので、耐久的に優れる。

そのうえ、堰は、例えば、一体鋳造等によってオイルパ
ンと同時成形することができるので、安価かつ容易に実
施できる。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図は、本出願人の先行考案の一例を示し、
第１図はエンジン直立状態における要部を横断した側面
図、第２図はエンジン傾斜状態における要部の縦断側面
図である。 第３図ないし第５図は本考案の一実施例を示し、第３図
はエンジン直立状態におけるバーチカルエンジンの要部
を縦断した側面図、第４図はその横断平面図、第５図は
そのエンジン傾斜状態における要部の縦断側面図である
。 １・・・・・・バーチカルエンジン、２・・・・・・オ
イルパン、３・・・・・・油跳ね上げ車、４・・・・・
・堰、５・・・・・・オイルパンの底壁、 ６・・・・・・油跳ね上げ室、 ７・・・・・・油溜 室、 ８・・・・・・堰の端部、 ９・・・・・・オイルパンの周壁部 分、 １０・・・・・・通油路、 １１・・・・・・導油面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バーチカルエンジン１のオイルパン２内の一側寄り部に
   横軸心ないし傾斜軸心周りに回転する油跳ね上げ車３を
   配設し、この油跳ね上げ車３の前側からオイルパン２の
   他側に向って、堰４をオイルパン２の底壁５から立上げ
   て、オイルパン２内を堰４よりも油跳ね上げ車３側の油
   跳ね上げ室６とその反対側の油溜室７とに区査し、堰４
   の両端８とこれらに対面するオイルパン２の各周壁部分
   ９との間に上記油跳ね上げ室６と油溜室７とを連通する
   各通油路１０を設け、堰４の少なくとも油跳ね上げ車３
   に対面する部分を油跳ね上げ車３の周面にほぼ沿う凹曲
   面状の導油面１１に形成したことを特徴とするバーチカ
   ルエンジンの油跳ね上げ車式潤滑装置。