JPH0411654B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は緯糸供給部から供給される緯糸を緯糸
測長部体の糸巻付面に巻き取り、緯糸係止ピンの
作動により、緯入れ時にはその緯糸を引き出すよ
うにした流体噴射式織機における緯糸測長装置に
関するものである。

一般に、流体噴射式織機においては、予め１回
の緯入れ長さの緯糸を測長するとともに、測長さ
れた緯糸を一旦貯留するための緯糸測長装置が設
けられている。この種の緯糸測長装置として、緯
糸供給部から緯糸測長部体としてのドラムのまわ
りを連続的に相対回転する糸巻付管の先端開口部
を通つて供給される緯糸を同ドラムに巻付測長す
るとともに、測長された緯糸を一旦巻付貯留し、
緯入れ時にはこの巻付貯留された緯糸を引き出す
ようにした緯糸測長装置が提案されている。

この巻付方式の緯糸測長装置はドラム周面のほ
ぼ同一部分から交互に出没する一対の緯糸係止ピ
ンによつてドラムに巻き取られた緯糸の測長量及
び緯糸の引き出しが制御されるようになつてい
る。又、織布の織幅に対応して緯糸の測長量を変
更する場合、ドラム周面に対し、複数の緯糸測長
量調整体をドラムの半径方向に位置調節可能に設
け、各調整体の位置調節を行うことによつて緯糸
の測長量を変更する方法が取られている。

しかし、複数の調整体をそれそれ調節すること
は煩雑であり、又、正確な測長量を得るための調
節は難しいものであつた。

本発明は前記欠陥を考慮しつつなされたもので
あつて、その目的は円環状に湾曲させた弾性部材
の両端部を重合して緯糸測長部体を構成し、同測
長部体の少なくとも一端部とその周方向へ取付位
置調節可能に構成することにより、緯糸の測長量
の調節を容易かつ正確に行うことができる流体噴
射式織機における緯糸測長装置を提供することに
ある。

以下、本発明を具体化した一実施例を第１〜３
図に基づいて説明すると、１は織機のサイドフレ
ーム２に固定されたブラケツトであつて、その前
側（第１図において右側）には歯車１ａが一体形
成されている。同ブラケツト１の上部には支持ア
ーム３が固着されており、同アーム３にはブラケ
ツト１と対向して垂下アーム３ａが設けられてい
る。ブラケツト１及び垂下アーム３には回転支持
軸４が回転可能に貫通装着されており、同支持軸
４にはチーズ等の緯糸供給部（図示略）から供給
される緯糸Ｙを導く緯糸案内孔４ａがその軸心に
沿つて設けられている。ブラケツト１と垂下アー
ム３ａとの間の回転支持軸４には歯付プーリ５が
固着されており、同プーリ５にはタイミングベル
ト６が掛装されている。同ベルト６は機台の織成
動作と同期して駆動され、回転支持軸４を回転さ
れるものである。

前記歯車１ａの前方に位置するように、回転支
持軸４には支持体７が嵌合固定されており、同支
持体７には回転支持軸４と斜光し、かつ緯糸案内
孔４ａに連通された糸巻付管８が装着支持されて
おり、その先端が後述する緯糸測長部体１２の傾
斜部１２ａ上に配置されている。支持体７の前方
に位置するように、支持軸４にはブラケツト９が
相対回転可能に支承されており、その後側周面に
は歯車９ａが一体形成されているとともに、その
全面には支持円盤１０が固着されている。前記支
持体７には遊星歯車機構１１が止着されており、
入力遊星歯車１１ａが前記歯車１ａに噛合わさ
れ、出力遊星歯車１１ｂが歯車９ａに噛合わされ
ている。歯車１ａと入力遊星歯車１１ａとの歯数
比は歯車９ａと出力遊星歯車１１ｂとの歯数比と
同一に設定されている。従つて、タイミングベル
ト６が駆動されて回転支持軸４が回転されると、
糸巻付管８が同支持軸４と一体的に回転するとと
もに、遊星歯車機構１１も一体的に回転し、両遊
星歯車１１ａ，１１ｂが歯車１ａ，９ａと噛合い
ながら回転支持軸４のまわりを公転し、ブラケツ
ト９及び支持円盤１０が回転することなく静止状
態に保持される。

支持円盤１０の前面には弾性を有する板部材を
円環状に、かつ両端部が重合するように湾曲して
形成された糸巻付面を有する緯糸測長部体１２が
取着されている。同測長部体１２の一端部は支持
円盤１０にかしめピン１３により固定され、他端
部は同円盤１０の周方向に沿つて設けられたガイ
ド孔１０ａに挿通されたボルト１４及びナツト１
５により同円盤１０に固定され、その周方向に取
付位置調節可能である。

前記板部材の両端重合部には一対の第１、２緯
糸係止ピン１６，１７が設けられており、第１係
止ピン１６は緯糸測量部体１２のかしめピン１３
寄りの傾斜部１２ａに設けられた透孔１８及び同
孔１８に対応してボルト１４側に設けられた長孔
１９を通つて傾斜部１２ａから突出可能であり、
同様に、第２係止ピン１７はかしめピン１３側の
水平部１２ｂに設けられた透孔２０及び同孔２０
に対応してボルト１４側に設けられた長孔２１を
通つて水平部１２ｂから突出可能である。すなわ
ち、両係止ピン１６，１７は回転支持軸４に止着
された一対のカム板２２，２３の回転に伴い、支
持円盤１０に回動可能に取着された一対のレバー
２４，２５の先端に設けられたカムフオロア２４
ａ，２５ａを介して緯糸測長部体１２の糸巻付面
から交互に出没されるようになつている。なお、
２６は支持円盤１０に止着され、両係止ピン１
６，１７を摺動案内するガイド部材である。

さて、タイミングベルト６が機台の織成動作と
同期して駆動され、糸巻付管８が静止状態にある
緯糸測長部体１２のまわりを回転すると、緯糸供
給部から緯糸案内孔４ａ及び糸巻付管８を通つて
供給される緯糸Ｙが突出状態にある第１係止ピン
１６によつて係止されながら傾斜部１２ａ上に巻
付けられる。緯糸Ｙが緯入れ長さ分巻付けられる
前に第１係止ピン１６が緯糸測長部体１２内に没
し、傾斜部１２ａ上に巻付けられている緯糸Ｙが
水平部１２ｂへ移行する。そして、水平部１２ｂ
へ移行した緯糸Ｙは突出状態にある第２係止ピン
１７によつて係止され、糸巻付管８の回転に伴つ
て緯糸Ｙが水平部１２ｂ上にさらに供給される。
緯糸Ｙが水平部１２ｂ上に緯入れ長さ分だけ巻付
けられると、第１係止ピン１６が突出するととも
に、第２係止ピン１７が没し、この水平部１２ｂ
上の緯糸Ｙが緯糸測長部体１２から引き出され、
緯入れされる。

このように巻付測長される緯糸Ｙの測長量を織
布（図示略）の織幅に対応して変更するには次の
ようにすればよい。

すなわち、例えば第２図に示す緯糸状態から測
長量の減少を行うにはまずナツト１の締付を緩
め、ボルト１４をガイド孔１０ａに沿つて同図の
反時計回り方向に摺動する。そして、再びナツト
１５を締付ければ緯糸測長部体１２は第３図に示
すように、その周長が短くなつた状態で支持円盤
１０に固定支持される。

逆に、測長量を増加するにはボルト１４をガイ
ド孔１０ａに沿つて第３図の時計回り方向に摺動
すればよい。

緯糸測長部体１２を構成する板部材は弾性を有
しているので、同部材に生じる曲げ応力は板部材
全体にわたり、緯糸測長部体１２の糸巻付面は常
にほぼ真円状態に維持される。従つて、緯糸Ｙの
巻付状態は良好となり、緯糸Ｙが緯入れ方向へ移
行する場合に同緯糸Ｙが絡み合つてしまうという
おそれはなくなる。

又、緯糸測長部体１２の取付位置調節可能な端
部の移動量がほぼ緯糸測長量の変更量に比例する
ため、正確な測長量を得るための調節も非常に容
易である。

このように、本実施例においては弾性を有する
板部材を円環状に、かつ両端部が重合するように
湾曲して糸巻付面を有する緯糸測長部体１２を構
成し、前記支持円盤１０の前面に対してその緯糸
測町部体１２の一端部を固定するとともに他端部
をその取付位置調節可能にしたことにより、前記
他端部の支持円盤１０に対する取付位置を変更す
るのみで測長量変更を簡単に行うことができ、
又、正確な測長量を得るための調節が容易であ
る。

なお、本発明は前記実施例のみに限定さえるも
のではなく、例えば次のように変更具体化するこ
とも可能である。

(1) 前記実施例において、前記両係止ピン１６，
１７を緯糸測長部体１２の重合部以外から出没
させること。

(2) 緯糸測長部体１２の一端部及び他端部を共に
周方向へ取付位置調節可能に構成すること。

(3) 緯糸測長部体１２の一端部が周方向に取付位
置調節可能、かつ他端部が半径方向に取付位置
調節可能に構成すること。

(4) 緯糸測長部体１２の安定化を図るため、第４
図に示すように、同測長部体１２の内側面に当
接し、かつ同測長部体１２の半径方向に位置調
節可能な規制片２７を設けること。

同規制片２７は支持円盤１０に設けられた案
内孔１０ｂに挿通されるボルト２８及びナツト
２９により支持円盤１０の前面に位置調節可能
に止着される。

(5) 前記板部材の代わりに、弾性を有する針金部
材を用いて緯糸測長部体１２を構成すること。

(6) 糸巻付管８側が静止し、緯糸測長部材１２側
が回転する方式の緯糸測長装置に本発明を具体
化すること。

(7) 一対の緯糸係止ピンを緯糸測長部体１２の外
側から糸巻付面に係合させること。

以上詳述したように、本発明は円環状に湾曲さ
せた弾性部材の両端部を重合して緯糸測長部体を
構成し、同測長部体の少くとも一端部その周方向
へ取付位置調節可能に構成したことにより、緯糸
の測長量の調節を容易かつ正確に行うことができ
るとともに、緯糸測長部体を可能な限り真円の状
態に近づけることができるので、緯糸引き出し時
におけるバルーン形状を均一化でき、緯糸の引き
出し状態を安定化することができるという効果を
有するので、流体噴射式織機における緯糸測長装
置として産業利用上優れた発明である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を具体化した一実施例を示す側
面図、第２図はある測長状態を示す正面図、第３
図は測長量の変更を示す正面図、第４図は本発明
の緯糸測長部体の安定化を図る規制片を示す分解
斜視図である。 支持円盤……１０、緯糸測長部体……１２。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 緯糸供給部から供給される緯糸を緯糸測長部
   体の糸巻付面に巻き取り、緯糸係止ピンの作動に
   より、緯入れ時にはその緯糸を引き出すようにし
   た緯糸測長装置において、円環状に湾曲させた弾
   性部材の両端部を重合して緯糸測長部体を構成す
   るとともに同緯糸測長部体を支持円盤に取り付
   け、前記緯糸係止ピンを緯糸測長部体の一部を貫
   通して進退するように配設し、前記緯糸測長部体
   の少なくとも一端部は同緯糸測長部体の周方向に
   その取付位置調節可能に構成したことを特徴とす
   る流体噴射式織機における緯糸測長装置。 ２ 緯糸測長部体は弾性を有する板部材から構成
   されている特許請求の範囲第１項に記載の流体噴
   射式織機における緯糸測長装置。