JPH0411600Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車両用座席に関し、特にシートバツク
の肩部表皮の吊り込み部を改良するものである。

〔従来の技術〕

車両用座席はシートの表皮にデザイン上のくぼ
みが筋線状に形成されており、このくぼみの形状
を出すには従来、第５図に示す如く、シートバツ
ク１においては表皮２の表側内面の上半部側に横
吊りの吊り袋（以後下横吊り袋と云う）３を設
け、この横吊り袋３から上下方向に縦吊りの吊り
袋（以下縦吊り袋と云う）４，５を設けておき、
この表皮２をその下半部を反転した状態でバツク
フレーム６に嵌合されるシートパツド７の上半部
に被せ、横吊り袋３に挿通された横吊りワイヤー
８をシートパツド７のインサートワイヤ８′にホ
グリング等により結着して横吊り袋３を横吊り溝
７ａ内に吊り込んだ状態で上半部の縦吊り袋、即
ち肩部吊り袋４に挿通されたゴム紐９ａを引張
り、その端部をバツクフレーム６の中間部材６ａ
に結着することにより肩部吊り袋４をシートパツ
ド７の上方肩部の縦吊り溝７ｂに吊り込む。そし
て表皮２の反転下半部を下げてシートパツド７の
下半部に被覆し、下半部の縦吊り袋、即ち前側縦
吊り袋５に挿通されたゴム紐９ｂを引張り、その
端部をバツクフレーム６の下側部材６ｂに結着す
ることにより前側縦吊り袋５はシートパツド７の
前部の縦吊り溝７ｃに吊り込まれてシートバツク
１の上方肩部から前面下方にかけて表皮２の表面
側に縦方向の筋線状のくぼみ形状が出され、また
前述した吊り込みにより表皮２はシートパツド７
に密着状に被覆されるように成されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このようにくぼみの形状出しが行われる座席の
シート、特にシートバツク１において上方肩部の
くぼみ形状を出すためには表面側の横吊り袋３か
ら上方部の肩部吊り袋４に挿通されるゴム紐９ａ
をシートパツド７の上部から背裏側へ導出する必
要があるが、肩部吊り袋４は表皮２の表側内面に
のみ設けられているので表皮２のシートパツド７
に対する被覆においてこの肩部吊り袋４に挿通さ
れてシートパツド７の上面から背裏側へ導出され
るべきゴム紐９ａが第５図に二点鎖線で示すよう
にシートパツド７の前側に入り込むことになり、
そのため表皮２の上部即ち肩部の縦吊り込みがで
きなくなり、シートパツド７に対する表皮２の被
覆を為直さなければならずシートの組立作業に支
障を来す不具合があつた。

本考案はかかる点に鑑みシート上方肩部のくぼ
み形状出しの吊り込み紐線材を表皮の上部内面か
ら背裏部面に沿つて導出させることにより肩部の
くぼみ出しが確実に行え、また組立作業性の向上
を図つた車両用座席を提供することを目的とす
る。

〔問題点を解決するための手段〕

前述した問題を解決するために本考案はシート
バツクの上方肩部にくぼみ形状を出すための吊り
袋を表皮の上部背裏側にも設け、この背裏側吊り
袋に表面側吊り袋から導出される吊り込み紐線材
を挿通し表皮の上部内面に沿わせてシートパツド
の背面側に導出されるようにしたものである。

〔作用〕

このようにシートバツクの上方肩部のくぼみ形
状出し吊り込み紐線材は表皮の上部から背裏側に
その内面に沿つて導出されるのでシートパツドに
対する表皮の被覆において紐線材はシートパツド
の前面側から背裏側に上部を通して確実に導出さ
れてこれを引張ることにより表皮の上部をシート
パツド側へ吊り込みシートバツクの上方肩部のく
ぼみ形状出しが確実にでき、また作業性も向上さ
れる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図〜第４図を参
照して説明するに、前述した従来例と同一の部材
には同一の符号を付してその詳細な説明は省略す
る。

本考案においては表皮２の上半部の背裏側に、
表側内面の縦吊り袋、即ち肩部吊り袋４に対応し
て補助的な背裏側吊り袋１０を設け、この背裏側
吊り袋１０に横吊り袋３から突出する横吊りワイ
ヤー８の端部に結着されて肩部吊り袋４に挿通さ
れる吊り込み紐線材としてのゴム紐９ａを挿通し
て表皮２の背裏側に沿つて導出するようにしてあ
る。この背裏部吊り袋１０は肩部吊り袋４に連続
して設けてもよい。

このように吊り込みゴム紐９ａは表皮２の上半
部の表側内面から背裏側に沿つて保持されるので
表皮２をシートパツド７に被覆する際、背裏側に
導出されるゴム紐９ａの端部がシートパツド７の
前面側に入り込むことなく確実に背裏側に垂下さ
れて、これを引張りバツクフレーム６の中間部材
６ａに結着することにより、肩部吊り袋４及び背
裏側吊り袋１０がシートパツド７の上半部の表面
側から背裏側にかけて形成される肩部の縦吊り溝
７ｂ引き込まれシートバツク１の肩部にくぼみ１
ａが形成される。この状態で表皮２の下半部を下
げてシートパツド７の下半部に被覆し、前側縦吊
り袋５に挿通されるゴム紐９ｂの下端部を引張
り、バツクフレーム６の下側部材６ｂに結着する
ことにより前側縦吊り袋５がシートパツド７の前
側縦吊り溝７ｂに引き込まれ、前面側にくぼみ１
ｂが形成される。

このようにしてシートバツク１の表面側に肩部
にかけてくぼみ形状が出され、また吊り袋３，４
及び５の引き込みにより表皮２とシートパツド７
とが密着状に重ね合されることになる。

以上の構成において吊り込み紐線材としてはゴ
ム紐に限ることなる伸縮弾性を有する紐線材であ
れば材質、例えば樹脂、金属に関係なく使用でき
るものであり、また、くぼみ形状は図示のものに
限ることなく各種形状に形成できるものである。

なお、以上の実施例はシートバツク１にくぼみ
形状を出す場合であるが、シートクツシヨン１１
にくぼみ形状を出す場合も同様に行えることは勿
論である。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によればシートバツク肩部
にくぼみ形状を出すための吊り袋を肩部吊り袋に
対応して表皮の背裏側にも設け、この背裏側吊り
袋に肩部吊り袋から導出される吊り込み紐線材を
挿通し表皮の上部から背裏側に沿わせるように構
成したことにより、表皮をシートパツドに被覆す
る際に吊り込み紐線材はシートパツドの後側へ確
実に導出されることになり、後側への吊り込み作
業が極めて容易に行えて作業性が向上し、肩部の
くぼみ形状を確実に出すことができてデザイン的
効果が向上されると共に表皮とシートパツドとの
密着性も良好となり快適な着座感が得られる等の
効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による車両用座席のシートバツ
クの表皮被覆時における斜視図、第２図は第１図
の縦断面図、第３図は本考案を適用して構成した
車両用座席の斜視図、第４図は第３図のＡ−Ａ線
拡大断面図、第５図は従来のシートバツクの表皮
被覆時における縦断面図である。 図中１はシートバツク、２は表皮、４は肩部吊
り袋、５は前側縦吊り袋、６はバツクフレーム、
７はシートパツド、７ｂは肩部縦吊り溝、９ａ，
９ｂは吊り込み紐線材としてのゴム紐である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 表皮の内面側に吊り袋を設けてシートパツド側
   へ引き込み表皮とシートパツドを密着させると共
   にシートの表面にデザイン上のくぼみを形成する
   ようにした車両用シートにおいて、 シートバツクの上方肩部にくぼみ形状を出す肩
   部吊り袋に対応して表皮の背裏側に背裏吊り袋を
   設け、 該背裏吊り袋に肩部吊り袋から後方へ導出され
   る吊り込み紐線材を挿通し、 該吊り込み紐線材を上記表皮の背裏側に沿つて
   導出されるようにしたことを特徴とする車両用座
   席。