JPH0246796Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両用座席等のシートバツクの表皮を
くぼみ形成のためにフレームに対して縦吊りする
縦吊り具に関する。

車両用座席等においてシートクツシヨン、シー
トバツクの表面にデザイン上のくぼみを形成たも
のがあり、このくぼみは表皮をフレーム側に引い
て形成されるが、この場合、シートクツシヨンの
表皮はクツシヨンフレームに被せた状態で下面側
は開放された形状であるため表皮をフレーム側に
引くにはこの表皮の裏側に吊りワイヤを挿通した
吊り袋を取付けこの吊り袋をシートスプリング又
はワイヤフレームに止着することにより表皮の表
面にくぼみを形成することができるが、シートバ
ツクの表皮は袋状に形成し、パツクフレームに対
してその上部から裏返しの状態から反転しながら
被覆するのでバツクフレームの裏面側も覆われ、
そのため表皮の前面側をシートクツシヨンの表皮
と同様には後方へ引くことはできない。

そこで表皮の表面に縦方向のくぼみを形成する
には第１図に示すように表皮１の前面側の裏面
に、くぼみ形成部１ａに対応して縦方向に吊り袋
２を縫着し、この吊り袋２に上部にフツク３を取
付けたゴム等の伸縮性紐状成形体４を挿通する。
そしてこの表皮１をバツクフレーム５に被覆する
際、紐状成形体４の上部４ａのフツク３をバツク
フレーム５の上部５ａに引掛けた状態で裏返の表
皮１を反転しながらバツクフレーム５及びシート
パツド６に被覆し、ほぼ下側まで被覆した状態で
吊り袋２から延出される紐状成形体４の下部４ｂ
をバツクフレーム５の下部５ｂに伸長しながら巻
回してその端部をホグリング７により締着してこ
の紐状成形体４をバツクフレーム５の上下部５
ａ，５ｂ間に略緊張状態で懸架し、吊り袋２を後
方へ引き込み表皮１に縦方向のくぼみ１ａを形成
していた。

しかし、この表皮１の縦吊り用の紐状成形体４
は、ゴム等の伸縮性材による成形品であるため、
高価であり、またこの紐状成形体４はゴム等より
形成するため表皮１に縫着した吊り袋２への挿通
がその摩擦抵抗のため円滑には行えず、しかも収
縮状態では吊り袋２より短寸であるから紐状成形
体４自体では吊り袋２に対する挿通、引き出しが
困難でそのためこの挿通、引き出しのためには治
具が必要でその作業に手数を要し、また吊り袋２
の巾寸法を比較的大きくしなければならずコスト
高になる欠点があつた。

本考案はかかる点に鑑み、シートバツクの表皮
に縦方向のくぼみを形成する縦吊り作業を容易に
行える縦吊り具を提供するものである。

即ち、本考案はシートバツクの袋状表皮の表面
側にくぼみを形成するために内面側に縦方向に縫
着された吊り袋に挿通し、バツクフレームに対し
縦方向に架張する縦吊り具を、上記吊り袋より長
寸の吊り紐体の一端部にリングを結着すると共に
このリングに誘導紐体を結着して構成し、上記吊
り紐体を、その他端部を上記バツクフレームの上
部側に結着して吊り袋に挿通した状態で一端部側
のリングをバツクフレームの下部側に止着体によ
り止着するようにしたことを特徴とするものであ
る。

以下、本考案の一実施例を第２図乃至第４図に
ついて説明する。

第２図は車両用座席を示し、１１は座席全体、
１２はシートクツシヨン、１３はシートバツク
で、このシートバツク１３の表皮１４のバツクフ
レーム１５に対する縦吊りに本考案による縦吊り
具１６が用いられ表皮１４の表面にくぼみ１４ａ
が形成される。

この縦吊り具１６は表皮１４の内面側にくぼみ
１４ａの形成部に対応して縦方向に縫着された吊
り袋１７より長寸で二折輪状の吊り紐体２１の一
端部を吊り袋１７に挿通可能な剛体リング２２に
結着し、このリング２２に吊り紐体２１より短寸
で輪状の誘導紐体２３を結着して構成されてい
る。なお、この吊り紐体２１及び誘導紐体２３は
ナイロン糸等の合成繊維糸により形成される。

このように構成される縦吊り具１６は表皮１４
のバツクフレーム１５及びシートパツド１８に対
する裏返し状態からの反転被着において、吊り紐
体２１の他端、即ちリング２２に結着されていな
い端部を、バツクフレーム１５の上部横架部材、
例えば表皮１４の横吊り用ワイヤ１９に結着し、
この状態で表皮１４の内面側に終着した吊り袋１
７に誘導紐体２３から挿通してリング２２も通過
させ、表皮１４をバツクフレーム１５にほぼ被着
した状態で誘導紐体２３を持つて牽引し、吊り紐
体２１をバツクフレーム１５の下辺部１５ａに巻
回してリング２２を誘導紐体２３を牽引しながら
フレーム下辺部１５ａに平行に固着された表皮１
４のトリムワイヤ２０にホグリング２４により止
着する。

このようにして縦吊り具１６、即ち吊り紐体２
１を横吊り用ワイヤ１９とトリムワイヤ２０の間
に緊張して架張することにより表皮１４の表面側
は吊り袋１７を介してバツクフレーム１５に対し
て直交方向に引き込まれることになり縦方向のく
ぼみ１４ａが形成されることになる。

また、この状態において、吊り紐体２１は横吊
り用ワイヤ１９とトリムワイヤ２０とに結着して
架張されることにより弾力を保有することになり
表皮１４の弾性を損うことはない。

以上のように本考案によればシートバツクの表
皮の縦吊り具を表皮の内面側にくぼみ形成部に対
応して縫着される吊り袋より長寸の吊り紐体と誘
導紐体をリングの両側に結着して構成するのでバ
ツクフレームに結着した吊り紐体の表皮の吊り袋
に対する挿通は誘導紐体側から挿入することによ
り治具を用いることなく幅寸法が比較的小さい吊
り袋にも極めて容易に行なえ、また、吊り紐体の
他端のバツクフレーム側に対する結着はリングを
介し、誘導紐体を牽引しながら行うので緊張状態
で確実に結着でき、しかも吊り紐体は合成樹脂繊
維製の紐を利用できるので従来のゴム等の成形品
に比し安価であり、更に上述の如く吊り袋への挿
通及びバツクフレームへの結着作業が簡単になる
ことにより座席組付け作業能率の向上を図ること
ができる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の縦吊り具の使用状態における一
部截断省略した斜視図、第２図は本考案による縦
吊り具を用いた車両用座席の一部截断省略した斜
視図、第３図は同要部の一部省略した拡大斜視
図、第４図は本考案による縦吊り具の一例の一部
省略した正面図である。 図中、１１は座席、１３はシートバツク、１４
は表皮、１５はバツクフレーム、１７は吊り袋、
２１は吊り紐体、２２はリング、２３は誘導紐体
である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートバツクの表皮の内面側にくぼみ形成部と
   対応して接合される吊り袋より長寸の吊り紐体の
   一端部にリングを結着すると共に、該リングに誘
   導紐体を結着して成り、上記吊り紐体を、その他
   端部をバツクフレームの上部側に結着して、上記
   吊り袋に挿通した状態で上記一端部側のリングを
   上記誘導紐体により牽引し、上記バツクフレーム
   の下部側に止着体により止着するようにしたこと
   を特徴とするシートバツクの表皮の縦吊り具。