JPH04114145U - 液封入式防振マウント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 液封入式防振マウントにおいて、筒状本体金
具の下端部に取着され、ダイヤフラムとで液室下方に空
気室を形成する椀状取付金具と、該取付金具に取付られ
るボルトの取付強度を向上させ、かつ上記空気室の気密
性を確保する。 【構成】 防振マウントの上記取付金具（７）にセレー
ション（１０）を有するボルト（１１）を圧入により貫
通して設けると共に、該貫通部を接着剤あるいはシール
剤の層（１２）によってシールしたことを特徴としてい
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は自動車のエンジン等の振動発生体を防振的に支承するのに用いる液封 入式防振マウントに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

振動に対する減衰機能は容積可変の室内に封入した液体により坦持させ、一方 、振動絶縁性は液体封入のための室壁を形成するゴム弾性体からなる防振基体に よって坦持させ、低周波振動に対する減衰係数が大きく、かつ高周波振動に高い 絶縁性を有する特性を持つ液封入式防振マウントは従来から知られており、例え ば特開昭６１−４５１３０号公報によって開示されている。

【０００３】 かかる防振マウントは、筒状本体金具の上側開口部にゴム弾性体からなる防振 基体を、下側開口部にシール状態にダイヤフラムを夫々取着せしめて液室を形成 すると共に、該液室をオリフィスを備えた仕切板にて分割し、一方、上記本体金 具の下端部に椀状の取付金具を取着せしめてダイヤフラムとの間に空気室を形成 してなる構造を有している。そして防振基体と取付金具には、エンジン又は車体 取付用のボルトが夫々上下に突出して設けられており、防振基体のものは、接触 面積を大にして設けられ、該防振基体に埋め込まれて加硫接着されたアンカー部 が、また、取付金具のものは空気室側からその底面部に通常溶接により夫々固着 されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで近年に至り、エンジン等の被支承物が大型化する傾向があり、それら の重量が増大した場合、上記ボルトの締付力は強いものが要求される。ボルトの 軸力を高めるには、ハイテンションボルトを用いることが考えられるが、この場 合特に前記取付金具において、ハイテンションボルトとの溶接ではおくれ破壊が 起こる可能性がある。

【０００５】 この点を解消するために採用されているのが、頭部下方にセレーションを有し たボルトを、該ボルトのセレーションに対応するよう上記取付金具に設けた孔に 圧入する方法であり、これによればボルトの取付金具に対する取付を強いものと することができる。 しかしながら、上記圧入によるボルトの取付にあっては、取付金具とダイヤフ ラムとで構成する空気室の気密性を保つことができず、そのため、ボルトと取付 金具との界面にゴムを加硫接着したり、空気室密閉用の椀状の金具を取付金具内 側に挿入したりする必要があり、それに要する工数，部品等はマウント自体を少 なからずコスト高なものとしていた。

【０００６】 本考案は叙上の如き実状に対処すべくなされたものであり、特に取付金具のボ ルト廻りに新規な構成を見出すことにより、マウント空気室の気密性を確保する と共に、上記工数，部品等を要さず低コストで製造しうる防振マウントの提供を 目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

即ち、本考案の液封入式防振マウントの特徴は、筒状本体金具の上側開口部に ゴム弾性体からなる防振基体を、下側開口部にシール状態にダイヤフラムを夫々 取着せしめて液室を形成すると共に、該液室をオリフィスを備えた仕切板にて分 割し、かつ上記本体金具の下端部に椀状の取付金具を取着せしめてダイヤフラム との間に空気室を形成してなる液封入式防振マウントにおいて、上記取付金具に セレーションを有するボルトを圧入により貫通して設けると共に、該貫通部を接 着剤あるいはシール剤の層によりシールせしめたことにある。

【０００８】

【作用】

上記構成を有する本考案液封入式防振マウントにおいては、簡便な構成によっ て、取付金具とダイヤフラムとで構成する空気室の気密性を確保してマウントの 製造コストを低廉ならしめると共に、さらにボルトの取付金具に対する取付強度 も同時に確保して外部からの強い締付力に対しても充分対応しうるとの作用を有 するものである。

【０００９】

【実施例】

以下更に添付図面を参照して本考案実施例の液封入式防振マウントを説明する 。

【００１０】 図１は実施例防振マウントを示す断面図であり、該マウントは、筒状の本体金 具（１）の上部開口部にゴム弾性体からなりアンカー付ボルト（９）を有する防 振基体（２）を加硫接着すると共に、該金具（１）の下側開口部にゴム膜からな るダイヤフラム（３）をシール状態に取着せしめて液室（４）を形成している。 この液室（４）はオリフィス（５）を備えた仕切板（６）によって、上記オリフ ィス（５）により連通する主液室（４ａ）と副液室（４ｂ）とに分割されている 。また、上記本体金具（１）下端部には椀状の取付金具（７）が取着されて、上 記ダイヤフラム（３）とで空気室（８）を形成している。

【００１１】 一方、このマウントは車体やエンジンの取付部との締付力を確保するために、 取付金具（７）側においては、頭部下方にセレーション（１０）を有するハイテ ンションボルト（１１）が、該ボルトのセレーションに対応すべく穿設された取 付金具（７）の孔に圧入により貫設されている。

【００１２】 そして、上記取付金具（７）側のボルト（１１）においては、図１に示すよう に、セレーション（１０）の部分、及びボルト頭部の座面から該頭部周縁部にか けて接着剤又はシール剤の層（１２）が、ボルト（１１）の貫通部をシールする よう設けられている。接着剤又はシール剤の層（１２）は、取付金具（７）とボ ルト（１１）で構成される貫通部をシールして前記空気室（８）の気密性を保つ ことが重要であり、また、上記接着剤又はシール剤としては、例えばウレタン変 性アクリル系の紫外線硬化型接着剤、ウレタン系反応型ホットメルト（湿気硬化 型）、ＮＢＲ変性エポキシ系接着剤（圧入前にボルトに塗って使用できる）等が 好適である。なお、上記層（１２）は図２に示す如く、ボルト（１１）の頭部を 全体的に被覆するよう形成することも可能であり、あるいは上記セレーション（ １０）の部分に塗布し、該部に挟み込むだけでもシール効果は達成される。

【００１３】 以上の構成を有する本考案実施例の防振マウントは、軸力の高いボルトを取付 金具にセレーション嵌合により圧入してなることから、車体やエンジン取付部に 対し強い締付力で取着することが可能であると共に、空気室が上記のように気密 性を保たれてなるため、１００Ｈｚ以上の高周波数域の絶対ばね定数を有効に低 減させることができる。 そして、上記空気室の気密性保持は、取付金具のボルト貫通部を接着剤又はシ ール剤の層によりシールするとの簡便な構成によってなされるものであるため、 従来のゴム加硫によるものや、密閉用金具を用いたものに比べ、格段の低工数・ 低コストにてマウントを製造することが可能となる。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の液封入式防振マウントは、筒状本体金具の下端 部に取着され、ダイヤフラムとで液室下方に空気室を形成するマウントの取付金 具に、セレーションを有するボルトを圧入により貫通して設けると共に、該貫通 部を接着剤あるいはシール剤の層によりシールせしめたものであり、上記空気室 の気密性をかかる簡便な構成によって確保することにより、従来要した工数や部 品を省略して該マウントの製造コストを著しく低廉ならしめ、またさらに、セレ ーションを用いた圧入によりボルトの取付強度も同時に確保して外部からの強い 締付トルクにも充分対応しうるとの顕著な効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例の液封入式防振マウントを示す断
面図である。

【図２】本考案他の実施例の液封入式防振マウント要部
を示す部分断面図である。

【符号の説明】

（１） 本体金具 （２） 防振基体 （３） ダイヤフラム （４） 液室 （５） オリフィス （６） 仕切板 （７） 取付金具 （８） 空気室 （９），（１１） ボルト （１０） セレーション （１２） 接着剤またはシール剤の層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 大谷 和平 愛知県西加茂郡三好町大字打越字生賀山３ 番地東洋ゴム工業株式会社自動車部品技術 センター内 (72)考案者 鎌田 恒夫 愛知県西加茂郡三好町大字打越字生賀山３ 番地東洋ゴム工業株式会社自動車部品技術 センター内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 筒状本体金具の上側開口部にゴム弾性体
   からなる防振基体を、下側開口部にシール状態にダイヤ
   フラムを夫々取着せしめて液室を形成すると共に、該液
   室をオリフィスを備えた仕切板にて分割し、かつ上記本
   体金具の下端部に椀状の取付金具を取着せしめてダイヤ
   フラムとの間に空気室を形成してなる液封入式防振マウ
   ントにおいて、上記取付金具にセレーションを有するボ
   ルトを圧入により貫通して設けると共に、該貫通部を接
   着剤あるいはシール剤の層によりシールせしめたことを
   特徴とする液封入式防振マウント。