JPH04107991U - ヘツドホン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型のインナーイヤー型のヘッドホンにおい
て、音響抵抗材料のバラツキや外部からのゴミ等の侵入
をなくして、音響特性の変動がなく、特に低音域の音響
特性が改善されたイヤホンを提供する。 【構成】 音響変換器の後方に位置する筐体背面の略中
央部に開孔があり、その開孔は、筐体との間に音放出間
隙を置いて取り付けたカバーで覆われている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、低音域の周波数特性を改善したヘッドホン、特に、小型のインナー イヤー型のヘッドホンに関する（以下イヤホンと略す）。

【０００２】

【従来の技術】

図２に示す従来のイヤホンは、ボイスコイル１とマグネット２とヨーク４とプ レート５と振動板３等から成る音響変換器が筐体６の中に取り付けられ、筐体６ の背面には複数個の音放出用開孔７があり、更に、その開孔７がある筐体の背面 の内側には音響抵抗成分をもった布８等が取り付けられている。この従来のイヤ ホンは、開孔７と布８が周波数特性をコントロールしている。

【０００３】 図２で示した従来例の音響等価回路は図３のようになる。ここでＭd 、Ｃmd、 Ｒd は、それぞれ振動系の等価質量、コンプライアンス、音響抵抗で、Ｖs は信 号源である。Ｍcup 、Ｒcup 、Ｃcup はそれぞれイヤホンを耳穴に挿入した際に 耳穴によって形成される等価質量、コンプライアンス、音響抵抗である。Ｒb 、 Ｃb はそれぞれ筐体の開孔７と音響抵抗成分をもった布８との音響合成抵抗と筐 体後部空間によるコンプライアンスである。

【０００４】 この図２の従来例では、音響抵抗成分をもたせるために、不織布、発泡材料、 布等を利用しているが、材料の厚みのバラツキ、押さえ方などにより安定した特 性が得られないという欠点があった。

【０００５】 図４に別のタイプの従来のイヤホンを示す。音響変換器は、図２に示したイヤ ホンと同一であるが、筐体９の下方にダクト１０が設けられている。このダクト １０により、インダクタンス成分が、上記音響変換器の音響等価回路に加わるた め、低音域における音響特性が良好となる効果を有している。

【０００６】 図５に上記図４で示した従来例の音響等価回路を示す。図３の音響等価回路に 対し、ダクト１０による音響抵抗Ｒ′d とインダクタンスＬd が付加されている 。しかしこの図４の例では、ダクト１０を通じてイヤホン内部にゴミ等が侵入す ることがあり、その侵入したゴミ等が音響特性に影響を与える欠点があった。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記の問題に鑑みて提案されたもので、音響抵抗材料のバラツキや 、外部からのゴミ等の侵入をなくして、音響特性の変動がなく、特に低音域の音 響特性が改善されたイヤホンを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために本考案のイヤホンは下記の構成にした。すなわち 音響変換器とこの音響変換器を取り付ける筐体とから成るヘッドホンにおいて、 音響変換器の後方に位置する筐体背面の略中央部に開孔を設け、その開孔を、筐 体との間に音放出間隙を置いて取り付けたカバーによって覆ったものである。

【０００９】

【作用】

上記のように、音響変換器の後方に位置する筐体背面の略中央部に開孔があっ て、その開孔が、筐体との間に音放出間隙を置いて取り付けたカバーで覆われて いることにより、音響抵抗が一定するとともにゴミ等の侵入が少なくて、音響抵 抗材料のバラツキや、外部からのゴミ等の侵入に起因する音響特性の変動が抑制 され、低音域の音響特性がよくなる。

【００１０】

【実施例】

図１は本考案によるイヤホンの一実施例を示す断面図である。図示例のイヤホ ンは、円筒状のマグネット２と、このマグネット２の両端面に重ね合わせた円筒 状のヨーク４およびプレート５とで磁気回路を構成し、これにボイスコイル１と 振動板３を組み込んで音響変換器を構成している。この音響変換器を筐体１１の 中に取り付けている。筐体１１の正面すなわち音響変換器の前方に当たる面には 多数の小孔１７が開いている。

【００１１】 音響変換器の後方に位置する筐体１１の背面の略中央部に開孔１３が設けられ ている。図１の開孔１３は１個であるが、小孔を数個開けることもある。そして 開孔１３は、筐体１１の背面に取り付けた背面全体にかぶさるキャップ形のカバ ー１２で覆われている。そのカバー１２と筐体１１との間には音放出間隙Ｓが置 かれている。この間隙Ｓの形状並びに寸法の設定によって音響抵抗とインダクタ ンス成分が得られる。間隙Ｓの形状は図１のように多少迷路状になるように形成 するのがよい。

【００１２】 上記の構成において音響等価回路の構成は、図４に示した従来例の音響等価回 路（図５）と等価になる。

【００１３】 本実施例による周波数特性の比較図を図６に示す。１４は本考案によるイヤホ ンの周波数特性、１５は音響変換器の背後に音響回路がないイヤホンの周波数特 性、１６は図２に示した従来のイヤホンの周波数特性図である。この図から、音 響変換器の背後に音響回路がない場合と比べて低音域のレベルが安定しているこ とと、図２に示した従来のイヤホンに比べて高音域から低音域まで周波数特性が 改善されていることが分かる。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、音響変換器の後方に位置する筐体背面の 略中央部に開孔を設け、その開孔を、筐体との間に音放出間隙を置いて取り付け たカバーによって覆ったから、音響抵抗が一定するとともにゴミ等の侵入が少な くて、音響抵抗材料のバラツキや、外部からのゴミ等の侵入に起因する音響特性 の変動が抑制され、特に低音域の音響特性がよくなる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るイヤホンの一実施例の縦断側面
図。

【図２】従来のイヤホンの縦断側面図。

【図３】図２のイヤホンの音響等価回路。

【図４】ダクトを有する従来のイヤホンの縦断側面図。

【図５】図４のイヤホンと本考案のイヤホンの音響等価
回路。

【図６】本考案に係るイヤホンの周波数特性比較図。

【符号の説明】

ｌ ボイスコイル ２ マグネット ３ 振動板 ４ ヨーク ５ プレート １１ 筐体 １２ カバー １３ 開孔 １７ 小孔 Ｓ 音放出間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 音響変換器とこの音響変換器を取り付け
   る筐体とから成るヘッドホンにおいて、音響変換器の後
   方に位置する筐体背面の略中央部に開孔を設け、その開
   孔を、筐体との間に音放出間隙を置いて取り付けたカバ
   ーで覆ったことを特徴とするヘッドホン。