JPH04107310U - 壁パネル上部の取付け金物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 金物本体１０を、平面視長形の空隙１３を形
成する箱形体１１と、空隙上部から側面に突き出る略鉤
形の係合片１２とで構成する。そして、係合片１２と箱
形体１１の側面との間で下方に開口する係合溝１４を形
成し、また箱形体の内面１１ｂをメッキ等で平滑に仕上
げる。 【効果】 空隙１３は箱形体１１で一定寸法に保持する
と共に内面１１ｂを平滑にしているので、収容する上側
プレート２０の地震時におけるスライド機能を施工建物
に関わらず信頼性よく確保できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、建物のいわゆるカーテンウォール構法において、壁パネルを鉄骨フ レーム等の建物躯体に取付ける際に利用する金物からなるものであって、特に壁 パネルの上部に適用する取付け金物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

カーテンウォール構法に利用する金物としては、例えば特公昭６３−５４１０ １号公報とか特開平１−２９５５０号公報に示すものがある。後者の開示技術は 前者の出願から分割されたものであり、実施例は同様のものである。

【０００３】 図４及び図５は、上記公報に間示されている取付け構成を示す斜視図と断面側 面図であり、図において鉄骨軸組を構成する梁１の上面には、Ｌ形定規アングル ２が溶接等の手段により取付けられている。また、上層の壁パネルＡの下部には 、上記Ｌ形定規アングル２の縦フランジ２ａに一端側を係止固定する下部取付け 片３がボルト固定されている。そして、下層の壁パネルＢの上部には、後述する 金物とＬ形定規アングル２の縦フランジ２ａの間で一端側が支持される上部取付 け片４がボルト固定されている。

【０００４】 ５は平面視コ字形の金物（コ状片）であり、コ状片５の両側板５ａ，５ａには 下方から切り込み溝５ｃが形成されている。この切り込み溝５ｃをＬ形定規アン グル２の縦フランジ２ａに噛合わせて、この縦フランジ２ａとコ伏片５の縦フラ ンジ５ｂとの間に前記上部取付け片４が差し込まれる空隙６を形成するようにし ている。７は、上層の壁パネルＡの荷重を支持する荷重受けアングルであり、Ｌ 形定規アングル２に取付けられている。

【０００５】 上記構成においては、下層の壁パネルＢの上部取付け片４の差し込み部分の幅 を前記空隙６の幅よりも小さくすることにより、上記空隙６内で上部取付け片４ が面方向にスライドできるようにし、地震時に壁パネルＢの上部が粱１と相対的 にスライドして層間変位に追従するようにしている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような取付け金物にあっては、一般に、寸法，形伏的には加工成形して あるものの、表面はいわゆる黒皮のままとなっており、かなりの粗面である。

【０００７】 このような金物を利用する場合は、カーテンウォール機能の経年劣化等を考慮 する必要がある。特に前述引用例のように、所定空隙６内にスライド可能な別の 金物（上部取付け片４）を配置する場合、上部取付け片４の面外方向の不要なガ タツキを防止する為に、上部取付け片４を収容する空隙６は、上部取付け片４を 収容した後例えば１ｍｍ程度の隙間が残るように設計されている。

【０００８】 しかしながら、空隙６を一定値に収める設計とした場合、その隙間が僅かであ るので、経年変化で錆が発生したときには上記粗面とも相俟って、上部取付け片 ４がコ状片５とかＬ形定規アングル２の縦フランジ２ａ等の面と略接合したよう な状態となり、スムーズなスライドを妨げられたりする等の不具合の生じること が考えられる。また上部取付け片４の歪み等によっては、上記粗面等とも相俟っ て空隙内面との接触摩擦抵抗が著しく大きくなり、カーテンウォールとしての機 能の障害となる不安がある。

【０００９】 さらに、空隙６は、Ｌ形定規アングル２の縦フランジ２ａに噛合わせるコ状片 ５の縦フランジ５ｂの切り込み溝５ｃの位置及び寸法を正確に加工しなければ、 設定寸法が変動し、上部取付け片４を挟み込んだりして所期の目的が達せられな いことになる

【００１０】 本考案は以上のような従来の問題点に鑑みて提供するものであり、その目的と するところは、長期に亙ってカーテンウォール機能を性能よく発揮する取付け金 物を提供するところにある。

【００１１】

【課題を解決する為の手段】

上記目的を達成する為に、本考案は、建物躯体に取付けた支持アングルに係止 して、壁パネルの上部に取付けた短冊状の上側プレートをスライド可能に係合支 持する取付け金物であって、上側プレートの上部を収容する平面視長形の空隙を 形成する箱形体の空隙上部から中間側面で一側方向に突出させて、支持アングル の立片に係合する係合溝を上記箱形体側面との間で下方に開口して形成する側面 視略鉤形の係合片を形成し、箱形体の内面を平滑に仕上げたものである。

【００１２】 この場合、係合片は、上側プレートの上部を収容する平面視長形の空隙を形成 する箱形体の一側面から突出させて、支持アングルの立片に係合する係合溝を上 記箱形体側面との間で下方に開口するように形成し、箱形体の内面を平滑に仕上 げることも考えられる。

【００１３】 いずれの場合も、平滑面は、研削等の加工のほか、メッキ層とかフッソ樹脂層 等により形成する。

【００１４】

【作用】

上側プレートの上部板厚より僅かに大きく、また幅寸法を上側プレートの地震 時のスライド許容範囲に設定した空隙の寸法は、箱形体として常に一定に保持で きる。従って、支持アングル面に多少の凹凸等があっても空隙精度に影響せす、 品質的に安定する。また、箱形体内面を平滑にすることにより、上側プレートの 地震時のスライドを信頼性よく補償する。この場合、平滑面をメッキ層とかフッ ソ系樹脂層により形成しているときは、上記地震時の機能を一層信頼性よく発揮 すると共に、防錆効果等の耐久性もより一層向上する。

【００１５】

【実施例】

以下、本考案の好適な実施例を図面に基づいて説明する。 図１は取付け金物と被取付け部材の構成を示す分解斜視図，図２は壁パネルの 取付け状態を示す断面側面図，図３は壁パネルを省略した図２の平面図である。

【００１６】 図において、１０は取付け金物本体であり、箱形体１１と係合片１２の組み合 わせから構成している。箱形体１１は、二枚の矩形の面板１１ａ，１１ａを両端 二辺で接合して間に平面視長形の空隙１３を形成している。空隙１３は、後述す る上側プレート２０の上部２０ａを収容する寸法に設定しているもので、例えば 厚さは上側プレート上部２０ａの板厚よりおよそ１ｍｍ厚く、幅は、地震時に上 側プレート上部２０ａのスライドを許容する範囲に設定する。尚、上記面板１１ ａのうち後述する係合片１２が突出する側の面板は、他方よりも薄い板厚を利用 している。

【００１７】 しかして空隙１３を形成する箱形体１１の内面１１ｂは、平滑に仕上げている 。平滑面は、いわゆる黒皮の状態のままではなく、加工により得るものである。 例えば研削加工のほかメッキ加工とか、或はフッソ系樹脂塗布加工等である。図 ２の断面図は、箱形体１１の内面１１ｂに上記メッキ層等の平滑層を形成した状 態を示している。

【００１８】 係合片１２は側面視鉤形として、箱形体１１の中間側面において空隙１３の上 部で一方の面板１１ａを貫通し他方の面板１１ａに一端を突き当てて、その端部 と上記貫通部を溶接固定している。即ち箱形体１１の空隙１３上部から中間側面 で一側方向に突出した形態としている。そして係合片１２の突出側は、面板１１ ａとの間に所要の幅の係合溝１４を下方に開口して形成している。この係合溝１ ４の開口幅は、建物躯体Ｈに予め取付ける支持アングル３０の立片３１の板厚よ り僅かに大きい寸法としている。僅かに大きい寸法とは、立片３１に係合し、後 述するように、面板１１ａと立片３１間の溶接作業に支障を来さない程度の隙間 を許容する寸法である。

【００１９】 上側プレート２０は、壁パネルＰ_１の内壁面の上部に取付けるもので、短冊状 の平板で形成している。この上側プレート２０の壁パネルＰ_１への取付け部には 添板２１を付設して、図２に示すように、壁パネルＰ_１の上位の壁パネルＰ_２と か左右に位置する他の壁パネル等と壁外面が面一になるように調整している。従 って、上側プレート２０を短冊状でいわゆるイナズマ形板に形成すれば上記添板 ２１は不要である。

【００２０】 尚、上側プレート２０は、壁パネルＰ_１のみならず、上記した上位の壁パネル Ｐ_２とか左右或は下位の壁パネルの上部にも取付けられるものであることは言う までもない。また、それぞれの壁パネルの下部には、従来既知の適宜の下部側取 付け金物が設けられているもので、適宜の手段で対応する支持アングル３０に取 付けられる。

【００２１】 以上のような構成において、壁パネルＰ_１を建物躯体Ｈに取付ける場合は、ま ず建物躯体Ｈの所要位置に支持アソグル３０をレベル等で位置決めして取付ける 。支持アングル３０は、そのベース片３２を建物躯体Ｈに溶接等で強固に取付け る。そして、壁パネルＰ_１に下部側取付け金物のほか上側プレート２０をボルト Ｂにより取付ける。

【００２２】 この後、支持アングル３０の立片３１に対して、壁パネルＰ_１を立て込んで、 上側プレート２０の上部２０ａを上記立片３１に当接させる。次いで、金物本体 １０を、その係合片１２が上記立片３１に係合し、箱形体１１の空隙１３部分に 上側プレートの上部２０ａを収容するようにして差し込む。この差し込みにおい て、上側プレート２０が支持アングルの立片３１に当接している場合は、上記立 片３１に添う箱形体１１の一方の面板１１ａが上側プレート２０の上部端に突き 当たるが、その際は上側プレート２０を僅かに立片３１から離すことで差し込み を可能とする。また、上側プレート２０の上部２０ａの端部を面取り２０ｂすれ ば、上記差し込みは一層スムーズに行うことができる。

【００２３】 上記差し込みの後、立片３１の上端と箱形体１１の面板１１ａとの当接部等固 定の為の適宜箇所を溶接して接合する。 以上で壁パネル上部の取付け作業は完了する。

【００２４】 尚、金物本体１０と支持アングル３０を溶接する際には、従来では溶接スパッ タが上側プレート収容空隙に飛散し付着して、甚だしい場合には上側プレートの 地震時スライドを阻害する要因ともなる不具合が存した。しかしながら、本考案 の如き構成によれば、上記空隙１３は箱形体１１であり、係合溝１４の支持アン グル係合深さが係合片１２により面板１１ａの上下中間部近傍に設定されるので 、支持アングル３０と箱形体の面板１１ａとの当接部を溶接する際に溶接スパッ タが空隙１３内に飛散付着するのを防止することができる。

【００２５】 次に、本考案はその所期目的を逸脱しない範囲で取付け装置の構成を変更する ことができる。例えば、前述実施例においては、係合片１２の一端を箱形体１１ の空隙１３上部に臨むように配設して、両方の面板１上ａに溶接固定した。この ようにすれば、壁パネルＰ_１に負荷される風圧力等に対する面板１１ａの耐力が 向上するので、大版の壁パネル等に利用して好適となる。しかしながら、小版の 壁パネルとか、或は面板１１ａの厚さを適宜に設定すれば、係合片１２を上記空 隙１３に臨ませず一方の面板の側面から突出させることも可能である。

【００２６】 更に、係合片１２は、前述実施例のように一枚のみを箱形体１１の中間側面か ら突出させるだけでなく、一方の面板１１ａの両端側から延長して突出させたり する等、複数枚を適宜構成で設けてもよいことは勿論である。

【００２７】

【考案の効果】

以上詳細に説明したように、本考案によれば、上側プレートの上部を収容する 金物本体の空隙は箱形体により形成しているので、支持アングルの施工状態とか 品質等に影響されることなく、空隙寸法を一定に規定した金物として利用するこ とができる。

【００２８】 また、上側プレートが接触する箱形体内面を平滑に仕上げているので、地震時 の上側プレートのスムーズな動作を妨げる不安はなく、カーテンウォール機能を 一層信頼性よく保持させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る取付け金物と被取付け部
材の構成を示す分解斜視図である。

【図２】壁パネルの取付け状態を示す断面側面図であ
る。

【図３】壁パネルを省略した図２の平面図である。

【図４】従来における取付け金物の構成を示す斜視図で
ある。

【図５】図４の断面側面図である。

【符号の説明】

１０…金物本体 １１…箱形体 １１ａ…面板
１１ｂ…箱形体の内面 １２…係合片 １３…空隙 １４…係合溝 ２０
…上側プレート ２０ａ…上側プレートの上部 ３０…支持アングル
３１…立片 Ｈ…建物の躯体 Ｐ_１・Ｐ_２…壁パネル

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 建物躯体に取付けた支持アングルに係止
   して、壁パネルの上部に取付けた短冊状の上側プレート
   をスライド可能に係合支持する取付け金物であって、上
   側プレートの上部を収容する平面視長形の空隙を形成す
   る箱形体の空隙上部から中間側面で一側方向に突出させ
   て、支持アングルの立片に係合する係合溝を上記箱形体
   側面との間で下方に開口して形成する側面視略鉤形の係
   合片を形成し、箱形体の内面を平滑に仕上げてなる壁パ
   ネル上部の取付け金物。
2. 【請求項２】 建物躯体に取付けた支持アングルに係止
   して、壁パネルの上部に取付けた短冊状の上側プレート
   をスライド可能に係合支持する取付け金物であって、上
   側プレートの上部を収容する平面視長形の空隙を形成す
   る箱形体の一側面から突出させて、支持アングルの立片
   に係合する係合溝を上記箱形体側面との間で下方に開口
   して形成する側面視略鉤形の係合片を形成し、箱形体の
   内面を平滑に仕上げてなる壁パネル上部の取付け金物。
3. 【請求項３】 箱形体の内面はメッキ層又はフッソ系樹
   脂層により平滑に仕上げてある請求項１又は２記載の壁
   パネル上部の取付け金物。