JPH0754440Y2 - 板状体の支持具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、建築物の壁面など
に、タイル、大理石、陶板などの外装用板状体を取付け
る支持具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、壁面などに、タイル、大理石、陶
板などの外装用板状体を貼り付けるには、圧着貼りやダ
ンゴ貼りにより行なっていたので、目地幅の均一化や板
状体の表面を一様に平らとするのに高度な熟練を必要と
し、また一度に板状体の貼り付け段数を多くすると、荷
重により下位の板状体が崩れ落ちるので、貼り付け段数
に制約を受けることになる。

【０００３】そこで、実公昭６０−１１５３号公報に示
すように、壁面に上下に設定間隔を設けてジョイナをそ
の座板で固定したのち、上段ジョイナの下向き翼板と板
状体の上端面の溝を、下段ジョイナの上向き翼板と板状
体の下端面の溝とをそれぞれ嵌め合わせて、上記板状体
を支持する取付け構造が提案されている。

【０００４】この取付構造に使用されるジョイナは、一
枚の金属板を曲げ加工し、座板以外の突出板と翼板とが
二重になった構造になっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なジョイナを使用すると、翼板が二重になっているので
厚みが厚く、これに嵌合する板状体の溝は広幅となり、
板状体に対する大きな幅の溝加工は手間がかかると共
に、肉厚の薄い板状体を使用する場合、大きな幅の溝加
工にともない溝の側縁が欠落して不良品が発生するとい
う問題がある。

【０００６】また、横方向にジョイナを継ぎ足して取付
ける場合、継ぎ足し部分において、板状体の下縁を受架
する上向き翼板に段差が発生すると、板状体が傾くこと
になり、段差が発生しないようジョイナを取付けるのに
手数がかかるという問題がある。

【０００７】そこで、この考案の課題は、板状体の上下
端面全長に設ける溝の幅を小さくすることができ、ま
た、突き合わせ部分に段差が発生しないよう取付けるこ
とができる板状体の支持具を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この考案は上板の前縁全長に上方向に突出する翼
板と後縁全長に上方向に突出する取付板を設けた上段支
持具と、前記上板と等しい幅を有する下板の前縁全長に
下方向に突出する翼板と後縁全長に下方向に突出する取
付板を設けた下段支持具とからなり、前記上板と下板
に、この上板と下板を重ね合わせたとき互に嵌り合い、
上段支持具と下段支持具の翼板同志及び取付板同志を同
一面となるよう位置決めする、一方に凹部と他方に凸部
を形成し、前記上段支持具と下段支持具を、嵌り合った
凹部と凸部の部分で固定した構成を採用したものであ
る。

【０００９】この考案において、上段支持具と下段支持
具を、長さ方向に端部の位置をずらして固定した構成と
することができる。

【００１０】

【作用】壁面に取付板を釘止めによって固定することに
より、上下に所定の間隔を設けて支持具を平行状に配列
する。次に、下位支持具の上段支持具と上位支持具の下
段支持具との対向する翼板に、板状体の上端面及び下端
面の全長に設けてある溝を嵌め込み係合させて上記板状
体を取付ける。

【００１１】また、壁面に取付ける支持具を横方向に継
ぎ足すとき、上段支持具と下段支持具の端部位置ずれ部
分で互に重ね合わせて継ぎ足すようにすると、支持具の
接続部分に段差が発生しない。

【００１２】

【実施例】以下、この考案の実施例を添付図面に基づい
て説明する。図１乃至図３に示すように、壁面１１に、
タイル、大理石、陶板などの外装用板状体Ｂを取付ける
支持具Ａは、上段支持具Ａ₁ と下段支持具Ａ₂ の組合せ
からなり、両者を上下に重ね合わせて固定化した構造に
なっている。

【００１３】上記上段支持具Ａ₁ は、横長の上板５と、
この上板５の前縁全長に上方向に突出するよう設けた翼
板１と、上板５の後縁全長に上方向に突出するよう設け
た取付板７とからなり、上板５と翼板１及び取付板７は
一枚の金属板を折曲げることによって一体に連成されて
いる。

【００１４】また、下段支持具Ａ₂ は、横長の下板６
と、下板６の前縁全長に下方向に突出するよう設けた翼
板２と、下板６の後縁全長に下方向に突出するよう設け
た取付板８とからなり、上段支持具Ａ₁ と同様一枚の金
属板を折曲げて一体に連成され、上段支持具Ａ₁ の上板
５と下段支持具Ａ₂ の下板６とは等しい幅になってい
る。

【００１５】上記上板５と下板６には、その重なり面
に、重ね合わせたとき互に嵌り合うように、下板６に凹
部４と上板５に凸部３がそれぞれ長手方向に沿って全長
に設けられている。

【００１６】この凹部４と凸部３は、上板５と下板６を
重ねて嵌め合せたとき、上板５と下板６の幅方向が一致
し、翼板１と２同志の外面及び取付板７、８同志の外面
が各々同一面となるよう位置決めするように、形成位置
が設定されている。

【００１７】上記凹部４と凸部３には、長さ方向に沿う
長孔１０が間歇的に設けてあり、上板５と下板６を重ね
て凹部４と凸部３を嵌め合わせた状態で、長孔１０に挿
通した鋲９により、上段支持具Ａ₁ と下段支持具Ａ₂ が
固定化され、支持具Ａが組立れられる。

【００１８】なお、上段支持具Ａ₁ と下段支持具Ａ₂ の
固定は、凹部４と凸部３の部分で溶接により行なっても
よいが、図示のように、凹部４と凸部３に設けた長孔１
０の部分で鋲９を用い、上段支持具Ａ₁ と下段支持具Ａ
₂ を固定化すると、長孔１０の部分に排水機能が生じ、
上板５上に雨水等が溜まるというようなことがない。

【００１９】前記上段支持具Ａ₁ と下段支持具Ａ₂ の固
定は、図１のように、同じ長さの上段支持具Ａ₁ と下段
支持具Ａ₂ を長さ方向に端部の位置をずらして固定す
る。

【００２０】このようにすると、図２に示すように、支
持具Ａを継ぎ足すとき、上板５が相手支持具Ａの下板６
上に重なり、継ぎ足した支持具Ａの上向き翼板１の上縁
に段差が発生しないことになる。

【００２１】前記支持具Ａの壁面１１に対する固定手段
は、図１乃至図３の場合、取付板７、８に設けた釘孔２
１から壁面１１に釘１２を打込むようにした例を示して
いる。

【００２２】また、図４と図５に示す例は、壁面１１
に、左右に所定の間隔を設けて固定したチャンネル材１
３と、このチャンネル材１３内に固定したホルダ１５を
用いたものである。ホルダ１５は、背板２２と上板２３
及び下板２４がチャンネル材１３内に納まり、上板２３
と下板２４の先端に、互に相手側に向けて屈曲すると共
に、チャンネル材１３の前面開口から突出する係合片１
６、１７を設けた構造になっており、チャンネル材１３
に対する固定は、背板２２のねじ孔２５に螺合したビス
１４でチャンネル材１３の背面を押圧することによって
行なっている。

【００２３】支持具Ａは、取付板７、８をチャンネル材
１３の前面に重ね、上部取付板７を上部係合片１６の内
側に、下部取付板８を下部係合片１７の内側に各々嵌め
込んで係合させれば、水平に固定化することができる。

【００２４】この考案の支持具は上記のような構成であ
り、次に図３を用いて板状体の取付け方法を説明する。

【００２５】図３に示すように、支持具Ａを水平にして
取付板７、８を壁面１１に重ね、取付板７、８の釘孔２
１から壁面１１に釘１２を打込むことによって、該支持
具Ａを固定する。

【００２６】このようにして、壁面１１の上下に、板状
体Ｂの大きさに見合った間隔で支持具Ａを平行状に順次
固定する。

【００２７】次に、上下の支持具Ａ間に板状体Ｂを取付
ける。板状体Ｂの上端面と下端面には、翼板１及び２が
嵌合するに見合う幅の溝ｂ₁ 、ｂ₂ が全長にわたって設
けられており、上端面の溝ｂ₁ を上位支持具Ａにおける
下段支持具Ａ₂ の翼板２に嵌合し、下端面の溝ｂ₂ を下
位支持具Ａにおける上段支持具Ａ₁ の翼板１に嵌合すれ
ば、上下支持具Ａ、Ａ間に板状体Ｂを垂直に固定化する
ことができ、上下及び左右に並列した板状体Ａによって
壁面１１の外装を仕上げることができる。

【００２８】上下の支持具Ａ、Ａ間に対する板状体Ｂの
取付け方法としては、上下に対向する翼板１と２の端部
間に板状体Ｂの上下の溝ｂ₁ 、ｂ₂ を嵌め込み、板状体
Ｂを翼板１、２の長さ方向にスライドさせることによっ
て行なう。

【００２９】また、別の方法としては、板状体Ｂの上端
面の溝ｂ₁ を上位支持具Ａにおける下向き翼板８に嵌入
し、次いでこの嵌入状態を維持しながら板状体Ｂを垂直
にして下端面の溝ｂ₂ を下位支持具Ａの上向き翼板１の
直上に臨ませ、この後板状体Ｂを下降させて上記下端面
の溝ｂ₂ を翼板１に嵌め合わすようにする。

【００３０】この場合、上端面の溝ｂ₁ は、翼板２の下
向き突出長さよりも若干長くしておくと共に、下端面の
溝ｂ₂ を翼板１に嵌込んだとき、板状体Ｂの下端面は上
板５上に載って重量が支持されるようになっている。

【００３１】

【考案の効果】以上のように、この考案によると、上板
に上向きの翼板と取付板を設けた上段支持具と下板に下
向きの翼板と取付板を設けた下段支持板とを重ね合わ
せ、凹部と凸部を嵌め合せて固着したので、板状体を取
付ける部分が一枚の金属板による翼板によって形成で
き、板状体の上下端面に加工する溝の幅を狭くできるた
め、板状体の肉厚が薄い場合でも欠損などがなく溝を加
工することができる。

【００３２】また、凹部と凸部とを嵌め合わせて上板と
下板とを重ね、上段支持具と下段支持具を固着したの
で、上段支持具と下段支持具の翼板の表面が同一面とな
る位置決めができ、板状体の表面が同上面となる仕上り
が得られる。

【００３３】さらに、上段支持具と下段支持具を長さ方
向に端部の位置をずらして固定したので、横方向に支持
具を継ぎ足すとき、上段支持具の上向き翼板の上縁に段
差が発生せず、取付けた板状体に上下のがたつきが生じ
ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る支持具の斜視図

【図２】支持具を継ぎ足した部分の正面図

【図３】壁面に取付板を釘止めした板状体取付け状態の
縦断側面図

【図４】壁面に取付けるチャンネルとホルダの斜視図

【図５】同上のチャンネルとホルダを用いて支持具を取
付けた板状体取付け状態の縦断側面図

【符号の説明】

Ａ 支持具 Ａ₁ 上段支持具 Ａ₂ 下段支持具 Ｂ 板状体 ｂ₁ 、ｂ₂ 溝 １、２ 翼板 ３ 凸部 ４ 凹部 ５ 上板 ６ 下板 ７、８ 取付板 ９ 鋲 １０ 長孔

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上板の前縁全長に上方向に突出する翼板
   と後縁全長に上方向に突出する取付板を設けた上段支持
   具と、前記上板と等しい幅を有する下板の前縁全長に下
   方向に突出する翼板と後縁全長に下方向に突出する取付
   板を設けた下段支持具とからなり、前記上板と下板に、
   この上板と下板を重ね合わせたとき互に嵌り合い、上段
   支持具と下段支持具の翼板同志及び取付板同志を同一面
   となるよう位置決めする、一方に凹部と他方に凸部を形
   成し、前記上段支持具と下段支持具を、嵌り合った凹部
   と凸部の部分で固定した板状体の支持具。
2. 【請求項２】 上段支持具と下段支持具を、長さ方向に
   端部の位置をずらして固定した請求項１記載の板状体の
   支持具。