JPH0410704Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は圧電素子変位増幅装置（以下圧電ア
クチユエータともいう）に関し、特にその耐振性
の改良に関するものである。

（従来の技術） 従来、積層圧電セラミツクスからなる圧電素子
と変位増幅装置とを組み合わせた高応答アクチユ
エータの開発が進められている。このような圧電
アクチユエータとしては、例えば、特開昭60−
81568号公報に開示されたものがある。これは第
４図に示すように、横方向には容易に撓むが、縦
方向にはほとんど伸縮しない帯状弾性体等からな
る撓み部材１を、あらかじめ撓ませた状態でレバ
ー・アーム２の両作用点部２ｃ間に結合してあ
る。レバー・アーム２の支点部２ｂは、ヒンジ３
を介して基板４の端部４ａに連結されている。５
は圧電素子で、基部は基板４に固定され、自由端
部は接続部材６およびヒンジ７を介してレバー・
アーム２の力点部２ａに接合されている。圧電素
子５に電圧を印加すると、自由端部が図示下方に
変位してレバー・アーム２をヒンジ３の回りに回
動させ、作用点部２ｃが撓み部材１の長手方向に
変位する。これにより撓み部材１の中央部は軸線
に対して直角方向に大きく変位して、圧電素子の
変位量が増幅される。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら上記のような圧電アクチユエータ
は、内燃機関用燃料噴射弁に組み込んで自動車等
に搭載した場合、帯状弾性体等からなる撓み部材
１が横方向（第４図において紙面に直角な方向）
の荷重Ｆを受けると振動しやすく、耐久性に問題
があつた。

そこでこの考案は、横方向の荷重を受けたとき
振動しにくく、耐振性の高い撓み部材を備えた圧
電素子変位増幅装置の提供を目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、この考案は、基板上
に支持された圧電素子と、ヒンジを介して支点を
前記基板上に連結され、両端に力点と作用点を有
し、前記力点は接続部材を介して前記圧電素子の
自由端部に接合されたレバー部材と、細長い弾性
体の中央部をあらかじめ撓ませてその両端を前記
レバー部材の作用点に結合された撓み部材とから
なる圧電素子変位増幅装置であつて、前記撓み部
材はリング状の線材からなり、中央部に作用部材
を挟持したとき平面形がひしがたを形成すること
を特徴とする。

（作用） 撓み部材に横方向から荷重が作用したとき、張
力を受ける側のひしがたの各辺が変形に対して抵
抗となり、撓み部材の振動を防止する。

（実施例） 以下実施例を示す図面に基づいて、この考案を
説明する。第１図は、この考案による圧電素子変
位増幅装置の正面図を示す。基板１１の両側に、
レバー部材１２がヒンジ１３を介して左右対称に
取り付けられている。１２ａはレバー部材１２の
力点部、１２ｂは同じく支点部、１２ｃは同じく
作用点部である。ヒンジ１３は、長手方向にはほ
とんど伸縮しない材質の薄板からなり、この実施
例では、基板１１およびレバー部材１２と一体成
形になつている。２個のレバー部材１２の間には
接続部材１４が配置され、その両端部は、一体成
形のヒンジ１５を介してレバー部材力点部１２ａ
にそれぞれ接続されている。

１６は撓み部材で、中央部１６ａを撓ませた状
態で、両端１６ｂをレバー部材１２の両作用点部
１２ｃに結合されている。撓み部材１６は第２図
の平面図に示すように、リング状の細長い弾性体
からなり、この実施例では薄い鋼板であるが、こ
のほか金属ワイヤなどとしてもよい。１７は作用
部材で、撓み部材１６の中央に挟持されている。
作用部材１７と接続部材１４との間にはリター
ン・スプリング１８が挿入され、作用部材１７を
外方へ付勢している。なお、撓み部材１６をばね
材で製作し、レバー部材１２に組み付けた状態で
あらかじめ外方へ撓ませた状態にしたおけば、リ
ターン・スプリング１８を省くことも可能であ
る。

基板１１と接続部材１４の間には空間が形成さ
れている。１９は積層圧電セラミツクスからなる
圧電素子で、基部は基板１１に固定され、自由端
部は接続部材１４の下面（図示）に接合されてい
る。

上記のような構成の圧電アクチユエータは、圧
電素子１９に電圧が印加されていないときは、リ
ターン・スプリング１８により作用部材１７が付
勢され、撓み部材１６が上方（図示）に撓んだ状
態となつて実線の位置にある。圧電素子１９に電
圧が印加されると、圧電素子１９が伸張してレバ
ー部材１２の作用点部１２ｃは外側に開き、撓み
部材１６の両端１６ｂも外側へ変位し、中央部１
６ａは一点鎖線の位置に移動する。次に通電を停
止すると、圧電素子１９は収縮し、作用点部１２
ｃは内側の位置に戻り、撓み部材１６は上記と反
対方向に進んでもとの実線の位置に移動する。

以上のような撓み部材１６の動きに伴なつて、
その中央部１６ａに結合された作用部材１７が所
定の機能を発揮する。例えば第３図に示すよう
に、作用部材１７に内燃機関用燃料噴射弁の弁体
２０が結合された場合は、弁体２０を往復動させ
ることにより、噴射口（図示しない）の開閉を行
なつて燃料噴射を制御する。

このような構成の圧電アクチユエータの作動中
に、撓み部材１６に横方向（第１図において紙面
に直角な方向）から荷重Ｆが作用したとき、張力
を受ける側のひしがたの各辺が変形に対して抵抗
となり、撓み部材１６が振動するのを防止する。
すなわち従来の圧電アクチユエータの平面図を示
す第５図において、撓み部材１の中央部に荷重Ｆ
を受けると、撓み部材の最大応力および最大撓み
は、基部における曲げモーメントＦ・Ａによつて
決まる。これに対してこの考案の撓み部材１６の
場合は、第２図において、基部における曲げモー
メントはＦ・Acosθとなる。したがつて荷重を受
ける側の辺の断面係数および曲げ剛性が従来の撓
み部材１と同一とすると、同一荷重Ｆを受けたと
き、この考案の撓み部材１６の方がcosθの分だけ
小さいモーメントが作用するので、応力、撓みと
もに小さくなる。

また作用部材１７の形状が大きい場合、撓み部
材１６との結合部１７ａの形状を小さくすること
によつて、圧電アクチユエータの大きさを変えず
に、撓み部材１６の性能に影響する長さＡを確保
することができる。この結果、第２図に示すよう
に、従来は作用部材８が１本の撓み部材１の中心
に取り付けられていたため、作用部材８が大きく
なつた場合、撓み部材１の長さＡを確保するため
圧電アクチユエータが大きくなつてしまうという
問題が解消される。したがつてこの考案によれ
ば、圧電アクチユエータのコンパクト化が可能に
なる。

（考案の効果） この考案は以上説明したように、リング状の線
材からなり、中央部に作用部材を挟持したとき平
面形がひしがたを形成する撓み部材を備えた圧電
アクチユエータであるから、撓み部材の横方向か
ら荷重を受けたとき、張力を受ける側のひしがた
の各辺が変形に対して抵抗となつて振動を防止す
ることができる。また撓み部材に取り付けられた
作用部材の取付け部を小さくすることができ、圧
電アクチユエータのコンパクト化が可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はこの考案の実施例を示
し、第１図はこの考案による圧電アクチユエータ
の正面図、第２図は同平面図、第３図は作用部材
に燃料噴射弁の弁体を取り付けた実施例の斜視図
である。第４図は従来の圧電アクチユエータの正
面図、第５図は同平面図を示す。 １１……基板、１２……レバー部材、１２ａ…
…力点部、１２ｂ……支点部、１２ｃ……作用点
部、１３……ヒンジ、１４……接続部材、１６…
…撓み部材、１６ａ……中央部、１６ｂ……端
部、１７……作用部材、１９……圧電素子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基板上に支持された圧電素子と、ヒンジを介し
   て支点を前記基板上に連結され、両端に力点と作
   用点を有し、前記力点は接続部材を介して前記圧
   電素子の自由端部に接合されたレバー部材と、細
   長い弾性体の中央部をあらかじめ撓ませてその両
   端を前記レバー部材の作用点に結合された撓み部
   材とからなる圧電素子変位増幅装置であつて、前
   記撓み部材はリング状の線材からなり、中央部に
   作用部材を挟持したとき平面形がひしがたを形成
   することを特徴とする圧電素子変位増幅装置。