JPH04107034U - 押出しチユーブ容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミニウム箔によって奏されるバリヤー性
能が損なわれるようなことがなく、しかも、耐熱性，耐
油性，香気成分に対する非吸着性等において優れた作用
を奏する押出しチューブ容器を得る。 【構成】 筒体からなるチューブ容器胴部の内表面層
が、未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム/ 酸変性ポリ
オレフィン系樹脂層/ アルミニウム箔からなる積層シー
トにおける未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムによっ
て形成されている押出しチューブ容器。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、アルミニウム箔によって奏されるガスバリヤー性が損なわれるよう なことがなく、しかも、耐熱性，耐油性，香気成分に対する非吸着性等において 優れた作用を奏する押出しチューブ容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

流動性〜半流動性を示す薬品，化粧品，練製品等を収容するチューブ容器は、 適度の腰の強さ，ガスバリヤー性，遮光性，耐油性，耐水性等を兼備する成形用 積層シートによって成形されている筒状の容器胴部と、この容器胴部に貼着され ている口頸部と、該口頸部に対して着脱可能に装着されているキャップとで形成 されているのが普通である。そして、筒状の容器胴部の最内層や最外層、及び口 頸部には、シール安定性，成形性，経済性等の点から、主としてポリエチレン樹 脂が利用されている。

【０００３】 しかるに、前記ポリエチレン樹脂は、チューブ容器内の内填物に含まれている 成分の吸着性が高く、しかも、熱安定性が低いことから、近年、ポリエチレン樹 脂に代えてポリプロピレン等の樹脂の検討が始められた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

チューブ容器は、容器内部に内填される流動性〜半流動性の物質と容器胴部の 内周面とが直接接触することがその特性であって、特に、薬品や化粧品等には浸 透性の高い成分が含有されているものが多く、容器胴部成形用の積層シートにア ルミニウム箔からなるバリヤー層が使用されている場合には、浸透性成分の浸透 によって、容器胴部の内表面層とアルミニウム箔との間の剥離が時間の経過と共 に進行するため、チューブ容器の使用中に剥離が発生するという問題がある。

【０００５】 これに対して本考案は、アルミニウム箔による各種の物質に対するバリヤーが 長期間に亙って適性に保持され、かつ、油性成分や香気成分を含有する物質に対 する保存性能が良好で、しかも、高浸透性物質に対する耐性においても優れた特 性を有する押出しチューブ容器を提供する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本第１の考案及び第２の考案の押出しチューブ容器は、一方の末端が閉塞され ている筒体からなるチューブ容器胴部と、該チューブ容器胴部の開放口部に接合 されている合成樹脂製の頭部とを具備するものである。

【０００７】 本第１の考案の押出しチューブ容器は、該容器における胴部の内表面層が、未 延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム/ 酸変性ポリオレフィン系樹脂層/ アルミニ ウム箔からなる積層シートにおける未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムによっ て形成されている。

【０００８】 また、本第２の考案の押出しチューブ容器は、該容器における胴部の内表面層 が、未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム/ 酸変性ポリオレフィン系樹脂層/ ア ルミニウム箔からなる積層シートにおける未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム によって形成されており、また、頭部が、ポリプロピレン系樹脂による成形体で 形成されている。

【０００９】 前記構成による本考案の押出しチューブ容器のチューブ容器胴部をなす円筒体 は、所謂ラミネートチューブと呼称される分野の成形用素材として利用される成 形用積層シートによる円筒状の成形体からなり、容器の内表面層側に、未延伸ポ リプロピレン系樹脂フィルム/ 酸変性ポリオレフィン系樹脂層/ アルミニウム箔 からなる積層シートが位置するような成形用積層シートが利用され、この未延伸 ポリプロピレン系樹脂フィルム/ 酸変性ポリオレフィン系樹脂層/ アルミニウム 箔からなる積層シート部分における未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムが容器 内表面層となるようにして成形されている。

【００１０】 容器内表面層をなす未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムとガスバリヤー性を 奏するアルミニウム箔との間に介装されている酸変性ポリオレフィン系樹脂層は 、これらの両者の間の接着剤層の機能を果たすもので、例えば、ポリエチレンに 対してアクリル酸，メタクリル酸，アクリル酸メチル，メタクリル酸エチルのモ ノマーをグラフト重合させた共重合体樹脂やアイオノマー樹脂等によって、厚さ ２０〜４０μ程度に形成されている。

【００１１】 また、この成形用積層シートにおける前述の未延伸ポリプロピレン系樹脂フィ ルム/ 酸変性ポリオレフィン系樹脂層/ アルミニウム箔からなる積層シート部分 の未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムや、第２の考案の押出しチューブ容器に おける頭部を成形するためのポリプロピレン系樹脂には、ポリプロピレンホモポ リマー，α- オレフィンとポリプロピレンとの共重合体，これらの混合物等によ る所謂ポリプロピレン系樹脂が利用される。

【００１２】 なお、前述の成形用積層シートにおいて、チューブ容器胴部の内表面層をなす 未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムには、厚さ６０〜２００μ程度のものが利 用される。

【００１３】 また、成形用積層シートにおけるアルミニウム箔には、該アルミニウム箔によ る十分なガスバリヤー性が奏されるように、厚さ５μ以上のものが利用される。

【００１４】

【実施例】

以下、本考案の押出しチューブ容器の具体的な構成を製造実施例を以って説明 する。

【００１５】 実施例１ ［図１］において、美粧印刷が付されている厚さ１２μの２軸延伸ポリエステ ルフィルム１と厚さ１６μのアルミニウム箔２とを、ポリエチレンの押し出し樹 脂層３を介して積層した後、２軸延伸ポリエステルフィルム１の表面に対して厚 さ１００μの未延伸ポリプロピレンフィルム４をポリエチレンの押し出し樹脂層 ５を介して積層し、また、アルミニウム箔２の表面に対して厚さ１００μの未延 伸ポリプロピレンフィルム６を厚さ３０μのエチレン・メタクリル酸共重合体の 押し出し樹脂層７を介して積層することにより、［図１］において符号８で表示 される厚さ３０９μのチューブ容器胴部の成形用積層シートを得た。

【００１６】 次いで、前述の成形用積層シート８を打ち抜き加工してチューブ容器胴部用の ブランク板を得た後、該ブランク板における未延伸ポリプロピレンフィルム６面 が内表面とされている直径35mm, 高さ150mm の円筒体を、前記ブランク板の左， 右の側辺部同士を重畳し、高周波接着することによって形成した。

【００１７】 続いて、チューブ容器の頭部成形用のマンドレルに対して前記円筒体を装着し 、該円筒体の一方の端部に対して、常法に従って、円錐台形状の肩部とそれに連 続する細首の口頚部との一体成形体からなる頭部を、ポリプロピレン樹脂による 射出成形によって形成し、［図２］において符号９で示されるような概略形状を 有する本考案の１実施例品である押出しチューブ容器を得た。

【００１８】 比較例１ 厚さ１２μの延伸ポリエステルフィルムと厚さ２０μのアルミニウム箔とをウ レタン系接着剤を利用して貼着した後、このものの表，裏両面に対してさらにウ レタン系接着剤を利用して厚さ１００μの未延伸ポリプロピレンフィルムを積層 し、チューブ容器胴部の成形用積層シートを得た。

【００１９】 続いて、以下実施例１における対応する工程と同様にして、比較のための押出 しチューブ容器を得た。

【００２０】 比較例２ 前記実施例１で利用した成形用積層シート８において、アルミニウム箔２と未 延伸ポリプロピレンフィルム６との間に介装されているエチレン・アクリル酸共 重合体の押出し樹脂層７の代わりに、厚さ３０μのポリエチレン樹脂の押出し樹 脂層を利用することによって、比較のための成形用積層シートを得た。

【００２１】 続いて、以下実施例１における対応する工程と同様にして、比較のための押出 しチューブ容器を得た。

【００２２】 ［試験１］ 前記実施例１、比較例１〜２によって得られた各押出しチューブ容器の口頸部 に対して別製のポリプロピレン樹脂製のキャップを嵌合した後、容器胴部の下端 の開放口部から外用消炎鎮痛剤を充填すると共に、容器胴部の底部を熱シールす ることにより、３種類の密封されている押出しチューブ容器を得た。

【００２３】 得られた各押出しチューブ容器を、４０℃，７０％ＲＨの恒温槽内に２週間及 び４週間保存した後に、容器胴部の底部をなしているシール部をカットして内填 物を絞り出し、さらに、容器胴部を縦方向に断裁して展開し、容器内表面の状態 を観察した。

【００２４】 なお、恒温槽内に４週間保存したものについては、２週間経過時点と３週間経 過時点とにおいて、各チューブ容器を恒温槽内から取り出し、チューブ容器胴部 を指先で揉んでから恒温槽内に戻した。

【００２５】 以上の手順によって２週間の保存を行なったものについては、比較例１のチュ ーブ容器には、容器胴部の底部をなしているシール部に連続する屈曲部に浮きが 発生していることが観察されたが、比較例２及び実施例１のチューブ容器につい ては外観上では問題が無かった。

【００２６】 また、４週間保存したものについては、比較例２のチューブ容器には、容器胴 部の底部をなしているシール部に連続する屈曲部及び指先で揉んだときにできた 屈曲部に浮きが発生していることが観察されたが、実施例１のチューブ容器には 外観上では問題が無かった。

【００２７】 ［実験２］ 前記実施例１、比較例１〜２によって得られた各押出しチューブ容器に対して 、口頸部に別製のポリプロピレン樹脂製のキャップを嵌合した後、容器胴部の下 端の開放口部から除毛クリームを充填すると共に、容器胴部の底部を熱シールす ることにより、３種類の密封されている押出しチューブ容器を得た。

【００２８】 得られた各押出しチューブ容器を、４０℃，７０％ＲＨの恒温槽内に３か月保 存した後、容器胴部の底部をなしているシール部をカットして内填物を絞り出し 、さらに、容器胴部を縦方向に断裁して展開し、容器内表面側からアルミニウム 箔の状態を観察した。

【００２９】 以上の手順による実験の結果、比較例１の押出しチューブ容器に内填されてい た除毛クリームは、アルミニウム箔の腐食のためにクリームが黒変していた。ま た、比較例２の押出しチューブ容器は、アルミニウム箔に発生している腐食の状 態がアルミニウム箔面の黒点によって観察された。実施例１による押出しチュー ブ容器には、アルミニウム箔の腐食は確認できなかった。

【００３０】

【考案の作用，効果】

本考案の押出しチューブ容器は、筒体からなるチューブ容器胴部の内表面層が 、未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム/ 酸変性ポリオレフィン系樹脂層/ アル ミニウム箔からなる積層シートにおける未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムに よって形成されている。

【００３１】 前記構成による本考案のチューブ容器においては、チューブ容器胴部の内表面 層である未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムとガスバリヤー性を奏するアルミ ニウム箔とが、酸変性ポリオレフィン系樹脂層によって接着されているものであ ることから、これらの両者の間の接着が極めて良好であり、浸透性または揮発性 の強い物質を含有する物質を内填させた場合にも、未延伸ポリプロピレン系樹脂 フィルムとアルミニウム箔との間に、内填物中に含有される浸透性または揮発性 の強い物質に起因するデラミが発生するようなことがないため、アルミニウム箔 による優れたバリヤー性能が持続される。

【００３２】 また、本考案の押出しチューブ容器は、筒体からなるチューブ容器胴部の内表 面層、すなわち、チューブ容器内に内填される物質と接触する面が、未延伸ポリ プロピレン系樹脂フィルムによって形成されているため、未延伸ポリプロピレン 系樹脂フィルムによる特性によって、耐熱性，耐油性，香気成分の非吸着性等に おいて、優れた作用が奏される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の押出しチューブ容器の容器胴部に利用
される成形用積層シートの積層構造を模型的に示す断面
図である。

【図２】本考案の押出しチューブ容器の１例を示す斜面
図である。

【符号の説明】

１ ２軸延伸ポリエステルフィルム ２ アルミニウム箔 ３ ポリエチレンの押し出し樹脂層 ４ 未延伸ポリプロピレンフィルム ５ ポリエチレンの押し出し樹脂層 ６ 未延伸ポリプロピレンフィルム ７ エチレン・メタクリル酸共重合体の押し出し樹脂層 ８ 成形用積層シート ９ 押出しチューブ容器

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方の末端が閉塞されている筒体から
   なるチューブ容器胴部と、該チューブ容器胴部の開放口
   部に接合されている合成樹脂製の頭部とを具備する押出
   しチューブ容器において、筒体からなるチューブ容器胴
   部の内表面層が、未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム
   / 酸変性ポリオレフィン系樹脂層/ アルミニウム箔から
   なる積層シートにおける未延伸ポリプロピレン系樹脂フ
   ィルムによって形成されていることを特徴とする押出し
   チューブ容器。
2. 【請求項２】 一方の末端が閉塞されている筒体から
   なるチューブ容器胴部と、該チューブ容器胴部の開放口
   部に接合されている合成樹脂製の頭部とを具備する押出
   しチューブ容器において、筒体からなるチューブ容器胴
   部の内表面層が、未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム
   / 酸変性ポリオレフィン系樹脂層/ アルミニウム箔から
   なる積層シートにおける未延伸ポリプロピレン系樹脂フ
   ィルムによって形成されており、また、チューブ容器胴
   部の開放口部に接合されている合成樹脂製の頭部が、ポ
   リプロピレン系樹脂による成形体からなることを特徴と
   する押出しチューブ容器。