JPH04106570U - ブーツのシール構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種産業機械や車両などにおいて、その伝動
系その他の軸部を覆うブーツのシール性および耐久性を
向上させる。 【構成】 熱可塑性合成樹脂のエラストマーで構成され
るブーツ１の固着部３が嵌装される軸部６の外周面に、
複数の環状凹溝１０を互いに間隔をあけて形成し、複数
の環状凹溝１０間に軸部６の外周面と同一面１１を形成
した構成である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、各種産業機械や車両などの伝動系その他の軸部を覆うブーツにおい て、軸部材に嵌装する固着部と軸部材とのシール強度を向上させたブーツのシー ル構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、各種産業機械や車両などにおいて、例えば、伝動系におけるジョイント 部分を覆う合成樹脂のエラストマーで構成されたブーツは、実公平２―１５０８ ８号公報に記載されているものが知られている。

【０００３】 上記公報に記載されているブーツにあっては、シャフトの外周面に複数の環状 突条と環状凹部が交互に形成されており、シャフトに嵌装したブーツの小径筒部 の外周面をリング状の止め具で締め付けて、ブーツの小径筒部の内周面を環状突 条に食い込ませることにより、シャフトに対する小径筒部のシール強度の向上を 図っている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のブーツのシール構造によれば、シャフトに対するブーツの小径筒部 のシール強度は向上するが、そのための構造として、シャフトの外周面に、先鋭 な突部を形成する環状突条を有しており、そのような環状突条にブーツの小径筒 部の内周面が食い込む状態を呈するところから、ブーツの伸縮や捻り変形に伴う 小径筒部への歪の波及の繰り返しによって、ブーツの小径筒部に亀裂が生じ易く 、早期に破断する虞がある。

【０００５】 本考案は、このような問題点を解消するためになされたものであって、ブーツ の固着部を嵌装する軸部材には、その外周面に複数の環状の凹溝を形成するもの であっても、複数の環状凹溝の間を軸部材の外周面と同一周面の滑らかな面とす ることによって、軸部材の環状凹部とブーツの固着部との内周面が滑らかに噛み 合う状態とし、もって、軸部材に対するシール強度の向上を図ることができ、し かも、ブーツの固着部が早期に破断するようなことがないブーツのシール構造を 提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記目的を達成するための技術的手段として次のように構成した。 すなわち、熱可塑性合成樹脂のエラストマーで構成され、蛇腹部の端部に軸部 材に対する筒状の固着部を有し、軸部材に嵌装した固着部の外周面を締め具によ り緊締する構成のブーツにおいて、軸部材の外周面には複数条の環状凹溝を互い に間隔をあけて形成するとともに、上記環状凹溝の間を軸部材の外周面と同一周 面とし、軸部材に嵌装したブーツの固着部の外周面を軸部材の上記複数の環状凹 溝に対応させて締め具で緊締したものである。

【０００７】

【作用】

本考案に係るブーツのシール構造によれば、軸部材にブーツの固着部を嵌装し て、固着部の外周面を締め具で緊締することによって、軸部材に対してブーツの 固着部がシール状態をもって固着される。

【０００８】 すなわち、軸部材の外周面には、複数の環状凹溝が形成されており、固着部の 外周面を緊締する締め具は、環状凹溝の形成されている位置に対応しているので 、締め具で緊締された固着部に内周面の一部が軸部材の外周面の環状凹溝、特に 凹溝が形成された付け根部分に噛み込み、その間に高いシール性が得られる。 つまり、ブーツの固着部のシール性に寄与するのは軸部材の外周面の環状突条 ではなくて、環状凹溝の付け根部分であることが判明したのである。 そして、軸部の外周面に形成されて複数の環状凹溝の間は、軸部の外周面と同 一周面が形成されていて滑らかな面をなしているので、上記のように環状凹溝に 噛み込んだブーツの固着部の内周面に対する当たりが滑らかであり、その部分が 破断しない。

【０００９】

【実施例】

図１には等速ジョイントを封止するブーツが例示されており、ブーツ１は、熱 可塑性合成樹脂のエラストマーをブロー成形したもので、蛇腹部２の一端に筒状 の固着部３を、かつ他端に筒状の大径固着部４を一体に形成してなるものである 。５は等速ジョイント、６は小径固着部側の軸部材でる軸部であり、ブーツ１の 固着部３は軸部６に嵌装されたうえ、その外周面が環状の締め具７によって緊締 されている。 また、ブーツ１の大径固着部４は大径固着部側の軸部材である外輪８に嵌装さ れ、締め具９によって緊締されている。

【００１０】 上記等速ジョイント５の軸部６の外周面には、環状凹溝１０が少なくとも環状 凹溝１０の幅より大きい互いに間隔をあけて複数条形成されており、その各環状 凹溝１０間は軸部６の外周面と同一面１１に形成されている。この同一周面１１ は平坦な面を呈している。 なお、特に好ましい環状凹溝１０の数は２〜４本である。 そして、前記のように複数の軸部６に嵌装された固着部３の外周面を緊締する 締め具７は、環状凹溝１０に対応している。

【００１１】 また、上記軸部６には、複数の環状凹溝１０が形成されている部位を挟んで、 突起１２、１３がそれぞれ形成されている。その一方の外輪８側の突起１２はブ ーツ１の固着部３の内側端面１４を係止する形状のものであり、他方の突起１３ は軸部６に挿し込んだ固着部３を容易に前進させることができるように傾斜案内 面１５を有し、かつ固着部３の外側端面１６を係止する突起である。 なお、上記突起１２、１３は、軸部３の外周面に突出させた複数個のもの、ま たは環状のものである。 固着部３の外周面には締め具７の係合凹部１７が形成されている。

【００１２】 ブーツ１を構成する熱可塑性合成樹脂は、ポリエステル系、ポリウレタン系、 ポリアミド系、ポリオレフィン系および塩化ビニル系の熱可塑性エラストマーな どであり、それらの単体またはブレンド体を単層あるいは多層状とする。

【００１３】 以上の実施例によれば、軸部６の外周面には、複数の環状凹溝１０が形成され ており、固着部３の外周面を緊締する締め具７は、環状凹溝１０に対応している ので、締め具７で緊締された固着部３の内周面の一部が軸部６の外周面の環状凹 溝１０に噛み込み、その間に高いシール性が得られる。 そして、軸部６の外周面に形成された複数の環状凹溝１０の間は、軸部６の外 周面と同一周面１１が形成されていて平坦な面をなしているので、上記のように 環状凹溝１０に噛み込んだブーツ１の固着部３の内周面に対する当たりが滑らか であり、その部分が破断することはない。

【００１４】 なお、上記実施例では、ブーツのシール構造を小径側の固着部に形成したが、 本考案のブーツのシール構造は、小径側に限定されるものではなく、大径側に形 成しても十分に効果を発揮するものである。

【００１５】

【考案の効果】

本考案は、次に記載する効果を奏するものである。

【００１６】 すなわち、本考案によれば、軸部の外周面には複数条の環状凹溝を互いに間隔 をあけて形成するとともに、上記環状凹溝の間を軸部の外周面と同一周面とし、 軸部に嵌装したブーツの固着部の外周面を軸部の上記複数の環状凹溝に対応させ て締め具で緊締する構成としたから、複数の環状凹溝の間が軸部の外周面と同一 周面の滑らかな面であり、軸部の環状凹部とブーツの固着部との内周面が滑らか に噛み合う状態として、軸部に対するシール強度の向上を図ることができ、しか も、ブーツの固着部の破断を確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す一部を破断した全体斜
視図である。

【図２】図１における部分拡大縦断正面図ある。

【符号の説明】

１ ブーツ ２ 蛇腹部 ３ 固着部 ５ 等速ジョイント ６ 軸部材 ７ 締め具 １０ 環状凹溝 １１ 軸部６の外周面と同一面 １２ 突起 １３ 突起

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱可塑性合成樹脂のエラストマーで構成
   され、蛇腹部の端部に軸部材に対する筒状の固着部を有
   し、軸部材に嵌装した固着部の外周面を締め具により緊
   締する構成のブーツにおいて、軸部材の外周面には複数
   条の環状凹溝を互いに間隔をあけて形成するとともに、
   上記環状凹溝の間を軸部材の外周面と同一周面とし、軸
   部材に嵌装したブーツの固着部の外周面を軸部材の上記
   複数の環状凹溝に対応させて締め具で緊締したことを特
   徴とするブーツのシール構造。