JPH0410516Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、カーエアコンの吹出口に取付けて、
送風を車内に一様に送るのに使用される自動首振
吹出装置に関する。

（従来の技術） 従来、カーエアコンの吹出口からの送風の向き
は、吹出口に設けられた仕切板を手指で左右に動
かすことによつて行われていた。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、カーエアコンの吹出口に設けら
れた仕切板は、手指で向きを変えねばならないの
で煩雑であり、通常は、一方向のみに向けられて
いた。したがつて、例えば冷房の場合、車内全体
に一様に冷風が行き届かず、一部に集中的に冷や
されるという不都合が生じていた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、前記従来技術の問題点に鑑みてなさ
れたものであつて、その特徴とするところは、本
体の前部に、エアコンからの送風を受けて回転す
る羽根車の回転運動を本体の前部に枢着されたル
ーバーの揺動運動に変換する機構が内蔵され、こ
の本体の前部が、本体の後部の両端部に設けられ
た凸部を軸として上下方向に回動可能に枢着さ
れ、本体の後部に、エアコン吹出口への着脱取付
具が取付けられていることである。

（作用） 本体の前部に、羽根車の回転運動をルーバーの
揺動運動に変換する機構が内蔵され、羽根車が、
エアコンからの送風を受けて回転し、ルーバーが
本体の前部に枢着されているので、エアコンから
の送風によつてルーバーが揺動される。

本体の前部が本体の後部に対して上下方向に回
動可能に枢着されているので、本体の前部を上下
方向に回動できる。

本体の後部にエアコン吹出口への着脱取付具が
取付けられているので、エアコン吹出口と別体に
製作することができ、着脱も任意に行なうことが
できる。

（実施例） 本体の前部は、前枠１とその後部に連設された
基枠２とからなる。

前枠１は、上下枠部１０１，１０２が左右枠部
１０３，１０４により連結された形の正面視長方
形の枠体に一体成形されている。左右枠部１０
３，１０４の後側の辺は後方へ凸状となる略Ｖ字
形に形成され、左右枠部１０３，１０４の横断面
は前端が内向きに屈曲された略Ｊ字形とされてい
る。すなわち正面からみた場合、第２図において
破線で示すような溝状の部分を有しており、後端
へ開口されている。また、上下枠部は、それぞれ
前端が内方に屈曲され、縦断面略Ｌ字形状とされ
ている。

この前枠１の左右枠部１０３，１０４の内面に
は、基枠２が基枠２の左右枠部２０３，２０４の
外側前部にそれぞれ二本ずつ設けられた突片２ａ
によつて固着されている。これにより、基枠２は
前枠１の後部に連設されている。つまりこの基枠
２は、正面から視た場合、第１図に破線で示すよ
うな態様で取付けられる。この基枠２は、正面が
長方形であつて上下枠部２０１，２０２と左右枠
部２０３，２０４とも前枠１の内側面に取付けら
れている部分が、方形状であるが上下枠部２０
１，２０２の前枠１の後方へ露出している部分
は、円弧状とされている。また、基枠２の上下枠
部２０１，２０２の前端には、小切欠２ｃが複数
対にわたつて形成されている。

基枠２の内部には、ギア等が取付けられるため
の取付杆４が、基枠２と一体成型されている。

この取付杆４は、基枠２の上下枠部２０１，２
０２の正面からみた場合の中央部に架設された縦
枠４ａと、左右枠部２０３，２０４間に上下二段
にわたつて架設された横杆４ｂと前記縦杆より左
方の前記二段にわたつて架設された横杆間に斜め
方向に架設された杆４ｃとからなる。

この取付杆４には、複数のギアとピニオンギア
からなる、減速装置が取付けられている。

すなわち、ピニオンギア６とギア８が軸１１に
よつて下側の横杆４ｂの縦杆４ａより若干右側の
位置に、ギア９とピニオンギア７が軸１２によつ
て斜め方向の杆４ｃの上部に、また、ギア１０が
軸１３によつて斜め方向の杆４ｃの下方に、それ
ぞれ回転可能に軸支されている。

基枠２の右枠部２０４には、円弧形の切欠部２
ｂが設けられると共に、前枠１の右枠部１０４に
は縦長開口部１ａが、前記切欠部２ｂに連通して
設けられている。

この縦長開口部１ａおよび、切欠部２ｂからな
る孔には、円弧形で、かつ片方端に三角形状の切
欠１６ａが他方の端部に円弧形の小切欠１６ｂが
それぞれ設けられている切替スイツチ１６が嵌め
込まれている。

この切替スイツチ１６の前記三角形状の切欠１
６ａと反対側に設けられた円弧形の切欠１６ｂ
に、可動杆１７の右端部すなわち軸状の部分が嵌
装されている。この可動杆１７は、略６字形に形
成されている。可動杆１７の切替スイツチ１６側
に対して反対側の端部は、軸１４によつて、取付
杆４の縦杆４ａ上部の後側に回動自在に取付けら
れている。

この可動杆１６の前側の所定位置には、ピニオ
ンギア５が、後側には、四枚羽根で直径が基枠２
の上下幅より若干小さい羽根車１５が、それぞれ
同一の軸１８によつて回転可能に軸支されてい
る。

可動杆１７の下方の所定位置に軸支されている
ピニオンギア５は、ギア８に噛合している。同様
に、ギア８の後側のピニオンギア６がギア９に、
このギア９の前側のピニオンギア７が、末端のギ
ア１０にそれぞれ噛合している。末端のギア１０
の十字形の部分の適所には、突子１０ａが突設さ
れている。

前枠１には、正面が長方形で、側面がコ字形の
スライドステー１９が、前枠１の左右枠部１０
１，１０２の内側にそれぞれ二本ずつ内方へ突出
した状態で前枠１と一体成型された、はずれ止め
２０に、はずれ止め２０の後方から嵌め込まれ、
左右に摺動可能とされている。このスライドステ
ー１９内のギア１０寄りの位置には、縦棒部１９
ａが二本、平行に架設されており、この二本の縦
棒部１９ａの間の縦長孔１９ｂには、前記突子１
０ａの先端部が位置する。

スライドステー１９の上下面の後方には、平面
視長方形の開口部１９ｃが、基枠２に形成された
前記小切欠２ｃに等しい間隔で複数対形成されて
いる。

ルーバー２１は、このスライドステー１９およ
び本体前枠に枢支されることによつて取付けられ
ることになる。このルーバー２１は、扁平な形状
であつて、側面が第４図に示すような形状であ
り、ルーバー２１の後部には、矩形切欠部２１ａ
が上下に形成されている。

この上下二ケ所の矩形切欠部２１ａのうちの上
側の矩形切欠部２１ａの上縁および下側の矩形切
欠部２１の下縁には、それぞれ、突起２１ｂが、
先端を対向させて設けられており、この突起２１
ｂがスライドステー１９の前記開口部１９ｃに枢
着している。

また、ルーバー２１の上下端には、突起軸２１
ｃが前記突起２１ｂと第３図の平面配置におい
て、偏芯位置に形成されており、この突起軸２１
ｃは、基枠２の前端の上下枠部２０１，２０２に
設けられた前記小切欠２ｃに、枢着されている。

基枠２の左右枠部２０３，２０４の後方へ露出
した部分の略中央部には、凹部２ｄが設けられ、
この凹部２ｄには、本体の後部である正面視長方
形の後枠３の内側面の前方中央部に設けられた凸
部３ａが枢着することにより、基枠２と後枠３が
連設されている。

基枠２は、前述したように上下枠部２０１，２
０２の後部が円弧状とされており、かつ前枠１の
左右枠部１０３，１０４の後枠３寄りの辺が、後
方に凸の略Ｖ字形とされているので、前枠１とこ
れに連設された基枠２とからなる本体の前部は、
後枠３に設けられた前記凹部２ｄに枢着された凸
部３ａを軸として、前記したＶ字形の角度の範囲
内で、上下方向に回動させることにより向きを変
えることができる（第５図参照）。

後枠３の後側の四隅には、後枠の奥行き方向に
長い挿入孔３ｂが穿孔されている。

この挿入孔３ｂのうちの二つに、着脱取付具が
取付けられた線体２２の両端部が挿入される。

この線体は、ステンレス等の弾性材で成形され
たもので、形状は、Ｖ字形であつて、両端部が直
角に折曲されており、この折曲された部分が前記
挿入孔３ｂに挿入されることになる。また、この
折曲された部分は波形とされており、挿入孔３ｂ
が挿入された際に抜け止めの役目をしている。

この線体には、着脱取付具として二個のクリツ
プ２３が、二又でかつ周囲が円弧とされたピン２
４を介して取付けられる。このクリツプ２３は、
基端に円形の穴があけられている。このクリツプ
２３の線体２２への取付け要領は、以下の通りで
ある。

ピン２４の又部で線体２２を挟んだ後、手指で
この又部を閉じる。次にクリツプ２３の基端の穴
を、閉じられたピン２４の又部にかぶせ、手指を
離すと、又部が、その復帰力によつて開き、クリ
ツプ２３の基端の穴の周囲に当接する。

クリツプ２３は、線体２２に上記のような状態
で取付けられているので、線体の長手方向に摺動
可能であり、かつピン２４の外周面上を回転自在
となる。なお、第１図において線体２２は、対角
に位置する挿入孔３ｂに取付けられているが、こ
の線体２２は、ステンレス製で弾性があるので、
手指に線体２２の両端間の幅を狭めながら、第６
図に矢符で示すように横方向に隣接する挿入孔３
ｂに挿入することもできる。

本考案にかかる自動首振吹出装置は、全ての部
品がプラスチツク等の軽量材からなるので、羽根
車１５の回転を効率よくルーバー２１の首振運動
に変換できる。

最後に、本考案にかかる自動首振吹出装置の動
作説明をする。

後枠３の挿入孔３ｂに挿入された線体２２に取
付けられたクリツプ２３をカーエアコンの吹出口
の仕切板２５の幅や、あるいは仕切板２５が縦方
向か、横方向かによつて位置合わせを行ない、仕
切板２５を挟持するようにして取付けられる。

カーエアコンを作動させると、吹出口からの送
風によつて羽根車１５が回転し、可動杆１７を挟
んで羽根車１５と同一の軸１８に軸支されている
ピニオンギア５が、羽根車１５と同じサイクルで
回転することになる。

ピニオンギア５の回転は、ギア８に伝えられ
る。このとき、可動杆１７に連設されている切替
スイツチ１６の切欠１６ａの下方が、前枠１の縦
長開口部１ａから外部へ突出している（第７図参
照）。この突出している部分がスイツチの役割を
しており、この部分を手指で、内方へ押すと、切
替スイツチ１６の切欠１６ａの上部が外部へ突出
することになる。そして、切替スイツチ１６に連
設された可動杆１７は、第８図に示す位置に移動
されるため、ピニオンギア５とギア８の噛合がは
ずれ、羽根車１５の回転が、複数のギアからな
る、減速装置に伝わらなくなる。すなわち自動首
振吹出装置が作動しない状態となる。

さて、ギア８に伝えられた羽根車１５の回転
は、ギア８と同一の軸１１に軸支されたピンオン
ギア６により、ギア９に伝えられる。さらに、こ
のギア９と同一の軸１２に軸支されたピニオンギ
ア７によつて、末端のギア１０に順次減速して伝
えられる。

ギア１０の前側に突設された突子１０ａがギア
１０の回転に伴い、スライドステー１９の縦棒部
１９ａに当接することによつて、スライドステー
１９が第３図に、二点鎖線で示すように左右方向
に動かされる。

次に、ルーバー２１が、第３図に二点鎖線で示
すように、その矩形切込部２１ａに設けられた突
起２１ｂが、スライドステー１９の開口部１９ｃ
に枢着されていることにより、基枠２の上下の小
切欠２ｃに枢着された突起軸２１ｃを中心とした
左右への揺動運動を行なうことになる。

（考案の効果） 本考案は、本体の前部に、エアコンからの送風
を受けて回転する羽根車の回転運動を本体の前部
に枢着されたルーバーの揺動運動に変換する機構
が内蔵され、この本体の前部が、本体の後部の両
端部に設けられた凸部を軸として上下方向に回動
可能に枢着され、本体の後部に、エアコン吹出口
への着脱取付具が取付けられていることによりな
るので、以下の効果がある。すなわちルーバーの
揺動運動により、カーエアコンからの送風を自動
的に車内に一様に吹き渡らせることが可能であ
り、また風向を一定方向に固定したい場合は、切
替スイツチを押すだけでよい。カーエアコン吹出
口への取付けの際は、吹出口の形状や吹出口の仕
切板の向きに応じて、位置合わせを行なえばよ
く、極めて容易に取付ることができる。さらに、
自動首振吹出装置の吹出口の上下の向きを、手指
で容易に変えることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案にかかる自動首振吹出装置の
ルーバーとスライドステーを省略した正面図、第
２図は、内部構造を省略した正面図、第３図は、
中心に沿つた横断面図、第４図は、第３図の−
線に沿う縦断面図（可動杆は省略）、第５図は、
エアコンの吹出口へ取付けられた状態を表わす側
面図、第６図は、ルーバーおよびスライドステー
を省略した分解斜視図、第７図および第８図は、
切替スイツチの変換による可動杆の状態を表わす
正面図である。 １……前枠、２……基枠、２ｄ……凹部、３…
…後枠、３ａ……凸部、４……取付杆、５，６，
７……ピニオンギア、８，９，１０……ギア、１
０ａ……突子、１４……羽根車、１５……切替ス
イツチ、１７……可動杆、１８……スライドステ
ー、２１……ルーバー、２２……線体、２３……
クリツプ、２４……ピン、２５……エアコン吹出
口の仕切板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 本体の前部に、エアコンからの送風を受けて
   回転する羽根車の回転運動を本体の前部に枢着
   されたルーバーの揺動運動に変換する機構が内
   蔵され、この本体の前部が、本体の後部の両端
   部に設けられた凸部を軸として上下方向に回動
   可能に枢着され、本体の後部に、エアコン吹出
   口への着脱取付具が取付けられていることを特
   徴とするカーエアコン用自動首振吹出装置。 (2) 羽根車の回転運動をルーバーの揺動運動に変
   換する機構が、羽根車の回転により回転される
   複数のギアからなる減速装置と、複数のギアの
   うちの末端のギアの前側に突設された突子によ
   つて左右方向へ押し動かされるスライドステー
   とからなる実用新案登録請求の範囲第１項記載
   のカーエアコン用自動首振吹出装置。