JPH041007Y2 - - Google Patents

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JPH041007Y2
JPH041007Y2 JP18546787U JP18546787U JPH041007Y2 JP H041007 Y2 JPH041007 Y2 JP H041007Y2 JP 18546787 U JP18546787 U JP 18546787U JP 18546787 U JP18546787 U JP 18546787U JP H041007 Y2 JPH041007 Y2 JP H041007Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 A 考案の目的 (1) 産業上の利用分野 本考案は、前方側に油圧室を形成するとともに
後方側に補給油室を形成してマスタピストンがシ
リンダ本体に摺動可能に嵌合され、マスタピスト
ンには補給油室および油圧室間の連通、遮断を司
る弁機構が設けられ、該弁機構をマスタピストン
の後退限で開弁駆動せしめるべくストツパピンが
マスタピストンをその一直径線上で貫通して配設
されるマスタシリンダと;マスタシリンダのマス
タピストンを操作部材の作動に応じて倍力作動せ
しめるための油圧ブースタと;を備える油圧式倍
力装置に関する。
(2) 従来の技術 従来、かかる油圧式倍力装置としては、たとえ
ば特公昭53−39953号公報で開示されているよう
に操作部材のストロークが油圧制御用弁を開閉す
るだけのわずかなものである所謂ストロークレス
型と、操作部材のストロークがマスタシリンダに
おけるマスタピストンと同じである所謂ストロー
ク型とが知られている。
(3) 考案が解決しようとする問題点 ところが、上記ストロークレス型のものでは、
操作部材のストロークがわずかであり、操作量が
移動量に対応しないために違和感がある。また油
圧失陥時にはストロークが増大するので、油圧制
御弁のシートのレイアウト等が困難になる。さら
にストローク型のものは、操作部材のストローク
が大き過ぎ、これを短くするためにシリンダ本体
の内径を大きくすることがあるが、そうすると油
圧失陥時に効きが悪くなる。
また従来の油圧式倍力装置では、ブースタピス
トンに設けた駆動ロツドでマスタピストンを押圧
するようにしている。このため駆動ロツドは少な
くともマスタピストンの移動量に応じた長さが必
要であり、弁機構を駆動するためのストツパピン
を挿通すべくマスタピストンに設けた長孔を、マ
スタピストンの移動量に応じた長さだけマスタピ
ストンに穿設すると、全体長さが長くなる。そこ
で従来では、弁機構の開閉に必要なストツパピン
の移動を確保するだけの短い長孔をマスタピスト
ンに穿設し、ストツパピンの両端を保持するホル
ダを後方側に向けてばね付勢し、マスタピストン
が後退限に位置したときにホルダを前方側に移動
させて弁機構を開弁するようにしている。このよ
うにすると、全体長さを短くすることができる
が、ストツパピンの保持構造が複雑である。
本考案は、かかる事情に鑑みてなされたもので
あり、任意のストロークを得られるようにし、し
かも弁機構を開閉するためのストツパピンの固定
構造を簡略化した油圧式倍力装置を提供すること
を目的とする。
B 考案の構成 (1) 問題点を解決するための手段 本考案によれば、油圧ブースタのブースタシリ
ンダはシリンダ本体後端に結合され、該ブースタ
シリンダ内で後方側に付勢されるとともに制限さ
れた範囲での軸方向移動が可能なブースタピスト
ンの背面に臨んで形成された出力油圧室と、油圧
供給源に通じる入力油圧室との間に、操作部材に
連なつてブースタピストンに摺動自在に嵌合され
た弁ピストンのブースタピストンに対する前進作
動に応じて開弁する入口弁が介設され、前記出力
油圧室と油槽に通じる出口室との間に、前記弁ピ
ストンのブースタピストンに対する前進作動に応
じて閉弁する出口弁が介設され、前記シリンダ本
体の後部にはマスタピストンの後部を摺動可能に
嵌合するとともにその後退限を規制すべくブース
タシリンダ内に延びる筒体が固定され、マスタピ
ストンの後端に臨んで筒体内にはブースト室が形
成され、先端を該ブースト室に油密的に突入させ
る弁ピストンには、前記入口弁の開弁に応じて入
力油圧室およびブースト室を連通する給油路が穿
設され、ストツパピンは、マスタピストンの移動
量に応じてマスタピストンに穿設された長孔を貫
通して筒体に固定される。
(2) 作用 上記構成によれば、操作部材により弁ピストン
を前方側に押圧操作すると、その初期には出口弁
が閉弁するとともに入口弁が開弁し、ブースト室
に油圧が供給されてマスタピストンが前方に移動
する。この際、出力油圧室にも油圧が供給される
ので、ブースタピストンが前進し、ブースタピス
トンが前進限に到達するまでの間に、ブースタピ
ストンおよび弁ピストンが相互に交代しながら相
対移動し、この間には操作部材のストロークに応
じてマスタピストンが前進する。またブースタピ
ストンが前進限に達してからは入口弁が開弁した
ままとなり、したがつてブースト室に油圧が供給
されたままとなるので出力油圧が急激に増大す
る。
またストツパピンは、マスタピストンにその移
動量に応じて穿設された長孔を貫通するととも
に、マスタピストンの後退限を規制する筒体に固
定されるので、構造が極めて簡単であり、しかも
マスタピストンの位置と弁機構の開閉時期との適
正な関係が容易にかつ正確に得られ、開弁精度を
向上することができる。
(3) 実施例 以下、図面により本考案の一実施例について説
明すると、先ず第1図において、自動車の2系統
式油圧ブレーキ用タンデム型マスタシリンダMの
シリンダ本体1には、その上部に油槽2が形成さ
れる。この油槽2内の下部は、隔壁3により前部
油溜4と後部油溜5とに区画される。
シリンダ本体1には、前端が閉塞したシリンダ
孔6が設けられており、このシリンダ孔6には、
前部マスタピストン7と、後部マスタピストン8
とが摺動自在に嵌合される。シリンダ孔6の前部
端壁と前部マスタピストン7との間には前部油圧
室9が画成され、前部マスタピストン7と後部マ
スタピストン8との間には後部油圧室10が画成
される。また前部油圧室9には前部マスタピスト
ン7を後方側に付勢する第1戻しばね12が収容
され、後部油圧室10には両マスタピストン7,
8を相互に離反する方向に付勢すべく第1戻しば
ね12よりもセツト荷重を小さく設定された第2
戻しばね13が収容される。これらの戻しばね1
2,13により両マスタピストン7,8は相互に
連動して進退作動する。
シリンダ本体1には、前部油圧室9に常時連通
する第1出力ポート14と、後部油圧室10に常
時連通する第2出力ポート15とが穿設され、こ
れらの出力ポート14,15には図示しない油圧
ブレーキ回路がそれぞれ接続される。したがつて
各油圧ブレーキ回路には、前部油圧室9および後
部油圧室10の加圧状態に応じたブレーキ油圧が
それぞれ供給される。
前部マスタピストン7には、相互間に環状溝1
7を介在した一対のランド18,19が軸方向に
間隔を開けて設けられており、これらのランド1
8,19には、シリンダ孔6の内面に摺接するカ
ツプシール20,21が嵌着され、これにより両
ランド18,19間には環状の油室22が画成さ
れる。しかも前部油圧室9および油室22間のラ
ンド18およびそれ18に嵌着されたカツプシー
ル20は、前部油圧室9が油室22よりも減圧さ
れたときには油室22から前部油圧室9への作動
油の流通を許容すべく構成され、シリンダ本体1
には油室22を前部油溜4に連通せしめる油孔2
3が穿設される。
前部マスタピストン7の前部には、該ピストン
7をその一直径線上で貫通してシリンダ本体1に
固定されたストツパボルト24により開閉駆動さ
れる弁機構25が、前部油圧室9および油室22
間を連通・遮断可能にして配設されており、この
弁機構25は、前部マスタピストン7が後退限に
戻つたときにストツパボルト24で押圧されて開
弁作動する。また前部マスタピストン7には、両
ランド18,19間にわたる部分で一直径線に沿
う長孔26が穿設されており、ストツパボルト2
4はその長孔26に挿通される。
第2図を併せて参照して、シリンダ本体1の後
端には、段部35を介して大径の嵌合孔部36が
設けられており、該段部35に当接する鍔部37
を中間部外面に有する円筒状の筒体38がシリン
ダ本体1の後端部にシール部材39を介して嵌合
される。この筒体38ん後部は、シリンダ本体1
から後方側に突出されており、筒体38の後端に
は半径方向内方に張出した規制鍔40が全周にわ
たつて設けられる。後部マスタピストン8には、
相互間に環状溝41を介在した一対のランド4
2,43が軸方向に間隔をあけて設けられてお
り、前方側のランド42にはシリンダ本体1の内
面に摺接するカツプシール44が嵌着される。ま
た後方側のランド43は筒体38内に挿入される
ものであり、このランド43には筒体38の内面
に摺接するカツプシール45が嵌着される。これ
により両ランド42,43間には環状の補給油室
46が画成される。しかも前方側のランド42お
よびカツプシール44は、後部油圧室10が補給
油室46よりも減圧されたときには補給油室46
から後部油圧室10への作動油の流通を許容すべ
く構成され、シリンダ本体1および筒体38に
は、補給油室46を油槽2に連通せしめる補給油
路47が設けられる。
後部マスタピストン8には、そのランド42,
43間にわたる部分で一直径線に沿う長孔48が
後部マスタピストン8の移動量に応じた長さを有
して穿設されており、筒体38にはその長孔48
を貫通するストツパピン49の両端が固定され
る。また後部マスタピストン8の前部には、スト
ツパピン49により開閉駆動される弁機構50
が、後部油圧室10および補給油室46間を連
通、遮断すべく配設されており、この弁機構50
は後部マスタピストン8が後退限に戻つたとき、
すなわちランド42が筒体38の先端に当接した
ときにストツパピン49で押圧されて開弁する。
筒体38の後部には、ガイド部材51が嵌合さ
れる。このガイド部材51は、規制鍔40に内方
側から当接する鍔部52を前端に有して基本的に
円筒状に形成されており、後端部を筒体38の後
端から後方側に突出させて筒体38内に嵌合され
る。鍔部52の外面には、筒体38の内面に接触
するシール部材53が嵌着される。これにより後
部マスタピストン8およびガイド部材51間で筒
体38内には、後部マスタピストン8の後端が臨
むブースト室54が画成され、後部マスタピスト
ン8はそのブースト室54の油圧増大に応じて前
進作動する。
シリンダ本体1の後端には、前記筒体38を同
心に囲繞する連結筒部55が前記嵌合孔部36と
の間に段部56を形成して突設され、段部56に
は、前記嵌合孔部36内に突入して筒体38の鍔
部37を段部35との間に挟持する円筒状押圧部
57aを一体に有する円環状の挟持部材57が当
接される。
油圧ブースタBはブースタシリンダ58を備え
ており、このブースタシリンダ58の前部には、
前記連結筒部55を内部に嵌合し得る連結筒部5
9が突設され、連結筒部55の外面には連結筒部
59の内面に接触するシール部材60が嵌着され
る。また該連結筒部59の先端にはフランジ61
が設けられており、このフランジ61と、シリン
ダ本体1における連結筒部55の基端に設けたフ
ランジ62とが複数のボルト63により結合さ
れ、これによりマスタシリンダMおよび油圧ブー
スタBが連結される。
ブースタシリンダ58には、後部マスタピスト
ン8と同軸上にシリンダ孔64が穿設されてお
り、このシリンダ孔64と前記連結筒部59との
間にはマスタシリンダM側に臨む段部65が設け
られる。この段部65には、前端を前記挟持部材
57に当接するとともに外面には連結筒部59の
内面に接触するシール部材66を有する円筒状の
案内筒体67の後端が当接される。したがつてシ
リンダ本体1およびブースタシリンダ58を相互
に結合した状態で、挟持部材57および案内筒体
67は軸方向に当接しながらシリンダ本体1およ
びブースタシリンダ58間に挟持され、それに応
じて筒体38もシリンダ本体1に固定される。
案内筒体67の内径D1は、シリンダ孔64の
内径D2よりも小さく(D1<D2)設定されて
おり、基本的に円筒状のピストンガイド68が案
内筒体67およびブースタシリンダ58に摺動可
能に嵌合される。このピストンガイド68は、案
内筒体67内に摺動可能に嵌合するランド69を
前端に有するとともに、シリンダ孔64に摺動可
能に嵌合するランド70を後端に有するものであ
り、ランド69には案内筒体67の内面に摺接す
るカツプシール71が嵌着され、ランド70には
シリンダ孔64の内面に摺接するカツプシール7
2が嵌着される。これにより案内筒体67および
ブースタシリンダ58と、ピストンガイド68と
の間には環状油圧室73が形成される。一方、ブ
ースタシリンダ58と案内筒体67との間には環
状の油室74が形成されており、この油室74
は、案内筒体67の後端に設けられた切欠きと段
部65との間の油路75を介して前記環状油圧室
73に連通する。さらにブースタシリンダ58に
は、図示しない油圧供給源を油室74に連通させ
る入口油路76が穿設されており、環状油圧室7
3には油圧供給源からの油圧が常時供給されてい
る。しかも前述のようにD1<D2であるので、
環状油圧室73の油圧によりピストンガイド68
は後方側に向けて押圧されており、油圧失陥がな
い限り、ピストンガイド68は、ブースタシリン
ダ58の後端に設けられた規制鍔部77にランド
70が当接する後退限位置にある。またピストン
ガイド68の前端と、マスタシリンダMにおける
シリンダ本体1の後端に押付けられている挟持部
材57との間には、油圧失陥が生じたときにピス
トンガイド68を後退限位置に向けて押圧するた
めの戻しばね78が縮設される。
ピストンガイド68には、内径D3の第1シリ
ンダ孔部80と、該シリンダ孔部80の後端部に
同軸に連設されるとともに前記内径D3よりも小
径の内径D4(D3>D4)を有する第2シリン
ダ孔部81とが穿設されており、第1および第2
シリンダ孔部80,81にはブースタピストン8
2が摺動可能に嵌合される。すなわちブースタピ
ストン82は、第1シリンダ孔部80に摺動可能
に嵌合する大径部82aと、該大径部82aの後
端に連設されるとともに第2シリンダ孔部81に
摺動可能に嵌合する小径部82bとを有して基本
的に円筒状に形成される。またブースタピストン
82における大径部82aには環状溝83が設け
られており、この大径部82aの軸方向に沿う環
状溝83の両端縁には第1シリンダ孔部80の内
面に摺接するカツプシール84,85が嵌着さ
れ、ピストンガイド68における第2シリンダ孔
部81にはブースタピストン82の小径部82b
に摺接するカツプシール86が嵌着される。
ピストンガイド68と、ブースタピストン82
における大径部82aとの間には、環状溝83に
より環状の入力油圧室87が画成され、この入力
油圧室87を環状油圧室73に連通させるための
油路88がピストンガイド68に穿設される。ま
たピストンガイド68とブースタプストン82と
の間には、ブースタピストン82における大径部
82aの背面に臨む環状の出力油圧室89が画成
される。
ブースタピストン82の後端には円筒状の受け
部材90が嵌着されており、この受け部材90と
ピストンガイド68の後端との間には、ブースタ
ピストン82を後方側に付勢するストローク調整
ばね91が縮設される。さらにブースタピストン
82の前部には、半径方向外方に張出した規制鍔
92が、ピストンガイド68の前端に当接可能に
して一体に設けられ、これによりブースタピスト
ン82のピストンガイド68に対する後退限が規
定される。
ブースタピストン82には、前方側の小径シリ
ンダ孔部93と、後方側の大径シリンダ孔部94
とが同軸に穿設されており、これらのシリンダ孔
部93,94には、操作部材としてのプツシユロ
ツド115に連結された弁ピストン95が摺動可
能に嵌合される。すなわち弁ピストン95は、小
径孔部93にシール部材96を介して摺動可能に
嵌合する小径部95aと、大径孔部94に摺動可
能に嵌合する大径部95bとが同軸に連設されて
成り、大径部95bの後端にプツシユロツド11
5が同軸に連結される。また弁ピストン95にお
ける小径部95aの先端は、ガイド部材51を摺
動可能に貫通してブースト室54に突入される。
しかもガイド部材51の内面には前記小径部95
aの外面に摺接するシール部材97が嵌着され
る。
マスタシリンダMの挟持部材57および筒体3
8と、ブースタピストン82の前端との間には、
案内筒体67で外周を規定されて出口室98が画
成される。また連結筒部55,59および案内筒
体67間には環状油路99が画成されており、こ
の環状油路99は案内筒体67に穿設された連通
孔100を介して出口室98に連通する。さらに
連結筒部59には環状油路99に連通する出口油
路101が穿設されており、この出口油路101
は図示しない油槽に接続される。したがつて出口
室98は油槽に通じることとなる。
前記入力油圧室87および出力油圧室89間の
連通、遮断を果たす入口弁102と、出力油圧室
89および出口室98間の連通、遮断を果たす出
口弁103とが、ブースタピストン68と弁ピス
トン95とで構成される。
入口弁102は、弁ピストン95の中間部外面
に設けられた環状凹部104と、入力油圧室87
に連通してブースタピストン82に穿設された入
口弁孔105とで構成されるものであり、環状凹
部104は弁ピストン95の軸線方向に比較的長
く設けられ、入口弁孔105はブースタピストン
82の半径方向に沿つて穿設される。しかもブー
スタピストン82には、弁ピストン95の軸方向
相対移動に拘らず環状凹部104を出力油圧室8
9に常時連通させるための連通孔106が穿設さ
れる。
かかる入口弁102は、入口弁孔105が環状
凹部104に連通したときに開弁するものであ
り、弁ピストン95がブースタピストン82に対
して後退限にあるときには入口弁孔105が環状
凹部104よりも前方位置にあつて閉弁状態とな
るように、入口弁孔105および環状凹部104
の位置が設定される。
また弁ピストン95には、その中間部から先端
まで軸方向に沿つて穿設される給油路107が穿
設されており、この給油路107の後端は環状凹
部104に常時連通される。したがつて入口弁1
02が開弁したときには給油路107にも油圧が
供給されるものであり、この給油路107の前端
はブースト室54に連通するので、入口弁102
の開弁時にはブースト室54にも油圧が供給され
ることになる。
出口弁103は、出口室98に連通すべくピス
トンガイド68およびブースタピストン82の前
端部間に形成された環状室108に連通してブー
スタピストン82に穿設される第1出口弁孔10
9と、前記給油路107に連通して弁ピストン9
5に穿設される第2出口弁孔110とで構成され
るものであり、両出口弁孔109,110は、相
互に対応する位置でブースタピストン82および
弁ピストン95の半径方向に沿つて穿設される。
かかる出口弁103では、弁ピストン95がブー
スタピストン82に対して後退限にあるときに
は、第1および第2出口弁孔109,110が相
互に連通してわずかに開弁しているものであり、
弁ピストン95のブースタピストン82に対する
前進作動が開始したときには、前記入口弁102
が開弁する前に閉弁する。しかも出口弁103が
開弁しているときには給油路107が出口室98
に連通し、ブースト室54および出力油圧室89
の油圧が解放される。
ブースタピストン82の後端に螺着された受け
部材90には、弁ピストン95の後端に当接して
弁ピストン95の後退限を規制するサークリツプ
111が嵌着される。また受け部材90および弁
ピストン95の後端間にはばね112が縮設さ
れ、このばね112により弁ピストン95は後方
側に向けて付勢される。
次にこの実施例の作用について説明すると、ブ
レーキペダルPの非作動状態では、弁ピストン9
5はばね111のばね力によりブースタピストン
82に対して後退限に保持されており、ブースタ
ピストン82はストローク調整ばね91によりピ
ストンガイド68に対する後退限に保持されてい
る。しかもピストンガイド68は、環状油圧室7
3に供給されている油圧により、その後端のラン
ド70がブースタシリンダ58の規制鍔部77に
当接する後退限にある。かかる状態では、入口弁
102は閉弁しており、出口弁103は開弁して
いるので、出力油圧室89およびブースト室54
は大気圧状態となつている。
この状態で自動車を制動すべくブレーキペダル
Pを踏込むと、ブレーキペダルPからプツシユロ
ツド115を介して弁ピストン95が前方に押動
され、先ず出口弁103か閉弁し、次いで入口弁
102が開弁する。このためブースト室54には
入力油圧室87から給油路107を介して油圧が
導入され、後部マスタピストン8がその背面に油
圧を受けて前進し、マスタシリンダMの倍力作動
が開始される。
ところで、入口弁102が開弁したときには、
上述のようにブースト室54に油圧が供給される
とともに、出力油圧室89にも油圧が供給され、
ブースタピストン82もその背面に油圧を受ける
ことにより弁ピストン95に対して相対的に前進
移動するので、入口弁102が閉弁されるととも
に出口弁103が開弁される。而して、その入口
弁102の閉弁および出口弁103の開弁前にブ
ースト室54に作用した油圧により後部マスタピ
ストン8が前進し、第3図の実線で示す特性線
P0−P1のようにマスタシリンダMの出力油圧は
急激に増大する。これにより制動機端末までの各
部遊〓が直ちに除去されることになる。
出力油圧がP1に達してからは、ブレーキペダ
ルPの踏込みに応じて弁ピストン95が前進する
ことにより、弁ピストン95のブースタピストン
82に対する前進移動、ならびにブースタピスト
ン82の弁ピストン95に対する前進移動が交互
に繰返され、入口弁102および出口弁103の
開弁および閉弁が交互に繰返され、したがつて、
ブースト室54の油圧すなわち後部マスタピスト
ン8の前進移動量も弁ピストン95の前進移動量
に応じて増大し、特性線P1−P2で示すように、
マスタシリンダMの出力油圧がストロークに応じ
て増大する。
ブースタピストン82の先端がその前進移動に
よりガイド部材51に当接してからは、ブースタ
ピストン82の前進作動が阻止される。したがつ
てそれ以降は、ブレーキペダルPの踏込力により
入口弁102を開弁したままで弁ピストン95の
みが前進する。しかしブースト室54の油圧がブ
レーキペダルPの踏込力よりも大きくなると、弁
ピストン95が押し戻されて入口弁102が閉弁
する。さらにブレーキペダルPの踏込を続けると
弁ピストン95が再度前進し、入口弁102を開
弁する。このような作用の繰返しによりブースト
室54の油圧が第3図の特性線P2−P3で示すよ
うに急激に増大する。而してブレーキペダルPの
踏込力がブースト室54の油圧(給油圧)よりも
大きくなると、弁ピストン95は一気に前進する
が、ブースタピストン82における小径部82b
の後端に弁ピストン95における大径部95bが
当接するので、第3図の特性線P3−P4で示すよ
うに弁ピストン95の前進はわずかで止まり、ス
トローク作動が停止する。しかも前記弁ピストン
95の前後動は、入口弁102が開弁するか閉弁
するかの極く微小な動きであるので、操作フイー
リングを損なうことはない。
マスタシリンダMの作動を解除すべくブレーキ
ペダルPを解放すると、ばね112のばね力によ
り弁ピストン95は先ず入口弁102を閉弁し、
次いで出口弁103を開弁する。これによりブー
スト室54の油圧が解放されて後部マスタピスト
ン8が後退限まで後退するとともに、出力油圧室
89の油圧が解放されるので、ブースタピストン
82はストローク調整ばね91のばね力によりそ
の規制鍔92がブースタピストン82の前端に当
接するまで速やかに後退する。
かかる油圧式倍力装置において、第3図の特性
線P1−P2は、内径D3が内径D4よりも大(D
3<D4)であることに起因して出力油圧室89
の油圧によりブースタピストン82を前方側に押
圧する油圧力と、ストローク調整ばね91により
ブースタピストン82を後方側に付勢するばね力
との釣り合いにより定まるものであり、マスタシ
リンダMの出力油圧をストロークに対応させる範
囲は、前記内径D3,D4およびストローク調整
ばね91のセツト荷重を調整することで任意に設
定可能である。したがつて第3図の鎖線Aで示す
ストロークレス型のものに比べると、操作量を作
動量に任意の範囲で対応させて違和感を無くすこ
とができ、また第3図の鎖線Bで示すストローク
型のものと比べると、ストロークを短くすること
ができる。
またこの油圧式倍力装置で油圧失陥が生じたと
きを想定する。この場合、環状油圧室73の油圧
が低下するので、ピストンガイド68は、戻しば
ね78により後退限に保持されている。このた
め、ブレーキペダルPを踏込んで制動操作をする
と、弁ピストン95はばね112を収縮しながら
前進作動し、さらにストローク調整ばね91およ
び戻しばね78を収縮しながらブースタピストン
82およびピストンガイド68が前進作動し、弁
ピストン82は後部マスタピストン8の後端に当
接して該ピストン8を前方側に押圧移動せしめ
る。これによりマスタシリンダMから出力油圧が
生じる。しかもストローク調整ばね91はピスト
ンガイド68とともに移動するものであり、した
がつてストローク調整ばね91を圧縮するための
操作力が比較的小さくてすむ。この弁ピストン9
5、ブースタピストン82およびピストンガイド
68の前進移動は、ガイド部材51に当接したブ
ースタピストン82の先端がガイド部材51を筒
体38内に押込みながら筒体38の後端に当接す
るまで継続し、これによりマスタシリンダMから
充分な出力油圧を得ることができ、油圧失陥時に
も充分な制動油圧を得ることが可能となる。しか
もガイド部材51が筒体38内を摺動可能である
ので、油圧失陥時における弁ピストン95のスト
ロークを確保しながら、ガイド部材51を比較的
長く設定することができ、そのようにガイド部材
51の長さを比較的長くすることにより弁ピスト
ン95のガイドを充分に果たすことができる。
しかもマスタシリンダMにおける後部マスタピ
ストン8に設けられた弁機構50を開閉駆動する
ためのストツパピン49は、後部マスタピストン
8の後退限を規制する筒体38に固定すればよい
ので、固定構造が簡単であるとともに、後部マス
タピストン8の位置と弁機構50の開閉時期との
適正な関係を容易にかつ正確に得ることができ、
弁機構50の開弁時期精度を容易に向上すること
ができる。
C 考案の効果 以上のように本考案によれば、油圧ブースタの
ブースタシリンダはシリンダ本体後端に結合さ
れ、該ブースタシリンダ内で後方側に付勢される
とともに制限された範囲での軸方向移動が可能な
ブースタピストンの背面に臨んで形成された出力
油圧室と、油圧供給源に通じる入力油圧室との間
に、操作部材に連なつてブースタピストンに摺動
自在に嵌合された弁ピストンのブースタピストン
に対する前進作動に応じて開弁する入口弁が介設
され、前記出力油圧室と油槽に通じる出口室との
間に、前記弁ピストンのブースタピストンに対す
る前進作動に応じて閉弁する出口弁が介設され、
前記シリンダ本体の後部にはマスタピストンの後
部を摺動可能に嵌合すべくブースタシリンダ内に
延びる筒体が固定され、マスタピストンの後端に
臨んで筒体内にはブースト室が形成され、先端を
該ブースト室に油密的に突入させる弁ピストンに
は、前記入口弁の開弁に応じて入力油圧室および
ブースト室を連通する給油路が穿設されるので、
操作部材のストロークと出力油圧とを対応させる
範囲を任意に設定することができ、操作部材のス
トロークを従来のストロークレス型およびストロ
ーク型の中間範囲として、違和感の解消を図るこ
とが可能となる。
またストツパピンは、マスタピストンの移動量
に応じてマスタピストンに穿設された長孔を貫通
するとともに、マスタピストンの後退限を規制す
る筒体に固定されるので、ストツパピンの固定構
造を簡略化するとともにマスタピストンの位置と
弁機構の開閉時期との適正な関係を容易にかつ正
確に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
図面は本考案の一実施例を示すものであり、第
1図は縦断側面図、第2図は油圧ブースタの拡大
縦断面図、第3図は特性線図である。 1……シリンダ本体、8……マスタピストン、
10……油圧室、38……筒体、46……補給油
室、48……長孔、49……ストツパピン、50
……弁機構、54……ブースト室、58……ブー
スタシリンダ、82……ブースタピストン、87
……入力油圧室、89……出力油圧室、95……
弁ピストン、102……入口弁、103……出口
弁、107……吸油路、115……操作部材とし
てのプツシユロツド、B……油圧ブースタ、M…
…マスタシリンダ。

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 前方側に油圧室を形成するとともに後方側に補
    給油室を形成してマスタピストンがシリンダ本体
    に摺動可能に嵌合され、マスタピストンには補給
    油室および油圧室間の連通、遮断を司る弁機構が
    設けられ、該弁機構をマスタピストンの後退限で
    開弁駆動せしめるべくストツパピンがマスタピス
    トンをその一直線上で貫通して配設されるマスタ
    シリンダと;マスタシリンダのマスタピストンを
    操作部材の作動に応じて倍力作動せしめるための
    油圧ブースタと;を備える油圧式倍力装置におい
    て、油圧ブースタのブースタシリンダはシリンダ
    本体後端に結合され、該ブースタシリンダ内で後
    方側に付勢されるとともに制限された範囲での軸
    方向移動が可能なブースタピストンの背面に臨ん
    で形成された出力油圧室と、油圧供給源に通じる
    入力油圧室との間に、操作部材に連なつてブース
    タピストンに摺動自在に嵌合された弁ピストンの
    ブースタピストンに対する前進作動に応じて開弁
    する入口弁が介設され、前記出力油圧室と油槽に
    通じる出口室との間に、前記弁ピストンのブース
    タピストンに対する前進作動に応じて閉弁する出
    口弁が介設され、前記シリンダ本体の後部にはマ
    スタピストンの後部を摺動可能に嵌合するととも
    にその後退限を規制すべくブースタシリンダ内に
    延びる筒体が固定され、マスタピストンの後端に
    臨んで筒体内にはブースト室が形成され、先端を
    該ブースト室に油密的に突入させる弁ピストンに
    は、前記入口弁の開弁に応じて入力油圧室および
    ブースト室を連通する給油路が穿設され、ストツ
    パピンは、マスタピストンの移動量に応じてマス
    タピストンに穿設された長孔を貫通して筒体に固
    定されることを特徴とする油圧式倍力装置。
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