JPH039878Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は吹込式鋳型造型用型のベント装置に関
し、特にベント孔が詰ることを防止し得るベント
装置に関するものである。、 鋳型造型機の一種にエアーにより鋳物砂を型内
に吹込んで中子や主型等の鋳型を造型する吹込式
のものがある。この吹込式鋳型造型機を使用する
鋳型造型においては、鋳物砂吹込時に形状的な関
係等からエアー抜けの良くないところが生じ、砂
の充填性の悪い部位が生ずるので、従来よりその
対策として、エアー抜き用のベントプラグを使用
していた。しかし、この方策によると、ある一定
期間使用している間にベント孔に砂や樹脂が詰ま
つてベント機能を果さなくなり、砂充填不良が多
発するため、定期的にベントプラグの取外し清掃
または取替えを行なわなければならなかつた。

本考案はこのような事情を背景になされたもの
であり、従つてその目的とするところは、ベント
孔の詰りが防止でき、ベントプラグを定期的に取
外して清掃したり、取替えたりすることを必要と
しない吹込式鋳型造型用型のベント装置を提供す
ることにある。

そして、本考案は、上記の目的を達成するため
に、吹込式鋳型造型用の型に外部からその型のキ
ヤビテイに達する貫通孔を形成するとともに、そ
の貫通孔にベントプラグをキヤビテイ側の前進位
置と外部側の後退位置との間で摺動可能に嵌合
し、そのベントプラグの外周面に、そのベントプ
ラグの前記キヤビテイ側の端から軸心に平行に、
そのベントプラグが少なくとも前記前進位置と後
退位置とのいずれか一方にある状態で前記キヤビ
テイを前記外部に連通させる長さで延びるベント
溝を形成し、かつ、そのベントプラグを弾性部材
によつて前記後退位置へ付勢したことを特徴とす
るものである。勿論、ベント溝は気体の通過は許
容するが、鋳物砂の通過は許容しない大きさの断
面積を有するものとすべきである。

このベント装置を備えた鋳型造型用型において
は、ベントプラグが前進位置または後退位置にあ
つて、ベント溝がキヤビテイを外部に連通させて
いる状態で造型が行われる。したがつて、造型時
にはキヤビテイから空気等の気体がベント溝を経
て外部に流出することができ、鋳物砂の充填不良
が回避される。

そして、ベントプラグが後退位置にある状態で
造型が行われる場合には、造型後ベントプラグが
弾性部材の付勢力に抗して前進させられる。ま
た、ベントプラグに押込み力が加えられて、弾性
部材の付勢力に抗して前進位置に保たれた状態で
造型が行われる場合には、造型後にベントプラグ
に対する押込み力が解除されることにより、ベン
トプラグが弾性部材の付勢力によつて後退させら
れる。いずれの場合にも、ベントプラグは一造型
サイクル毎に一往復動させられるのであり、この
ベントプラグの型に対する相対移動によつて両者
の境界近傍（ここにベント溝のキヤビテイ側の端
が開口する）に付着した鋳物砂の脱落が促され
る。また、ベント溝の溝面と型の貫通孔内面とに
よつてベント孔が形成されることとなるが、ベン
トプラグの移動によりベント溝の溝面と貫通孔内
面とが相対移動することとなるため、万一ベント
孔内に鋳物砂が詰つた場合でも、この鋳物砂が積
極的に排除されることとなる。

これによつて、ベント孔の詰りが良好に防止で
きるため、従来不可欠であつたベントプラグの定
期的な清掃、取替え等を行う必要が無くなり、あ
るいは低減して、鋳型造型用型の保守に要する工
数が低減する効果が得られる。

しかも、ベントプラグは弾性部材により後退位
置へ付勢されているため、ベントプラグに単純な
押込み力を加えるのみでこれを往復動させること
ができ、ベントプラグを機械装置によつて往復動
させる場合にはその装置を簡易なものとすること
ができ、また、作業者によつて往復動させる場合
には操作が簡単となる効果が得られる。

以下本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説
明する。

まず、第１図において、１０は吹込式鋳型造型
機の一種であるシエル造型機における水平分割タ
イプの中子造型用上型（金型）であり、この上型
１０には、その外部からこの上型のキヤビテイ１
２に達する貫通孔が形成されている。すなわち、
この上型１０にはキヤビテイ面１３から遠ざかる
に従つて径の小さくなるテーパ孔１４が形成され
ており、そのテーパ孔１４の末端からストレート
孔１６が上型１０の外側に向つて延び、このスト
レート孔１６と同軸に外側から上型１０に形成さ
れた大径孔１７内に開口させられている。このス
トレート孔１６には、中間部にフランジ１８を有
する段付軸状のベントプラグ２０が摺動可能に嵌
合されるとともに、このベントプラグ２０には、
これをキヤビテイ１２から引込む方向に付勢する
圧縮コイルばね２２が嵌挿されている。そして、
前記大径孔１７の入口部に形成されたざぐり穴２
３には、押え板２４が皿小ねじ２５によつて取付
けられて、前記圧縮コイルばね２２による上型１
０の外側向きの付勢力に抗してベントプラグ２０
を支持しており、この状態においてはテーパ孔１
４の端をベントプラグ２０の端が塞ぐようにされ
ている。押え板２４の中心には貫通孔が形成され
ているが、この貫通孔はベントプラグ２０の一端
が嵌入することによつて塞がれている。そして、
ベントプラグ２０の他端部、すなわち前記テーパ
孔１４に近い側の部分の外周面には、第２図に示
すようにストレート孔１６の中心線すなわち、ベ
ントプラグ２０の軸心に平行な一定長さを有する
複数（本実施例では４個）の溝２６が形成されて
いる。更に、ベントプラグ２０の溝２６側のフラ
ンジ１８近傍に直角に設けられた小孔は、ベント
プラグ２０の他端部からその軸心に沿つてあけら
れた小孔に連通し、エアー抜き孔２８が形成され
ている。

尚、３０はブローブツシユであり、中心部には
砂を吹込むための貫通孔が形成されている。

また、上型１０の外側には、第３図に示すよう
に、前記ベントプラグ２０、ブローブツシユ３０
に対応する位置に押出ピン３２，３４を有する押
出し板３６が設けられて、ベントプラグ２０及び
中子を押出し可能とされている。この押出し板３
６を駆動する装置については、よく知られている
ので図示及び詳しい説明は省略する。

以上のような構成になるベント装置を備えた上
型１０と図示しない下型とが重ね合わされ、電熱
ヒータ等により所定温度に加熱された後、鋳物砂
（レジンコーテツドサンド）がブローブツシユ３
０の吹込口から吹込まれると、鋳物砂はキヤビテ
イ１２に充填される。そして、鋳物砂とともにキ
ヤビテイ１２内に吹込まれたエアーは、第１図に
示すベントプラグ２０の溝２６を通つて大径孔１
７内に入り、更にベントプラグ２０のエアー抜き
孔２８を通つて型外部で放出される。この際、テ
ーパ孔１４内にも鋳物砂が充填される。

所定時間が経過して吹込まれた鋳物砂がキヤビ
テイ１２内で熱硬化した後、図示しない装置によ
り下型が下降させられると同時に、第３図に示す
ように押出し板３６が下降させられると、押出し
ピン３２がベントプラグ２０を押し、その先端部
をキヤビテイ１２内へ突出させるとともに、押出
しピン３４がブローブツシユ３０の孔内に嵌入す
る。これによつて、熱硬化した中子は、その外面
に形成された突部が破損することなく、離型させ
られることになる。中子が取出された後押出し板
３６が上方に移動させられると、ベントプラグ２
０は圧縮コイルばね２２の付勢力により上方に持
上げられて、ベントプラグ２０の先端がテーパ孔
１４の末端まで引込む。

上記のように、ベントプラグ２０がテーパ孔１
４及びストレート孔１６内を移動させられると
き、その周辺に付着した砂がかき落されるため、
ベント孔の役割を果す溝２６の詰りが自然に防止
されることとなる。なお、中子取出後に、キヤビ
テイ１２内をエアーで清掃する際、キヤビテイ面
１３から突出しているベントプラグ２０も同時に
清掃し得るようにすることも可能であり、このよ
うにすれば一層確実にベント孔の詰りを防止し得
る。

本実施例装置によれば次の効果が生ずる。

(1) キヤビテイ１２内に吹込まれたエアーはベン
トプラグ２０の溝２６を通り、大径孔１７内に
出て、更にエアー抜き孔２８を経て外部に放出
されるので、このベント作用によりテーパ孔１
４の砂充填性が改善される。

(2) 離型に際して型の貫通孔からベントプラグ２
０が突出し、再び引込むとき、溝２６の周辺に
付着した砂や樹脂が同時に掻き落されることに
なり、ベント孔の詰りが防止されて、ベント機
能を長期間維持し得る。従つて、定期的なベン
トプラグの取外し清掃や取替えが不要となる。

(3) 離型時、テーパ孔１４内に形成された中子の
突部は押出しピン３２及びベントプラグ２０に
より押出されるので、破損のおそれがない。

(4) 通常はベントプラグ２０の一端部が押え板２
４の貫通孔に嵌入してこれを塞ぎ、かつフラン
ジ１８が押え板２４に密着しており、また、ベ
ント孔の役割を果す溝２６は詰りの心配なく細
くすることができるため、型上面の清掃時に、
ベント孔から砂等が落下して下型のキヤビテイ
面上に落ちる不具合が解消され得る。

第４図および第５図は、本考案の他の実施例を
示すものである。

第４図において、４０，４２はシエル造型機の
垂直分割タイプの中子造型用金型であり、その内
部にキヤビテイが形成されている。そして、金型
４０のキヤビテイ面が深く凹んだ部分の上方に
は、前記第１図に示した実施例と同様に貫通孔が
形成されている。但し、この貫通孔は入口部にテ
ーパ孔１４が形成されていない点及び大径孔４３
が段付状になつている点において前記実施例と異
なる。そして、この貫通孔には前記実施例と同様
な構造のベントプラグ４４、押え板４５及び圧縮
コイルばね４６が配設されている。なお、ベント
プラグ４４はフランジ４８及び溝４９を備えて前
記実施例のベントプラグ２０と同様な形状を有す
るが、フランジ４８を貫通するエアー抜き孔５０
が形成されている点で異なる。

そして、金型４０，４２の上側には、吹込口５
１を有する吹込ヘツド５２が上下方向に移動可能
に設けられている。この吹込ヘツド５２の端面に
は押出しピン５４が設けられており、吹込口５１
が金型４０，４２に当接させられるとき、ベント
プラグ４４を、そのフランジ４８が大径孔４３の
段部５５に当接し、その先端面がキヤビテイ面と
一致するまで、押し出すようにされている。ま
た、金型４０の側方に配置された押出し板５６に
は、押出しピン５８，６０が立設されており、左
側の金型４２が離型すると同時にまたはその後
に、押出し板５６と押出しピン５８，６０が同方
向に移動し、金型４０から中子を押出すようにさ
れている。

上記構成を有する実施例装置において、吹込ヘ
ツド５２が金型４０，４２に接近させられ、吹込
口５１が当接させられると、ベントプラグ４４は
押出しピン５４に押されて、その先端面はキヤビ
テイ面と同一平面上に位置することになる。この
状態において、吹込口５１から鋳物砂が吹込ま
れ、キヤビテイ内に充填されて熱硬化させられ、
中子が造型される。尚、キヤビテイ内に吹込まれ
たエアーはベントプラグ４４の溝４９及びフラン
ジ４８のエアー抜き孔５０を通り、更に押出しピ
ン５４と押え板４５の貫通孔内面との隙間を経て
外部に放出される。

そして、中子が硬化した後、吹込ヘツド５２が
金型４０，４２から離間させられると、押出しピ
ン５４がベントプラグ４４から離れ、ベントプラ
グ４４は圧縮コイルばね４６に押されて元の位置
に戻る。次に、図示しない装置により金型４２が
離型されると同時に押出し板５６が左側に移動
し、押出しピン５８，６０によつて中子が押出さ
れて離型させられる。第５図はその状態を示す。
その他は前記実施例の場合と同様である。

本実施例によれば、離型時、ベントプラグ４４
の先端はキヤビテイ面から引込んだ状態となるの
で、中子表面にかじりの生ずるおそれがない。そ
の他、前記実施例の前記効果のうち、(1)，(2)及び
(4)の効果が得られる。

前記第１図ないし第５図に示した装置は吹込式
シエル造型機における本考案の実施例を示したも
のであるが、砂吹込後反応ガスをキヤビテイ内に
吹込んで鋳型を硬化させる形式の造型機等につい
ても本考案を適用し得る。要するに、エアー等に
より鋳物砂を吹込んで造型する鋳型造型機であれ
ば適用が可能なのである。また、前記実施例にお
いては、ベントプラグが、鋳型申押出装置または
吹込ヘツドによつて、１造型サイクル毎に１往復
ずつ自動的に移動させられるようになつていた
が、適宜の時期に作業者が手動で移動させるよう
にすることも可能であり、この場合でも従来のよ
うにベントプラグを取外して行なう場合よりは清
掃が容易となる。

なお、本考案は上記各実施例に限定されるもの
ではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲におい
て種々なる改良、変更等を加えた態様で実施し得
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を含む上型の部分断
面図であり、第２図は第１図における−断面
図である。第３図は第１図に示す実施例において
押出し板が作用したときの状態を示す部分断面図
である。第４図は本考案の他の実施例を含む造型
機の造型用型を示す断面図であり、第５図は第４
図に示した造型用型が開いた状態を示す断面図で
ある。 １０：上型、１２：キヤビテイ、｛１４：テー
パ孔、１６：ストレート孔、１７，４３：大径
孔、２３：ざぐり穴｝貫通孔、２０，４４：ベン
トプラグ、２２，４６：圧縮コイルばね（弾性部
材）、２６，４９：溝（ベント孔）、４０，４２：
金型。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吹込式鋳型造型用の型に外部からその型のキヤ
   ビテイに達する貫通孔を形成するとともに、その
   貫通孔にベントプラグを前記キヤビテイ側の前進
   位置と前記外部側の後退位置との間で摺動可能に
   嵌合し、そのベントプラグの外周面に、そのベン
   トプラグの前記キヤビテイ側の端から軸心に平行
   に、そのベントプラグが少なくとも前記前進位置
   と後退位置とのいずれか一方にある状態で前記キ
   ヤビテイを前記外部に連通させる長さで延びるベ
   ント溝を形成し、かつ、そのベントプラグを弾性
   部材によつて前記後退位置へ付勢したことを特徴
   とする吹込式鋳型造型用型のベント装置。