JPH038020Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、架空送電線における鉄塔両端の本
線を相互に電気的に接続するための吊架式ジヤン
パ装置に関し、特に、両側の本線に接続されるジ
ヤンパ導体の長さ方向の中間部分を吊架材に添設
固定する部分の構成に特長があるものである。

〔従来の技術〕

ジヤンパ導体を両側の本線に電気的に接続する
とともに、ジヤンパ導体の長さ方向の中間部を吊
架材により支持する構造のいわゆる吊架式ジヤン
パ装置において、ジヤンパ導体の前記中間部を把
持する手段として、特許的には種々の構造のもの
が知られているが、実線路において現実に用いら
れているものは、ボルト締付け型の導体把持金具
によつてジヤンパ導体を吊架材に添設固定するも
のである。例えば第５図に断面で示す如く、剛体
ロツドからなる吊架材１の長さ方向に間隔を置い
て固定した各取付板２の両側に、導体把持溝３
ａ，４ａをそれぞれ対向して持つ１対の金具、す
なわち、上部金具３および下部金具４をそれぞれ
独立して備えたもので、各下部金具４は取付板２
に固定さ、ボルト５により上部金具３を下部金具
４に締付け固定して、導体把持溝３ａ，４ａにて
ジヤンパ導体６を把持する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記従来の構造では、取付板２の左右に１対の
金具３，４と締付けボルト５からなる独立した把
持部をそれぞれ構成することから、図示の如く、
吊架材１に金具３，４を接近させたとしても、左
右のジヤンパ導体６の間隔ｍは充分に小さくなら
ない。

ところで、ジヤンパ装置の中間部分においてジ
ヤンパ導体の間隔ｍを狭くすることは、すなわ
ち、第６図の広いジヤンパ導体間隔m₁を第７図
の狭い間隔m₂とすることは、鉄塔７に対する絶
縁間隔ｚが一定距離以上必要なことから、この距
離ｚを同距離に保つと、アーム７ａ上のジヤンパ
導体支持位置が鉄塔中心部側に寄り（その距離を
₁，₂で示す）従つてアーム７ａの長さを短く
することを可能とする（L₁，L₂で示し、L₂＜
L₁）。アーム７ａを短くすることは、鉄塔の小型
化を実現し、鉄塔材料費、組立費、用地費の減少
と、建設期間の短縮、省力化をもたらす。

この考案は上記事情に鑑み、導体把持金具で把
持するジヤンパ導体間隔ｍをさらに狭くしようと
するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案においては、上記問題点を解決するた
めに、導体把持金具を、幅方向両側に導体把持溝
をそれぞれ対向して持つ上部金具と下部金具とで
構成するとともに、上部金具または下部金具の何
れか一方の幅方向中央部を吊架材に固定し、下部
金具と上部金具とは、その幅方向中央部にて吊架
材を貫通する共通の一本のボルトにより互いに締
付け固定する構造とした。

〔作用〕

中央部の１本のボルトにより下部金具と上部金
具とが締付け固定され、両側の導体把持溝にてジ
ヤンパ導体が把持される。

〔実施例〕

以下この考案の一実施例を第１図〜第４図に従
つて説明する。

第３図は吊架式ジヤンパ装置の側面図、第４図
は同平面図を示し、多導体送電線の本線１０が引
留めクランプ１１、ヨーク等の金具１２、耐張碍
子連１３を介して鉄塔１４のアーム１４ａに耐張
支持され、鉄塔１４の両側の本線１０は、各引留
めクランプ１１に両端が接続された撚線からなる
ジヤンパ導体１５によつて相互に電気的に接続さ
れている。

両側の金具１２には吊り材１６がそれぞれ連結
され、これらの吊り材１６により剛体ロツドから
なる吊架材１７の両端近傍部が支持されている。
この吊架材１７には導体把持金具１８が長さ方向
に間隔を置いて複数個取り付けられ、吊架材１７
に添わされた２本のジヤンパ導体１５がこれらの
導体把持金具１８により把持されている。

この考案は、前記ジヤンパ導体１５を吊架材１
７に添設固定する部分の構成に特徴を有するもの
で、これを詳細に説明すると、導体把持金具１８
は、第１図、第２図に示す如く、半円形断面の導
体把持溝１９ａ，２０ａを幅方向両側にそれぞれ
対向して持つ上部金具１９と下部金具２０とを備
え、下部金具２０は、底板部２１とこの底板部２
１の両側部にねじ２２により固定された把持部２
３とからなり、この把持部２３に前記導体把持溝
２０ａが形成されている。

実施例の吊架材１７は、２本の縦長矩形断面の
金属杆１７ａからなり、これらの金属杆１７ａは
下部金具２０の底板部２１の幅方向（第１図にお
いて左右方向）中央の両隣りに溶接固定されてい
る。すなわち、２本の金属杆１７ａよりなる吊架
材１７としては、底板部２１の幅方向中央に固定
されていることになる。

そして、下部金具２０の底板部２１の幅方向中
央部には、ボルト２４が下面がわから上向きにボ
ルト頭が回り止めされた状態で挿入され、このボ
ルト２４は、２本の金属杆１７ａ，１７ａの間を
貫通して上部金具１９の幅方向中央にあけたボル
ト孔１９ｂに挿通され、このボルト２４およびナ
ツト２５により上部金具１９が下部金具２０に締
付け固定され、こうして、左右の導体把持溝１９
ａ，２０ａ間に配された２本のジヤンパ導体１５
をボルト２４、ナツト２５の締付け力により挟持
している。

なお、上部金具１９のボルト孔１９ｂの上面側
部分には凹所１９ｃを形成し、ボルト２４の先
端、およびナツト２５がこの凹所１９ｃ内に収容
されて上部金具１９の上面から突出しないように
している。１９ｄは水抜孔である。

以上の如き構成により、左右のジヤンパ導体１
５の長さ方向の中間部が吊部材１７に極めて近く
隣接して把持される。この状態はジヤンパ導体１
５の全体平面図である第４図にも示されている
が、左右のジヤンパ導体１５の間隔が本線１０の
幅から漸次狭くされ、吊架材１７に充分に狭い幅
で添設固定される。２６は引留めクランプ１１と
吊架材１７の端部との間のジヤンパ導体１５の間
隔を保持するスペーサである。

なお、実施例は２本の金属杆１７ａにより吊架
材１７を構成したが、１本の棒状体を用いてもよ
い。この場合には、１本の棒状体からなる吊架材
の幅方向中央に、ボルト２４を貫通させる孔をあ
けて、この孔から挿通させた１本のボルトにより
上、下金具を締付け固定する。

また、実施例では下部金具２０を吊架材１７に
固定したが、上部金具１９側を吊架材１７に固定
してもよい。

さらに、下部金具２０は、底板部２１と把持部
２３とをねじ２２で結合しているが、溶接固定で
もよいし、あるいは一体に形成したものでもよ
い。

〔効果〕

以上説明したこの考案によれば、吊架材に固定
された導体把持金具が、その幅方向両側に導体把
持溝をそれぞれ対向して持つ上部金具と下部金具
とで構成され、この上部金具と下部金具とが幅方
向中央にて吊架材を貫通する１本のボルトにより
締付け固定される構造をなすので、互いに並列状
態にあるジヤンパ導体の長さ方向の中間部を充分
狭い間隔でもつて吊架材に添設固定することがで
きる。これにより、短い鉄塔アームでジヤンパ導
体の鉄塔に対する一定の絶縁距離を保つことがで
き、したがつて、鉄塔の小型化が実現され、経
費、施工の上で種々の利益がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図はこの考案の一実施例を示し、
第１図はジヤンパ導体把持金具の一部破断正面
図、第２図は同側面図、第３図は第１図、第２図
の把持金具を用いたこの考案に係る吊架式ジヤン
パ装置の全体構成を示す側面図、第４図は同要部
の平面図、第５図は従来の吊架式ジヤンパ装置に
おけるジヤンパ導体把持金具の正面図、第６図、
第７図はジヤンパ導体相互の間隔を狭くする必要
についての説明図である。 １０……本線、１１……引留めクランプ、１２
……金具、１３……耐張碍子連、１４……鉄塔、
１５……ジヤンパ導体、１６……吊り材、１７…
…吊架材、１８……導体把具金具、１９……上部
金具、２０……下部金具、１９ａ，２０ａ……導
体把持溝、２４……ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鉄塔１４の両側の耐張支持された本線１０に両
   端がそれぞれ電気的に接続されたジヤンパ導体１
   ５と、鉄塔１４の両側にて耐張碍子連１３と本線
   １０との間にある金具１２に吊り材１６を介して
   両端が吊持された吊架材１７と、該吊架材１７に
   その長手方向に間隔を置いて複数個固定されて、
   吊架材１７に添わせた前記ジヤンパ導体１５を把
   持する導体把持金具１８とからなり、前記導体把
   持金具１８は、その幅方向両側に導体把持溝１９
   ａ，２０ａをそれぞれ対向して持つ上部金具１９
   と下部金具２０とを備え、この上部金具１９また
   は下部金具２０の何れか一方の幅方向中央部が前
   記吊架材１７に固定され、上部金具１９と下部金
   具２０とは、幅方向中央部にて吊架材１７を貫通
   する共通の一本のボルト２４により互いに締め合
   されて、両側の導体把持溝１９ａ，２０ａにてジ
   ヤンパ導体１５を把持したことを特徴とする架空
   送電線の吊架式ジヤンパ装置。