JPH0374353B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は原子炉格納容器に係り、特にコンクリ
ート躯体とライナプレートとの一体性を確保して
耐力を向上させることができる原子炉格納容器に
関する。

［発明の技術的背景とその問題点］ 一般に原子炉格納容器は、気密性の機能と耐圧
性の機能を兼ね備えていることが要求される。こ
のため、第１図に示すように耐圧性の機能を有す
るコンクリート躯体２の内側に、気密性の機能を
有するライナープレート３を添設して原子炉格納
容器１を構成するのが通例である。

ところで、このようなライナプレート３は、コ
ンクリート躯体２との熱膨張差、施工誤差等によ
りコンクリート躯体２の内面から浮き上がり変形
するおそれがある。

そこで従来は、第２図および第３図に示すよう
にライナプレート３の背面側に縦方向のライナア
ンカ４ａと横方向のライナアンカ４ｂとを格子状
に溶接し、これらのライナアンカ４ａ、４ｂをコ
ンクリート躯体２のコンクリート中に埋設してコ
ンクリート躯体２とライナプレート３とが一体と
なつて挙動する構造にしている。

ところが従来のライナアンカ４ａ，４ｂは、第
２図に示すようにコンクリート躯体２の鉄筋５
ａ，５ｂのいずれにもアンカされていないため、
コンクリート躯体２とライナプレート３との一体
性が必ずしも充分とはいえず、原子炉格納容器１
としての耐力に問題がある。

また、ライナプレート３は、建設時においては
コンクリート躯体２内側の埋殺し型枠として使用
されるため、コンクリート躯体２外側のコンクリ
ート型枠６とタイロツド７により連結する必要が
ある。そこで従来は、第２図および第３図に示す
ように前記ライナアンカ４ａにタイロツド７の一
端を溶接するとともに、このタイロツド７の他端
にねじ治具８を介してコンクリート型枠６を連結
する方法を採つているが、ライナアンカ４ａにタ
イロツド７を溶接しなければならないため工期が
長期化するという問題がある。

［発明の目的］ 本発明はかかる現況に鑑みなされたもので、鉄
筋コンクリート製の躯体と金属性のライナプレー
トとの一体性をより充分なものとし、格納容器と
しての耐力を向上させて信頼性を高めることがで
きる原子炉格納容器を提供することを目的とす
る。

［発明の概要］ 本発明は前記目的を達成する手段として、ライ
ナプレートの躯体との対向面に、縦方向に延在す
るライナアンカと横方向に延在するアンカプレー
トとをそれぞれ設け、ライナアンカと躯体の鉄筋
とを補強鉄筋を介して連結するとともに、アンカ
プレートに、躯体外側に配されるコンクリート型
枠の支持鉄筋を係止するようにしたことを特徴と
する。

［発明の実施例］ 以下本発明の一実施例を第４図ないし第６図を
参照して説明する。

第４図ないし第６図において１１は原子炉格納
容器であり、この原子炉格納容器１１は、鉄筋１
５ａ，１５ｂが配筋されたコンクリート躯体１２
と、このコンクリート躯体１２の内側に添設され
建設時にはコンクリート躯体１２の埋殺し型枠と
して用いられるライナプレート１３とから構成さ
れている。

前記ライナプレート１３の躯体１２との対向面
には、第４図ないし第６図に示すように一定間隔
で縦方向に延設された断面Ｔ形状のライナアンカ
１４ａと、一定間隔で横方向に延設された平板状
のアンカプレート１４ｂとがそれぞれ溶接されて
おり、これらは、コンクリート躯体１２中に埋設
されてライナプレート１３と躯体１２との一体性
を確保するようになつている。

前記ライナアンカ１４ａには、第４図ないし第
６図に示すように横方向の孔１９が上下方向に複
数穿設され、各孔１９には、コンクリート躯体１
２の厚さ方向に延設されて鉄筋１５ａ，１５ｂに
連結される補強鉄筋２０の一端が挿入係止されて
前記コンクリート躯体１２とライナプレート１３
との一体性をより強固なものとしている。また前
記アンカプレート１４ｂには、第４図ないし第６
図に示すように隣接する２本のライナアンカ１４
ａの中間位置に縦方向の孔２１が複数穿設され、
各孔２１にはタイロツド１７の一端が上方から挿
入係止されている。そしてこのタイロツド１７の
他端は、第４図および第６図に示すようにコンク
リート躯体１２外側のコンクリート型枠１６をね
じ治具１８を介して支持するようになつている。

次に作用について説明する。

原子炉格納容器１１の建設に際しては、まずコ
ンクリート躯体１２の鉄筋１５ａ，１５ｂを配筋
するとともに、躯体１２の内周面位置に埋殺し型
枠となるライナプレート１３を配設し、このライ
ナプレート１３と躯体１２外周面位置に配したコ
ンクリート型枠１６とを、一端がアンカプレート
１４ｂの孔２１に挿入係止されるタイロツド１７
およびねじ治具１８を介して連結する。またライ
ナアンカ１４ａの孔１９には、躯体１２の厚さ方
向に延在してその鉄筋１５ａ，１５ｂに連結され
る補強鉄筋２０の一端を挿入係止する。そしてそ
の後、ライナプレート３とコンクリート型枠１６
との間に躯体１２のコンクリートを打設する。

しかして、コンクリート躯体１２とライナプレ
ート１３とは、ライナアンカ１４ａおよびアンカ
プレート１４ｂのみならず補強鉄筋２０によつて
も連結されることになるので、ライナプレート１
３に作用する荷重をコンクリート躯体１２に有効
に分散させて充分な一体性を確保することができ
る。この結果、原子炉格納容器１１としての耐力
が向上し、信頼性を高めることができる。

また補強鉄筋２０は、その一端をライナアンカ
１４ａの孔１９に挿入するだけでライナプレート
１３側と連結することができるので、配筋工事が
容易であるとともに、建設手順が多少前後しても
配筋作業に支障をきたすことがない。

またタイロツド１７の一端は、溶接していた従
来のものと異なりアンカプレート１４ｂの孔２１
に挿入するだけでライナプレート１３側に連結す
ることができるので、施工が極めて容易になり工
期を大幅に短縮することができる。

なお、前記実施例では、ライナプレート１３の
横方向のアンカとして平板状のアンカプレート１
４ｂを用いるものについて説明したが、第２図お
よび第３図に示す従来のライナアンカ４ｂのよう
にＬ形状の形材等を用いるようにしてもよい。

［発明の効果］ 以上説明したように、本発明は、ライナプレー
トの躯体との対向面に、縦方向に延在するライナ
アンカと横方向に延在するアンカプレートとをそ
れぞれ溶接し、ライナアンカと躯体の鉄筋とを補
強鉄筋を介して連結するとともに、躯体外側に配
されるコンクリート型枠のタイロツドの先端をア
ンカプレートに係止するようにしているので、ラ
イナプレート背面のアンカのみによりライナプレ
ートと躯体との一体性を図つていた従来のものに
比較してライナプレートと躯体との一体性をより
充分なものとすることができ、原子炉格納容器と
しての耐力を向上させて信頼性を高めることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の原子炉格納容器の一例を示す断
面図、第２図は第１図の要部拡大図、第３図は第
２図の−線断面図、第４図は本発明の一実施
例を示す第２図に対応する断面図、第５図は第４
図の−線断面図、第６図は第４図の−線
断面図である。 １１……原子炉格納容器、１２……コンクリー
ト躯体、１３……ライナプレート、１４ａ……ラ
イナアンカ、１４ｂ……フラツトプレート、１５
ａ，１５ｂ……鉄筋、１６……コンクリート型
枠、１７……タイロツド、１８……ねじ治具、１
９，２１……孔、２０……補強鉄筋。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鉄筋コンクリート構造をなす躯体の内面に、
   埋殺しの型枠となるライナプレートを添設して一
   体構造とした原子炉格納容器において、前記ライ
   ナプレートの躯体との対向面に、縦方向に延在す
   るライナアンカと横方向に延在するアンカプレー
   トとをそれぞれ溶接し、ライナアンカと躯体の鉄
   筋とを補強鉄筋を介して連結するとともに、躯体
   外側に配設されるコンクリート型枠のタイロツド
   の先端をアンカプレートに係止したことを特徴と
   する原子炉格納容器。 ２ ライナアンカに孔を設け、タイロツドの一端
   をこの孔に挿通係止したことを特徴とする特許請
   求の範囲第１項記載の原子炉格納容器。 ３ アンカプレートに孔を設け、タイロツドの一
   端をこの孔に挿通係止したことを特徴とする特許
   請求の範囲第１項または第２項記載の原子炉格納
   容器。