JPH036689Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は水洗便器、洗面器、流し、バス等の槽
形器具に係り、特にその内部に貯溜する水の水位
を調節することができるよう改良した槽形器具に
関するものである。

［従来の技術］ 水洗便器や、オーバフロー口を有する洗面器或
いは流し、バス等の槽形器具においては、通常の
使用状態においてその底部に水が溜る。従来、こ
の水の水位は槽形器具のタイプにより一定のもの
であるが、この一定なることが逆に不都合である
場合がある。

例えば、水洗便器は洗浄機能方式により洗い落
し式、サイフオン式、サイフオンゼツト式、ブロ
ーアウト式、サイフオンボルテツクス式等各種の
タイプがあり、各々器具内の溜水面積、水封値に
差異があるが、水を押し流していない状態にあつ
てはその溜水の水位は一定である。

このような水洗便器において、溜水面は広けれ
ば広いほど汚れが付きにくく、また汚物による臭
気発生が少ないという点で使用感がよいとされて
いる。ところが、サイフオンゼツト式を除くタイ
プのものについては鉢面全体を溜水面がカバーし
ているわけではなく、水を押し流していない状態
では鉢面に乾燥した面が存在しており、サイフオ
ンゼツト方式のものに比べ汚水が付着し易い或い
は臭気が発生し易いという使用時の問題を有して
いる。（これとは、タイプの異なる便器ごとにト
ラツプが設計時に決定されることに起因する。） このように、従来の水洗便器では、溜水面積を
どのタイプのものでも十分広くとることができる
という訳ではなかつた。

第４図は溜水面積の最も小さい洗い落し式水洗
便器１の縦断面構造図であり、便器１の底部に連
通するように排水口２が設けられている。この便
器１の底部には溜水３が貯留されているが、溜水
３の水位３ａは、水を押し流していない図示の状
態にあつては、排水口２の下縁２ａのレベルとな
り一定である。そのため溜水水面３ａよりも上位
の鉢面４は乾燥面となる。

第５図は洗面器５の従来例を示す縦断面図であ
るが、オーバーフロー口６は一箇所だけ設けられ
ており、洗面器５内の水のオーバーフローレベル
もこのオーバーフロー口６の設置レベルに一致し
た一定したものとなつている。（なお図中７は排
水口を示す。） 洗面器以外の流し類、バス等のオーバーフロー
口も従来一器具一箇所となつており、流し洗い等
の使用状態ごとにオーバーフロー水位を変更する
ことは不可能であり、節水及び機能の両面から十
分なものとはいえなかつた。

そこで、第１、２図に示す如く、槽形器具内の
水のレベル調節用の可動トラツプを槽形器具の流
出口に接続するように構成したものが考えられて
いる。

第１図の水洗便器１は排水口２を有しており、
その底部に溜水３が貯留される。排水口２には可
動トラツプ８が接続されている。可動トラツプ８
は伸縮可能なチユーブからなつており、図中Ｈで
示される上方への湾曲形状と、Ｌで示される直管
状態及びこれらの中間の形態のいずれをも取り得
る。なお、図中９は可動トラツプ８に接続された
排水管である。

この第１図の水洗便器１において、可動トラツ
プ８をＬの状態とすれば、溜水３の水位３ａが最
も低い従来と同じレベルにまで下がる。また、可
動トラツプ８をＨで示される位置にまで屈曲させ
て持ち上げるようにすれば、可動トラツプ８内の
うち最も高いレベルとなる最高レベル部８ａと一
致した高さ３ｂまで溜水３が水位上昇する。従つ
て、水洗便器使用時には可動トラツプ８をＨの状
態とし溜水面積を大きくとることにより、汚れや
臭気の発生を防ぐことができ、また水洗便器１の
洗浄時においては、可動トラツプ８を図中Ｌの位
置にまで下げ、従来タイプのものと同じ状態とし
優れた洗浄機能を確保することができる。

このように、可動トラツプ８の操作により使用
時には十分な溜水面積を確保し、洗浄時には本来
の洗浄機能を発揮させることが可能とされる。

第２図の流し１０は、その底部に排水口１１を
有すると共に、側壁最下部に水位調節用の開口１
２を有している。排水口１１は排水管９に直に接
続されており、開口１２は可動トラツプ８を介し
て排水管９に接続されている。

排水口１１に栓をした状態で可動トラツプ８を
Ｌの状態に位置させると、流し１０内の水１３の
水位を１３ａで示される低い所にまで低下させる
ことができる。また可動トラツプ８をＨで示され
る状態にすれば、水位を１３ｂの高い位置にまで
上昇させることができる。このように使用目的な
いし用途に合せて適正な水位を得ることができ
る。

［考案が解決しようとする問題点］ 第１、第２図に示した可動トラツプ８は伸縮可
能なチユーブにより構成されているため、該チユ
ーブの内面に襞状の凹凸が多数存在する。このた
め、この凹凸にゴミが付着してトラツプ詰りを起
こし易い。

［問題点を解決するための手段］ 本考案の槽形器具は、水洗便器や洗面器などの
水の流出口を有し、この流出口に、槽形器具内の
水位調節用の可動トラツプを接続した槽形器具に
おいて、該可動トラツプは途中部分がＵ字形に湾
曲した配管を該Ｕ字形状部が起倒するように回動
自在に設けたものであることを特徴とするるもの
である。

［作 用］ かかる本考案の槽形器具においては、Ｕ字形状
部を回動することにより槽形器具内の水位調節を
行なえる。本考案では、トラツプが配管にて構成
されており、その内面は平滑であるから、ゴミ等
の異物が付着しない。

［実施例］ 第３図は実施例に係る槽形器具に用いられるト
ラツプの斜視図である。このトラツプは、Ｕ字形
に湾曲された配管１４をその管軸１５回りに90゜
回動し得るようにしておき、低レベルとする場合
にはＵ字管１４を水平にねかせ、高水位を得る場
合にはＵ字管１４を立てるように回動させるタイ
プのものである。

この配管１４は、例えば前記第１図の可動トラ
ツプ８の部分に用いられる。配管１４の両端はそ
れぞれ公知の適宜の回動継手（図示略）を用いて
排水口２と排水管９とに接続される。

この配管１４は、その内面が平滑であり、ゴミ
等の異物が付着せず、トラツプ詰りを起こすこと
がない。

［効果］ 以上の通り、本考案の槽形器具においては、槽
内に貯留される水の水位を所望のものに調節で
き、例えば便器の場合であれば水洗便器の洗浄基
本機能を変えることなく適正な溜水面レベルと
し、水封を確保しつつ汚れの付着、臭気の発生を
防止し得る。また、洗面器、流し、バス等におい
ては、その使用の用途に合わせオーバーフロー水
位を適正に設定することができ、使い易いと共
に、節水効果も奏される。さに、トラツプ詰りも
生じない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例に係る水洗便器の縦断面図、第
２図は従来の流しの縦断面図、第３図は可動トラ
ツプの実施例を示す斜視図、第４図は従来の水洗
便器の縦断面図、第５図は従来の洗面器の縦断面
図である。 １…水洗便器、２…排水口、３…溜水、４…鉢
面、５…洗面器、８…可動トラツプ、９…排水
管、１０…流し、１１…排水口、１２…開口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水洗便器や洗面器などの水の流出口を有し、こ
   の流出口に、槽形器具内の水位調節用の可動トラ
   ツプを接続した槽形器具において、該可動トラツ
   プは途中部分がＵ字形に湾曲した配管を該Ｕ字形
   状部が起倒するように回動自在に設けたものであ
   ることを特徴とする槽形器具。