JPH0364588B2 - - Google Patents
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- JPH0364588B2 JPH0364588B2 JP58154504A JP15450483A JPH0364588B2 JP H0364588 B2 JPH0364588 B2 JP H0364588B2 JP 58154504 A JP58154504 A JP 58154504A JP 15450483 A JP15450483 A JP 15450483A JP H0364588 B2 JPH0364588 B2 JP H0364588B2
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Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Lift Valve (AREA)
Description
本発明は各種内燃機関の排気バルブに使用する
合金に関する。 従来、ガソリンエンジンやデイーゼルエンジン
の排気バルブの材料としては、高マンガンオース
テナイト鋼であるSUH36(Fe−8.5Mn−21Cr−
4Ni−0.5C−0.4N)が多用されてきた。しかし近
年になつて、エンジンの高圧縮比、高出力化の傾
向が一段と高まり、バルブの使用条件はますます
過酷なものとなつている。それに応じて、バルブ
の傘部にステライト(例えば、No.6:Co−28Cr
−4.5W)を肉盛して耐食性と耐摩耗性とを向上
させたり、高温強度および耐食性ともすぐれた
Ni基耐熱合金であるNCF751(Ni−15.5Cr−1Nb
−2.3Ti−1.2Al−7Fe)やNCF80A(Ni−19.5Cr
−2.5Ti−1.4Al)を使用するといつた対策がとら
れている。 しかしいずれの場合も、高価なCoまはNiを多
量に含有する合金を使用するため、バルブのコス
トが著しく高くなるという問題がある。 過酷な使用条件に耐え、コストは低廉なバルブ
材料をという要求にこたえるため、本発明者らの
一人は、さにに析出硬化型Fe基耐熱合金を開発
して、すでに開示した(特開昭56−20148号)。 ひきつづき、製造性および高温特性に及ぼす合
金元素の影響について研究を重ねた結果、以下に
示す合金組成を採用することにより、バルブの素
材の製造性が著しく改善されるうえに、排気バル
ブ材料として上記Ni基合金とほぼ同等の性能を
有するものが得られることを見出して本発明に至
つた。 すなわち本発明の排気バルブ用合金は、C:
0.01〜0.15%、Si:2.0%以下、Mn:2.5%以下、
Ni:40%超過〜60%、Cr15〜25%、Mo:0.5〜
3.0%、Nb:0.3〜3.0%、Ti:2.0〜3.5%、Al:
0.2〜1.5%およびB:0.0010〜0.020%を基本合金
成分とし、Mg:0.001〜0.030%、Ca:0.001〜
0.030%およびREM:0.001〜0.050%からえらん
だ少なくとも1種を含有し、残部が実質的にFe
からなる耐熱合金である。 本発明合金の成分組成範囲の限定理由について
述べれば、つぎのとおりである。 C:0.01〜0.15% Cは、Cr、NbまたはTiと結合して炭化物を形
成し、高温強度を高める元素である。この硬化を
得るには、少なくとも0.01%の添加を必要とす
る。しかし、多量に添加すると高温における強度
および靫延性が低下するため、0.15%以下に止め
る。 Si:2.0%以下 Siは脱酸元素として必要であるが、多量に添加
し過ぎると強度および靫延性が低下するばかりで
なく、バルブ材に要求される耐Pb0アタツク性も
劣るため、2.0%以下に限定した。 Mn:2.5%以下 MnはSiと同様、脱酸元素として添加されるが、
あまり多量になると高温における耐酸化性が低下
するので、2.5%を上限とした。 Ni:40%超過〜60% Niはオーステナイトの安定化に必要であると
同時に、時効処理によりγ′相{Ni3(Al、Ti)}を
析出させ、材料に高温強度を付与する。また、耐
Pb0アタツク性を改善する元素でもある。ただ
し、40%まではこの硬化が十分高くないうえ、σ
相などの脆化相が析出するおそれが残つているた
め、40%を超える量を添加する。しかし、必要以
上に添加しても、効果が飽和し、材料コストの上
昇を招くだけであるため、60%以下に限定した。 Cr:15〜25% Crは高温における耐酸、耐食性を維持するた
めに必須な元素である。この目的には、最低15%
の含有を必要とするが、多量に添加するとオース
テナイト相が不安定となつてσ相等の脆化相が析
出し、高温における強度および靫延性が低下する
ので、25%以下とする。 Mo:0.5〜3.0% Moはオーステナイト相に固溶して、固溶強化
作用により高温強度を向上させる。この効果を得
るためには0.5%以上添加する必要があるが、添
加し過ぎるとCrと同様、脆化相を析出させ逆効
果となるので、3.0%を限界とする。 Nb:0.3〜3.0% Nbは炭化物やγ′相を形成して高温強度を高め
る元素である。この使用目的からは、最低0.3%
の添加が必要であるが、添加し過ぎるとδ相
{Ni3Nb}やLaves相{Fe2Nb}が析出し、高温
における強度および靫延性が低下するほか、耐酸
化性および耐食性を劣化させるので、3%を上限
とした。 Ti:2.0〜3.5% γ′相の主形成元素であるTiは、高温強度を維持
するために重要な元素である。添加量があまりわ
ずかであるとγ′相の析出量が少なく、十分な高温
強度が得られない。一方、添加し過ぎるとη相
{Ni3Ti}が析出し、強度が低下する。そこで、
添加量は2.0〜3.5%の範囲からえらぶ。 Al:0.2〜1.5% AlはTiおよびNbと同様γ′相の主構成元素であ
る。添加量が少な過ぎるとγ′相が不安定となつて
η相が析出し、強度低下を招くため、0.2%以上
添加することが必要である。しかし、添加し過ぎ
るとγ′相とマトリツクスとの整合性が高まつて整
合歪が減少し、十分な強度が得られなくなる。ま
た、Alの過剰添加は製造性を低下させる。これ
らの理由から、上限を1.5%にえらんだ。 B:0.0010〜0.020% Bは結晶粒界に偏析してクリープ強度を高める
ほか、粒界へのη相を析出を抑える働きをする。
この作用を十分にさせるためには0.0010%以上添
加する必要があるが、添加し過ぎると熱間加工性
が悪くなるため、上限を0.020%とした。 Mg:0.001〜0.030% Ca:0.001〜0.030% REM:0.001〜0.050% これらの元素は、本発明において最も重要であ
る。いずれも、溶解時に脱酸、脱硫元素として作
用するほか、残留硫黄を硫化物として固定し、熱
間加工性を著しく改善する。同時にクリープ破断
強度および破断伸びをも向上させる効果がある。
また、REMは耐酸化性の改善にも役立つ。しか
し、いずれの元素も、添加し過ぎると熱間加工性
を著しく損うため、Mgにあつては0.001〜0.030
%、Caにあつては0.001〜0.030%、REMにあつ
ては0.001〜0.050%の限界を設定した。 次に実施例をあげて、本発明のバルブ用材料を
具体的に説明する。 第1表に示す化学組成の合金を高周波真空誘導
炉で溶製し、50Kgのインゴツトに鋳造した。1150
℃で15時間のソーキング処理を施したインゴツト
から試験片を採取し、高温高速引張試験を行ない
熱間加工性を調査した。 また、ソーキング処理を施したインゴツトの一
部を皮削りし、1150〜900℃の温度域で鍛伸およ
び圧延により径18mmの丸棒とし、高温引張特性お
よび耐酸・耐食性を評価する供試材とした。な
お、この丸棒は固溶化処理(1050℃×30分−油
冷)および時効処理(750℃×4時間−空冷)を
施した後、実験に供した。
合金に関する。 従来、ガソリンエンジンやデイーゼルエンジン
の排気バルブの材料としては、高マンガンオース
テナイト鋼であるSUH36(Fe−8.5Mn−21Cr−
4Ni−0.5C−0.4N)が多用されてきた。しかし近
年になつて、エンジンの高圧縮比、高出力化の傾
向が一段と高まり、バルブの使用条件はますます
過酷なものとなつている。それに応じて、バルブ
の傘部にステライト(例えば、No.6:Co−28Cr
−4.5W)を肉盛して耐食性と耐摩耗性とを向上
させたり、高温強度および耐食性ともすぐれた
Ni基耐熱合金であるNCF751(Ni−15.5Cr−1Nb
−2.3Ti−1.2Al−7Fe)やNCF80A(Ni−19.5Cr
−2.5Ti−1.4Al)を使用するといつた対策がとら
れている。 しかしいずれの場合も、高価なCoまはNiを多
量に含有する合金を使用するため、バルブのコス
トが著しく高くなるという問題がある。 過酷な使用条件に耐え、コストは低廉なバルブ
材料をという要求にこたえるため、本発明者らの
一人は、さにに析出硬化型Fe基耐熱合金を開発
して、すでに開示した(特開昭56−20148号)。 ひきつづき、製造性および高温特性に及ぼす合
金元素の影響について研究を重ねた結果、以下に
示す合金組成を採用することにより、バルブの素
材の製造性が著しく改善されるうえに、排気バル
ブ材料として上記Ni基合金とほぼ同等の性能を
有するものが得られることを見出して本発明に至
つた。 すなわち本発明の排気バルブ用合金は、C:
0.01〜0.15%、Si:2.0%以下、Mn:2.5%以下、
Ni:40%超過〜60%、Cr15〜25%、Mo:0.5〜
3.0%、Nb:0.3〜3.0%、Ti:2.0〜3.5%、Al:
0.2〜1.5%およびB:0.0010〜0.020%を基本合金
成分とし、Mg:0.001〜0.030%、Ca:0.001〜
0.030%およびREM:0.001〜0.050%からえらん
だ少なくとも1種を含有し、残部が実質的にFe
からなる耐熱合金である。 本発明合金の成分組成範囲の限定理由について
述べれば、つぎのとおりである。 C:0.01〜0.15% Cは、Cr、NbまたはTiと結合して炭化物を形
成し、高温強度を高める元素である。この硬化を
得るには、少なくとも0.01%の添加を必要とす
る。しかし、多量に添加すると高温における強度
および靫延性が低下するため、0.15%以下に止め
る。 Si:2.0%以下 Siは脱酸元素として必要であるが、多量に添加
し過ぎると強度および靫延性が低下するばかりで
なく、バルブ材に要求される耐Pb0アタツク性も
劣るため、2.0%以下に限定した。 Mn:2.5%以下 MnはSiと同様、脱酸元素として添加されるが、
あまり多量になると高温における耐酸化性が低下
するので、2.5%を上限とした。 Ni:40%超過〜60% Niはオーステナイトの安定化に必要であると
同時に、時効処理によりγ′相{Ni3(Al、Ti)}を
析出させ、材料に高温強度を付与する。また、耐
Pb0アタツク性を改善する元素でもある。ただ
し、40%まではこの硬化が十分高くないうえ、σ
相などの脆化相が析出するおそれが残つているた
め、40%を超える量を添加する。しかし、必要以
上に添加しても、効果が飽和し、材料コストの上
昇を招くだけであるため、60%以下に限定した。 Cr:15〜25% Crは高温における耐酸、耐食性を維持するた
めに必須な元素である。この目的には、最低15%
の含有を必要とするが、多量に添加するとオース
テナイト相が不安定となつてσ相等の脆化相が析
出し、高温における強度および靫延性が低下する
ので、25%以下とする。 Mo:0.5〜3.0% Moはオーステナイト相に固溶して、固溶強化
作用により高温強度を向上させる。この効果を得
るためには0.5%以上添加する必要があるが、添
加し過ぎるとCrと同様、脆化相を析出させ逆効
果となるので、3.0%を限界とする。 Nb:0.3〜3.0% Nbは炭化物やγ′相を形成して高温強度を高め
る元素である。この使用目的からは、最低0.3%
の添加が必要であるが、添加し過ぎるとδ相
{Ni3Nb}やLaves相{Fe2Nb}が析出し、高温
における強度および靫延性が低下するほか、耐酸
化性および耐食性を劣化させるので、3%を上限
とした。 Ti:2.0〜3.5% γ′相の主形成元素であるTiは、高温強度を維持
するために重要な元素である。添加量があまりわ
ずかであるとγ′相の析出量が少なく、十分な高温
強度が得られない。一方、添加し過ぎるとη相
{Ni3Ti}が析出し、強度が低下する。そこで、
添加量は2.0〜3.5%の範囲からえらぶ。 Al:0.2〜1.5% AlはTiおよびNbと同様γ′相の主構成元素であ
る。添加量が少な過ぎるとγ′相が不安定となつて
η相が析出し、強度低下を招くため、0.2%以上
添加することが必要である。しかし、添加し過ぎ
るとγ′相とマトリツクスとの整合性が高まつて整
合歪が減少し、十分な強度が得られなくなる。ま
た、Alの過剰添加は製造性を低下させる。これ
らの理由から、上限を1.5%にえらんだ。 B:0.0010〜0.020% Bは結晶粒界に偏析してクリープ強度を高める
ほか、粒界へのη相を析出を抑える働きをする。
この作用を十分にさせるためには0.0010%以上添
加する必要があるが、添加し過ぎると熱間加工性
が悪くなるため、上限を0.020%とした。 Mg:0.001〜0.030% Ca:0.001〜0.030% REM:0.001〜0.050% これらの元素は、本発明において最も重要であ
る。いずれも、溶解時に脱酸、脱硫元素として作
用するほか、残留硫黄を硫化物として固定し、熱
間加工性を著しく改善する。同時にクリープ破断
強度および破断伸びをも向上させる効果がある。
また、REMは耐酸化性の改善にも役立つ。しか
し、いずれの元素も、添加し過ぎると熱間加工性
を著しく損うため、Mgにあつては0.001〜0.030
%、Caにあつては0.001〜0.030%、REMにあつ
ては0.001〜0.050%の限界を設定した。 次に実施例をあげて、本発明のバルブ用材料を
具体的に説明する。 第1表に示す化学組成の合金を高周波真空誘導
炉で溶製し、50Kgのインゴツトに鋳造した。1150
℃で15時間のソーキング処理を施したインゴツト
から試験片を採取し、高温高速引張試験を行ない
熱間加工性を調査した。 また、ソーキング処理を施したインゴツトの一
部を皮削りし、1150〜900℃の温度域で鍛伸およ
び圧延により径18mmの丸棒とし、高温引張特性お
よび耐酸・耐食性を評価する供試材とした。な
お、この丸棒は固溶化処理(1050℃×30分−油
冷)および時効処理(750℃×4時間−空冷)を
施した後、実験に供した。
【表】
(1) 熱間加工性
グリーブル試験機による高温高速引張試験の
結果のうち、合金AおよびKについての結果を
第1図に示す。 一般に、50%以上の絞りが得られる温度域に
おいて圧延が可能といわれている。従つて、そ
の温度域が広いほど、熱間加工性がすぐれてい
ると判断できるので、各合金について、高温高
速引張試験を行ないその温度幅を求めた。第2
表にその結果を示す。 第2表にみるように、Mg、CaおよびREM
のいずれをも含まない比較合金Kに比べ、それ
らの元素のいずれかを含む本発明合金A〜Jの
熱間加工可能な温度幅は広く、熱間加工性が大
幅に改善されたことが分る。 また、比較合金LおよびMのデータが示すよ
うに、MgおよびREMをそれぞれ本発明の範囲
を超えて多量に添加した場合、著しく熱間加工
性が低下する。 第 2 表 合 金 50%以上の絞りが得 られる温度幅(℃) 本発明 A 230 B 235 C 220 D 220 E 230 F 225 G 200 H 210 I 235 J 230 比較例 K 160 L 50 M 0 (2) 高温引張特性 バルブは作動中にバルブスプリングのバネ力
によつて繰返し打撃を受けるため、バルブ材に
は作動温度付近において引張特性がすぐれてい
ることが要求される。 前述の熱処理を施した径18mmの丸棒につい
て、800℃で行なつた高温張試験の結果を、第
3表に示す。 表にみるように、800℃における本発明合金
の0.2%耐力および引張強さは、現用Ni基合金
Oとほぼ同等である。また、本発明合金の高温
強度は、MoおよびNbを含有しない比較合金N
に比べてまさつている。
結果のうち、合金AおよびKについての結果を
第1図に示す。 一般に、50%以上の絞りが得られる温度域に
おいて圧延が可能といわれている。従つて、そ
の温度域が広いほど、熱間加工性がすぐれてい
ると判断できるので、各合金について、高温高
速引張試験を行ないその温度幅を求めた。第2
表にその結果を示す。 第2表にみるように、Mg、CaおよびREM
のいずれをも含まない比較合金Kに比べ、それ
らの元素のいずれかを含む本発明合金A〜Jの
熱間加工可能な温度幅は広く、熱間加工性が大
幅に改善されたことが分る。 また、比較合金LおよびMのデータが示すよ
うに、MgおよびREMをそれぞれ本発明の範囲
を超えて多量に添加した場合、著しく熱間加工
性が低下する。 第 2 表 合 金 50%以上の絞りが得 られる温度幅(℃) 本発明 A 230 B 235 C 220 D 220 E 230 F 225 G 200 H 210 I 235 J 230 比較例 K 160 L 50 M 0 (2) 高温引張特性 バルブは作動中にバルブスプリングのバネ力
によつて繰返し打撃を受けるため、バルブ材に
は作動温度付近において引張特性がすぐれてい
ることが要求される。 前述の熱処理を施した径18mmの丸棒につい
て、800℃で行なつた高温張試験の結果を、第
3表に示す。 表にみるように、800℃における本発明合金
の0.2%耐力および引張強さは、現用Ni基合金
Oとほぼ同等である。また、本発明合金の高温
強度は、MoおよびNbを含有しない比較合金N
に比べてまさつている。
【表】
【表】
比較例
N 43.6 54.8 18.3 28.1
O 52.3 64.5 6.7 12.8
(3) 耐酸化性 前述したように、最近はエンジンの高圧縮
比、高出力比の傾向に伴ない、バルブの使用温
度が上昇する傾向にある。従つて、バルブ材に
とつて、高温における耐酸化性は非常に重要な
特性となつている。 そこで、本発明合金について900℃で200時間
加熱後の酸化増量を求め、現用Ni基合金Oの
それと比較した。 酸化試験の結果を第4表に示す。 表にみるとおり、本発明合金の耐酸化性は現
用Ni基合金Oに比べて、まさるとも劣らない。 本発明合金の中でも、REM添加材の耐酸化
性は無添加材のそれに比べ、若干すぐれている
ことが確認された。 第 4 表 合 金 酸化増量(mg/cm2) 本発明 A 1.4 B 1.2 C 1.3 D 1.0 E 1.5 F 1.1 G 1.0 H 1.6 I 1.3 J 0.9 比較例 K 1.4 O 1.7 (4) 耐PbOアタツク性 燃料として、四エチル鉛を添加したガソリン
が使用される場合がある。加鉛ガソリンを使用
すると、燃焼生成物として酸化鉛(PbO)がで
き、これがバルブ表面に付着して高温腐食
(PbOアタツク)を生じることがある。そのた
め、バルブ材には耐PbOアタツク性も重要な特
性とされている。 なお、バルブ表面に付着する燃焼生成物は純
粋なPbOであることは少なく、硫酸鉛
(PbSO4)が混在していることが多い。しかも、
PbOとPbSO4とが共存すると、腐食は一段と激
しく起るといわれている。 そこで、本発明合金についてもPbOとPbSO4
との混合灰(PbO:PbSO4=6:4)中での腐
食試験(920℃×1時間)を行なつた。その結
果を第5表に示す。 表に明らかなように、本発明合金を耐食性は
現用Ni基合金Oのそれより、はるかにすぐれ
ている。これは、Sアタツクが生じるような腐
食雰囲気中での試験では、Cr含有量が多く、
Ni含有量が低い本発明合金の組成の方が有利
なためである。 第 5 表 合 金 腐食減量(mg/cm2) 本発明 A 492 B 445 C 433 D 427 E 464 F 440 G 483 H 482 I 528 J 514 比較例 K 449 O 765
N 43.6 54.8 18.3 28.1
O 52.3 64.5 6.7 12.8
(3) 耐酸化性 前述したように、最近はエンジンの高圧縮
比、高出力比の傾向に伴ない、バルブの使用温
度が上昇する傾向にある。従つて、バルブ材に
とつて、高温における耐酸化性は非常に重要な
特性となつている。 そこで、本発明合金について900℃で200時間
加熱後の酸化増量を求め、現用Ni基合金Oの
それと比較した。 酸化試験の結果を第4表に示す。 表にみるとおり、本発明合金の耐酸化性は現
用Ni基合金Oに比べて、まさるとも劣らない。 本発明合金の中でも、REM添加材の耐酸化
性は無添加材のそれに比べ、若干すぐれている
ことが確認された。 第 4 表 合 金 酸化増量(mg/cm2) 本発明 A 1.4 B 1.2 C 1.3 D 1.0 E 1.5 F 1.1 G 1.0 H 1.6 I 1.3 J 0.9 比較例 K 1.4 O 1.7 (4) 耐PbOアタツク性 燃料として、四エチル鉛を添加したガソリン
が使用される場合がある。加鉛ガソリンを使用
すると、燃焼生成物として酸化鉛(PbO)がで
き、これがバルブ表面に付着して高温腐食
(PbOアタツク)を生じることがある。そのた
め、バルブ材には耐PbOアタツク性も重要な特
性とされている。 なお、バルブ表面に付着する燃焼生成物は純
粋なPbOであることは少なく、硫酸鉛
(PbSO4)が混在していることが多い。しかも、
PbOとPbSO4とが共存すると、腐食は一段と激
しく起るといわれている。 そこで、本発明合金についてもPbOとPbSO4
との混合灰(PbO:PbSO4=6:4)中での腐
食試験(920℃×1時間)を行なつた。その結
果を第5表に示す。 表に明らかなように、本発明合金を耐食性は
現用Ni基合金Oのそれより、はるかにすぐれ
ている。これは、Sアタツクが生じるような腐
食雰囲気中での試験では、Cr含有量が多く、
Ni含有量が低い本発明合金の組成の方が有利
なためである。 第 5 表 合 金 腐食減量(mg/cm2) 本発明 A 492 B 445 C 433 D 427 E 464 F 440 G 483 H 482 I 528 J 514 比較例 K 449 O 765
図面は、高温高速引張試験における絞りの値と
試験温度との関係を、本発明の合金Aおよび比較
例の合金Kについて示すグラフである。
試験温度との関係を、本発明の合金Aおよび比較
例の合金Kについて示すグラフである。
Claims (1)
- 1 C:0.01〜0.15%、Si:2.0%以下、Mn:2.5
%以下、Ni:40%超過〜60%、Cr:15〜25%、
Mo:0.5〜3.0%、Nb:0.3〜3.0%、Ti:2.0〜3.5
%、Al:0.2〜1.5%およびB:0.0010〜0.020%を
基本合金成分とし、Mg:0.001〜0.030%、Ca:
0.001〜0.030%およびREM:0.001〜0.050%から
えらんだ少なくとも1種を含有し、残部が実質的
にFeからなる排気バルブ用合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15450483A JPS6046343A (ja) | 1983-08-23 | 1983-08-23 | 排気バルブ用合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15450483A JPS6046343A (ja) | 1983-08-23 | 1983-08-23 | 排気バルブ用合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6046343A JPS6046343A (ja) | 1985-03-13 |
JPH0364588B2 true JPH0364588B2 (ja) | 1991-10-07 |
Family
ID=15585684
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15450483A Granted JPS6046343A (ja) | 1983-08-23 | 1983-08-23 | 排気バルブ用合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6046343A (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63180028A (ja) * | 1987-01-20 | 1988-07-25 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 換気警報装置 |
JPH01259140A (ja) * | 1988-04-20 | 1989-10-16 | Hitachi Metals Ltd | 排気弁用Ni基合金 |
JPH09279309A (ja) * | 1996-04-12 | 1997-10-28 | Daido Steel Co Ltd | Fe−Cr−Ni系耐熱合金 |
US7651575B2 (en) | 2006-07-07 | 2010-01-26 | Eaton Corporation | Wear resistant high temperature alloy |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5039620A (ja) * | 1973-08-13 | 1975-04-11 | ||
JPS50102519A (ja) * | 1974-01-17 | 1975-08-13 | ||
JPS57149458A (en) * | 1981-03-09 | 1982-09-16 | Daido Steel Co Ltd | Corrosion-resistant material |
-
1983
- 1983-08-23 JP JP15450483A patent/JPS6046343A/ja active Granted
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5039620A (ja) * | 1973-08-13 | 1975-04-11 | ||
JPS50102519A (ja) * | 1974-01-17 | 1975-08-13 | ||
JPS57149458A (en) * | 1981-03-09 | 1982-09-16 | Daido Steel Co Ltd | Corrosion-resistant material |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6046343A (ja) | 1985-03-13 |
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