JPH0363620B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、接続箇所を簡易な構成にできると共
に、極めて水密的に施工でき、横葺用建築用板の
長手方向の熱伸縮に良好に対応できる横葺外囲体
における接続構造に関する。

〔従来の技術及び課題〕

既に出願人は、屋根又は壁等の横葺外囲体にお
いて、長手方向を適宜の長さとした横葺用建築用
板を運搬性，取り扱い性等の優れた面より開発，
実施しているが、その接続箇所の水密性，取付施
工性をさらに良好にし、構成が簡単で且つ長手方
向に伸縮自在のものが要望されている。

〔課題を解決するための手段〕

そこで発明者は、前記要望点を解決すべく鋭
意，研究を重ねた結果、本発明を、主板の一側縁
に内側係合部を、他側縁に外側係合部を各々形成
した長手方向に適宜の長さの横葺用建築用板を該
長手方向に適宜の間隔をおいて下地材上に配設
し、その間隔箇所の隣接する横葺用建築用板の主
板端縁間箇所の下面を、裏当て主板の幅方向の両
側より上側に折返し縁を形成した裏当て板にて塞
ぐようにし、前記主板端縁の一部を上側に各々折
返して係止片を設け、継手主板の幅方向の両側よ
り係止縁を下側に折返した継手板の両側の係止縁
を前記間隔箇所の左右側の係止片に挿入係止しつ
つその継手板にて間隔箇所付近を覆うようにし、
継手主板幅方向の側部と係止縁と主板端と係止片
とで中空部を形成し、さらに継手板の前端の屈曲
部を外側係合部に係合し、その後端を内側係合部
内に挿入した横葺外囲体における接続構造とした
ことにより、接続箇所を簡易な構成にできると共
に、極めて水密的に施工でき、横葺用建築用板の
長手方向の熱伸縮に良好に対応でき前記の要望点
等を解決し、その目的を達成したものである。

〔実施例〕

以下、図面の実施例に基づき本発明を説明す
る。

Ａは横葺用建築用板であつて、その長手方向の
長さは、運搬可能で且つ取り扱いやすい長さとし
て、例えば約５ｍ乃至10数ｍに形成され、該横葺
用建築用板Ａを長手方向に直交する断面としてみ
ると、その主板１の一側（水上側）縁より内側上
方に向かう内側係合部２が形成され、その主板１
の他側（水下側）縁より内側下方に向かう外側係
合部３が一体形成されている。該外側係合部３
は、下段の横葺用建築用板Ａの前記内側係合部２
に適宜係合するように構成されている。前記主板
１はその一側より平坦部，緩傾斜部と平坦部とに
屈曲形成され、その主板１内側係合部２外側係合
部３とからなる横葺用建築用板Ａは一枚の金属板
が適宜屈曲されて一体形成され、その横葺用建築
用板Ａの主板１の下面から内側係合部２の裏面ま
で発泡合成樹脂等の断熱材４が必要に応じて貼着
されている（第５図点線参照）。その横葺用建築
用板Ａ，Ａがその長手方向に適宜の間隔（約数cm
乃至約20数cm）をおいて下地材Ｂ上に直列に載置
される。このとき、下地材Ｂに金属タルキ等の金
属製支持材５又は木製支持材６等が存在する場合
には、これらの長手方向に対して横葺用建築用板
Ａの長手方向が直交（略直交も含む）するように
して載置される。さらにその間隔箇所の隣接する
横葺用建築用板Ａ，Ａの対向する同一平面上の主
板１，１端縁箇所各々が裏当て板Ｃにて裏当てさ
れている。該裏当て板Ｃは、裏当て主板７の幅方
向の中間位置に複数の膨出条７ａ，７ａ，…（第
３図乃至第５図等では４条）がその裏当て主板７
の長手方向に膨出形成され、且つ裏当て主板７の
幅方向の両側より、該側部の長手方向に上側に折
返し縁７ｂ，７ｂが形成されている。その裏当て
主板７の幅方向の中間位置に複数の膨出条７ｂ，
７ｂ，…（第３図，第５図では４条）がその裏当
て主板７の長手方向に必要に応じて形成されてい
る。その裏当て主板７の前端には、前記内側係合
部２に載置する屈曲部８が設けられ、その裏当て
主板７の後端に、立上り片９が設けられている。
その裏当て主板７の前後方向の長さ、その側部か
らみた形状は前記の横葺用建築用板Ａの主板１と
略同等をなしている。又、第５図点線に示すよう
に前記屈曲部８の下端より内方に係止端縁８ａが
形成されることもあるし、その立上り片９の手前
に第５図点線に示すように発泡合成樹脂等の防水
材が介在されることもある。

このような裏当て板Ｃの前側が、下段の横葺用
建築用板Ａの内側係合部２に載置され、後側が下
地材Ｂ上に載せられ、対向する主板１，１端縁箇
所が支持されている。実際の施工に当たつては、
間隔箇所となる位置に予め裏当て板Ｃを下地材Ｂ
上に載置し、そしてこの上に横葺用建築用板Ａ，
Ａの対向する主板１，１端縁箇所を載置する。

この主板１，１端縁には、該端縁に沿つて中間
等の一部が係止片１ａ，１ａとして上側に折返し
て屈曲形成され、対向する係止片１ａ，１ａは互
いに外向きになるように設けられている。該係止
片１ａ，１ａの成形するのには、現場にせ工具等
にて行う。

Ｄは継手板であつて、継手主板１０の幅方向の
両側より係止縁１０ａ，１０ａが下側に折返し形
成され、その継手主板１０の前端には、前記外側
係合部３に係合する屈曲部１１が設けられ、その
継手主板１０の後端に、立上り片１２が設けられ
ている。その継手主板１０の前後方向の長さ、そ
の側部からみた形状は前記の横葺用建築用板Ａの
主板１と略同等をなし、実際には、継手板Ｄはそ
の横葺用建築用板Ａの主板１の屈曲状態のものよ
り僅かに反るような形状をなし、横葺用建築用板
Ａ上に載置係止するときに、弾性限度内における
スプリングバツク現象にて、より密着するように
形成することが多い。又、その継手板Ｄの具体的
実施例では、第５図，第６図に示すように継手主
板１０及び屈曲部１１の幅方向の両側より、該側
部の長手方向の全体に比較的に幅広の係止縁１０
ａ，１０ａが下側に形成されていたり、或いは第
７図に示すように継手主板１０のみの幅方向の両
側より、該側部の長手方向の中間に比較的に幅広
の係止縁１０ａ，１０ａが下側に折返し形成さ
れ、該係止縁１０ａの両端側に比較的幅狭の折返
し縁１０ｂ，１０ｂが下側に形成されている。
又、前記立上り片１２は継手主板１０の幅方向の
一部又は全体に単に垂直状や適宜屈曲されて形成
されている（第５図乃至第７図参照）。

前記継手板Ｄ等による接続部の取付構造として
第３図，第４図に示す如くその継手板Ｄの両側の
係止縁１０ａ，１０ａが、前記間隔箇所の隣接す
る横葺用建築用板Ａ，Ａの対向する主板１，１端
縁の係止片１ａ，１ａに挿入係止され、同時に、
その継手板Ｄの継手主板１０にて前記隣接する横
葺用建築用板Ａ，Ａの間隔箇所及び左右側の係止
片１ａ，１ａ箇所が覆われるようにして載置さ
れ、その継手主板１０の幅方向の側部と係止縁１
０ａと主板１端と係止片１ａとで中空部を形成さ
れている。即ち、その横葺用建築用板Ａ，Ａが長
手方向に熱伸縮できるスペースが確保されてい
る。そして継手板Ｄの前端の屈曲部１１が前記隣
接する横葺用建築用板Ａ，Ａの対向する外側係合
部３，３に係合され、その後端の立上り片１２が
隣接する横葺用建築用板Ａ，Ａの対向する端の内
側係合部２，２の内部に挿入される。そして横葺
用建築用板Ａの内側係合部２が吊子１３の山状等
の係止部１３ａにて係止され、且つ吊子１３の取
付部１３ｂが前記金属製支持材５又は木製支持材
６にリベツト，ドリルビス等の止着具１４にて固
着されている。このように接続箇所を介してその
横葺用建築用板Ａが該長手方向に直列に複数葺成
され、次いでこの段の上側（水上側）に、横葺用
建築用板Ａの外側係合部３が下段の横葺用建築用
板Ａの内側係合部２に係合される。このとき、上
段の横葺用建築用板Ａの長手方向の中間位置の外
側係合部３が下段の横葺用建築用板Ａ，Ａの間隔
箇所の内側係合部２，２に係合され、順次接続位
置（継手板Ｄの箇所）を含んで全体的に一文字葺
きになるように葺成されて屋根又は壁等の横葺外
囲体が施工されている。

前記下地材Ｂは第１図に示すように金属製支持
材５と発泡合成樹脂板又は木毛板，石綿板等の断
熱板１７とで形成されたり、或いは第４図に示す
ように垂木等の木製支持材６と野地板等の下地板
１８とで形成されている。或いは図示しないが、
鉄筋コンクリート製の下地材Ｂも存在する。又、
第９図に示すように前記金属製支持材５の門形部
の頂部には、その長手方向に一定間隔（前記横葺
用建築用板Ａの幅方向の働き幅に相当している）
に前記横葺用建築用板Ａの主板の一側（水上側の
内側係合部２側）端を適宜当接する断面直角三角
形状等の突起部５ａ，５ａ，…が設けられること
もある。

又、前記横葺用建築用板Ａの断面形状の実施例
は種々のものが存在しており、特に前記内側係合
部２と外側係合部３との実施例は多く、第１図，
第２図に示す如く内側係合部２が山形状をなし、
これに対応して外側係合部３がＬ字状に形成され
ている。或いは図示しないが、これらの実施例に
限定されず、係合できるものであるならば他の適
宜の形状のものも内側係合部２と外側係合部３と
の範疇に包含される。又、第２図，第８図に示す
如くその内側係合部２に、上段の横葺用建築用板
Ａの外側係合部３が係合されると、内側係合部２
と外側係合部３と主板１の外側係合部３寄りの部
分とで略三角状の間隙部１９が必要に応じて形成
されている。図中２０は母屋、胴縁等の構造材で
ある。

〔発明の効果〕

本発明においては、主板１の一側縁に内側係合
部２を、他側縁に外側係合部３を各々形成した長
手方向に適宜の長さの横葺用建築用板Ａを該長手
方向に適宜の間隔をおいて下地材Ｂ上に配設し、
その間隔箇所の隣接する横葺用建築用板Ａ，Ａの
主板１，１端縁間箇所の下面を、裏当て主板７の
幅方向の両側より上側に折返し縁７ａ，７ａを形
成した裏当て板Ｃにて塞ぐようにし、前記主板
１，１端縁の一部を上側に各々折返して係止片１
ａ，１ａを設け、継手主板１０の幅方向の両側よ
り係止縁１０ａ，１０ａを下側に折返した継手板
Ｄの両側の係止縁１０ａ，１０ａを前記間隔箇所
の左右側の係止片１ａ，１ａに挿入係止しつつそ
の係止板Ｄにて間隔箇所付近を覆うようにし、継
手主板１０の幅方向の側部と係止縁１０ａと主板
１端と係止片１ａとで中空部を形成し、さらに継
手板Ｄの前端の屈曲部１１を外側係合部３に係合
し、その後端を内側係合部２内に挿入したことに
より、第１にその接続箇所を極めて水密的に施工
できるし、第２に接続箇所の取付施工が簡易且つ
迅速にできるし、第３に接続箇所を強固にできる
し、第４に横葺用建築用板Ａの長手方向の熱伸縮
に良好に対応できる等の効果を奏する。

これらの効果について詳述すると、まず、接続
箇所を断面としてみたときに、その主板１，１端
縁からその間隔箇所に雨水が浸入したとしても、
両側に折返し縁７ａ，７ａを形成した裏当て板Ｃ
なる隠れ樋状部に流下して水下側から外部に流出
させることができ、極めて簡単なる構成にて水密
性の優れた接続構造を提供できる。又、継手板Ｄ
の両側の係止縁１０ａ，１０ａを前記間隔箇所の
左右側の係止片１ａ，１ａに挿入係止し、継手板
Ｄの前端の屈曲部１１を外側係合部３に係合し、
その後端を内側係合部２内に挿入したことによつ
て強い風雨があつても継手板Ｄが外れることもな
く接続箇所を強固にできる。特に、本発明では、
その継手板Ｄを挿入係止するのに、主板１，１端
縁の係止片１ａ，１ａが一部であるため、挿入係
止時に部材相互がせりあう等することも少なくな
り、挿入するのにも僅かな力で済み、極めて能率
的にでき、ひいては横葺外囲体全体の作業能率を
向上させることができる。又、その主板１，１端
縁の係止片１ａ，１ａを形成するのに、一部であ
ることから現場にても簡単に折返し加工できる利
点がある。さらに裏当て板Ｃにて接続箇所を支持
したので、作業中等にその箇所に乗つたとしても
変形歪等を防止して強固にできる。

又、その横葺用建築用板Ａが伸縮度の高い材質
（銅等）であつても、或いはその横葺用建築用板
Ａを取付施工する地域の温度差が大きくても、そ
の横葺用建築用板Ａが該長手方向の外気温に対応
して生ずる熱伸縮を、その接続箇所の間隔箇所
や、その継手主板１０の幅方向の側部と係止縁１
０ａと主板１端と係止片１ａとで中空部を形成し
たことによる間隙部等によつてそれを吸収するこ
とができるし、特にその継手板Ｄは間隔箇所の何
れの側の横葺用建築用板Ａの端に固着されておら
ず、自由になつていること等から、左右側の横葺
用建築用板Ａ，Ａひいては横葺外囲体全体にも熱
応力を生じさせず、特に外表面に露出する横葺用
建築用板Ａの主板１には変形歪等が殆んど発生し
ないものにできる。又、継手板Ｄの係止縁１０ａ
が折返しされているため、横葺用建築用板Ａが適
宜熱伸縮して移動してもその横葺用建築用板Ａの
主板１の外表面に傷等を生じさせないようにでき
る。以上のようなことは地震等の外力に対しても
変形歪等が殆ど発生しない強固な接続構造にでき
るし、従来の歪発生によつて強度が低下すること
や、板鳴現象も防止できる。

以上のように、強固でしかも水密的に接続でき
ると同時に、横葺用建築用板Ａが該長手方向の外
気温に対応した熱伸縮をその接続箇所の間隔箇所
等にて吸収することができ、これらの構成が極め
て簡単で、簡易且つ迅速に接続施工できる所に本
発明の大きな特長がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を有する横葺屋根の斜視図、第
２図は第１図の要部の縦断側面図、第３図は第２
図−矢視断面図、第４図は本発明の別の実施
例の断面図、第５図は本発明を構成する主要部材
の分解斜視図、第６図，第７図は別の実施例の継
手板の斜視図、第８図は横葺外囲体の上下段の係
合構造の断面図である。 Ａ……横葺用建築用板、Ｂ……下地材、Ｃ……
裏当て板、Ｄ……継手板、１……主板、１ａ……
係止片、２……内側係合部、３……外側係合部、
７……裏当て主板、７ａ……折返し縁、１０……
継手主板、１０ａ……係止縁、１１……屈曲部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 主板の一側縁に内側係合部を、他側縁に外側
   係合部を各々形成した長手方向に適宜の長さの横
   葺用建築用板を該長手方向に適宜の間隔をおいて
   下地材上に配設し、その間隔箇所の隣接する横葺
   用建築用板の主板端縁間箇所の下面を、裏当て主
   板の幅方向の両側より上側に折返し縁を形成した
   裏当て板にて塞ぐようにし、前記主板端縁の一部
   を上側に各々折返して係止片を設け、継手主板の
   幅方向の両側より係止縁を下側に折返した継手板
   の両側の係止縁を前記間隔箇所の左右側の係止片
   に挿入係止しつつその継手板にて間隔箇所付近を
   覆うようにし、継手主板幅方向の側部と係止縁と
   主板端と係止片とで中空部を形成し、さらに継手
   板の前端の屈曲部を外側係合部に係合し、その後
   端を内側係合部内に挿入したことを特徴とした横
   葺外囲体における接続構造。