JPH0361592B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はインクジエツト記録装置に使用される
補給用インク容器の貯蔵あるいは輸送期間中に使
用する収容体と、その製造方法に関するものであ
る。

従来技術 インクジエツト記録装置は、一般に極めて低騒
音で高速記録が可能なほか、安価な普通紙が使
え、現像・定着等の複雑な処理を必要としない利
点をもつている。更に小径ドツトやドツト間隔縮
小により高解像力画像記録を可能とし、漢字・図
形などの記録にも有効である。

インクジエツト記録装置の記録ヘツドについて
は、従来いくつかの方式が開発・実用化されてい
る。

例えば特公昭53−12138号公報に示されるよう
な、オンデマンド方式と呼ばれるインクジエツト
記録方式が近年開発され注目されている。これは
記録のための電気信号に応答して電気パルスが記
録ヘツドに印加される都度、圧力室の容積変化に
よつてノズルからインク小滴を噴射する方式のイ
ンクジエツト記録装置である。

このオンデマンド方式の特徴は、画像信号に対
応して、必要な時だけインクを噴出するので、不
要インクを回収するシステムが不要となり、この
ため、インクの消費量が少なく、高信頼性を得る
ことが出来、また記録装置自体も小型軽量で低価
格にすることが可能である。また、別の特徴とし
ては、ひとつの記録ヘツド上に、容易に多数のチ
ヤンネルを実装できるため、高解像力や高速印字
性能を得ることが出来、またカラー化も容易であ
る。

しかしながら、この方式のインクジエツト記録
装置においては、特に高速記録を行わせる場合、
印加される画像信号に対するインク室内の圧力変
化の応答性と、インク液滴噴出の応答性との関係
に厳密な対応関係が要求される。この場合には、
インク中の溶存気体量がこの応答性に大きく影響
するため、インク中の溶存気体量をできるだけ小
さくする必要がある。このためインクの煮沸やイ
ンク容器内の減圧によつてインク中の溶存気体を
脱気したいわゆる脱気インクを使用しているが、
このような操作によつたインクも空気中の酸素や
窒素を徐々に吸収してゆくのでインク中の溶存気
体量は時間と共に増大してゆき、やがてインク液
滴の噴出応答性に悪い影響を及ぼして来る。

このため、従来高速記録を行う場合には、イン
ク容器として通気性の少ない可撓性膜例えば塩化
ビニリデン等を使用したり、さらにその可撓性膜
を二重構造として膜間に酸素を吸収する液体例え
ば亜硫酸ソーダ水溶液ピロガロール等を充填した
もの等が用いられていた。またインク中に脱酸素
剤例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等を
入れて溶存酸素量を減少させる方法の提案もなさ
れている。

しかしながら、これらの方法には何れも問題が
あり、前述の条件を満足するに不充分である。す
なわち、インク容器の少なくとも一部を形成する
可撓性膜に使用する素材に、現在のところ完全に
通気性を遮断する材料が存在しない。またインク
容器を二重構造とする方法は構造が複雑となり製
造コスト高となつて実現がむつかしい。さらにイ
ンク中に脱酸素剤を入れる方法はインクの特性に
悪影響を与える可能性があり特に長期保存時イン
クを変質させる危険がある。

このようにしてインクジエツト記録装置に使用
されるインク容器は、それに内蔵するインクに溶
存気体が増加しないよう各種の対策が研究されて
いるが、この対策は単にインクジエツト記録装置
に装着され使用中のインク容器にのみ必要とされ
るものであるばかりでなく、その使用期間に比較
して長い保存中や輸送中の期間においても講じら
れなければならないものである。

しかるに現在、インク容器の包装状態における
溶存気体の防止に関する提案は極めて少ない実状
にある。

発明の目的 現在行われている如き通常の包装材料や方法で
は、長期間の保存・輸送時において包装材料の通
気性によつてインク容器に気体が達し、前述の如
くインク容器を透過してインク中の溶存気体量を
増加させ、インク噴射時の飛翔安定性、パージ効
率に悪影響を与える。本発明は保存・輸送中にお
いて溶存気体の増大を防止することを目的とした
インク容器の収容体とその製造方法を提供するも
のである。

発明の構成 本発明はインク容器を真空チヤンバー内にて、
プラスチツクまたはゴム容器あるいは缶状の金属
容器に収容して密封することによりインク容器内
に気体が溶存するのを防止するもので、それはイ
ンクを収容したインク容器と、該インク容器を収
容し、通気性がないか又は極めて小さい材料で形
成された密閉容器とからなり、該密閉容器内が大
気圧より低い減圧状態に保たれていることを特徴
とするインクジエツト記録用インク収容体とその
製造方法により達成される。

実施例 第１図はインクジエツト記録装置に対してカー
トリツジ式に着脱して使用されるインク容器の１
例を示す断面図、第２、第３図はインク容器を密
閉した本発明による収容体の実施例を示すもので
ある。

第１図において１はインク容器の１例を示すも
ので、本体フランジ２ａとその反対側の端面に底
部２ｂを有する本体２と、該本体フランジ面２ａ
と接着して固定される蓋フランジ３ａと記録装置
に接続する取付部３ｂを有する蓋３とから成り、
さらに前記本体２および蓋３によつてその開口部
を固定され可撓性膜により形成された袋体５には
インク４が充填されている。前記本体２の底部２
ｂと前記袋体５との間には移動部材６が介在し、
該部材６の中央部に前記袋体５のコネクター部５
ａが突出していて、記録装置のインク供給管（図
示せず）と接続し、前記袋体５の中のインクが消
費されるに伴つて、前記移動部材６が記録装置に
設けられた弾性部材（図示せず）によつて図示上
方に移動して前記袋体５を押圧し、袋体５の中の
インク圧を一定に保つように構成されている。

このようなインク容器は通常比較的長期間貯蔵
輸送され、その後記録装置に装填され比較的短期
間で使用されるものである。したがつてインク容
器の貯蔵、輸送期間中における溶存気体の増加を
防止するため、その包装材料や方法に改良を加え
ることも重要なことである。

第２図は、可撓性チユーブ１０にインク容器１
を収容し、該チユーブ１０内の空気を真空ポンプ
により排気した後、該チユーブ１０における前記
容器１の前後の開口部１１ａおよび１１ｂをヒー
トシールしたものである。ここにおいて使用され
る前記チユーブ１０の材料としてはポリ塩化ビニ
リデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロ
ン、防湿セロフアンあるいは一般のセロフアン、
塩化ビニールの単層材や積層材又はアルミ箔を蒸
着した材料が適していて、真空度20torr以下に脱
気してシールされたものは、実験によれば60℃の
高温に３ケ月間放置されたものでも記録装置に使
用して安定したインク噴射を得ることが確認され
た。

また、第３図は金属缶２０にインク容器１を収
容し、該容器１が前記金属缶２０内で移動しない
よう適当な充填物を封入し、真空度20torr以下に
脱気してシールされたものは、前記可撓性チユー
ブ１０の場合同様の効果を示すことも確認されて
いる。

またインク容器１と、可撓性チユーブ１０又は
金属缶２０等の密閉容器の間に空間が存在する場
合には、それ等のシールの真空度は少くともイン
ク脱気時よりも高く設定される事が望ましい。ま
た該収容体内を空間に窒素ガス等を充填してイン
ク容器１の環境を不活性化することも可能であ
る。

発明の効果 本発明は従来の方法に比しインク中の溶存気体
を貯蔵時や輸送時などに長期間にわたつて低レベ
ルに保つ手段として有効な容器および方法を提供
するものである。それによりインクジエツト記録
装置において駆動時に、ヘツド内のインク圧の変
動によるインク中の溶存気体の気化を防ぎ常に正
常なインク噴射によるプリントが行われることも
可能となつた。

【図面の簡単な説明】

第１図はインク容器の１例を示す断面図。第
２、第３図は本発明によるインク容器の密閉容器
として、それぞれ可撓性チユーブおよび金属缶の
例を示した外観図である。 １……インク容器、２……インク容器本体、２
ａ……本体フランジ、２ｂ……本体底部、３……
蓋、３ａ……蓋フランジ、３ｂ……取付部、４…
…インク、５……袋体、５ａ……コネクター部、
６……移動部材、１０……可撓性チユーブ、１１
ａ，１１ｂ……開口部、２０……金属缶。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 脱気したインクを収容したインク容器を、通
   気性のない材料で形成した密閉容器内に、大気圧
   より低い減圧状態で収容したインクジエツト記録
   用インク収容体。 ２ 脱気したインクを収容したインク容器を、通
   気性がない材料で形成された可撓性チユーブから
   なる密閉容器に入れ、減圧し、減圧下にて前記密
   閉容器をヒートシールすることによつて密閉する
   ことを特徴とするインクジエツト記録用インク収
   容体の製造方法。