JPH0358555B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、電波吸収材からなる電波吸収体を被
着体に貼付する方法、すなわち橋梁等の防蝕塗装
を施した金属構造体への電波吸収体の施行方法に
関し、詳しくは、施行性に優れ、施行後において
耐候性、耐腐蝕性に優れ、しかも電波吸収性能に
ばらつきのない有利な電波吸収体の施行方法に関
する。

〔従来技術〕

従来、橋梁等の防蝕塗装を施した金属構造体の
表面に電波吸収体を貼付するには、例えば、(1)第
３図に示されるように、電波吸収材１の表面に刷
毛等で接着剤２を塗布し、この塗布面を防蝕塗装
を施した金属構造体７の表面に貼着するか（電波
吸収材１の厚さ：1.98mm）、又は(2)第４図に示さ
れるように、金属箔３および接着剤層４を介し
て、金属構造体７の表面に電波吸収材１の接着剤
２の塗布面を貼着する方法（電波吸収材１の厚
さ：1.97mm）によつている。

しかしながら、(1)の方法では、第５図から明ら
かなように金属構造体７の防蝕塗料の厚み（μ）
の変化に伴ない電波吸収性能にばらつきが生ずる
欠点があり、また、(2)の方法では、電波吸収性能
にばらつきは生じないが（第５図参照）金属構造
体７が腐蝕環境の厳しい海上橋等の場合には、金
属箔（例えば、アルミニウム箔）３が腐蝕し、そ
の腐蝕により電波吸収体が効果的でなくなる欠点
がある。なお、第５図中、横軸は金属構造体７の
防蝕塗料の厚み（μ）を、左縦軸は反射係数を、
右縦軸は反射損失（dB）を、○は第３図に示さ
れる方法の場合を、●は第４図に示される方法の
場合をそれぞれ表わす。

また、従来、0.2〜２mm程度の厚さの亜鉛メツ
キ鉄板を電波吸収材の裏面に予め固着させたもの
を、橋梁面にボルト等で機械的に固定させるか、
或いはエポキシ系又はウレタン系の接着剤で接着
する方法も行われていたが、この方法では材料に
柔軟性がないので曲面への施行が困難であること
や施行に手間がかかる等の欠点がある。

〔発明の目的〕

本発明は、柔軟な材料を用いるので施行が容易
であり、また、施行後において、被着体である金
属構造体の防蝕塗料の厚みの影響を受けることが
なく、さらに耐候性、耐腐蝕性に優れたものとな
る電波吸収体の施行方法を提供することを目的と
する。

〔発明の構成〕

このため、本発明は、防蝕塗装を施した金属構
造体の表面に、両面を耐蝕性プラスチツクフイル
ムで被覆した金属箔を積層させ、この金属箔の表
面に、電波吸収材を貼着してなることを特徴とす
る電波吸収体の施行方法を要旨とするものであ
る。

以下、本発明の構成について詳しく説明する。

本発明においては、防蝕塗装を施した金属構造
体の表面に、両面を耐蝕性プラスチツクフイルム
で被覆した金属箔を積層させる。この場合、第１
図に示されるように、防蝕塗装を施した金属構造
体７の表面に、接着剤層４を介して、両面を耐蝕
性プラスチツクフイルム５で被覆した金属箔３を
固着させればよい。

防蝕塗装を施した金属構造体７としては、特に
限定されるものではなく、例えば橋梁、船舶等で
ある。

ここで用いる金属箔３は、アルミニウム、ス
ズ、銅、鉄などの導電性物質の箔であればよく、
また、電波反射性能への影響および経済性の面か
ら、その厚さは8μ以上、好ましくは８〜30μであ
るとよい。

耐蝕性プラスチツクフイルム５としては、ポリ
エステルフイルム、ポリ塩化ビニルフイルム、ナ
イロンフイルムなどの耐蝕性の良好なものであれ
ばよく、また、電波反射性能への影響および経済
性の面から、その厚さは100μ以下、好ましくは
５〜3μであるとよい。

金属箔３の両面を耐蝕性プラスチツクフイルム
５で被覆するには、一定厚みの接着剤を介して、
金属箔３と耐蝕性プラスチツクフイルム５とを接
着させればよい。

接着剤層４には、アクリル酸エステル系、クロ
ロプレンゴム系、天然ゴム系などの接着剤を用い
ればよく、特に反応性接着剤を用いることが好ま
しい。

本発明においては、このように積層させた金属
箔３の表面に、電波吸収材を貼着する。この場
合、第１図に示されるように、一定厚みの接着剤
２を介して電波吸収材１を固着させればよい。一
定厚みの接着剤２は、接着剤層４で用いたと同様
なものでよい。

ここで用いる電波吸収材１は、一般のゴム系電
波吸収材でよく、例えば、ゴム−フエライト系、
ゴム−フエライト−カーボン系、ゴム−カーボン
など系である。ゴムの材質としては、ゴム弾性を
有するポリマーであればよいが、耐候性、接着
性、施行性などを考慮するとクロロプレンゴム、
イソブチレン−イソプレン共重合体ゴム、シリコ
ーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、
ポリエーテルゴム、ポリサルフアイドゴム、ポリ
ウレタンゴム、アクリルゴムなどがよい。さらに
好ましくは、これらゴムの配合物であつて、室温
硬化型未加硫ゴムの状態であるとよい。

本発明においては、電波吸収材１に接着剤２を
一定の厚さで塗布し、この塗布面に両面を耐蝕性
プラスチツクフイルム５で被覆した金属箔３を接
着させ、これを接着剤層４を介して金属構造体７
に接着させることもできる。

また、第２図に示されるように、電波吸収体の
施行部の全て又は一部に塗料６を塗布して被覆し
てもよく、これによつて塩分などの腐蝕原因物質
の電波吸収体への浸入防止を図ることができるの
で、耐蝕性をさらに向上させることが可能とな
る。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、防蝕塗
装を施した金属構造体の表面に、両面を耐蝕性プ
ラスチツクフイルムで被覆した金属箔を積層さ
せ、この金属箔の表面に、電波吸収材を貼着する
ことにより下記の効果を奏することができる。

(1) 金属箔の両面に耐蝕性プラスチツクフイルム
をラミネートしたことにより、金属箔の耐蝕性
が向上し、これにより電波吸収性能の経時によ
る安定性および屋外貼付け状態での長期耐久性
が向上する。

(2) 両面を耐蝕性プラスチツクフイルムで被覆し
た金属箔および電波吸収材等の柔軟な材料を用
いるので、施行を効率的に容易に行うことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は、本発明の電波吸収体の
施工方法の一例を示す説明図である。第３図およ
び第４図は、従来の電波吸収体の施工方法の一例
を示す説明図である。第５図は、防蝕塗装を施し
た金属構造体の防蝕塗料の厚みと反射係数および
反射損失との関係図である。 １……電波吸収材、２……接着剤、３……金属
箔、４……接着剤層、５……耐蝕性プラスチツク
フイルム、６……塗料、７……防蝕塗装を施した
金属構造体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 防蝕塗装を施した金属構造体の表面に、両面
   を耐蝕性プラスチツクフイルムで被覆した金属箔
   を積層させ、この金属箔の表面に、電波吸収材を
   貼着してなることを特徴とする電波吸収体の施工
   方法。