JPH035795B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、菌体もしくは細胞培養を行なう培養
装置に係り、特にこれらを大量に培養するに好適
な培養装置に関する。

〔発明の背景〕

従来、微生物の培養装置は培養後に精製等の後
処理工程があり、この後処理工程に多大な労力、
高価な設備が用いられていた。その中で、特開昭
55−48382号公報に記載の装置は、薄膜フイルタ
ユニツトにより、培養中に生成した有用代謝物を
除去することによつて培養後の菌体濃縮工程を省
くことのできるものとなつていた。しかし、その
例とは逆に、代謝物は不要だが菌体内に有用成分
がある場合も多く、例えば遺伝子組替大腸菌の培
養等において菌体内の有用成分を得るためには、
培養後濃縮、洗浄、再濃縮、破砕、分離を行う必
要があるが、その点について配慮された装置はな
かつた。

また、培養環境をモニタリングするためのセン
サー電極は培養中に菌体により表面の汚れを生じ
性能が劣化するが、その点についても従来配慮さ
れていなかつた。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、菌体または細胞の大量培養に
適し、その後処理工程を簡略化することのできる
培養装置を提供することである。

〔発明の概要〕 本発明は、菌体あるいは細胞の培養を行なう培
養槽を有し撹拌培養を行なう培養装置において、
培養槽の内部に設けられた菌体あるいは細飽は透
過しないが培地およびガスを透過する微小な径の
穴を有する膜材料で形成した袋状の容器と、該袋
状の容器の一端を支持し外部駆動源で槽内に回動
可能に設けられた撹拌手段とを具備し、袋状の容
器内で菌体あるいは細胞を培養するように構成し
たことを特徴とする。なお、この明細書におい
て、袋とは、袋のみならず袋状の容器も含む。

これによつて、培養中の菌体を直接センサーに
接触させずに運転できるため、センサーの劣化が
減少できた。

培養終了後は袋を引き上げるかまたは培地を抜
くことにより濃縮が短時間に高濃縮率で行われ、
しかも発熱がないため有用物質の破壊も少ない。

次に緩衝液で袋を洗浄し、袋を引き上げるかま
たは培地を抜けば、洗浄及び再濃縮が極めて短時
間に容易に行える。しかもこの袋の穴径を例えば
約0.1μmにとつた場合には、袋に除菌フイルタと
しての作用が加わるから、培養後の菌体の移送を
袋単位で行うことにより無菌的移送が可能となる
利点がある。

このように本発明により、培養における大きな
省力化、省コスト、収率向上が可能となつた。

〔発明の実施例〕

以下、本発明を具体的な実施例に基づき詳細に
説明する。

第１図は、本発明の一実施例を示す図である。
この図において、１は菌体（または細胞）を培養
するための容器である培養槽である。２は培養す
べき菌体（または細胞）をその内部で培養する袋
である。袋の外部から培養に必要な培地および空
気等をその内部に供給可能にするために、袋２は
多数の微小な穴があけられた材料（例えば透過
膜）で作られている。この実施例では、培地およ
びガスは通すが菌体は通さない径、約0.1μmの孔
径を有する膜を用いている。３，４は磁石円板で
あり、モータ４０による駆動力で円板４が回転
し、この円板４の磁力により上ぶた１２を介して
円板３が回転する構造になつている。回転部をこ
のような磁石としているのは、軸直結の場合の軸
封を不要にするためで、このようにする必然性は
ない。１１は円板３を上ぶた１２に回動自在に取
付けるための取付部材である。袋２には、リング
５および６が装着され、リング５は磁力で円板３
に取付けられる。７はサポート部材である。８は
円板３に設けられた穴であり、この穴を介して、
外部から袋２内に培養すべき菌体（または細胞）
が投入可能になつている。９，１９は蒸気用のバ
ルブであり、培養開始前に、培養槽１内および配
管内の殺菌を行うための蒸気を供給するために開
となり、培養中は閉とする。バルブ１０は、蒸気
を排気したり、培養中の廃液を槽外へ排出する導
管の途中に設けられる。１３は槽内の液（培地）
を排出するためのバルブであり、培養中は閉とな
つている。１４はガス供給用のスパージヤであ
る。１５と１６はガス供給用のバルブ、１７はガ
ス供給用のポンプである。１８は培地供給用のポ
ンプである。２０は培養すべき菌体を供給するた
めのバルブである。

第１図の装置において、培養を行うには、まず
バルブ９，１９，２０を開いて、蒸気を導入し、
槽内および配管内を殺菌する。殺菌に供された蒸
気は、バルブ１０あるいは１３を開くことにより
槽１外へ放出される。これによつて、蒸気滅菌が
行われる。次に、ポンプ１８を駆動し、あるいは
上ぶた１２を開いて培地を培養槽１内に投入す
る。上ぶた１２を開いた場合には、再度蒸気滅菌
が必要である。次に、バルブ２０を開いて、培養
すべき菌体（または細胞）を外部より槽１内に設
けられた袋２内に移入する。この移入は、注射器
状のものを用いるのが良い。その後、培養に必要
な培地をポンプ１８を駆動して槽１内に供給し、
また培養に必要な酸素等のガスをポンプ１７を駆
動しバルブ１５，１６を開くことによつて槽１内
に供給する。袋２は、培地やガスを透過させるに
十分な径の孔を有しているので、袋内に新たな培
地やガスが供給される。一方、モータ４０を駆動
することによつて、円板３が回転し、袋２が回転
する。したがつて、槽内撹拌が行われ、いわゆる
撹拌培養が袋２内で行われる。このとき、リング
６により、袋２がたるむことが防止でき、撹拌並
びに培養が効率良く行われる。古くなつた培地
は、バルブ１０を開くことによつて槽１外へ放出
される。

培養終了後は、底部のバルブ１３を開き、内部
の培地を抜出す。そして、新たに緩衝液を加えて
（緩衝液を槽内に供給する通路は、図においては
省略している。）、培養された菌体（または細胞）
を洗浄し、その後再びルブ１３から内部の液を抜
出す。これにより、菌体（または細胞）の破砕準
備が効率良く行える。また、菌体（または細胞）
の入つた袋２ごと、安全キヤビネツトに移動させ
ることができ、操作が容易となる。袋内の菌体
は、袋入口を閉じるだけで、外部に拡散すること
はなく、人体に有害な菌体であつても、安全な作
業を行うことができる。

次に、第２図を用いて、本発明の他の実施例を
説明する。第２図において、２５は袋２をサポー
トする部材である。２６は軸であり、２７はその
軸２６に接続された撹拌翼である。ほとんどの機
器は、第１図と同様なので第２図においては省略
している。第２図の実施例では、袋２は槽１内に
固定（取りはずし可能）されており、槽内の撹拌
を撹拌翼２７で行つている。

次に、第３図を用いて、本発明の他の実施例を
説明する。第３図と第２図の違いは、槽内の撹拌
手法の違いのみである。すなわち、第３図におい
ては、磁石回転円板（円板でなくて、棒状のもの
でも良い）３を培養槽１の下部に配置している。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明よれば、菌体または
細胞（植物細胞あるいは動物細胞）の大量培養に
適し、しかもそれらの後処理工程の簡略化に寄与
するところ大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す図、第２図は
本発明の他の一実施例を示す図、第３図は本発明
の更に他の一実施例を示す図である。 １……培養槽、２……袋、３……磁石円板、４
……磁石円板、５……リング、６……リング、７
……サポート部材、８……穴、９……バルブ、１
０……バルブ、１１……取付部材、１２……上ぶ
た、１３……バルブ、１４……スパージヤ、１５
……バルブ、１６……バルブ、１７……ポンプ、
１８……ポンプ、１９……バルブ、２０……バル
ブ、４０……モータ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 菌体あるいは細胞の培養を行なう培養槽を有
   し撹拌培養を行なう培養装置において、 前記培養槽の内部に設けられた菌体あるいは細
   飽は透過しないが培地およびガスを透過する微小
   な径の穴を有する膜材料で形成した袋状の容器
   と、該袋状の容器の一端を支持し外部駆動源で槽
   内に回動可能に設けられた撹拌手段とを具備し、
   袋状の容器内で菌体あるいは細胞を培養するよう
   に構成したことを特徴とする培養装置。