JPH0356939B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 鉄道車輌が、比較的高速で曲線走行する際に、
車輌に横方向の力が生じ、それが乗客に不快感を
与えることは良く知られている。車体が傾斜せし
められて、乗客が感ずる横方向の曲線走行加速度
を減少させることにより、一般により速い車速が
達成される。

多くの形式の傾斜方式が提案されて来ており、
それらの内の幾つかは実用に供されている。これ
らの方式は、比例作動システム（proportional
system）として分類することが出来、受動的な
システムと能動的なシステムとがある。受動的な
システムでは、車体は重心より上方の点で懸架さ
れる。それにより車体は曲線走行時に横方向加速
度に応じて傾斜する。このシステムは、傾斜機構
の一部を客室内に設けることが必要であり、従つ
て、収入源としての利用可能な座席数を減少さ
せ、また車輌構造を複雑にする。

能動的制御システムでは、車体の傾斜は、乗客
に与えられる横方向加速度の効果を小さくするよ
うに恒常的に調整される。車体は、傾斜装置がそ
の最大角度に到達する迄、曲線走行中であつたこ
とをかろうじて知るような態様で傾斜する。車輌
がこの均衡速度を越えるとき、その超過速度が横
方向加速度として感じられる。通常は、約7.6cm
（３インチ）のカント不足（0.05ｇ）に相当する
超過速度までは許容し得る。このシステムは相当
量のフイードバツク信号処理と制御とを必要とす
る。

停止部材は、傾斜動作を行なわない間、垂直方
向と横揺れ方向の懸架装置の運動を制限するのに
一般に用いられる。これらの停止部材は、運転状
態に応じて、車体の傾斜を許すよう選択的に位置
決めし直されなければならない。本発明の譲受け
人と同一の譲受け人に譲渡された1980年７月３日
付出願の「鉄道車輌用傾斜装置」と題した米国特
許出願第165948号（対応日本出願昭56−502418号
（特表昭57−501320号））には、本願が関係してい
る傾斜装置が記載されている。

上記の出願の第８図と第１１図には、車体の傾
斜が起こる前に選択的に作動されねばならない停
止装置が示されている。該出願に記載された停止
機構は、多くの面で満足すべきものであるが、そ
れは幾分か複雑な流体圧システムを必要とし、シ
ステムの複雑さとコストの増大とを伴なう。本発
明は、該出願に記載された型式の傾斜装置に於け
る停止機構の改良に関する。

発明の目的 本発明の諸目的は下記の通りである。

鉄道車輌に於ける傾斜装置用の改良された停止
機構を提供すること、 構造が比較的簡単であり、複雑な流体圧機構を
必要としない改良された機械的停止機構を提供す
ること、 発明の要約 本発明によれば鉄道車輌に於いてその車体を傾
斜可能に支承すべくその台車に連結される傾斜装
置と関連して用いられ、車体の両側に対向すべく
台車に連結されて該傾斜装置によつて与えられる
車体の傾斜を制限するための一対の停止機構が提
供される。この停止機構の各々は、ハウジング
と、該ハウジング内に設けられて車体の底部を係
止することによつて車体の下降移動を制限するた
めのシヤフトと、シヤフトの下方に配置された可
動ブロツク部材と、ブロツク部材に連結されたピ
ストンと、常時においてブロツク部材をシヤフト
の下方位置に保持してシヤフトの下降移動を制限
するための第１の付勢手段と、第１の付勢手段に
よる付勢力を克服するに十分な圧力をピストンに
与えてブロツク部材をシヤフトの下方位置から退
避せしめ、かくしてシヤフトの下降移動を許容す
るための圧力付与手段と、シヤフトを常時上方に
付勢して車体の底部を係止するための第２の付勢
手段と、を有する。

本発明の上述の及びその他の目的ならびに利点
は、添附図面を参照して、以下の説明を一読すれ
ば、当業技術の熟達者には明らかとなり、また想
到されよう。

好適な実施例の説明 第１図には、上記出願に記載された型式の傾斜
装置が示されており、それはブラケツト（図示せ
ず）内で回転可能に設けられた部材１０，１２を
有し、ブラケツトは車体に固定されている。回転
可能な１０，１２の端部は、ブラケツト内で自由
に回転できる。

部材１０，１２の端部はレバー・アーム１４，
１６に夫々結合されている。レバー・アーム１４
及び１６は傾斜動作の間、回転部材１０及び１２
の端部と共に運動もしくは枢軸回転するようにな
つている。レバー・アーム１４及び１６の他端
は、夫々一対のリンク１８及び２０に連結されて
いる。リンク１８及び２０は、レバー・アーム１
４及び１６とスチール板２２及び２４との間に枢
着されている。スチール板は適切な装着手段によ
り台車のボルスタ２６に固定されている。スチー
ル板２４はボルスタ２６に固定されているので、
リンク２０はボルスタ２６に直接に連結されてい
るものと考えても良い。これは、リンク１８につ
いても当てはまる。従つて、レバー・アーム１４
及び１６が回転すると、レバー・アームの一端
は、車体に関して固定されたまゝに留まろうと
し、他端は傾斜方向に依存して上下に運動しよう
として、リンク１８及び２０を介して力を伝達
し、ボルスター２６に関して車体を上下動させ
る。このシステムは、レバー・アーム１４及び１
６を反対方向に運動させるよう設計されており、
それ故関連するリンク１８及び２０は車体の両側
が反対方向に上下して傾斜するのを許す。

一対のアーム２８及び３０は、回転部材１０及
び１２に夫々固定されているが、その結合部の詳
細は示されていない。回転部材１０はアーム３０
によつて回転されるよう結合され、回転部材１２
はアーム２８によつて回転されるよう結合されて
いる。

アクチユエータ３２は、アーム３０と２８の自
由端間に結合されている。アクチユエータ３２
は、アーム２８及び３０を離間させ、あるいはそ
れらを互いに接近させるよう作用する。アクチユ
エータ３２の詳細と、その作動源は第３図に示さ
れている。

本発明の一実施例による一対の停止機構４０，
４２が第２図に示され、これらは第１図に示され
る上記傾斜装置と関連して用いられ該傾斜装置に
よつて与えられる車体３６の傾斜を制限するため
に車体３６の両側において車体３６と台車３８と
の間に配設される。第２図には一方の停止機構４
０が下方に傾斜された車体３６の図示左側部を支
承してそれ以上の下方傾斜を制限すべくシヤフト
（後述）が下降位置にある状態が示され、他方の
停止機構４２は固定位置に保持されて不作動の状
態にある。これら停止機構４０，４２は車体３６
の傾斜方向に依存してその一方が下降位置を、そ
の他方が固定位置を取るものであり、例えば第２
図において車体３６の右側部が下方に傾斜した場
合には図示の状態とは逆に停止機構４２が下降位
置となり、停止機構４０は固定位置に保持され
る。車輌が車体３６の傾斜を伴わずに走行してい
る場合は、双方の停止機構４０，４２が固定位置
に保持され、これらは多くのシステムに見られる
在来の下降停止部材として働く。

空気ばね４４及び４６は、車体３６を支持して
いる。これらの空気ばねは、傾斜を行なわないと
き、ありきたりの態様で常態的に動作し、また傾
斜したときも車体を支持し続ける。

車体と台車についての他の詳細については、そ
れらが公知であり、本発明と無関係であるので詳
述しない。

第３図には、第１図のアクチユエータ３２を作
動させる典型的なシステムが示されている。基本
的に、該システムは、横方向加速力が或る予定レ
ベルを越えたとき、車体を何れかの方向に傾斜さ
せるよう設計されている。車体の傾斜は予定され
た角度で行なわれる。

横方向加速力は、車体の下方の台車上で検出す
るのが良い。計測された加速度が例えば0.04ｇの
或る予定レベルに達したとき、加速度計は制御装
置４６に信号を送り、それはスイツチ５０又は５
２を介してパイロツト・ソレノイド弁６２又は７
８に電力を供給し、加速度が或る予定レベル、例
えば0.03ｇに低下したとき電力の供給を止める。
スイツチ５０又は５２の選択は、車体に於ける横
方向のｇレベルを減少するのに適切な方向に車体
が傾斜するよう、加速度の方向によつて決まる。

スイツチ５０と５２の何れが作動されるかに依
存して、車体３６（第２図）は、後述の如くアク
チユエータ３２の上方の室５４か下方の室５６か
に圧力を与えることにより、左右何れかの側に傾
斜される。スイツチ５０が作動された場合につい
て、先ず説明する。

スイツチ５０が作動されたとき、ライン５８に
電気信号が生じ、それは後続の台車に於ける対応
する弁とアクチユエータ配列に接続されたライン
６０にも与えられる。ライン５８上の信号は弁６
２に与えられて、その弁を開き、加圧されたパイ
ロツト空気が空気ばねもしくは空気だめ６４から
弁６２を介して弁６６へ流過するのを許す。

該システムに於ける主空気だめ（図示せず）
は、ライン６３から、車輌の各端部に配置されて
いる圧力調整器７０及び空気だめ７２を介して弁
６６に接続されている。空気だめ７２内の圧力
は、車体を傾斜させるに必要な力を与えるのに充
分である。弁６６が作動されて開かれたとき、空
気だめ７２からの空気圧は、弁６６を通過してア
クチユエータ３２の下方の室５６に至る。これに
より、アクチユエータ３８（第１図）が結合され
ているアームを開かせ、第３図及び第４図に関し
て説明する方向に車体を傾斜させる。

車体を反対方向に傾斜させる場合には、スイツ
チ５２が作動されて、ライン７４に電気信号を生
じ、またけん引される台車の弁とアクチユエータ
とに接続されているライン７６にも電気信号を生
ずる。ライン７４に於ける典型的な信号は、弁７
８を開いて、パイロツト空気圧が空気だめもしく
は空気ばね６４から弁８０へ流過するのを許す。
弁８０に与えられた空気圧は、それを開かせて空
気だめ７２から空気圧ががアクチユエータ３２の
上方の室５４内に流過するのを許す。これによ
り、第１図に関して説明したアームを後退させ、
それにより、弁６６が作動されたとき先に説明し
たのとは反対の方向に車体を傾斜させる。

上方の室５４又は下方の室５６の何れに圧力が
与えられるかに依存して、ピストンン８２は上方
か又は下方に移動する。これがアーム８４を上方
か又は下方に移動させる。第１図に示したアーム
２８，３０間に接続されたアクチユエータは、圧
力を与えることにより伸張、収縮する。アクチユ
エータ３２の伸張、収縮は、先に説明した態様で
車輌を傾斜させる。

第３図に関して説明したシステムは、以上の点
では上述の出願に記載したシステムと同じであ
る。本発明が関係している停止機構４０及び４２
の動作は上記出願のものと異なつており、流体圧
手段を必要としない。

二つの停止機構は同一設計である。従つて、機
構４０についてのみ説明するが、機構４２の動作
は反対方向の傾斜動作すること以外は同じである
ことが理解されよう。

常態的な非傾斜動作では、スプリング座板８６
（第２図）は、シヤフト９０の端部にねじ込まれ、
ハウジング９２内に配置されたスプリング９１に
よつて常態的に上方に偏倚されているキヤツプ８
８（第４図）と接触する。可動ブロツク部材９４
がハウジング９２内に配置されて、シヤフト９
０、従つて車体３６（第２図）の下降運動を常態
的に制限している。この可動ブロツク部材はピス
トン９６に取り付けられており、そのピストンは
スプリング９８によつて前方に偏倚されて可動ブ
ロツク部材９４を常態的に前方位置に保持する。

車輌が傾斜されるべき場合に、弁８０からライ
ン１００を介してハウジング９２内に空気圧が与
えられる。この空気圧はスプリング９８の偏倚力
に抗してピストン９６を押し、可動ブロツク部材
９４を後退させる。これが可動ブロツク部材９４
をシヤフト９０の運動経路以外へ移動させて、ス
プリング座板８６が下降するとき、シヤフト９０
がハウジング９２の中央孔の底部に達するのを許
す（第５図）。ライン１００上に圧力がないとき、
スプリング９８はピストン９６と可動ブロツク部
材９４とをそれらのもとの位置に押し戻し、スプ
リング座板８０が上方に移動するとき、スプリン
グ９１がシヤフト９０を充分に伸長させた位置に
戻す（第４図）。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明を適用し得る傾斜装置の一型
式を示す等角図である。第２図は、本発明による
停止機構を主として説明するために示された台車
上の鉄道車輌の断面図である。第３図は、本発明
による停止部材を作動させるのに用いられ得る典
型的なシステムを示す。第４図は、鉄道車輌の傾
斜を防止するよう位置づけられた本発明の停止機
構の一つを示す断面図である。第５図は、車体の
傾斜を許すよう位置づけられた停止機構を示す第
４図と同様の断面図である。 符号の説明、８８：キヤツプ、９０：シヤフ
ト、９１：スプリング（第２の付勢手段）、９
２：ハウジング、９４：可動ブロツク部材、９
６：ピストン、９８：スプリング（第１の付勢手
段）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鉄道車輌に於いてその車体を傾斜可能に支承
   すべくその台車に連結される傾斜装置と関連して
   用いられ、車体の両側に対向すべく台車に連結さ
   れて上記傾斜装置によつて与えられる車体の傾斜
   を制限するための一対の停止機構であつて、各々
   が、 (a) ハウジングと、 (b) 上記ハウジング内に設けられて車体の底部を
   係止することによつて車体の下降移動を制限す
   るためのシヤフトと、 (c) 上記シヤフトの下方に配置された可動ブロツ
   ク部材と、 (d) 上記ブロツク部材に連結されたピストンと、 (e) 常時において上記ブロツク部材を上記シヤフ
   トの下方位置に保持して該シヤフトの下降移動
   を制限するための第１の付勢手段と、 (f) 上記第１の付勢手段による付勢力を克服する
   に十分な圧力を上記ピストンに与えて上記ブロ
   ツク部材を上記シヤフトの下方位置から退避せ
   しめ、かくして該シヤフトの下降移動を許容す
   るための圧力付与手段と、 (g) 上記シヤフトを常時上方に付勢して上記車体
   の底部を係止するための第２の付勢手段と、 を有して成ることを特徴とする、鉄道車輌に於け
   る傾斜装置用の機械的停止機構。