JPH0356762Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、デイーゼルエンジン用グロープラ
グにおいて、取付金具と鞘部とを嵌め込むことに
より互いを連結させる接続構造に係り、特には当
該接続構造の改良に関する。

［従来の技術とその問題点］ 内燃機関とりわけデイーゼルエンジンにあつて
は、周知のように始動補助装置としてグロープラ
グが設けられている。このグロープラグＧは、第
５図に示すように、管状の取付金具１と発熱線２
を内設した鞘部３を備え、これら取付金具１と鞘
部３を互いに嵌め込むことにより気密状態に連結
している。

このとき、取付金具１の内周面には、段部４を
境界にして径大部１ａおよび径小部１ｂがそれぞ
れ形成されており、取付金具１の内周面又は、鞘
部３の当接部外周面に潤滑剤を塗布した後、鞘部
３は上端部を径大部１ａを通して挿入し、段部４
に強固に当接させることにより縮径状態に変形さ
せながら径小部１ｂの内周面に当接させている。

ところが、かかる挿入操作時、鞘部３は耐熱性
合金により形成されていることもあつて、変形を
受け難く段部４に当接したところで、大きな圧入
力を要し、場合によつては径小部１ｂの内周面に
食い込み強固な圧入抵抗となる。このため鞘部３
と取付金具１との接続操作時に、多大な圧入力を
必要とされ、時間がかかつて手間取り作業性が悪
化したり、圧入力が過度になつた場合には、鞘部
３自体がつぶれて不良品になる虞れがあり、歩留
りが悪く生産性の低下に繋るといつた不都合が生
ずる。

［考案の目的］ この考案は上記のような問題を解消しようとし
てなされたもので、取付金具と鞘部との接続時
に、つぶれることなく小さな圧入力で比較的短時
間で迅速に済み作業性が向上し歩留りが良好にな
り、ひいては生産性の向上に繋がるといつた優れ
たデイーゼルエンジン用グロープラグにおける取
付金具と鞘部との接続構造を提供するにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記の問題点を解決するために本考案は、内周
部と径大部と径小部とが段部を境界にして連続形
成された管状の取付金具と、外径寸法が少なくと
も接続部で前記取付金具における径大部と径小部
との中間の寸法になるように形成され、発熱線を
内設した金属製の鞘部と、この鞘部の前記接続部
に対応する部分を内周面から肉取りすることによ
り形成した薄肉部とを備え、これら取付金具およ
び鞘部との接続時に、この鞘部の薄肉部を前記取
付金具の径大部を通して段部に当接することによ
り縮径させ、該薄肉部の外周面を径小部の内周面
に圧接させるように構成している。

［考案の作用と効果］ 上記のように構成した考案によれば、鞘部の内
周側を肉取りすることにより薄肉部を形成したこ
とから、接続時に薄肉部が段部に当接するとき比
較的容易で円滑に変形し、しかも径小部に対する
食い込みが生ずることがなく、したがつて鞘部に
つぶれが生じることなく、比較的小さな圧入力で
短時間に迅速に済み、作業性が向上し歩留りが良
好になり、ひいては生産性の改善に繋るといつた
優れた効果を奏するデイーゼルエンジン用グロー
プラグにおける取付金具と鞘部との接続構造を提
供できるものである。

［実施例］ 以下この考案の一実施例を第１図および第４図
を参照して説明する。第１図において、１０は始
動補助装置としてのグロープラグで、これは例え
ば副室式のデイーゼルエンジンに取り付けられ、
渦流室や予燃焼室内に位置している。このグロー
プラグ１０の下端部には、酸化マグネシユームな
どの電気絶縁粉末１１を介して発熱線としての電
気抵抗線１２を封入した鞘部１３を有し、全体と
して、いわゆるシーズヒータを構成している。１
５は中心電極、１６は中心電極１５と鞘部１３の
一部を被覆するように配置された管状の取付金
具、１７は取付金具１６と中心電極１５との間に
Ｏ−リング（図示せず）を介して封入された絶縁
体、１９はナツトである。

さて、取付金具１６と鞘部１３との取付状態
は、鞘部１３を取付金具１６内に圧入することに
より行なわれている。この状態にすべく取付金具
１６の内面には、段部２０を境界にして径大部１
６ａおよび径小部１６ｂをそれぞれ連続形成して
いる。一方、鞘部１３は、その外径寸法Ｊが径大
部１６ａと径小部１６ｂにおける各外径Ｉ，Ｈの
中間の寸法値となるように設定され、上端部には
内周面を肉取りすることにより痩身化した薄肉部
１３ａを接続部として形成されている。ちなみ
に、取付金具１６の径大部１６ａ寸法は鞘部１３
の外径寸法Ｊより0.1〜0.4mm大きく、又、径小部
１６ｂ寸法は鞘部１３の外径寸法Ｊより0.05〜
0.2mm小さく設定している。さらに鞘部１３の厚
み寸法Ｔは0.8mm、薄肉部１３ａの厚み寸法ｔは
0.4mm、ならびに薄肉部１３ａの高さ寸法ｈは４
mmとなるように設定している。

しかして、接続時には鞘部１３の薄肉部１３ａ
を第２図に見られる如く、径大部１６ａを通して
挿入し、先端を段部２０に当接させる。この状態
から鞘部１３の挿入操作をさらに続けると、その
当接力により薄肉部１３ａが縮径方向に変形し、
第３図に示すように、薄肉部１３ａとともに鞘部
１３が径小部１６ｂ内に圧入される。鞘部１３の
径小部１６ｂに対する圧入により鞘部１３の外周
面が径小部１６ｂの内周面に圧接嵌合して、これ
らの内外両周面間に気密状態が保たれる。

このように、上記構成では鞘部１３に薄肉部１
３ａを設けたので、接続時に薄肉部１３ａが縮径
方向に変形し易く、したがつて径小部１６ｂの内
周面に食い込むことなく円滑に圧入される。この
ため接続時には、比較的小さな圧入力でよくなり
鞘部１３がつぶれて不良品が生ずることがなくな
り歩留り状態が良好になり、しかも短時間で迅速
に済み、作業性が向上し、ひいては生産性の改善
に繋がるものである。

ちなみに、第４図はばらつき分布グラフで、鞘
部１３を取付金具１６に接続するとき、ある信頼
度のもとで所定の圧入荷重の範囲内で済むロツト
数の度数分布を示す。これによると、本考案のも
のは記号Ａで見られるように、圧入に最小限必要
な荷重200Kgと鞘部がつぶれ変形を生ずる最小の
荷重800Kgの範囲Ｌ内に分布しており、記号Ｂで
示す従来と比較して高い歩留り率を呈しているこ
とが分かる。

さらには、上記実施例では、薄肉部１３ａを鞘
部１３の内周側を肉取りすることにより形成した
ので、鞘部の外周側を肉取りして薄肉部を設ける
ものと相違し、鞘部の外周側に段差部が生ぜず、
圧入時にこの段差部が段部２０に強固な圧接状態
に食い込んでしまうことがない。

このことは、単に鞘部１３に薄肉部１３ａを形
成すればよいというわけではなく、内周側を肉取
りすることにより外周側に段差部が生じないよう
に薄肉部１３ａを形成する必要性を如実に示し、
こういつた困難性に対して工夫を凝らした巧妙な
解決手段を開示した点で優れており、本考案の神
髄を構成している。

さらに、本考案による接続構造は、グロープラ
グにおける鞘部１３や取付金具１６の連結のみに
限定されず、プラグレジスターなどにも適用でき
るものである。

また、グロープラグの適用範囲としては、副室
式のデイーゼルエンジンのみに限られず、直接噴
射式や渦流室式のものにも適用できる。

その他、具体的な実施にあたつては、考案の要
旨を逸脱しない範囲で種々変更できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はデイーゼルエンジンにおけるグロープ
ラグの分解縦断面図、第２図は取付金具に対する
鞘部の圧入時を示す分解縦断面図、第３図は取付
金具に対する鞘部の圧入完了時を示す分解縦断面
図、第４図はばらつき分布図、第５図は従来のグ
ロープラグの縦断面図である。 図中、１０……デイーゼルエンジン用のグロー
プラグ（始動補助装置）、１２……電気抵抗線
（発熱線）、１３……鞘部、１６……取付金具。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 内周部に径大部と径小部とが段部を境界にして
   連続形成された管状の取付金具と、 外径寸法が少なくとも接続部で前記取付金具に
   おける径大部と径小部との中間の寸法になるよう
   に形成され、発熱線を内設した金属製の鞘部と、 この鞘部の前記接続部に対応する部分を内周面
   から肉取りすることにより形成した薄肉部とを備
   え、 これら取付金具および鞘部との接続時に、この
   鞘部の薄肉部を前記取付金具の径大部を通して段
   部に当接することにより縮径させ、該薄肉部の外
   周面を径小部の内周面に圧接させるようにしたこ
   とを特徴とするデイーゼルエンジン用グロープラ
   グにおける取付金具と鞘部との接続構造。