JPH0356565Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 考案の目的 〔産業上の利用分野〕 本考案は屋根勾配の異なる切妻屋根の建築物に
も共通して取付け得るよう、傍軒の軒裏に沿う山
形勾配を可変にした小屋裏換気装置に関する。

〔従来の技術及び考案が解決しようとする問題
点〕 木構造建築物の小屋裏は、夏季には屋根の日射
熱によつて著しく高温となり天井を通して室温を
上昇させ、冬期には小屋裏に上昇した暖房暖気が
低温の小屋裏で冷却されて結露し小屋裏を湿めら
せる。このため小屋裏に接する外壁に換気口を設
けて小屋裏の空気を外気に流通させ、夏季には小
屋裏にこもる熱気を、冬期には結露による湿気を
外部に放出するようにしている。

従来この換気口は切妻屋根の建築物において
は、棟直下の妻壁に方形の開口を設け、これにル
ーバを嵌め込んだものが一般的である。（例えば
実開昭58−131331号公報記載の換気装置のごとき
形状のもの）。かかる換気口では開口の上辺から
上の断面二等辺三角形状をなす小屋裏の死空間の
換気が行われ難いという欠点がある。このため開
口を棟直下の山形状の軒裏に接して五角形状とし
小屋裏の死空間をなくす構造が考えられる。この
ような形状の開口の実施例として例えば実開昭56
−110209号公報に見られる矢切換気装置がある。
この換気装置では五角形状の開口に内外に連通す
るスリツトを有する鉄板を取付けると共に、この
鉄板の外側に該鉄板のスリツトに連通するスリツ
トを形成した化粧枠を取付けるものである。しか
しながら前記鉄板のスリツトは横長方形のため前
記死空間の解消にはならず、又前記化粧枠は所定
の屋根勾配と等しい山形勾配を有する五角形状に
形成されるため、屋根勾配の異なる建物には共用
できないという欠点がある。

又、実開昭55−4273号公報に見られる建物用通
風口枠は通風口に対して種々のパターンの化粧枠
を形成可能にしたものであるが、これも屋根勾配
に関しては異なる勾配に共用することはできな
い。

更に、実開昭56−151411号公報に見られる建物
用換気口枠は切妻屋根の各種山形勾配に自在に適
合可能とした化粧枠を提供するものであるが、こ
れは縦桟にしか適用できないため雨仕舞が悪いと
いう欠点がある。

本考案は上記従来技術の欠点に鑑み、切妻屋根
における小屋裏の換気の死空間をなくし、かつ屋
根勾配の異なる建築にも共用して取付け得ると共
に雨仕舞の良好な小屋裏換気装置を提供すること
を目的とする。

ロ 考案の構成 〔問題点を解決するための手段」 上記目的を達成するため本考案に係る小屋裏換
気装置１０は、上辺１１ａを、切妻屋根１の傍軒
１ａの軒裏に接して妻壁２に開口される二等辺三
角形状の小屋裏換気口３の底辺に沿わせて妻壁２
に取付けられる横長方形の背面板１１と、上辺１
２ｃが前記傍軒１ａの軒裏と破風１ｃ方向に沿う
略方形状の左右の側面板１２と、切妻屋根１の山
形に近似する山形二等辺１３ａを有する五角形状
の正面板１３とにより上下に長方形状の開口面１
４，１５を有する筐体を形成し、小屋裏空間を前
記妻壁２の換気口３から前記上下の開口面１４，
１５を通じて外気に連通せしめるようにし、前記
正面板１３の山形二等辺１３ａの各辺にはこれに
沿い勾配調節部材１７を夫々重合すると共に両勾
配調節部材１７の山頂側を案内部材１９にて係合
し、該案内部材１９を上下して両勾配調節部材の
山頂側を同時に上下し、傍軒１ａの軒裏勾配に合
わせて前記正面板１３の山形勾配を調節可能にし
たものである。

〔実施例〕

以下本考案を添付図面に示す実施例に基いて詳
細に説明する。

第１図は本考案装置の一部切欠分解斜視図、第
２図は取付状態を示す斜視図、第３図は勾配調節
部材の勾配調節状態を示す図である。図におい
て、本考案の小屋裏換気装置１０は薄鋼板材にて
成形される横長方形状の背面板１１と、略方形状
の左右の側面板１２，１２と山形二等辺１３ａを
有する五角形状の正面板１３とが互いに接合され
て上下に長方形状の開口面１４，１５を有する筐
体に形成される。

背面板１１の上辺１１ａ及び下辺１１ｂは内側
にコ字状に折曲されて補強され、左右両端及び下
部に夫々取付片１１ｃ，１１ｄが固着されてい
る。

正面板１３の山形二等辺１３ａの縁は夫々外側
にＬ字状に折曲され、下辺１３ｂは角柱状に折曲
されて補強され、両端の垂直辺部が左右の側面板
１２，１２のＬ字部材１２ａにねじ１６で止着さ
れ、正面板１３は側面板１２，１２に対して取外
しが可能である。上記山形二等辺１３ａの山形勾
配は該装置１０を適用する切妻屋根１の勾配範囲
の内で最低勾配のものに一致される。山形二等辺
１３ａの各辺には夫々これに沿いチヤンネル状の
勾配調節部材１７が重合される。正面板１３の両
端の各垂直辺部には同じくチヤンネル状の縦部材
１８がその差込み片１８ａを正面板１３のスリツ
ト１３ｃに、スナツプ突起１８ｂを側面板１２の
スナツプ孔１２ｂに夫々嵌合して着脱可能に取着
され、各勾配調節部材１７の反山頂側の基端を
夫々適度の遊動を許して支持する。各勾配調節部
材１７の山頂側の他端には夫々係合片１７ａが起
立され、該係合片１７ａは正面板１３の山形二等
辺１３ａと等しい勾配の山形を有する五角形状の
案内部材１９のハ字状の案内孔１９ａに係合され
る。案内部材１９の中心軸線上に長孔１９ｂが形
成され、該長孔１９ｂに挿通されたねじ２０が正
面板１３の山形頂部のねじ孔１３ｄ（第４図に示
す）に螺合され、ねじ２０を弛めれば案内部材１
９は長孔１９ｂに沿つて上下でき、このとき勾配
調節部材１７の係合片１７ａが案内部材１９の案
内孔１９ａに案内され、両勾配調節部材１７，１
７は反山頂側の各基端を支点とし山頂側の各他端
を同時に上下して第３図に示すごとく山形勾配が
α〜α′範囲で変化され、ねじ２０を締め付ければ
その位置で両勾配調節部材１７，１７の山形勾配
が固定される。

案内部材１９の山形辺の折曲げ部には該案内部
材１９を切妻屋根１の傍軒１ａの軒裏に釘止めす
る釘孔１９ｃが、又両側垂直辺の折曲部には案内
部材１９に被着するカバー２１のスナツプ突起２
１ａに嵌合するスナツプ孔１９ｄが穿設されてい
る。

背面板１１及び正面板１３の各折曲げ下辺１１
ｂ，１３ｂの内部上縁にはエキスパンドメタル等
によるスクリーン２２を被設して下部開口面１５
を蔽い不要の異物の侵入を防止している。尚スク
リーン２２は上部開口面１４に被設してもよい。

第４図は本考案装置及に防火ダンパ３０を設け
た実施例を示し、装置本体１０は前記実施例のも
のと全く同様で、図において装置本体の各要素は
前記実施例と同一の符号で示している。

防火ダンパ３０は薄鋼板で成るシヤツタ３０ａ
の一側辺が背面板１１の内面に固着された長手方
向に延在するブラケツト２５にヒンジ３０ｂで枢
着される。該シヤツタ３０ａは強度を増し、かつ
跳ね上げ時開口１４，１５の面積を減小しないた
めに長手方向の折線でく字形に折曲され、跳ね上
げ状態で温度ヒユーズ３０ｃに支持されて常時当
該換気装置１０を開通させている。隣家の火災等
で温度ヒユーズ３０ｃが溶断するとシヤツタ３０
ａは自重で倒伏して前面板１３の内面に固着され
た長手方向に延在する受け部材２６に当接し、当
該換気装置１０の開口面を完全に閉鎖し火災が当
該建築物の小屋裏に吹込むのを防止する。

〔作用〕

次に上記実施例の作用について説明する。

切妻屋根１の傍軒１ａの軒裏に沿い妻壁２に予
め二等辺三角形状の小屋裏換気口３が開口され
る。ここに取付ける小屋裏換気装置１０は当該建
築物の屋根勾配が4.5/10であればこの勾配を含
む、例えば最低4/10から最高5/10勾配を適用範囲
とする形式を選択する。この換気装置１０の背面
板１１の上辺１１ａを小屋裏換気口３の底辺に沿
わせ。各側板１２の上辺１２ｃを夫々傍軒１ａの
軒裏に破風１ｃ方向へ沿わせ、取付片１１ｃ，１
１ｄに釘打ちして妻壁２に取付ける。ここで当該
換気装置１０の正面板１３の山形勾配は4/10勾配
に形成されているため傍軒１ａの軒裏と正面板１
３の山形とは密接しない。そこで案内部材１９の
カバー２１を外しねじ２０を弛めて案内部材１９
の上部山形が傍軒１ａの棟裏に当接するまで上昇
すると、左右の各勾配調節部材１７は反山頂側の
各基端を支点とし山頂側の各他端が案内部材１９
に案内されて同時に上昇し、両勾配調節部材１
７，１７の勾配増加に伴う両山頂部側の離間間〓
が案内部材１９で閉鎖された状態で勾配調節部材
１７の上辺が傍軒１ａの軒裏に密接する。ここで
ねじ２０を締め付けて勾配調節部材１７を正面板
１３に固定すると共に案内部材１９の山形辺の釘
孔１９ｃに釘を挿通して傍軒１ａの軒裏に釘止め
し、しかる後案内部材１９にカバー２１を被着す
れば正面板１３に空〓を生じることなく当該換気
装置１０は小屋裏換気口３に取付けられ、小屋裏
空間と外気とを連通する。

〔他の実施例〕

第５図は案内部材の他の実施例を示す斜視図
で、この案内部材１９′は両勾配調節部材１７，
１７の内面を摺動可能のチヤンネル状の摺動部１
９a′，１９a′の各一端の折曲げ部が外方に折返え
されてヒンジ１９b′で連結され、各折返し部１９
c′に釘孔１９d′が穿設されて成るものである。そ
して両摺動部１９a′，１９a′はヒンジ１９b′側の
端面を適宜重合して両勾配調節部材１７，１７に
内嵌係合され、該案内部材１９′を上下して勾配
調節部材１７を傍軒１ａの軒裏に密接させ、折返
し部１９c′の釘孔１９d′に釘打ちし案内部材１
９′を軒裏に固定する。両勾配部材１７，１７の
勾配増加に伴う両山頂部側の離間は摺動部１９
a′の摺動延出によつて補充され、かつ両摺動部１
９a′，１９a′端面の重合と共に勾配調節部材１７
の勾配調節によつて正面板に空〓が生じることが
ない。

この案内部材１９′は前記五角形状の案内部材
１９に比し構成が簡単であるのみならず勾配調節
範囲を拡大することができ、勾配調節部材１７の
正面板１３に対する初期重合度を大にしておけば
３／１０〜10/10の大きな範囲の屋根勾配に対しても
一形式の装置で共用することが可能である。

ハ 考案の効果 以上説明したように本考案装置では、切妻屋根
の傍軒の軒裏に接して妻壁に開口された二等辺三
角形状の小屋裏換気口を当該装置を介して全面的
に外気に連通するため、小屋裏の換気の死空間が
なく小屋裏の換気が十分行われ建物の保存性及び
居住性を向上することができる。

又、傍軒の軒裏の山形勾配に沿う当該装置の正
面板の山形二等辺は勾配調節部材により所定の範
囲で山形勾配の調節が可能であるから、異なる屋
根勾配の建築物に対して夫々別個に換気装置を調
製する必要がなく、所定の勾配適用範囲の当該装
置を小数形式揃えておけば、緩勾配の金属平板葺
き屋根から急勾配の洋風屋根まで広い範囲の切妻
屋根に既製品として適用でき工費の節約が可能と
なる。

更に、当該装置では上下方向の通路を介して小
屋裏と外気とを連通するから傍軒が浅い場合でも
雨が小屋根に吹込むおそれが少なく雨仕舞が良好
である。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示し、第１図は一部切欠
分解斜視図、第２図は取付け状態を示す斜視図、
第３図は勾配調節部材の勾配調節状態を示す図、
第４図は防火ダンパを設けた実施例の横断面図、
第５図は案内部材の他の実施例における勾配調節
状態を示す斜視図である。 １……切妻屋根、１ａ……傍軒、１ｂ……棟、
１ｃ……破風、２……妻壁、３……小屋裏換気
口、１０……小屋裏換気装置、１２……側面板、
１３……正面板、１３ａ……山形二等辺、１４…
…上部開口面、１５……下部開口面、１７……勾
配調節部材、１９，１９′……案内部材、２２…
…スクリーン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 上辺を、切妻屋根の傍軒の軒裏に接して妻壁
   に開口される二等辺三角形状の小屋裏換気口の
   底辺に沿わせて妻壁に取付けられる横長方形状
   の背面板と、上辺が前記傍軒の軒裏と破風方向
   に沿う略方形状の左右の側面板と、切妻屋根の
   山形に近似する山形二等辺を有する五角形状の
   正面板とにより上下に長方形状の開口面を有す
   る筐体を形成し、小屋裏空間を前記妻壁の換気
   口から前記上下の開口面を通じて外気に連通せ
   しめるようにし、前記正面板の山形二等辺の各
   辺にはこれに沿い勾配調節部材を夫々重合する
   と共に両勾配調節部材の山頂側を案内部材にて
   係合し、該案内部材を上下して両勾配調節部材
   の山頂側を同時に上下し、傍軒の軒裏勾配に合
   わせて前記正面板の山形勾配を調節可能にした
   ことを特徴とする小屋裏換気装置。 (2) 前記筐体の上下の開口面の何れか一方にスク
   リーンを被設したことを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の小屋裏換気装置。