JPH0354340Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、クリーンルームの滅菌消毒に際し
て、滅菌ガス発生器をそのつどクリーンルーム内
へ持込むことなく実施できるような構成としたク
リーンルームの滅菌空調装置に関する。

〔従来の技術〕

従来のクリーンルームの滅菌空調装置として
は、例えば特開昭61−232857号公報に開示された
ようなものがある。これは、空調装置の運転中に
調和空気供給路の上流側に人体への悪影響を有し
ない殺菌ガスを供給して空調対象域である種々の
用途に用いるクリーンルームを滅菌消毒するもの
であるが、これに用いられる滅菌ガスとしてのフ
イトンチツド（テルペン類を主成分とする植物性
揮発物質）は現在では入手困難であるとともに高
価であるため、一般にはホルムアルデヒド水溶液
（商品名ホルマリン）やエチレンオキサイド等の
人体に有害なものが使用されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、このような従来の空調装置に使用され
る上記の殺菌ガスは、空調機内の結露などの水分
に溶けて空調機部材を腐蝕させる欠点があり、そ
こで空調装置の運転を停止した後にホルマリンガ
ス発生器をクリーンルーム内にそのつど運び入れ
て室内を消毒し、消毒終了後は空調機にホルマリ
ンガスが接触しないように排気フアンにより外部
へ排出する方法を採つている。しかしこの場合、
ホルマリンガス発生器を運び入れる前にその作業
者ともエアシヤワーその他の方法により充分に除
塵してクリーンルーム内の清浄度を保たねばなら
ないという煩雑で且つ手数のかかる作業を要する
ために、このクリーンルームが長期にわたつて連
続使用される場合や手術室のように常時使用可能
にしておかねばならない場合には、殺菌処理を充
分な頻度で実施できないという問題があつた。

この考案は、このような従来の問題点に着目し
てなされたものであつて、調和空気の供給管路と
排出管路との間に設けたバイパス管路に殺菌ガス
発生器を設けることにより、上記問題点を解決す
ることを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、空調機により調和された空気を高
性能フイルタを介してクリーンルームに供給する
供給管路と、クリーンルーム内の空気を排出する
排出管路と、クリーンルーム内の空気を前記空調
機へ戻す第１のバイパス管路と、クリーンルーム
内の空気を前記空調機を経由せずに再びクリーン
ルーム内へ戻す第２のバイパス管路とを備え、該
第２のバイパス管路には滅菌ガス発生手段及び循
環フアンを設けたクリーンルームの滅菌空調装置
としたものである。

〔作用〕

この考案は上記のように構成されているので、
通常の空調時には第２のバイパス管路を閉塞して
空調機を運転し、外気取入口から取入れた外気と
クリーンルームに出側から第１のバイパス管路を
経たクリーンルームの空気とを空調機により調和
空気とし、さらに高性能フイルタを通すことによ
り除塵された調和空気としてクリーンルームへ供
給し、室内を清浄に保つた空気調和を行う。また
消毒時には第１のバイパス管路及びクリーンルー
ムの空気を排出する管路を閉塞するとともに第２
のバイパス管路を開とし、この管路に設けた循環
フアンを駆動して該管路に設けた滅菌ガス発生手
段より発生させた滅菌ガスを高性能フイルタを通
してクリーンルームへ送り込む。そしてクリーン
ルーム内の滅菌ガスが所定の濃度になつたら滅菌
ガス発生手段の作動を停止し、所定時間経過した
ら循環フアンを停止する。さらに消毒に必要な時
間だけこの状態を保持し、消毒完了後には外気を
導入するとともにクリーンルーム内の滅菌ガスを
排出管路により屋外へ排出する。排出が完了した
ら再び空調機の運転を開始する。かくして滅菌ガ
スは空調機と接触することなく、且つ作業者がク
リーンルームに立入ることなくクリーンルームの
滅菌消毒を行うことができる。

〔実施例〕 以下この考案を図面に基づいて説明する。第１
図はこの考案の一実施例を示す概略図である。

先ず構成を説明すると、１はクリーンルームで
あつて、工業用，医療用等使用目的によりその程
度は異なるが、その室内は一般に無塵無菌に近い
状態の清浄度に保たれた室である。２はこのクリ
ーンルームの入側に設けられた高性能フイルタ、
３は調和空気をこのフイルタを通してクリーンル
ームへ供給するための供給管路、４は外気取入口
５から取入れた外気を冷却，加温あるいは加湿し
て調和空気とするための空調機である。６はクリ
ーンルーム１内の空気を排出するための排出管路
で、７はこの管路に設けた排気フアンである。

８は排出管路６と空調機４入側とを連結する第
１のバイパス管路、９は排出管路６と供給管路３
とを連結する第２バイパス管路である。１０は滅
菌ガス発生手段としてのホルマリンガス発生器で
あつて、第２のバイパス管路９に開口するごとく
設けられている。１１は循環フアンであつて供給
管路３側へ送風するごとく第２のバイパス管路９
に設けられている。

１２，１３，１４，１５，１６，１７はいずれ
も図示した各管路に設けられた気密ダンパであつ
て、それぞれ弁の開度を変化させることにより風
量調整を行うことができる。

次に作動を説明する。

先ず、通常の空調時には、気密ダンパ１４と１
５を閉として第２のバイパス管路９を閉塞し、気
密ダンパ１３，１６，１７を開として空調機４を
運転し、空調空気を供給管路３からクリーンルー
ム１へ供給する。この際、調和空気は高性能フイ
ルタ２により除塵されて室内は清浄に保たれる。
またクリーンルーム１に要する新鮮な外気は外気
取入口５から排気フアン７の排気負圧により空調
機４へ導入されるが、クリーンルーム１からの排
気の一部は気密ダンパ１７を介して第１のバイパ
ス管路８から空調機４へ送られて排気の熱エネル
ギーが再利用され、排気の残部は排気フアン７に
より気密ダンパ１６を介して外部へ排出される。

次に、消毒時には、空調機４の運転を停止し、
気密ダンパ１３，１６，１７を閉として第１のバ
イパス管路８及び排出管路６を閉塞し、気密ダン
パ１４，１５を開として第２のバイパス管路９を
開とする。そしてホルマリンガス発生器１０を作
動させるとともに循環フアン１１を駆動すること
により、ホルマリンガスを供給管路３を通り高性
能フイルタ２，２を介してクリーンルーム１内へ
送り込む。次に、クリーンルーム１内のホルマリ
ンガスが所定の濃度に達したら、ホルマリンガス
発生器１０を停止し、停止後所定時間が経過した
ら循環フアン１１を停止する。その後、さらに消
毒に必要な時間だけこの状態で放置する。

かくして、消毒が完了したら気密ダンパ１４，
１５を閉とし、１３，１６を開として（１２は常
に開）排気フアン７を運転することにより、その
排気負圧で外気取入口５から外気を導入しこれを
供給管路３からクリーンルーム１内へ供給して室
内のホルマリンガスを排出管路６から気密ダンパ
１６を介して外部へ排出する。ガスの排出が完了
したら気密ダンパ１７を開として空調機４の運転
を再開し、前記した通常の空調運転に戻る。

第２図は他の実施例を示す。ここで第１の実施
例と同一の部品には同一の符号を付して説明す
る。

図において１０はホルマリンガス発生器、１１
は循環フアン、２４は高性能フイルタであり、２
２は第１図の気密ダンパ１５に相当する空気吸込
口、２３は気密ダンパ１４に相当する吹出口であ
つて、第１図において第２のバイパス管路９を構
成した部材はすべてケーシング２１内に収納され
て空気循環ユニツト２０を構成している。

この実施例は、通常の空調時には空調機４と空
気循環ユニツト２０とはともに運転されてクリー
ンルーム１の空調を行う。消毒時には空調機４の
運転を停止し、気密ダンパ１３，１６，１７を閉
とし、ホルマリンガス発生器１０へケーシング２
１外よりクリーンルーム１の消毒に必要な量だけ
ホルマリン液を供給してガスを発生させ、循環フ
アン１１を駆動して空気吹込口２３からクリーン
ルーム１内へホルマリンガスを送り込む。そして
ホルマリン液を完全に蒸発させてからガス発生器
１０を停止し、所定時間経過後に循環フアン１１
を停止する。次いで消毒に必要な時間だけこの状
態で放置し、消毒が完了したら気密ダンパ１３，
１６を開として排気フアン７及び循環フアン１１
を駆動し、排気負圧により外気取入口５から外気
を導入してクリーンルーム１内及び空気循環ユニ
ツト２０内のホルマリンガスを屋外へ排出する。
ガス排出が完了したら気密ダンパ１７を開として
空調機４の運転を再開し、通常に空調運転に戻
る。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、(1)ホル
マリンガスを空調機に接触させない構成としてい
るので空調機の腐蝕が防止できる、(2)クリーンル
ームに作業者がガス発生器を持込まないので室内
の清浄度を保つための余分の煩雑な手数を要しな
い、(3)循環フアンでホルマリンガスを強制的にク
リーンルームに送給するので、室内設置物の陰の
部分にも一様にガスが接触し消毒効果か高い、等
の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る一実施例の概略図、第２
図は第２実施例の概略図である。 ２，２４……高性能フイルタ、３……供給管
路、４……空調機、６……排出管路、８……第１
のバイパス管路、９……第２のバイパス管路、１
０……滅菌ガス発生手段（ホルマリンガス発生
器）、１１……循環フアン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 空調機により調和された空気を高性能フイル
   タを介してクリーンルームへ供給する供給管路
   と、クリーンルーム内の空気を排出する排出管
   路と、クリーンルーム内の空気を前記空調機へ
   戻す第１のバイパス管路と、クリーンルーム内
   の空気を前記空調機を経由せずに再びクリーン
   ルーム内へ戻す第２のバイパス管路とを備え、
   該第２のバイパス管路には滅菌ガス発生手段及
   び循環フアンを設けたことを特徴とするクリー
   ンルームの滅菌空調装置。 (2) 第２のバイパス管路は、このバイパス管路を
   構成する部材がケーシング内に収納されて空気
   循環ユニツトを形成した実用新案登録請求の範
   囲第１項記載のクリーンルームの滅菌空調装
   置。