JPH0352446Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は遊星歯車機構を巧みに利用することで
シートクツシヨンに対するシートバツクの傾動位
置を調節自在に構成したリクライニング装置に関
し、特にマニユアル用とパワー用とに兼用して使
用することが可能なリクライニング装置の改良に
関する。

〔従来の技術〕

たとえば車両用シートなどにおいて、シートク
ツシヨンとシートバツクとの間にリクライニング
装置を設け、シートバツクをシートクツシヨンに
対し傾動可能に構成することが一般に行なわれて
いる。そして、このようにすれば、シートを着座
者の体型または好みに応じて自由に調節し得るも
ので、その利点は大きいものである。

ところで、この種のリクライニング装置におい
て要求されることは、その構成が簡単で、各部の
加工性や組立性等の面で優れ、コスト的にも安価
であるばかりでなく、シートバツクを自由にしか
も適切な角度にて傾動調節することができ、また
その調節操作もきわめて容易に行なえ、また着座
者による荷重に抗してその係止状態を確実に維持
し得ることである。そして、これらの点を考慮し
て従来から種々の構成のものが提案されており、
その一つに遊星歯車機構を巧みに利用すること
で、無段階の回動調整が可能となる等の利点を奏
するリクライニング装置が知られている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような従来装置は、一般に
ノブ等によるマニユアル回動操作で調整を行なう
ことを前提としており、軽やかな回動調整が可能
となるような減速比をもつて各歯車部の噛合いが
決定されており、このためこのようなリクライニ
ング装置を、たとえば電動モータ等によるパワー
用として使用するためには、種々の問題を生じて
しまうものであつた。すなわち、上述したモータ
からの入力を、ウオームギヤ結合等により大きく
減速してから装置の入力軸に連結するといつた構
成が必要で、無駄であるばかりでなく、その機械
的なロスからモータを駆動するための電力消費量
も必要トルクに比してかなり大きく、また付属部
品も多く構造が複雑化するとともに重量も増大
し、コスト的にも、さらには配設スペースの面か
らも問題の大きいもので、何らかの対策を講じる
ことが望まれている。

〔問題点を解決するための手段〕

このような要請に応えるために、本考案に係る
リクライニング装置は、同軸上で回動自在なベー
スプレートおよびアームプレートの内歯部に噛合
する第１および第２の歯部を有する複数の段付き
遊星歯車と、これら段付き遊星歯車のそれぞれの
歯部に噛合する第１および第２の歯部を有し前記
両プレートの回転軸上に設けられた段付き制御歯
車を備え、この段付き制御歯車を、そのいずれか
一方の歯部が前記段付き遊星歯車の対応する歯部
に噛合したときに、他方の歯部が非噛合状態とな
るように構成したものである。

〔作用〕

本考案によれば、太陽歯車としての段付き制御
歯車を、軸線方向に反転して組込むことで、その
歯部の一方のみを段付き遊星歯車の対応する歯部
に噛合させ、異なる減速比をもつ歯車機構を簡単
かつ適切に構成することができ、これにより構成
部品点数を変更することなく、マニユアル用とパ
ワー用とに兼用して使用できるとともに、パワー
用として用いる際に入力軸側に電動モータを直結
することが可能となるものである。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図ないし第３図は本考案に係るリクライニ
ング機構の一実施例を示すものであり、これらの
図において、全体を符号１０で示すリクライニン
グ機構は、シートを構成するシートクツシヨンン
とシートバツク（共に図示せず）にそれぞれ取付
けられる一対のプレートとしてのベースプレート
（以下ベースという）１１およびアームプレート
（以下アームという）１２を備えている。そして、
これらベース１１およびアーム１２には、同一軸
線上（シートの軸支部上）で互いに対向する円孔
内に内歯部１３，１４が形成されており、本実施
例ではこれら内歯部１３，１４はその歯先円が異
なりしかも異なる歯数をもつように形成されてい
る。なお、本実施例では、アーム１２側の内歯部
１４側が小径とされている場合を示している。

１５は、上述した内歯部１３，１４にそれぞれ
噛合する第１および第２の歯部１６，１７を軸線
方向に付設して形成された複数（本実施例では４
個）の段付き遊星歯車で、その第１および第２の
歯部１６，１７は、第２図からも明らかなよう
に、その歯先円が異なり（第１の歯部１６側が大
径）かつ歯数が異なるように段付き状に形成され
ている。そして、これらの遊星歯車１５は、その
支軸部が前記内歯部（本実施例では１３側）内に
遊嵌状態で保持されている公転プレート１８上に
支持され、所定の公転軌道位置を維持し、適切か
つ確実でしかも円滑な歯車の噛合いが得られるよ
うな構成とされている。

さて、本考案に係るリクライニング装置１０に
よれば、上述したようなベース１１およびアーム
１２の内歯部１３，１４に噛合し歯数の異なる段
付き遊星歯車１５のそれぞれの歯部１６，１７に
噛合する歯数の異なる第１および第２の歯部２
１，２２を有し前記ベース１１およびアーム１２
の回転軸２３上に設けられた段付き制御歯車２０
を備え、この段付き制御歯車２０を、そのいずれ
か一方の歯部２１または２２が段付き遊星歯車１
５の対応する歯部１６または１７に噛合したとき
に、他方の歯部２２または２１が、前記アーム１
２側の円孔内に形成した凹部１９等による逃げス
ベース内に位置し段付き遊星歯車１５側と非噛合
状態となるように構成したところに特徴を有して
いる。なお、本実施例では、前記段付き遊星歯車
１５の第１の歯部１６と噛合する第１の歯部２１
側が小径とされ、減速比の大きいパワー使用側、
第２の歯部２２が大径とされ、減速比の小さなマ
ニユアル使用側である場合を示している。さら
に、第１図中２４はマニユアル操作用の操作ノ
ブ、第２図中２５はパワー使用用の電動モータを
示している。

そして、このような構成によれば、太陽歯車と
しての段付き制御歯車２０を、軸線方向に反転し
て組込むというきわめて簡単な操作だけで、その
歯部２１または２２の一方のみを、段付き遊星歯
車１５の対応する歯部１６または１７に噛合さ
せ、マニユアル用またはパワー用として所要の減
速比をもつ歯車機構を得ることが可能となる。し
たがつて、このような構成を採用してなる兼用型
のリクライニング装置１０によれば、構成部品点
数を従来品のままとして、マニユアル用とパワー
用とに兼用して使用できるとともに、パワー用と
して用いる際に入力軸（回転軸２３）側に電動モ
ータ２５を直結することが可能で、これにより従
来のような機械的ロスや電力消費量を大幅に低減
できるとともに、装置の重量化や高コスト化、さ
らに配設スペース等といつた従来の問題を一掃で
きるものである。

ここで、上述したマニユアル使用時およびパワ
ー使用時における減速比は、各歯車部を適宜の噛
合い関係で設定することにより自由に変更できる
もので、たとえば電動モータ２５のトルクの大小
等を考慮し必要に応じて適宜設定すればよい。こ
の場合、ベース１１の歯数をZb、アーム１２の
歯数をZa、段付き遊星歯車１５の第１の歯部１
６の歯数をZsb、第２の歯部１７の歯数をZsa、
段付き制御歯車２０における第１および第２の歯
部２１，２２の歯数をZp，Zmとし、マニユアル
用の減速比をNm、パワー用の減速比Npは、 Nm＝Zsb・Zm／（Zb・Zsa）−Zm／Za …… Np＝Zp／Zb−Zp・Zsa／（ZSb・Za） …… となる。そして、これら，式において、たと
えばZa＝31（歯），Zsa＝９，Zp＝５，Zb＝43，
Zsb＝19，Zm＝13とすると、Nm＝0.22，Np＝
0.039となることが容易に理解されよう。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の形状、構造等を必要に応じて適宜変
形、変更することは自由である。たとえば上述し
た実施例では、複数の遊星歯車１５を保持するた
めの公転プレート１８を一枚介在させた場合を説
明したが、これは二枚以上であつてもよいもので
あり、さらにこの公転プレートとして、前記ベー
ス１１またはアーム１２を利用してもよいことも
容易に理解されよう。

また、上述した内歯部１３，１４、第１および
第２の歯部１６，１７；２１，２２の歯数や歯先
円の大きさ、さらに遊星歯車１５の数等は必要に
応じて選択されるものであり、種々の変形例が考
えられる。なお、歯数は全部異ならなくてもよ
く、たとえば内歯部１３，１４の歯数、または第
１および第２の歯部１６，１７の歯数が同一であ
つてもよい。さらに、歯数の設定の仕方により、
パワー用とマニユアル用とを逆に（すなわちNm
＜Np）構成することもできる。

また、本考案に係るリクライニング装置は、車
両用シートに採用して効果を発揮し得るものであ
るが、勿論これに限定されるものではない。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係るリクライニン
グ装置によれば、同軸上で回動自在なベースプレ
ートおよびアームプレートの内歯部に噛合する第
１および第２の歯部を有する複数の段付き遊星歯
車と、これら段付き遊星歯車のそれぞれの歯部に
噛合する第１および第２の歯部を有し前記両プレ
ートの回転軸上に設けられた段付き制御歯車を用
い、かつこの段付き制御歯車を、そのいずれか一
方の歯部が段付き遊星歯車の対応する歯部に噛合
したときに、他方の歯部が非噛合状態となるよう
に構成したので、簡単かつ安価な構成にもかかわ
らず、太陽歯車としての段付き制御歯車を、軸線
方向に反転して組込むというきわめて簡単な操作
だけで、その歯部の一方のみを段付き遊星歯車の
対応する歯部に噛合させ、異なる減速比をもつ歯
車機構を簡単かつ適切に構成することができ、こ
れにより構成部品点数を変更することなく、マニ
ユアル用とパワー用とに兼用して使用できるとと
もに、パワー用として用いる際に大きな減速比を
得て入力軸側に電動モータを直結することが可能
となり、これにより従来のような無駄な動力ロス
や消費電力、さらに重量化、高コスト化等の問題
を一掃することができ、さらに装置事態の小型か
つコンパクト化が可能で、配設スペースの自由度
も増大する等の実用上種々優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るリクライニング機構の一
実施例を示すマニユアル使用時の要部断面図、第
２図はパワー使用時の要部断面図、第３図は装置
全体の概略分解斜視図である。 １０…リクライニング機構、１１…ベース（プ
レート）、１２…アーム（プレート）、１３，１４
…内歯部、１５…段付き遊星歯車、１６，１７…
第１および第２の歯部、１８…公転プレート、１
９…凹部（逃げスペース）、２０…段付き制御歯
車、２１，２２…第１および第２の歯部、２３…
回転軸、２４…操作ノブ、２５…電動モータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 同軸上で互いに回動自在に支持されかつその対
   向する円孔内に内歯部を有するシートクツシヨン
   側のベースプレートおよびシートバツク側のアー
   ムプレートと、これら各プレートの内歯部に噛合
   する第１および第２の歯部を軸線方向に連設して
   なる複数の段付き遊星歯車と、これら段付き遊星
   歯車のそれぞれの歯部に噛合する第１および第２
   の歯部を有し前記両プレートの回転軸上に設けら
   れた段付き制御歯車を備え、この段付き制御歯車
   は、そのいずれか一方の歯部が前記段付き遊星歯
   車の対応する歯部に噛合したきに、他方の歯部が
   非噛合状態となるように構成されていることを特
   徴とするリクライニング装置。