JPH0351725Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この考案は、電子体温計、特に温度上昇率が所
定値になると体温決定を行う電子体温計に関す
る。

(ロ) 従来の技術 一般に、電子体温計は、サーミスタ等からなる
感温部を被測定部位に装着して、測定をスタート
させる。感温部で計測される温度は、当初は周囲
温度であり、それから体温に向けて変化し、やが
て体温に平衡する。完全に体温に平衡するのにか
なり時間を要するものて、従来の実用的な電子体
温計では、測定を開始してから一定時間が経過し
た辞典の測定温度（最高温度）、あるいは温度上
昇率が一定値に達した時点の測定温度を体温と決
定するようにしている。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 体温を測定する場合、感温部を人体に装着して
から測定温度が体温に平衡するまでは、測定温度
は指数関数的に上昇していく。しかし、測定者の
温度上昇カーブは区々であり、測定を開始してか
らどの程度の時間で、あるいはどの程度の温度上
昇率に達すると、概略平衡に達したと判断できる
かは、人ににつて区々である。また、同じ測定者
であつても、外部温度や測定部位の状態によつ
て、体温の上昇傾向が相違する。しかるに、上記
従来の電子体温計では、一定の測定時間経過で体
温決定、あるいは一定の温度上昇率に達すると体
温決定をするものであるから、測定者の違いや測
定状況の相違が無視され、得られる測定値は人・
状況によりバラツキが生じ、時には正確な体温測
定ができないという問題があつた。

この考案は、上記に鑑み、測定者の相違や測定
状況の相違にある程度の対応が可能であり、測定
者の自由選択により、正確な体温測定をなし得る
電子体温計を提供することを目的としている。

(ニ) 問題点を解決するための手段及び作用 この考案の電子体温計は、温度測定部２，８，
９，ST３とこの温度測定部で測定される温度上
昇率を算出する温度上昇率算出手段９，ST５と、
この温度上昇率が所定値以下となつたか否かを判
別する判別手段９，ST６と備え、この判別手段
による温度上昇率が所定以下になつたことの判別
出力に応答して体温決定をなすものにおいて、前
記判別用の所定値を切替選択し得る温度上昇率設
定値切替器４を特徴的に備えている。

この電子体温計では、測定者は、自己の体質や
測定状況に応じて温度上昇率設定値切替器を操作
して、温度上昇率設定値を選択できる。計器は、
算出された温度上昇率が選択された所定の温度上
昇率に達した時に、体温決定を行うことになる。

(ホ) 実施例 以下、実施例により、この考案をさらに詳細に
説明する。

第１図は、この考案が実施される電子体温計の
外観平面図である。この電子体温計１は、内部に
サーミスタ等の感温素子が収納され、外部が保護
キヤツプで被われる温度センサ部２と、本体ケー
ス３とから構成されている。

本体ケース３の上面には、所定の温度上昇率を
切替設定するための切替スイツチ４、体温を表示
する表示器５、電源スイツチ６及びブザー７が設
けられている。また、本体ケース３には、電子回
路部や電池が収納されている。

第２図は、上記電子体温計１の回路ブロツク図
を示し、第１図と同一番号を付したものは、それ
ぞれ対応するものを示している。

温度センサ２で、周囲温度（体温）が電気信号
に変換され、さらにＡ／Ｄ変換器８でデジタル信
号に変換され、CPU９に取込まれるようになつ
ている。CPU９は、所定周期で取込まれるこの
信号より体温を算出する機能、温度上昇率を算出
する機能、算出した温度上昇率が所定値に達した
か否かを判別する機能、周期的に得られる温度の
最高温度を抽出する機能等を備えている。最高温
度は、メモリ１０に記憶され、体温として表示器
５に表示されるようになっている。

切替スイツチ４は５段階に切替得るようになつ
ており、各段階の目盛には温度上昇率を表示して
おいてもよいが、第３図に示すように、切替スイ
ツチ４を操作すると、その操作方向にり、測定結
果が精密になる、あるいは測定時間が遅くなる、
逆に、測定結果が概略値となる、あるいは測定時
間が早くなると、一目でわかるように、シンボル
表示してもよい。

次に、上記実施例電子体温計の動作を、第４図
に示すフロー図により説明する。

測定者は、身体に温度センサ部２を装着し、電
源スイツチ６をオンする。なお、切替スイツチ４
は適正な温度上昇となるように選択されている。

動作がスタートすると、先ずイニシヤライズ処
理がなされ（ステツプST1）、所定周期でサンプ
ルタイミングが到来する毎に（ステツプST2）、
温度測定を行う（ステツプST3）。ここでは、測
定開始後の最高温度が抽出され、メモリ１０に記
憶される。そして、その最高温度が体温として表
示器５に表示される（ステツプST4）。また続い
て、温度上昇率が算出される（ステツプST5）、
これは、例えば単位時間（例：１秒）に測定温度
がどれだけ上昇したかを求めればよい。

次に、算出した温度上昇率が切替スイツチ４で
予め設定されている所定値以下になつたか否かを
判定する。算出した温度上昇率が設定された所定
値より大きい場合は、この判定はNOであり、ス
テツプST2に戻る。そして、算出温度上昇率が設
定値になるまで、ステツプST2〜ステツプST6の
処理が繰返される。

測定が経過し、温度上昇率が設定所定値以下に
なると、ステツプST6の判定がYESとなり、一
定時間（例：２秒）だけブザー７が動作し、音を
発する（ステツプST7）。このブザー７が動作し
た時の表示器５に表示される温度が体温と決定さ
れる。従って、ブザー７の報知音を聞くと、測定
者は、表示器５の表示温度を測定体温として読取
ればよい。

ブザー７が動作後も、電源スイツチ６がオフさ
れなければ、測定は終了せず（ステツプST8）、
以後もサンプルタイミングの到来毎（ステツプ
ST9）に温度測定（ステツプST10）及び温度表
示（ステツプST11）を続け、電源スイツチ６が
オフされると、測定を終了する。

測定者が測定中に、測定した所定値が適正でな
いと判断すれば、あるいは現設定による測定より
も精密に測定したい場合、あるいは逆に、概略測
定でよい場合には、切替スイツチ４を切替えて、
予め設定する温度上昇率を設定し直せばよい。

なお、上記実施例では、測定開始後、温度表示
を行い、温度上昇率が所定値になつた時にブザー
を動作させるようにしているが、温度上昇率が所
定値になるまでは温度表示を禁止しておき、温度
上昇率が所定値になると同時にブザーを動作させ
るとともに、禁止していた温度表示を行い、その
温度を測定体温と決定するようにしてもよい。

また、温度上昇率が所定値に達したことの報知
は、ブザーに代えて温度表示の数値を点滅表示す
るようにしてもよい。

(ヘ) 考案の効果 この考案によれば、体温決定をなすために、予
め設定される温度上昇率の所定値を切替器により
自由に選択し得るもので、測定者は自己の体質・
測定状況に最も適した所定値をを選択設定できる
から、測定者・測定状況が変わつても、常に正確
な体温測定を行うことができる。その上、測定者
は自らの意見により、精密測定と概略測定を選択
できるので、電子体温計を状況に応じて幅広く活
用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施例を示す電子体温
計の概略平面図、第２図は、同電子体温計の回路
ブロツク図、第３図は、同電子体温計の温度上昇
率設定切替スイツチの目盛シンボルの表示例を示
す図、第４図は、同電子体温計の動作を説明する
ためのフロー図である。 ２：温度センサ、４：所定値切替スイツチ、
５：表示器、９：CPU、１０：メモリ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 温度測定部と、この温度測定部で測定される温
   度上昇率を算出する温度上昇率算出手段と、この
   温度上昇率が所定値以下になつたか否かを判別す
   る判別手段とを備え、この判別手段による温度上
   昇率が所定値以下になつたことの判別出力に応答
   して体温測定をなす電子体温計において、 前記判別用の所定値を切替選択し得る温度上昇
   率設定値切替器を設けたことを特徴とする電子体
   温計。