JPH034712Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は車両ドアのプル・ケーブル・タイプの窓
開閉装置で、該窓開閉装置の操作力均等装置とし
て駆動装置の内部に組み込まれるバランサーバネ
の係止部で、そのハンドル側を被うケースに関す
る。

従来、車両ドアの窓開閉装置としては種類の形
式があり、それぞれ使用されているが、本案では
特にプル・ケーブルによる窓開閉装置に関するも
のであり、本装置はインナーパネル、アウターパ
ネルで袋状に形成し、車両ドア内にプル・ケーブ
ルをループ状に構成し、プル・ケーブルを操作の
ハンドルによつて駆動装置内で作動させ、車両ド
ア内部でそのほぼ中央に立設した断面コの字状の
ガイドレール内に導き、車両ドアの上部開口部よ
り昇降する窓ガラスと連結し、かつガイドレール
を上下に摺動するスライダーと連動する様にして
いる。そして、プル・ケーブルをループ状に構成
して、その作動を補助するために、ガイドブロツ
ク、ガイドチユーブ等の部品が付加されている。

しかし、この様なプル・ケーブル・タイプの窓
開閉装置においては、窓ガラスの重量が直接操作
力に影響し、操作のハンドルを作動する運転者等
は、窓ガラスの下降（開放）、上昇（閉鎖）に応
じる作動においては、下降時に軽く、上昇時には
重いという異和感をもつ欠点があつた。

このため、バランサーバネと呼ばれるうずまき
バネを駆動部に組み込み、窓ガラスの下降時には
バランサーバネを巻き込み、上昇時には窓ガラス
の重さに対してバランサーバネの付勢力を放出
し、上昇力を付加させ、これによつて、窓ガラス
の上昇、下降時の操作力の均等を図るのがよい。

このバランサーバネを組み込んだ駆動部を極く
簡単にし、安価にし、コンパクトにした構成は、
本出願人の57年９月２日付の出願に（昭和57年実
用新案登録願第134767号）（公開実用新案番号昭
59−38376号）に詳しく説明されているが、駆動
部の主要部を操作のハンドルによつて回転させる
ハンドル軸、該ハンドル軸によつて連動回転する
回転ドラム、そして、駆動側のケースと後部のカ
バーによつて構成させ、回転ドラムの駆動側に形
成されるフランジ部の内方にバランサーバネを設
け、回転ドラムの動きによつてバランサーバネが
巻き込み、巻き戻す様に構成して、簡単で有効な
装置としている。

そして、本案では特に上記の様な駆動部の構成
において、上記ケースに特殊な機能を持たせるよ
うにし、バランサーバネの内周端の係止をするＬ
字状部材を固設するとともに、内周端にハンドル
軸の軸受を形成し、バランサーバネの作動を円滑
にさせる様にし、従来にない構成とし、構造簡単
で安価にしている。

以下にこれを図において詳述すると、 第１図は車両ドアの外観斜視図で、その一部切
欠断面を示す。図において、車両ドア１は上部の
サツシ４をもつアウターパネル２とインナーパネ
ル３で袋状に形成され、上記開口部より窓ガラス
５を車両ドア１の前後のガイドレール６，６を案
内として開閉自在としている。この袋状の車両ド
ア１の内部には、本案のプル・ケーブル・タイプ
の窓開閉装置７が装着されていて、ハンドル８を
もつ駆動装置９の内部の図示じない回転ドラムに
巻き付けられて駆動されるプル・ケーブル１０が
ループ状に構成され、該プル・ケーブル１０はイ
ンナーパネル３にブラケツト１１で固着されるガ
イドレール１２内に通され、窓ガラス５に固着さ
れた連結板１３に連結されて、ガイドレール１２
を案内として摺動するスライダー１４に図示しな
いニツプルでもつて嵌着される。

そして、上記駆動装置９による作動でスライダ
ー１４が駆動され、このループ状の構成におい
て、駆動装置９とガイドレール１２間の連結のた
め、ガイドチユーブ１５、ガイドブロツク１６が
各々上下に設けられている。

この様な窓開閉装置は、駆動装置９のハンドル
８を作動させると、プル・ケーブル１０はその正
逆の作動によりガイドレール１２内で上下に摺動
し、これに連動したスライダー１４を駆動し、更
に窓ガラス５の開閉を行う様になつている。

しかし、窓ガラス５はその重量が相当あり、こ
れは直接作動者のハンドル８の操作力に関係する
ため、本案では駆動装置９の内部に窓ガラス５の
重量に相当する力だけ付勢することの出来るゼン
マイバネによるバランサーバネを組み込む構成と
している。

この構成を第２図、第３図（第２図のＡ−Ａ断
面）に示す。

両図、特に本考案に関する駆動装置９の主要部
の断面を示す第２図、第３図において、プル・ケ
ーブル１０の駆動のための回転ドラム１７は、ハ
ンドル軸１８のドラム軸１８ａに自由に回転出来
る様に嵌設され、これはハンドル軸１８の逆転防
止バネ１９を作動さす操作部１８ｄの外側で、か
つ逆転防止バネ１９の折曲端１９ａ，１９ａの両
端に広がる様に切欠部１７ａが形成され、操作側
に円孤状に突き出したフランジ部１７ｂをもつて
いる。

そして、該フランジ部１７ｂの内側にはゼンマ
イバネであるバランサーバネ２０が内設されてい
て、更に駆動装置９を構成するケース２１が操作
側に、その後部にハンドル軸１８の軸受を兼ねる
カバー２２が設けられていて、ケース２１には第
４図の略図したボルト孔等によつて適宜車輌ドア
のインナーパネルに固着される。

この様な要部の構成においては、ハンドル装着
部１８ｂによる回転は、ハンドル軸１８を回転さ
せ、ドラム軸１８ａに固着されて一方にＬ字形状
に延びた操作部１８ｄが設けられていて、この外
周部は前記ケース２１の内側に内設された逆転防
止バネ１９の折曲端１９ａを押し、正逆の回転に
より逆転防止バネ１９を内側に巻き込み、更に回
転ドラム１７のフランジ部１７ｂの切欠部１７ａ
を押し、回転ドラム１７を回転させ、プル・ケー
ブル１０の駆動を行い、最終的には窓ガラス５の
開閉を行う様になつている。この逆転防止バネ１
９は、ハンドル軸１８からの駆動は回転ドラム１
７に伝達するが、逆に、回転ドラム１７側からの
回転はハンドル軸に伝えないという作用をする
が、公知であるので説明は省略する。

そして、バランサーバネ２０に関しては、ケー
ス２１の内側で、逆転防止バネ１９の更に内側に
回転ドラム１７のフランジ部１７ｂの切欠部１７
ａの一端にバランサーバネ２０の外周端２０ａが
係止されていて、上記説明した様に、窓ガラスの
下降時の回転においては巻き込み、窓ガラスを上
昇させる回転の時には巻き戻す様に構成されてい
る。上記した構成における各部品の関係は第４図
の分解斜視図に示されている。

以上、本考案の駆動装置の概略を説明したが、
この様な構成作用において、特に本案は前記ケー
ス２１の形状組立に特殊で多用途な機能をもたせ
たもので、これによつて駆動装置自体を構造簡単
で、組立の容易さ、コンパクトで安価なものとし
ている。

これを説明すると、各図（第５図は要部を示
す）において、本案におけるケース２１は駆動装
置９の外側を被うカバーとしての機能はもちろ
ん、最外部のフランジ部２１ａ（第４図）によつ
て車両ドア１のインナーパネル３とボルト等によ
つて強固に固着され、又ケース２１側に形成した
折り曲げ部２１ｄによつて後部のカバー２２と一
体に固着される。

そして、その内方に形成した第１突出部２１ｂ
の内側には逆転防止バネ１９が内設されていて、
回転ドラム１７側からの回転を止める様になつて
いる。更に、第５図に、特に拡大して示すケース
２１の第１突出部２１ｂの更に操作側に形成され
た第２突出部２１ｃにおいては、バランサーバネ
２０の内周端２０ｂを係止する部材としてＬ字状
部材２１ｇの一片を固着し、バランサーバネ２０
の作動時その固着部分が巻き込み、巻き戻しの障
害にならない様にしている。そして、該第２突出
部２１ｃの内周部は内方に折り曲げられて形成さ
れ、この部分はハンドル軸の軸受部２１ｆとして
いて、この時もバランサーバネ２０の内周が巻き
込まれた時、主軸部１８ｃに接触しない様になつ
ている。

以上、本案の車両ドアで、プル・ケーブル・タ
イプの窓開閉装置で特に駆動装置にバランサーバ
ネを設けるものは、この駆動装置の操作側を構成
するケースを板金のプレス製品として一体に成型
し、この成形部分を多用途で多機能なものとし、
全体の構造を簡単にコンパクトにし、組付容易に
し、更に安価にしようとしている。これは寸法的
に厚さが制限される駆動装置にバランサーバネを
組み込むため、前記ケースの説明に示した様に、
特にその多機能のうちでも操作側に第２突出部を
形成して、バランサーバネの係止のＬ字状部材の
一片を固着し、バランサーバネの作動を滑らかに
するとともに、更にケースの内周端に内方への軸
受を形成して、バランサーバネの巻き込み径を小
さくし、バランサーバネ内周の主軸部への接触を
防ぎ、又駆動装置自体の厚みを薄くしている。

この様な本案では、ケースの一部の成型ととも
に、Ｌ字状部材の突出部への固着という簡単な構
造において複雑化する恐れのあつたバランサーバ
ネの内周端の係止を簡単にし、同時にその作動の
障害とならず滑らかに行えるという特徴をもつた
有効な考案である。

【図面の簡単な説明】

第１図は車両ドアの斜視図で、その一部を切欠
いた図を示す。第２図は車両ドアの窓開閉装置の
駆動装置の主要部の断面構造を示し、第３図は第
２図のＡ−Ａ断面を示す。第４図は駆動装置の分
解斜視図であり、第５図は第２図の一部で本案の
要部を示す。 １……車両ドア、２……アウターパネル、３…
…インナーパネル、５……窓ガラス、７……プ
ル・ケーブル・タイプの窓開閉装置、８……ハン
ドル、９……駆動装置、１０……プル・ケーブ
ル、１７……回転ドラム、１８……ハンドル軸、
２０……バランサーバネ、２１……ケース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車両ドアの内部に設けられ、プル・ケーブルを
   ループ状に構成し、該プル・ケーブルはハンドル
   による駆動装置によつて作動され、上記車両ドア
   のほぼ中央に立設するガイドレール内に導かれ
   て、該ガイドレールに昇降自在に摺動し、かつ上
   記車両ドアの窓ガラスと連結したスライダーと連
   動し、上記駆動装置の作動によつて窓ガラスの開
   閉を行うプル・ケーブル・タイプの窓開閉装置に
   おいて、上記駆動装置は、上記操作のハンドルに
   よつて回転するハンドル軸と、該ハンドル軸と連
   動する回転ドラム、該回転ドラムのフランジ部内
   でフランジの切欠部によつて付勢されるバランサ
   ーバネ、そして、該バランサーバネの外側を第１
   突出部で被うケースと、上記回転ドラムの外側を
   被うカバーとによつて構成され、上記ケースは、
   上記第１突出部に更にハンドル側に突出する第２
   突出部が形成され、該第２突出部の内端には、上
   記ハンドル軸の軸受部が形成されるとともに、第
   ２突出部の内側には、一端が上記バランサーバネ
   の内周端がハンドル軸と接触しない様に係止さ
   れ、かつ、他端が上記バランサーバネに接触しな
   い様に、上記第２突出部内面に固着されるＬ字状
   部材が設けられることを特徴とする窓開閉装置の
   駆動装置。