JPH034395Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は水道水その他の飲料水を浄化する浄水
器に関する。

（従来の技術） 従来、浄水器としては、水道水その他の原水中
の残留塩素を除去するため活性炭からなるフイル
タを内蔵したもの、あるいは、例えば、特公昭51
−33608号公報、特開昭51−90996号公報にて提案
されている。銀を担持させた活性炭を単独である
いは純活性炭と共に併用したものが知られてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、活性炭をフイルタとする浄水器では、
非通水時、浄水器内部に滞留する水は、塩素が除
去されているため雑菌が繁殖し、通水初期に浄水
器から出てくる水が飲料水として不適当であると
いう問題があつた。この問題は、銀を担持させた
活性炭をフイルタとする浄水器を用いることによ
り解決できる。しかし、この種の浄水器では、滞
留水中に溶出する銀の殺菌作用により雑菌の繁殖
を抑制させることはできるが、通水初期の流出す
る水が銀を含有しているため、長期に渡つて飲用
すると人体に悪影響を及ぼす恐れがあるという新
たな問題を生じる。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、浄水器本体の原水流入口に接続され
た第１浄水室と、該第１浄水室の出口側に接続さ
れると共に浄水器本体の浄水排出口に接続された
第２浄水室とを有し、前記第１浄水室に活性炭を
収納させる一方、前記第２浄水室に細菌および超
微粒子を捕捉する超微細孔を有するフイルタを配
設し、かつ、原水の供給および非供給に連動して
開閉し、原水の非供給時、前記浄水排出口に空気
を流入させる逆止弁を浄水器本体の浄水排出口に
配設するようにしたものである。

即ち、本考案は基本的には活性炭で原水中の塩
素分を除去する一方、浄水器内部で雑菌の繁殖を
防止し、たとえ浄水器内部で雑菌が繁殖しても浄
水器内部から蛇口へ流出するのを物理的に捕捉す
ることにより防止すると共に、原水の非供給時、
逆止弁を介して浄水排出口に空気を流入させて浄
水排出口から浄水口に至る流路中の浄水を排出さ
せることにより空気中の細菌が前記流路中で繁殖
するのを防止するようにしたものである。

本考案の実施態様においては、超微細孔を有す
るフイルタとして合成樹脂製の多孔質中空糸膜が
使用される。この合成樹脂製多孔質中空糸膜とし
ては、例えば、ポリエチレン多孔質中空糸膜が、
また市販品ではステラポアー（登録商標、三菱レ
イヨン(株)）が挙げられる。

また、本考案の他の実施態様においては、超微
細孔を有するフイルタの目詰まりや寿命低下を防
止する為、第１浄水室の前後に原水に含まれる鉄
錆や汚れ、さらには第１浄水室を通過することに
よつて含まれてくる活性炭等の微粉末を物理的に
除去する第１プレフイルタおよび第２プレフイル
タを配設される。このプレフイルタは、例えば、
高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリス
チレンなどの合成樹脂を焼結させて形成したプラ
スチツク多孔体で構成される。市販品では、サン
ロイドセル（商品名、筒中プラスチツク(株)）など
が挙げられる。

また、本考案の好ましい実施態様においては、
前記第１浄水室と第２浄水室はそれぞれ活性炭を
収納するカートリツジと多孔質中空糸膜を収納す
るカートリツジとで形成されている。これは活性
炭等の交換や内部の殺菌、洗浄を容易にするため
である。

（作用） 本考案に係る浄水器においては、原水流入口か
ら浄水器に供給された原水は、まず、第１浄水室
に流入し、第１浄水室内部を通る過程で活性炭に
より塩素等を吸着、除去され、次いで第２浄水室
に流入する。この第２浄水室では、その内部に配
設されたフイルタが約400オングストロームの超
微細孔を有するため、水中の細菌や超微粒子が物
理的に捕捉、除去され、水は浄水となつて浄水排
出口から排出される。

活性炭フイルタの前に配設された第１プレフイ
ルタは、原水に含まれる500μ以上の比較的大き
な異物、汚れ等を除去し、活性炭フイルタの後に
配設されたプレフイルタは水に含まれる５〜50μ
程度の比較的微細な活性炭粒子その他の異物を除
去する。

さらに、逆止弁は、通水停止時に、自動的に開
放して大気を浄水排出口内に流入させ、浄水排出
口から浄水口至るまでの流路中の水を排出させ、
中空糸フイルタ出口側に水が滞留するのを防止
し、雑菌の繁殖を防止する。

（実施例） 図において、１は浄水器本体、２は第１浄水室
Ａを構成する活性炭カートリツジ、３は第２浄水
室Ｂを構成する多孔質中空糸膜カートリツジで、
浄水器本体１は中胴４により区画された下部胴体
５と上部胴体６とから構成され、下部胴体５と上
部胴体６とはそれぞれ中胴４に螺合されている。
活性炭カートリツジ２と上部胴体６との間に形成
される原水流路１７と、多孔質中空糸膜カートリ
ツジ３と下部胴体５との間に形成される原水流路
１６とは、中胴４の仕切壁４ａに設けた複数の貫
通口７により連通している。下部胴体５は、その
底部に原水流入口９が形成されると共に、浄水排
出口１０が形成され、浄水排出口１０には蛇口２
１が取り付けられている。

活性炭カートリツジ２は、その内部に活性炭を
収容し、その入り口側開口部と出口側開口部には
それぞれプレフイルタ１１，１２が装着され、出
口側端部が中胴４の仕切壁４ａに設けられた円筒
状突起１３に螺合され、該円筒状突起は仕切壁４
ａの中央に形成された中央貫通口８を包囲してい
る。

また、多孔質中空糸膜カートリツジ３は、合成
樹脂製多孔質中空糸膜２２を複数本束ねて両端を
出口側で結束してなるフイルタを内蔵し、一端側
が中胴４に設けた中央貫通口８を包囲する円筒状
突起部１４に嵌入されると共に、他端側が下部胴
体５に設けた円筒状突起部１５に嵌入されてい
る。このカートリツジ３の円筒状突起部１４，１
５への嵌入は組み立ての際、円筒状突起部１５に
カートリツジ３を差し込み、中胴４を下部胴体５
に螺合することによつて達成される。

下部胴体５の側壁には、流路１６内の水圧が急
激に上昇した場合に、流路１６内の水を放出する
ための水圧調節弁１８が配設され、浄水排出口１
０を形成する円筒状突起部１９には逆止弁２０が
配設されている。なお、２３は浄水器本体１を壁
などに取り付けるための取り付け部材である。

前記構成の浄水器を使用するに際しては、水道
水を浄化する場合、原水流入口９をパイプ等で水
道の蛇口に接続し、水道水を供給すると、水道水
は流路１６から貫通口７を経て上部胴体６内へ流
入し、第１プレフイルタ１１で鉄錆、汚れなど水
中の異物が除去され、次いで第１浄水室Ａを形成
する活性炭カートリツジ２内の活性炭で塩素分お
よび汚れを除去される。塩素分、汚れおよび異物
を除去された水は、第２プレフイルタで活性炭の
微粉末を除去された後、中胴４の中央貫通口８を
経て第２浄水室Ｂを構成する多孔質中空糸膜カー
トリツジ３に流入し、中空糸膜２２の壁部に形成
された超微細孔を通つて中空糸膜内に流入し、そ
の中空部を経て浄水排出口１０から蛇口２１へ流
出する。この時、浄水排出口１０が流れる水と大
気圧との差圧により逆止弁２０が閉じられる。

また、原水の供給が停止すると、逆止弁２０に
加わつていた水圧が無くなるため、大気圧の作用
により逆止弁２０が開き、浄水排出口１０に空気
が流入するため、浄水排出口１０内の滞留水は蛇
口２１から排出され、細菌の発生源となる滞留水
が無くなる。さらに、多孔質中空糸膜の超微細孔
は雑菌類の通過を阻止できる程の極めて微細な大
きさであるため、空気が浄水排出口１０に面する
第２浄水室の端面に触れても、大気中の雑菌が浄
水器内部に侵入することも無く、また浄水器内部
の滞留水中で雑菌が繁殖することも無い。

第２図は本考案の他の実施例を示し、この浄水
器は中胴４に原水供給口９を設けた点が異なるの
みで、他の構成は第１図の実施例のものと実質的
に同じであり、同様な効果が得られる。

第３図は本考案の更に他の実施例を示し、この
浄水器は浄水器本体１を浄水器基部２４とカバー
２５とで構成し、第１浄水室Ａを構成する活性炭
カートリツジ２と第２浄水室Ｂを構成する多孔質
中空糸膜カートリツジ３とを浄水器基部２４に並
列に配設し、第１浄水室Ａの出口側と第２浄水室
Ｂの入り口側とをカバー２５とカートリツジ２，
３との間に形成される流路２６で連通させるよう
にしたものである。この場合にも、原水は第１浄
水室内の活性炭で塩素分等を除去された後、第２
浄水室内の多孔質中空糸膜で細菌等が捕捉され、
蛇口から細菌を多量に含む水が流出することが無
い。図中、３０はシールリングである。

前記実施例においてはは、第１浄水室Ａおよび
第２浄水室Ｂをいずれもカートリツジで形成して
いるが、必ずしも必要は無く、例えば、第２図の
実施例において、中胴と上部胴体との間に形成さ
れる空間を第１浄水室とし、中胴と下部胴体との
間に形成される空間を第２浄水室とするようにし
ても良い。また、第１浄水室および第２浄水室を
形成するカートリツジを中胴あるいは浄水器本体
基部に螺合する代わりに、上部胴体およよび下部
胴体を中胴に螺合することによつてカートリツジ
を圧接するようにしても良い。

なお、本考案では第２浄水室のフイルタとし
て、超微細孔を有するフイルタを採用しているた
め、第２浄水室に空気が入ると、フイルタ中に空
気が溜り、これが水の通過を妨げ、給水しても浄
水がでなくなるという現象を生じる。従つて、浄
水器の取付け時あるいは取付け後、浄水器本体内
に空気が残留若しくは浸入しないように留意する
必要がある。

（考案の効果） 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、活性炭からなるフイルタと、超微細孔を有
し、細菌等を捕捉するフイルタとを併用し、かつ
活性炭からなるフイルタを通した後、細菌等を捕
捉するフイルタを通すようにすることにより、浄
水器内部での細菌の繁殖を防止し、細菌の蛇口か
らの流出を防止でき、また、そのフイルタも人体
に有害な物質を放出することが無い。さらに、浄
水排出口に空気を流入させる逆止弁を設けること
により原水非供給時、蛇口内の浄水が全て排出さ
れるため、空気中の細菌が蛇口内で繁殖すること
がないなど優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る浄水器の一実施例を示す
断面図、第２図は本考案の他の実施例を示す断面
図、第３図は本考案のさらに他の実施例を示す断
面図である。 １……浄水器本体、２……活性炭カートリツ
ジ、３……多孔質中空糸膜カートリツジ、４……
中胴、５……下部胴体、６……上部胴体、７……
貫通口、８……中央貫通口、９……原水流入口、
１０……浄水排出口、１１……第１プレフイル
タ、１２……第２プレフイルタ、１６，１７……
流路、１８……水圧調節弁、２０……逆止弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 浄水器本体の原水流入口に接続された第１浄
   水室と、該第１浄水室の出口側に接続されると
   共に浄水器本体の浄水排出口に接続された第２
   浄水室とを有し、前記第１浄水室に活性炭を収
   納させる一方、前記第２浄水室に細菌および超
   微粒子を捕捉する超微細孔を有するフイルタを
   配設し、前記浄水器本体の浄水排出口に原水の
   供給および非供給に連動して開閉し、原水の非
   供給時、前記浄水排出口に空気を流入させる逆
   止弁を設けてなることを特徴とする浄水器。 (2) 前記超微細孔を有するフイルタが多孔質中空
   糸膜からなる実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の浄水器。 (3) 第１浄水室の前後に原水中の異物を捕捉する
   第１プレフイルタおよび第２プレフイルタを配
   設してなる実用新案登録請求の範囲第１項また
   は第２項記載の浄水器。 (4) 前記第１プレフイルタおよび第２プレフイル
   タがプラスチツク多孔質体からなる実用新案登
   録請求の範囲第３項記載の浄水器。 (5) 第１浄水室と第２浄水室とが同軸上に配設さ
   れている実用新案登録請求の範囲第１項〜第４
   項のいずれか一項記載の浄水器。 (6) 第１浄水室と第２浄水室とが並列に配設され
   ている実用新案登録請求の範囲第１項〜第４項
   のいずれか一項記載の浄水器。 (7) 前記第１浄水室と第２浄水室がそれぞれ活性
   炭を収納したカートリツジと多孔質中空糸膜を
   収納したカートリツジとで形成されている実用
   新案登録請求の範囲第１項〜第６項のいずれか
   一項記載の浄水器。