JPH06210288A

JPH06210288A - 浄水器

Info

Publication number: JPH06210288A
Application number: JP500793A
Authority: JP
Inventors: Ryozo Numazawa; 亮三沼澤; Osami Kato; 修身加藤; Yoshie Isobe; 美江磯部
Original assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd
Current assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date: 1993-01-14
Filing date: 1993-01-14
Publication date: 1994-08-02

Abstract

(57)【要約】【目的】浄水器の止水時に、空気中の細菌等の浄水吐
出口からの侵入による逆汚染を防止する。【構成】活性炭と中空糸膜とで形成された濾過部が内
蔵されている浄水器の、濾過膜から浄水吐出口へ至る浄
水の流路内に抗菌性プラスチック焼結フィルターが配設
されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、中空糸膜等の濾過膜を
具備した濾過モジュールを内蔵した浄水器に関し、より
詳しくは、残留塩素等が除去された浄水中で雑菌が繁殖
することを防止できるようにした浄水器に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、中空糸膜等の濾過膜と活性炭等の
粒状吸着剤とを基本構成要素とする濾過モジュ−ルを内
蔵する浄水器が、飲料水に対する消費者の質的向上の要
求を満たすものとして、急速にその需要を拡大しつつあ
る。

【０００３】これら浄水器では、水道の蛇口から供給さ
れた水は、先ず活性炭層を通過し、ここで水の臭いや味
を悪くしている塩素系イオン等が、分解されたり吸着さ
れたりして除去される。次いで、中空糸膜等の濾過膜を
通過し、ここで活性炭層では除去されなかった鉄錆、懸
濁物、細菌類等の透過が阻止され、衛生的な浄水が得ら
れる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、非衛生的な手
で浄水器の浄水吐出口に接触したり、浄水器設置場所で
未使用時に使用後の食器の洗浄や汚物等の洗浄時の飛沫
が浄水吐出口に付着した場合など、数日間も浄水器を未
使用の状態で放置しておくと、浄水吐出管内で雑菌が繁
殖し、浄水吐出口が汚染される可能性がある。

【０００５】そのため、従来の浄水器では、長時間使用
しなかった場合に再使用する時は、一定量の浄水を捨
て、汚染された滞留水が除かれた状態で使用するように
している。しかし、使用開始時の捨て水が少ないと汚染
された滞留水が浄水中に混入した状態での使用となるお
それがあり、また、捨て水は煩わしく忘れることもあ
り、捨て水が多すぎると浄水の無駄使いとなる。

【０００６】このような捨て水をなくすために不溶性で
接触殺菌作用を有する抗菌剤を浄水器通水路の下流側部
分の内表面に固着するもの（特開平３ー２６２５９３号
公報）等が開示されている。しかし、抗菌剤を通水路の
内表面に固着するだけの場合は、浄水滞留水の通水路内
表面接触部分だけが抗菌効果を有し、通水路内表面非接
触部分の通水路内の中央部に関しては効果が非常に小さ
く、有効とはいいがたかった。

【０００７】本発明の目的は、浄水器の使命が、汚染さ
れた飲料水から人体を護り、健康を保持する上で重要な
役割を果すものであることに鑑み、上述したような課題
を解決し、濾過膜通過後の滞留している浄水中で雑菌が
繁殖することを防止し得るようになした浄水器を提供す
ることにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、濾過膜
を具備した濾過モジュールを内蔵する浄水器において、
濾過膜から浄水吐出口へ至る流路内に抗菌性プラスチッ
ク焼結フィルターが配設されたことを特徴とする浄水器
である。

【０００９】

【作用】本発明の浄水器においては、抗菌材が濾過膜か
ら浄水吐出口へ至る流路内に配設されており、抗菌材と
して表面積の大きなプラスチック焼結フィルターが使用
されているので、抗菌材に抗菌剤が付与されている総面
積が大きくなり、抗菌効果が大きく、しかも浄水吐出管
内に配設されているので滞留している無菌の浄水に抗菌
性を付与し、浄水吐出口から侵入する細菌による逆汚染
を防止する。

【００１０】また、浄水吐出管内全体に配設すると、浄
水吐出口から細菌等が侵入した場合に、確実に抗菌材と
接触するために浄水吐出管内での細菌の繁殖は生じな
い。

【００１１】以下、本発明の浄水器を図面に従い詳細に
説明する。

【００１２】図１は本発明の浄水器の一例を模式的に示
した縦断面図であり、抗菌性プラスチック焼結フィルタ
ーが、濾過膜から浄水吐出口へ至る流路内全体に配設さ
れた状態を示している。１は浄水器本体、２は濾過モジ
ュール、３は吸着剤層、４は濾過膜、５は樹脂固定部、
６は濾過モジュールへの原水流入口、７は濾過モジュー
ルからの濾過水出口、８は浄水吐出管、９は浄水吐出
口、１０は抗菌性プラスチック焼結フィルター、１１は
プレフィルター、をそれぞれ示している。

【００１３】図１において、原水は、浄水器本体１に着
脱自在に装着されている濾過モジュール２の原水流入口
６から入り、プレフィルター１１、吸着剤層３、濾過膜
４、濾過モジュールの濾過水出口７、浄水吐出管８の順
に通過し、浄水吐出口９から吐出される。

【００１４】この場合、まずプレフィルター１０で原水
中の粗いゴミや鉄錆が除去される。次に吸着剤層３を通
り、ここで原水中のカルキ臭やカビ臭が除去される。こ
の吸着剤層３を通過した後、濾過膜４で更に細菌類やそ
の他微粒子等の通過が阻止され、濾過モジュール２の浄
水出口７を通り浄水吐出管８内に配設された抗菌性プラ
スチック焼結フィルター１０を通過して浄水吐出口９に
達し、飲用水に供される。

【００１５】図１は抗菌性プラスチック焼結フィルター
１０を浄水吐出管８内の全体に配設した例を示している
が、この抗菌性プラスチック焼結フィルター１０の配設
は、必ずしも浄水吐出管８の内部全体でなくてもよく、
部分的に配設してあってもよい。全体に配設した場合に
は、浄水全体が抗菌剤と接触できるので抗菌効果が大き
く且つ浄水吐出口９からの細菌等の侵入が完全に防止で
きるので好ましい。

【００１６】図２、図３、図４及び図５は、本発明の浄
水器に用いられる抗菌性プラスチック焼結フィルター１
０の例を拡大して示した斜視図である。抗菌性プラスチ
ック焼結フィルター１０の形状としては、図２に示した
ような円柱状のものでもよいが、図３に示したように軸
方向に数カ所の微細な透孔（１２）を設けた円柱状フィ
ルターを用いると、この透孔（１２）によって整流効果
をも併せ付与させることができ効果的である。

【００１７】図４に示したような円筒状のフィルターを
使用した場合には、浄水吐出管８内の浄水の流路を遮蔽
しないので浄水の吐出量を低下させることがなく、その
点では効果的であるが、管径を大きくし過ぎると大気中
からの細菌等の侵入を完全に防止する観点からは好まし
くない。また、図５に示したような底に遮蔽部（１３）
を有する円筒状のフィルターの場合には、浄水吐出口９
が外部から完全に遮蔽されるので上記のような大気中か
らの細菌等の侵入は生じず、遮蔽部分の幅が小さいので
浄水の吐出量の低下を最小限にとどめることができる。

【００１８】本発明の浄水器の抗菌性プラスチック焼結
フィルター１０に用いる焼結フィルターの素材として
は、例えばポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリス
チレン系、ＰＭＭＡ系等各種樹脂材料を挙げることがで
き、また各種樹脂材料を２種類以上混合して使用するこ
ともできる。このような焼結フィルターのうち特に好ま
しいものとして、ポリプロピレンと硬質又は軟質のポリ
エチレンを配合させ、焼結成形したポリオレフィン系焼
結フィルターが挙げられる。この焼結フィルターを焼結
成形する時に、抗菌剤を添加し抗菌性を付与させる。

【００１９】また、使用する抗菌剤としては銀、銅、亜
鉛などの抗菌性金属を含有している無機系抗菌剤、有機
系抗菌剤を挙げることが出来る。特に好ましいものとし
て、銀を含有している無機系抗菌剤でゼオライト（多く
は結晶性アルミノケイ酸塩）に銀イオンを含有させた市
販品のゼオミック等が挙げられる。

【００２０】このような抗菌剤に含まれる抗菌性の金属
は濾過水を飲用に供することから、安全性を考慮し溶出
は極微量に抑えられたものである。

【００２１】焼結フィルターへの抗菌剤の添加量として
は銀を０．５〜１０重量％含む抗菌剤を０．５〜５０重
量％添加するが、抗菌性の度合い及び焼結フィルターの
厚さ、面積、気孔率、形状、設置場所、銀の溶出量によ
り添加量を決定することが望ましい。

【００２２】又焼結フィルターの表面空孔径、気孔率は
使用場所、厚さ、面積により、使用目的とする流量、圧
損を考慮して決定することが望ましいが、好ましい気孔
率は３０〜７０％である。

【００２３】抗菌性プラスチック焼結フィルター１０に
併用される抗菌剤練込樹脂としては、例えば抗菌剤をポ
リプロピレン、ポリエチレン、ＡＢＳ等に混ぜて成型し
た配管、焼結フィルターのケース等が挙げられる。

【００２４】本発明の浄水器に用いられている濾過モジ
ュール２に封入されている吸着剤層３に使用されている
吸着剤としては、活性炭、銀添着活性炭、蛇紋石等の市
販の吸着剤を用いればよく、濾過膜４についても、平
膜、中空糸膜等濾過膜として従来公知の各種の構造のも
のが使用できる。この濾過膜４としては細菌類等の通過
を阻止することができる孔径を有するもので、濾過モジ
ュールとしたとき１ｋｇ／ｃｍ²の水圧で１リットル／
ｍ²・ｍｉｎ以上の透過率を有するものが好ましい。

【００２５】濾過膜４の素材としては、例えばセルロー
ス系、ポリオレフィン系、ポリスルホン系、ポリビニル
アルコール系、ＰＭＭＡ系等の各種材料を挙げることが
できる。

【００２６】このような濾過膜４のうち特に好ましいも
のとしてエチレン・酢ビ共重合体の鹸化物（エチレン・
ビニルアルコール共重合体）等の親水化剤で、親水化処
理されたポリオレフィン系多孔質中空糸膜が挙げられ
る。

【００２７】本発明の浄水器は飲料用に供される各種の
浄水器として使用が可能であるが、水道水を浄化する家
庭用浄水器に特に適する。

【００２８】

【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。

【００２９】図２及び図４に示したような抗菌性プラス
チック焼結フィルターを図１に示したように浄水吐出管
全体に配設した本発明の浄水器２台（Ｎｏ．１，Ｎｏ．
２）と、同タイプで抗菌性プラスチック焼結フィルター
を配設していない浄水器２台（Ｎｏ．３，Ｎｏ．４）を
準備した。

【００３０】準備した抗菌性焼結フィルターは材料とし
てポリプロピレン１００部、ポリエチレン８５．７部の
配合組成で、これに銀を３．０重量％含むゼオミックを
１０％添加して焼結成形したもので、寸法はφ７．２ｍ
ｍ×長さ３５ｍｍ，気孔率約５０％のものを準備した。

【００３１】一般細菌数が１０³個／ｍ１の菌液を準備
し、上記４台の浄水吐出口の内部迄充分に浸透するよう
に浸漬させ２４時間放置した。放置後、水道水２リット
ル／ｍｉｎの定流量で１０分間連続通水して後、４時
間、２４時間、４８時間放置し各々の時間での初流水を
採水し、一般細菌数を調べた。この結果を表１に示す。

【００３２】

【表１】

【００３３】このように浄水吐出口側から積極的に汚染
させた場合でも、抗菌性プラスチック焼結フィルターを
用いた浄水器は抗菌効果が非常に高いことが確認でき
た。

【００３４】

【発明の効果】本発明の浄水器は、抗菌性プラスチック
焼結フィルターを用いているために、焼結フィルターの
連続空孔構造により抗菌剤粒子が表面に現れる総表面積
が大きくなるため、抗菌効果が著しい。また、抗菌性焼
結プラスチックフィルターを吐出管全体に配設すること
により、浄水吐出口からの細菌等汚染物質の侵入を完全
に防止することが可能となり、より高い抗菌効果が得ら
れる。更に、プラスチックフィルターを用いているので
種々の形状に成形し易く、取扱いが容易である等大きな
効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の浄水器の一例を示す縦断面図である。

【図２】本発明の抗菌性プラスチック焼結フィルターの
一例を拡大して示した斜視図である。

【図３】本発明の抗菌性プラスチック焼結フィルター
の他の一例を拡大して示した斜視図である。

【図４】本発明の抗菌性プラスチック焼結フィルター
の他の一例を拡大して示した斜視図である。

【図５】本発明の抗菌性プラスチック焼結フィルター
の他の一例を拡大して示した斜視図である。

【符号の説明】

１浄水器本体２濾過モジュール３吸着剤層４濾過膜５樹脂固定部６濾過モジュールへの原水流入口７濾過モジュールからの濾過水出口８浄水吐出管９浄水吐出口１０抗菌性プラスチック焼結フィルター１１プレフィルター１２透孔１３遮蔽部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】濾過膜を具備した濾過モジュールを内蔵
する浄水器において、濾過膜から浄水吐出口へ至る流路
内に抗菌性プラスチック焼結フィルターが配設されてい
ることを特徴とする浄水器。
【請求項２】抗菌性プラスチック焼結フィルターが円
柱状である請求項１記載の浄水器。
【請求項３】濾過膜から浄水吐出口へ至る流路内全体
に抗菌性プラスチック焼結フィルターが配設されている
請求項１記載の浄水器。
【請求項４】抗菌性プラスチック焼結フィルターに抗
菌剤練込樹脂が併用されている請求項１記載の浄水器。
【請求項５】抗菌性プラスチック焼結フィルターが円
筒状である請求項１記載の浄水器。