JP3593385B2 - 浄水器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上水道等の蛇口に設けられ、給水される原水を浄化し吐出させる浄水器に係り、より詳しくは、浄水を吐出させる浄水吐水口が跳ねた汚水等により汚染されるおそれのない浄水器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、中空糸膜等の微細な孔を有する濾過膜を用いたフィルターと、活性炭層とを連接した濾過部を備えた浄水器が注目を浴び、水道水等の浄化に広く用いられてきている。
このフィルターは、シリコーン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリスルフォン系、セルロース系、ポリウレタン系等の高分子材料からなる中空糸膜を集束し、中空糸膜の開口端が閉塞しないように該集束端をポリウレタン樹脂等のポッティング剤により固定し、中空糸膜を気密に仕切るとともに該ポッティング部を筒状ケース本体に固定したものである。
この浄水器では、活性炭層により原水中に含まれる残留塩素、その他の臭気成分及び有機物質等が除去され、フィルターの中空糸膜により鉄錆、コロイド成分、塩素殺菌では除去し難い細菌等が除去されることにより、安全でおいしい飲用水を生成している。
【0003】
しかしながら、この浄水器においては、濾過部で浄化された浄水は該濾過部及び該濾過部に接続される浄水吐水管の内部各々に滞留しており、この滞留状態の浄水には殺菌用の塩素成分がほとんど残っていない。したがって、例えば、雑菌が付着した手指が浄水吐水口に接触したり、食器等を洗浄する際に汚水が飛散して浄水吐水口に付着したり、等により前記浄水吐水口から細菌等が侵入し浄水吐水管や濾過部が汚染される(これを、逆汚染という)可能性があり、特に、浄水器の使用再開始時においては、吐出する浄水に逆汚染された浄水が混入する可能性がある。
【0004】
そこで、使用再開始時に一定量の浄水を流出させて滞留水を捨て、その後新たに生成される浄水を飲用等に用いているのであるが、使用再開始時の捨て水の量が少ないと逆汚染した水が新たに生成される浄水に混じってしまうおそれがある。また、使用の度毎に滞留水を捨てるのは煩わしく、この操作を忘れた場合には、逆汚染された水を用いることとなり衛生上問題である。また、捨て水の量が多すぎると浄水を無駄に流すこととなり、浄水器の寿命を短くする一因になる。さらに、逆汚染の程度が激しい場合、浄水吐水口自体が汚染されていることが多く、捨て水の量を多くしただけでは十分に衛生的な飲用水を得ることが難しい。
【0005】
そこで、浄水吐水口の先端のユースポイントに有機系抗菌剤を用いて抗菌処理を施した浄水器(例えば、特開昭60−46196号公報等参照)、あるいは、濾過部の吐水側の通水路の内面に抗菌処理を施した浄水器(例えば、特開平2−71889号公報、特開平3−262593号公報等参照)等が提案され実用に供されている。
一方、浄水吐水口の先端に弁体を取り付け、該弁体を開閉することにより外部からの細菌等の侵入を防止し、逆汚染を防ぐ構成とした浄水器(例えば、特開昭61−171593号公報、特開平6−126275号公報等参照)も提案され実用に供されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ユースポイントに有機系抗菌剤を用いて抗菌処理を施した浄水器においては、短期的には抗菌効果が見られるものの、使用するに従って抗菌処理の効果が薄れてしまい、長期的に効果を持続することができないという問題点、及び細菌等の多い環境下において使用した場合、短期間で抗菌処理が劣化してしまい抗菌効果を保持することができないという問題点があった。さらに、抗菌処理を施していない部分に細菌等が繁殖し、これらの細菌により浄水が逆汚染されるおそれもある。
【0007】
一方、浄水吐水口の先端に弁体を取り付けた浄水器においては、浄水止水時に吐水した浄水が浄水吐水口付近に滞留し接触しているので、前記弁体が完全に無菌状態でなかったり、あるいは該弁体の気密性が完全に保持されていなかったり等においては、弁体等に付着している細菌や外部から浄水吐水口に侵入する細菌等により、滞留している浄水が汚染されて細菌等が繁殖するおそれがある。この場合、浄水吐水口付近が汚染されるに留まらず、浄水吐水管や濾過部にまで汚染が広がるおそれがあり、再通水時に細菌汚染された浄水が吐水する可能性があり、衛生上問題となる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、浄水吐水口付近における滞留水を無くし該滞留水に起因する汚染を防止することにより、浄水の逆汚染を防止する浄水器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次の様な浄水器を採用した。
すなわち、本発明の浄水器は、濾過部に中空糸膜を備えてなる浄水器本体に、該濾過部に連通する給水口及び浄水吐水口が形成され、該給水口より給水される原水を前記濾過部により浄化し前記浄水吐水口から吐出させる浄水器において、前記浄水吐水口に、浄水の水圧を利用して開閉する開閉自在な透水性の遮蔽手段を設けたものである。
【0012】
本発明の浄水器では、前記浄水吐水口に、浄水の水圧を利用して開閉する開閉自在な透水性の遮蔽手段を設けたことにより、吐水時においては前記遮蔽手段を閉鎖から開放に切り換え、前記浄水吐水口より吐水する浄水を通過させ吐水させる。また、止水時においては前記遮蔽手段を開放から閉鎖に切り換え、前記浄水吐水口に残留する浄水を前記遮蔽手段を通過させ前記浄水吐水口に滞留することなく吐水させると同時に、跳ねた汚水等が前記浄水吐水口に浸入するのを防止する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る浄水器の一実施形態について図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態の浄水器の縦断面図であり、図において、符号1は浄水器本体、2は中空糸膜、3は活性炭層、4は浄水器本体1に内蔵され中空糸膜2と活性炭層3とを連接させた濾過部、5は中空糸膜2の下方に形成された浄水吐水口、6は浄水吐水口5に開閉自在に設けられた透水性の遮蔽機構(遮蔽手段)である。
【0016】
中空糸膜2の材料としては、シリコーン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリスルフォン系、セルロース系、ポリウレタン系等の高分子材料が挙げられる。また、中空糸膜2の形態としては、外径が10〜5000μm、空孔率が10〜90%、孔径が0.01〜1μmの範囲にあるものが好ましい。
【0017】
遮蔽機構6は、図2及び図3に示すように、浄水吐水口5の周囲にこれを囲むように設けられた円筒部11と、該円筒部11の開口部に開閉自在に設けられた弁体12と、円筒部11の外周に設けられ弁体12を開閉する伸縮自在なスプリング13とから構成されている。この遮蔽機構6は、通水の都度手動により開閉するものでは手間がかかり面倒であることと、使用者の手指の接触により汚染されることを考え、浄水の水圧を利用して開閉する機構とされている。ここでは、機械的反発力を利用して弁体12を開閉するためにスプリング13を用いているが、スプリング13の他に部材自体の弾性力により開閉する部材を用いてもよい。
【0018】
弁体12は、図4に示すように、例えば、メンブレンフィルターの様な親水性の多孔体を膜状に加工した平膜21を金属製のリング22に固定したもので、平膜21及びリング22共に抗菌性材料により構成されている。抗菌性材料としては、銀、銅、亜鉛等の抗菌性金属を0.1〜50重量%含む無機粒子を0.01〜20重量%混入させた材料等が好適に用いられる。但し、この抗菌性材料は、弁体12を通過する浄水が飲用水に供されることを考慮して、浄水に溶出する成分が全く無いかあっても極微量で飲用水の安全性を損なうことの無いものを用いる必要がある。
【0020】
次に、この浄水器の弁体12の動作について説明する。
吐水時においては、図2に示すように、弁体12に水圧が掛からないので、該弁体12はスプリング13の付勢力により円筒部11の開口部に密着されている。
次に、図3に示すように、浄水吐水口5から浄水wを吐出させると、弁体12が該浄水wの水圧を受け、スプリング13の付勢力に抗して外方に押しやられ、浄水吐水口5を開放した状態となる。ここで、浄水wの吐出を止めると、図2に示すように、弁体12に掛かる該浄水wの水圧が低下し、弁体12はスプリング13の付勢力により円筒部11の開口部に再度密着され、跳ねた汚水等が前記浄水吐水口5に侵入するのが防止される。
【0021】
以上説明した様に、本実施形態の浄水器によれば、浄水吐水口5に、浄水の水圧を利用して開閉する透水性の遮蔽機構6を設け、遮蔽機構6を、浄水吐水口5に設けられた円筒部11と、該円筒部11の開口部に開閉自在に設けられた弁体12と、円筒部11の外周に設けられ弁体12を開閉する伸縮自在なスプリング13とから構成したので、吐水時においては浄水吐水口5より吐水する浄水wを吐水させることができ、また、止水時においては浄水吐水口5に残留する浄水を浄水吐水口5に滞留することなく吐水させることができ、同時に跳ねた汚水等が浄水吐水口5に浸入するのを防止することができる。
【0022】
弁体12を、親水性の多孔体からなる平膜21と金属製のリング22とにより構成したので、汚水等の浄水吐水口5への侵入を確実に防止することができる。また、平膜21及びリング22共に抗菌性材料により構成したので、遮蔽機構6における細菌等の繁殖を防止することができ、したがって、該細菌に起因する浄水への汚染を防止することができる。
【0023】
なお、上記実施形態においては、平膜21とリング22を抗菌性材料により構成したが、遮蔽機構6全体を抗菌性材料により構成してももちろんよい。この場合も、浄水に溶出する成分が全く無いかあっても極微量で飲用水の安全性を損なうことの無いものを用いる必要がある。
【0024】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明の浄水器によれば、前記浄水吐水口に、浄水の水圧を利用して開閉する開閉自在な透水性の遮蔽手段を設けたので、吐水時においては前記浄水吐水口より吐水する浄水を吐水させることができ、また、止水時においては残留する浄水を前記浄水吐水口に滞留することなく吐水させることができ、同時に跳ねた汚水等が前記浄水吐水口に浸入するのを防止することができる。
したがって、浄水吐水口付近における滞留水が無く、該滞留水に起因する汚染を防止することができ、浄水の逆汚染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の浄水器を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態の浄水器の遮蔽機構(遮蔽手段)の閉鎖した状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の浄水器の遮蔽機構(遮蔽手段)の開放した状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態の浄水器の弁体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 浄水器本体
2 中空糸膜
3 活性炭層
4 濾過部
5 浄水吐水口
6 遮蔽機構(遮蔽手段)
11 円筒部
12 弁体
13 スプリング
21 平膜
22 リング

Claims (1)

  1. 濾過部に中空糸膜を備えてなる浄水器本体に、該濾過部に連通する給水口及び浄水吐水口が形成され、該給水口より給水される原水を前記濾過部により浄化し前記浄水吐水口から吐出させる浄水器において、
    前記浄水吐水口に、浄水の水圧を利用して開閉する開閉自在な透水性の遮蔽手段を設けてなることを特徴とする浄水器。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101548422B1 (ko) 2013-08-29 2015-08-28 유종 무동력 수압식 역삼투압 정수기

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