JPH0343796Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ケーブル被覆剥取り工具に係り、特
に架橋ポリエチレンケーブルの外部半導電層を剥
取るのに好適なケーブル被覆剥取り工具に関す
る。

高電圧の架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルの
接続、終端処理に際しては、絶縁体上に設けられ
ている外部半導電層だけを剥離することがある。

この種の外部半導電層を所謂３層同時押出方式
により絶縁体と一体的に設けられることから、接
続時等の端末処理に際し絶縁体から容易に剥離可
能な所謂イージーストリツピング形のものとされ
ることがある。しかし、このイージーストリツピ
ング形の外部半導電層でも、絶縁体に密着してい
るからこれを絶縁体上から剥取る場合には絶縁体
を傷つけないよう十分注意しながらナイフで長さ
方向に平行に複数本の刻み目をつけ、端部をドラ
イバー状のものでこじり絶縁体から少し剥離させ
た後、刻み目に沿つて剥取るようにすることを行
つている。この外部半導電層の剥取りに際しては
絶対に絶縁体に傷をつけずに刻み目を入れる必要
があるが、外部半導電層が粘弾性を有し、しかも
その肉厚が約１mm程度であることにより、ナイフ
の刃先の食い込みが浅すぎて力の加減を誤ると怪
我をする危険性があり、また刃先の食い込みが深
すぎれば絶縁体を傷つけてケーブルが電気的に破
壊するなど相当の熟練を要していた。

本考案は、上記の事情にかんがみてなされたも
ので、刻み目を入れる刃先の突出量を簡単かつ確
実に調整し、ケーブルの円周方向および長さ方向
に刻み目を入れることができるケーブル被覆剥取
り工具を提供することを目的とする。

以下、本考案を図示の実施例につき説明する。
第１図および第２図は本考案の一実施例を示す平
面図および正面図である。これらの図において、
被覆を剥取りすべきケーブル１を把持する把持体
２は、対向配置された１対の把持片３ａ，３ｂと
これらの把持片の各端部を連結するねじ棒４ａ，
４ａとからなる。

一方の、把持片３ａの、他方の把持片３ｂに対
する対向面にはケーブル１を嵌入しうるＶ形溝５
ａを設けてある。他方の把持片３ｂの対向面５ｂ
は平面をなしている一方のねじ棒４ａは把持片３
ｂに回転自在に装着され、対向する他方の把持片
３ａに予じめ設けられたねじ孔６ａにねじ込み連
結されている。他方のねじ棒４ｂも同様に把持片
３ａに回転自在に装着され、対向する把持片３ｂ
のねじ孔にねじ込み連結されている。ねじ棒４
ａ，４ｂはそれぞれ把持片３ａ，３ｂの外側に延
びており、この延びた部分７ａ，７ｂが後述する
把手として機能する。把持片３ｂの中間部側面
に、刃物取付溝８を有する刃押え部片９をねじ１
０ａ，１０ｂにより着脱自在に固持されている。
刃物取付溝８は把持片３ａ，３ｂ間に把持された
ケーブル１に対して直交する方向に設けられてい
る。刃押え部片９は第３図に示すように刃物取付
溝８内に永久磁石１２を接着してある。刃物１１
は刃物取付溝８内に永久磁石１２に着磁されて嵌
入され、第２図にも示されるように、ケーブル１
に対向する内端面に刃先１１ａが突設するように
されている。刃先１１ａは刃押え部片９の端面よ
り、後述する方法によりケーブル被覆の肉厚分の
長さが突出される。

次に、上記構成の工具によりケーブルの外部半
導電層の剥取り方法につき説明する。

先ず、剥取りすべきケーブルの外部半導電層の
肉厚に応じて刃先の突出量を調整する。このため
には第４図に示したような調整板１４を用いる。
この調整板１４は適当な大きさの硬質板であり、
この両側面に、第２図のねじ棒４ａ，４ｂを嵌入
できるＵ形溝１４ａ，１４ｂを設けたものであ
る。

第５図は調整板１４を使つて刃先の突出量を調
整する方法を説明するための図であり、同図にお
いて、ねじ棒４ａ，４ｂを緩めて両把持片３ａ，
３ｂを適当な間隔にひろげ、刃押え部片９を把持
片３ｂに設置する。ねじ１０ａ，１０ｂを緩め刃
物１１が刃物取付溝８内を自由に移動できるよう
にする。刃物１１は永久磁石１２の存在によりね
じ１０ａ，１０ｂを緩めても脱落することはな
い。

次にＶ形溝５ａを有する把持片３ａの内側に調
整板１４を配置し、さらに工事現場等で余分のケ
ーブルから切り取つた外部半導電層の一片１５を
調整板１４上に載置し、把手７ａ，７ｂを回転し
て両把持片３ａ，３ｂを均一に締め付ける。この
状態で刃物の刃先１１を移動してねじ１０ａ，１
０ｂを締付ける。これにより刃先１１ａが外部半
導電層の厚さ分だけ突出したことになる。この
後、把手７ａ，７ｂを逆転して両把持片３ａ，３
ｂの間隔をひろげ、調整板１４および外部半導電
層片１５を抜き取り準備を完了する。

第２図に示すように、ケーブル１に本工具を抜
着し、把手７ａ，７ｂをケーブルの円周方向に刻
み目を入れることができる。

第６図ないし第８図は本考案の他の実施例を示
す図であり、ケーブルの長さ方向に刻み目を入れ
るようにしたものを示している。この実施例は刃
押え部片１６の構成だけが第１図、第２図に示し
たものと相違しており、同一部分には同一符号を
付している。刃押え部片１６は第８図に示すよう
に、刃物取付溝１７を第３図のものと直交する形
に設けられ、この中に永久磁石１８が接着されて
いる。

この実施例の工具を使用する場合は第５図に示
した前の実施例の場合と全く同様な操作を行つて
刃先の突出量を調整し、ケーブル１に装着した
後、把手７ａ，７ｂを持つケーブルの長さ方向に
移動すれば、外部半導電層に長さ方向の刻み目を
入れることができる。

第９図、第１０図は本考案のさらに他の実施例
を示す図である。この実施例は第１図、第２図あ
るいは第６図、第７図に示した実施例と比較して
ねじ棒４ａ，４ｂと把手７ａ，７ｂとを別構成と
し、把手７ａ，７ｂを把持片の中間に位置させる
ようにした点が相違している。次にこの構成の詳
細を説明する。第９図、第１０図において、全体
を符号２０で示した剥取工具は、コ字状の枠体２
１に対向配置した固定把持片２２ａおよび可動把
持片２２ｂと、これらの把持片の各外側に配設さ
れた把手２３および回転把手２４と、固定把持片
２２ａの中間部に配置された刃押え部片２５とを
備えている。

固定把持片２２ａは枠体２１の開口端２１ａ，
２１ｂ間にかけ渡されて着脱自在に支持され、止
めねじ２６，２７により固定されている。可動把
持片２２ｂは枠体２１の閉塞端２１ｃ，２１ｄ近
傍間にかけ渡されて固定把持片２２ａに対して併
行移動可能に支持されている。把手２３は固定把
持片２２ａの中間部の外側に装着されている。回
転把手２４は枠体２１の閉塞端面２１ｃ，２１ｄ
の中間部に貫通されて回転自在に支持されてお
り、可動把持片２２ｂとの対向面にねじ孔２４ａ
が穿設されている。可動把持片２２ｂにはねじ孔
２４ａに螺合されたねじ棒２８が装着されてい
る。（第９図参照）固定把持片２２ａに対する可
動把持片２２ｂの対向面には、被覆剥離すべきケ
ーブル１を嵌入しうるＶ形溝２９が設けられてい
る。刃物３０は固定把持片２２ａの中間部側面に
固持した刃押え部片２５に取付けられている。使
用に際しては回転把手２４を回転することにより
固定把持片２２ａと可動把持片２２ｂとの間隔を
拡げることができる。

この実施例の場合も第１１図に示した調整板３
１を使い第５図に示した前実施例の場合と同様な
操作を行つて刃先の突出量を調整する。

なお、上記実施例において刃物取付溝８内に永
久磁石を配設するようにしたが、本考案は永久磁
石の代わりにゴム状弾性板を使いその弾力をもつ
て刃物の脱落を防止するようにしてもよい。

以上述べたように、本考案のケーブル被覆剥取
り工具によれば、刃先の突出量を余分のケーブル
から採取した外部半導電層を使用するので極めて
簡単に調整できる。また、刃の突出量の調整に当
り、採取された外部半導電層は両把持片で締付け
られるので、締付けられた外部半導電層の厚さは
実際の外部半導電層の厚さより多少薄くなり、し
たがつて刃の突出量も実際の外部半導電層厚さよ
り少ないため、刃先によりケーブル絶縁体を傷つ
けることは全くない。また、刃支持板の刃装着部
には永久磁石等を使用しているので、刃支持板の
着脱時や刃先位置の調整時に、刃が脱落すること
がない等の利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す平面図、第２
図は同正面図、第３図および第４図は同実施例で
使用する主要部品を示す斜視図、第５図は同実施
例の使用説明図、第６図は本考案の他の実施例を
示す平面図、第７図は同正面図、第８図は同実施
例で使用する部品を示す斜視図、第９図は本考案
のさらに他の実施例を示す一部縦断正面図、第１
０図は同斜視図、第１１図は同実施例で使用する
部品の斜視図である。 図中、２は把持体、３ａ，３ｂは洞持片、４
ａ，４ｂはねじ棒、９，１６は刃押え部片、１４
は調整板である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 被覆剥取りすべきケーブルを嵌入しうるＶ形
   溝を有する第１の把持片と、この把持片のＶ形
   溝に対向配置され、かつＶ形溝に対向する面が
   平面をなす第２の把持片と、第２の把持片の中
   間部側面に着脱自在に固持され、かつ前記両把
   持片間に把持された前記ケーブルに対して直交
   する方向に刃物取付溝を有する刃押え部片と、
   前記刃物取付溝内に挿脱自在に嵌入された刃物
   と、前記両把持片間を接離自在に連結する連結
   部材と、両把持片の外側にそれぞれ突出して設
   けられた把手とを備えてなることを特徴とする
   ケーブル被覆剥取り工具。 ２ 刃押え部片と刃物とは磁力により合体してい
   ることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項記載のケーブル被覆剥取り工具。