JPH0112490Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はチユーブカツターに関する。

従来、ケーブル等の被覆電線の外部保護被覆を
むき取る作業は、通常のカツターにより該外部保
護被覆のみに切目を付けて行なつていた。しかし
乍ら、このような方法では、上記カツターによる
切込深さの調節が作業者の勘に頼るところが極め
て大である為、上記むき取り作業には手間がかか
ると共に、例えば切込深さが大き過ぎて、切目を
付けるべきでない絶縁被覆に切目を付けてしまつ
たり、更には導線までも傷付けてしまう等の欠点
があつた。

また、工場等においては上記外部保護被覆のみ
を自動的にむき取る装置が使用されているが、対
象となる被覆電線の外径寸法及び外部保護被覆の
厚さ寸法が固定的である為汎用性に欠け、しか
も、大型である為現場等での使用は不可能であつ
た。

本考案は上記のこのような問題点を解決し、上
記外径寸法及び厚さ寸法のいずれも調整自在で極
めて汎用性に富み、しかも容易迅速且つ確実な外
部保護被覆のむき取り作業を行なうことができ
る、小型軽量且つ安価なチユーブカツターを提供
することを目的とする。そこで、本考案の特徴と
する処は、相互に揺動可能に連結されると共に弾
発部材により常時縮閉方向へ弾発付勢された板片
状の上・下側揺動部材からなる本体と；被覆電線
を挿通保持すると共にスリツトを有し、且つ、上
記下側揺動部材に着脱可能に取付けられた保持部
材と；上記上側揺動部材に下方突出状に設けられ
ると共に、上記本体の縮閉時に上記スリツトを介
して該保持部の内側へ突入する外部保護被覆切断
用の切断刃と；上記保持部の近傍位置に上方突出
状として設けられ、上記外部保護被覆の切込深さ
寸法を調節するための調整ネジと；を備え、さら
に、全体を片手の指で把持操作可能な大きさに設
定した点にある。

以下、図面に示す実施例に基づいて本考案を詳
説する。

第１図乃至第４図において、１は板片状の上下
揺動部材２，３から成る本体であり、これらの揺
動部材２，３は各々支持部材４，５を介して枢軸
６に揺動自在に枢支してあり、しかして、本体１
は該枢軸６を支点として開閉揺動する。

７はケーブル等の被覆電線９を第８図に示す如
く挿通保持する為の保持部材であつて、該保持部
材７の保持部１０は、保持すべき被覆電線９の外
径寸法に対応する内面形状寸法を有し、その上部
には後述する切断刃１１が挿通する為のスリツト
１２が形成してある。保持部材７の下部には嵌合
部１３が形成してあり、しかして、保持部材７は
該嵌合部１３を介して、下側揺動部材３に凹設し
た蟻溝８に嵌脱自在に嵌着してある。従つて、
種々内面形状寸法の保持部１０を有する保持部材
７を複数用意しておき、これを着脱することによ
り、目的に応じて交換使用自在である。尚、蟻溝
８は一方を開口すると共に、他方を閉塞して、保
持部材７の嵌挿を第１図に示す如くＡ方向のみ可
能としてある。

１１は被覆電線９の外部保護被覆１４切断用の
切断刃であり、該切断刃１１は上側謡動部材２に
下方突出状に設けられる。具体的には、保持部材
７に対応する上側揺動部材２内面位置、即ち、本
体１の縮閉時において切断刃１１の刃先がスリツ
ト１２を介して保持部１０内側に突出する位置に
固設してあり、該切断刃１１は上記縮閉状態にお
いて、第８図に示す如く被覆電線９の外部保持被
覆１４のみを被覆電線９長手方向に切断するよう
に構成してある。１５は切断刃１１の保護被覆１
４に対する切込深さ寸法Ｌ（第８図参照）を調節
する為の調整ネジであり、保持部１０の近傍位置
に下方突出状として設けられる。該調整ネジ１５
は、下側揺動部材３に螺着すると共に、その上端
を上側揺動部材２に固設した切断刃１１の基端に
当接するように構成してある。従つて、調整ネジ
１５を螺進退させて、該ネジ１５の突出寸法Ｈを
調節することにより、上記切込深さ寸法Ｌを所望
の値、即ち、被覆電線９の導線１６は勿論のこと
該導線１６を被覆している絶縁被覆１７も傷付け
ることなく、外部保護被覆１４のみを切断するよ
うに設定する。従つて、上記所望値は対象となる
被覆電線９の保護被覆１４厚さ寸法により異な
る。

１８は本体１を常時縮閉方向へ弾発付勢する為
の弾発部材であり、該弾発部材１８は板バネをＵ
字形状に折曲して、その中央部内面を枢軸６に係
止させると共に、その両端外面を下側揺動部材３
内面及び上側揺動部材２に突設した係止部１９に
各々当接係止させて構成してある。従つて、本体
１は、常態においては縮閉状態にあり、上下揺動
部材２，３の後端部に各々設けた握持部２０，２
１を弾発部材１８の弾発力に抗して握持すること
により拡開する。このように、本考案に係るチユ
ーブカツターは、全体を片手の指で把持操作可能
な大きさに設定されている。

２２は被覆電線９の外部保護被覆１４を該被覆
電線９周方向に切断する為の切断部であつて、該
切断部２２は被覆電線９を抱込保持する為の腕部
材２３及び切断刃２４から成る。腕部材２３は長
孔２５に挿通したビス２６，２６を介して上側揺
動部材２側面に、該揺動部材２長手方向移動自在
に螺着してあり、しかして、第３図において被覆
電線９を保持する為の抱込寸法Ｗは、腕部材２３
を謡動部材２の長手方向に移動させることによ
り、被覆電線９外径寸法に対応させて適宜設定す
る。また、切断刃２４は、上側揺動部材２先端
に、適宜手段により突出退入自在に付設してあ
り、第３図において被覆電線９の保護被覆１４に
対する切断刃２４の切込深さｌは、該切断刃２４
を突出退入させることにより、上記保護被覆１４
のみを切断するように該被覆１４厚さ寸法に対応
させて適宜設定する。しかして、抱込寸法Ｗ及び
切込深さ寸法ｌを適宜設定した切断部２２に、被
覆電線９を第１図及び第３図に示す如く抱込保持
させ、この状態のまま該被覆電線９を回転させれ
ば、第７図に示す如く、被覆電線９の保護被覆１
４全周に亘つて切目２７が入り、保護被覆１４の
み切断される。

次に、実際の、チユーブカツターによる、被覆
電線９例えばケーブルの外部保護被覆１４のむき
取り作業の要領を説明する。

先ず、ケーブル９の端部から必要長さ即ち保護
被覆１４をむき取るべき長さ位置に、上記の要領
で切断部２２を使用し、保護被覆１４全周に亘つ
て切目２７を入れて切断する（第７図及び第１０
図参照）。次に、上記ケーブル９の外径寸法に対
応する保持部材７を蟻溝８に嵌着すると共に、調
整ネジ１５を螺進退させて、切断刃１１の切込深
さ寸法Ｌをケーブル９の保護被覆１４厚さ寸法に
対応させて設定した後、本体１の握持部２０，２
１を手指にて握持して該本体１を拡開する。そし
て、この状態においてケーブル９を保持部材７の
保持部１０内に挿通し、切断刃１１の刃先位置が
ケーブル９の上記切目２７位置に合致する個所に
て、保持部材７によりケーブル９を保持する。
尚、この際、ケーブル９の挿通方向と前述した保
持部７の蟻溝８内への嵌挿方向Ａとは一致させ
る。次に、手指を握持部２０，２１から離して、
弾発部材１８の弾発力及び必要ならば手指にて本
体１を縮閉させ、これにより、切断刃１１を保持
部１０内側に突出させてケーブル９の保護被覆１
４のみを第８図に示す如く突破る。そして、この
状態のままで、ケーブル９を第９図に示す如くＢ
方向へ引張ると、切断刃１１により保護被覆１４
のケーブル９長手方向に切目２８が入つて該保護
被覆１４は切断される。そして最後に、この切目
３０に沿つて左右に開きながら保護被覆１４をむ
き取る（第１１図参照）。長手方向に切目２８を
入れるには、上記の場合と反対に、本体１を片手
の指で把持した状態にて、本体１の方を移動させ
るようにしてもよい。

尚、本考案は上述の実施例に限定されないこと
は勿論であつて、種々設計変更自由である。例え
ば、保持部１０の形状構成は変形自由であり、ま
た該保持部１０の数も目的に応じて増減可能であ
る。また、第１の実施例において、保持部材７の
形状構成は例えば第５図に示す如く、同一機能を
有する限り変形自由であり、更にこの場合、第６
図に示す如く保持部１０の開口部内面をテーパ面
として被覆電線９の挿入動作をスムーズに行なえ
るように構成するも好ましい。また、切断部２２
は、具備させずに別個に従来公知の切断具を併用
するも好ましい。

切断具２２を具備させれば、外部保護被覆１４
の被覆電線９周方向及び長手方向の切断作業を本
考案に係るカツター１台で行うことができる。

本考案は以上詳述したような構成であつて、初
期目的を有効達成した。特に、被覆電線９を挿通
保持する為の保持部材７を適宜の内面形状寸法の
保持部１０を有するものと取付交換することによ
り、さらに、上記電線９の外部保護被覆１４のみ
を切断する為の保護被覆切込み深さ寸法Ｌを調整
自在としたから、対象となる被覆電線１９の外径
寸法及び外部保護被覆の厚さ寸法に適宜調整させ
ることができ、極めて汎用性に富む。また、構造
が極めて簡単な為、操作が容易で、迅速且つ確実
な保護被覆のむき取り作業を行うことができる。
さらに、小型であるため取扱いやすく、現場作業
用として好適である。しかも、故障がなく堅牢且
つ小型軽量で、安価に提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る第１実施例の斜視図、第
２図はその側面断面図、第３図はその平面図、第
４図はその側面図、第５図はその保持部材の一例
を示す斜視図、第６図は、第５図におけるＸ−Ｘ
線矢視断面図、第７図は外部保護被覆の周囲方向
に切目を入れた状態を示す被覆電線の斜視図、第
８図は上記実施例の作用を説明する為の側面図、
第９図はその平面図、第１０図は外部保護被覆の
切断方法を示す為の被覆電線の斜視図、第１１図
はその切断後の状態を示す為の斜視図である。 ９……被覆電線、１０……保持部、１１……切
断刃、１２……スリツト、１４……外部保護被
覆、Ｌ……切込深さ寸法。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 相互に揺動可能に連結されると共に弾発部材１
   ８により常時縮閉方向へ弾発付勢された板片状の
   上・下側揺動部材２，３からなる本体１と、 被覆電線９を挿通保持すると共にスリツト１２
   を有し、且つ、上記下側揺動部材３に着脱可能に
   取付けられた保持部材７と、 上記上側揺動部材２に下方突出状に設けられる
   と共に、上記本体１の縮閉時に上記スリツト１２
   を介して該保持部１０の内側へ突入する外部保護
   被覆１４切断用の切断刃１１と、 上記保持部１０の近傍位置に上方突出状として
   設けられ、上記外部保護被覆１４の切込深さ寸法
   Ｌを調節するための調整ネジ１５と、 を備え、さらに、全体を片手の指で把持操作可能
   な大きさに設定したことを特徴とするチユーブカ
   ツター。