JPH0340028Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、電線・ケーブル等の外被の切除に用
いられる切断工具に関する。

〔従来の技術と考案が解決しようとする課題〕

従来のこの種切断工具においては、外被のみを
切断するに必要な刃先切り込み深さを作業者が手
加減で調整したり、もしくは、切り込み深さを規
制するストツパを有するものでも精度が悪いため
に、往々にして内層にまで切り込んで該内層を傷
付けてしまうという問題があり、この内層に対す
る切り込み量の程度によつては、改めて作業をし
直す必要があると共に、被切断物にも無駄となる
部分が発生し、作業性・経済性の点で問題が生ず
る。

本考案はこのような従来の問題点を解決するも
ので、蛇腹状の被切断物に対する刃先の必要切り
込み深さを高精度に規制でき、内層への傷付きを
防止して作業性・経済性を向上した切断工具を提
供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕 そこで、本考案は、２本の揺動アームを支軸に
て交差状に枢結し、該支軸に対する該揺動アーム
の一端側を把持部とすると共に、他端側を切断部
とした切断工具であつて、一方の揺動アームの上
記切断部側に切断用刃部を形成すると共に、他方
の揺動アームの切断部側に蛇腹状の被切断物を受
ける凹状受け部を形成し、 さらに、上記切断用刃部に該切断用刃部の背部
から横断面コ字状に外嵌される規制板を設け、か
つ、該規制板の高さを該規制板の先端が上記切断
用刃部の刃先よりも所定量突出するように設定
し、かつ、該規制板の溝幅を蛇腹状の上記被切断
物の山部の１山分の幅と略同一に設定し、 上記切断用刃部の胴部に、横長下矩形部と該横
長下矩形部の上に積み上げた形状で該横長下矩形
部よりも短い寸法の横長上矩形部とからなる横長
凸型の角孔を、貫設し、 さらに、上記横長下矩形部の上下幅寸法よりも
薄い材厚を有し、該横長下矩形部を挿通して両端
を上記規制板に固着されると共に該規制板の表裏
を連結した、上記横長下矩形部内を所定ストロー
クだけ上下動可能な板状連結部材と、上記角孔内
に内装されて該板状連結部材を下方へ押圧付勢す
る弾発部材と、から構成される規制機構を設け
た。

〔作用〕

切断用刃部の刃先よりも所定量突出した規制板
の先端が、蛇腹状の被切断物の山部を規制板の先
端の間に挿入することにより切断の位置が決ま
る。この状態で揺動アームを握り締めることによ
り揺動アームが揺動して、切断部側の凹状受け部
が被切断物に当接する。その後、揺動アームは弾
発部材に抗して揺動するが、その抗力は規制機構
により規制板に伝わるため、規制板の先端が被切
断物の山部の両側を下方に押圧しながら揺動アー
ムが揺動する。その後、切断用刃部の刃先が蛇腹
状被切断物の山部に当接し、さらに、刃先は該山
部に切り込むこととなる。そして、板状連結部材
が、該板状連結部材が横長下矩形部内を上下動可
能な所定ストロークだけ動いた時点で、揺動アー
ムの揺動は止まり、規制板により刃先の切り込み
は規制される。この切り込んだ状態のままで、被
切断物を廻すことにより、被切断物の外周を一定
の切り込み深さでもつて切断出来る。

〔実施例〕

以下、実施例を示す図面に基づいて本考案を詳
説する。

第１図と第２図と第３図において、１は本考案
に係る切断工具であつて、２本の揺動アーム２，
３を支軸４にて交差状に枢結し、該支軸４に対す
る該揺動アーム２，３の一端側を把持部５とする
と共に、他端側を切断部６としてなる。具体的に
は、一方の揺動アーム２が他方の揺動アーム３を
挿通する形で両アーム２，３が枢結され、揺動ア
ーム２の上記切断物６側に、工具１長手方向に沿
つて切断用刃部７が形成されると共に、揺動アー
ム３の切断部６側には、電線・ケーブル等の蛇腹
状の被切断物８を直交方向に受ける凹状受け部９
が形成される。

即ち、上記切断用刃部７は、１枚の略矩形状の
カツター１０の一端側を、揺動アーム２の枢結部
４Ａに形成されたスリツト１１内に挿入して、ビ
ス等の固着具１２にて該アーム２に一体状に固着
してなり、他方、凹状受け部９は、揺動アーム３
に一体形成され、略円弧状となすと共に、上記カ
ツター１０用の逃げ溝１３が設けられる。なお、
１４はカツター１０に貫設された支軸４挿通用の
逃げ孔である。

さらに、上記切断用刃部７即ちカツター１０の
側面に、被切断物８に対する刃先１５の切り込み
深さＸを規制する規制板１６が設けられる。具体
的には、該規制板１６は溝幅Ｑがカツター１０の
厚みより若干大きいコ字形をなし、カツター１０
に対して該カツター１０の背部から外嵌して規制
機構１７により上下摺動可能に取付けられる。該
規制機構１７は、カツター１０の胴部１８に貫設
された、横長下矩形部３６と該横長下矩形部３６
の上に積み上げた形状で該横長下矩形部３６より
も短い寸法の横長上矩形部３７とからなる横長凸
形状の角孔１９の該横長下矩形部３６を挿通して
両端を規制板１６に固着され、該規制板１６とカ
ツター１０を連結し、横長下矩形部３６の上下幅
寸法Ｊよりも薄い材厚Ｔを有する板状連結部材２
０と、該角孔１９内に内装されて板状連結部材２
０を横長下矩形部３６下側へ押圧付勢するワイヤ
ー製等の弾発部材２１とから構成される。しかし
て、連結部材２０は上下幅寸法Ｊを有する横長下
矩形部３６の規制段部２２，２２と該横長下矩形
部３６の底辺３５との間で所定ストロークＺだけ
移動可能とされ、これにより該連結部材２０と一
体関係にある規制板１６もカツター１０に対して
所定ストロークＺだけ上下摺動可能となる。な
お、規制板１６の高さＨは、工具１の通常状態
（第１図）において先端２３がカツター１０の刃
先１５よりも所定量Ｙ突出する高さに設定されて
いる。

以上の如く構成してなる切断工具１において、
次にその作用について説明する。先ず、電線・ケ
ーブル等の蛇腹状被切断物８の山部２５の両側
に、規制板１６の先端２３，２３が当接するよう
にして該被切断物の外被２４を切除する位置を定
め、この状態で把持部５を握り締める。この操作
により、揺動アーム２が矢印Ａの如く揺動して先
ず切断部６側の凹状受け部９が外被２４に当接す
る（第１図はこの状態を示している）。その後、
該揺動アーム２は弾発部材２１に抗して揺動する
こととなり、次にカツター１０の刃先１５が外被
２４に当接する。その後、揺動アーム２は規制段
部２２と連結部材２０が当接するまでさらに揺動
し、この間の揺動において刃先１５が仮想線で示
す如く外被２４に切り込むこととなり、この切り
込み深さＸは規制板１６により規制される。そこ
で、この切り込んだ状態のままで被切断物８を廻
すことにより、外被２４は全周を一定の切り込み
深さＸでもつて切断される。即ち、この切り込み
深さＸは、（Ｚ−Ｙ）で決まり、これらの寸法Ｚ
及びＹは小寸法であるため高精度に設定でき、従
つて、切り込み深さＸも外被２４の厚みに対応し
た高精度の設定が可能となる。

しかも、第５図のように、刃先１５より突出状
のコ字状規制板１６の先端２３，２３が山部２５
の両側を押圧してカツター１０の切り込みをガイ
ドし、スムーズな切断を可能とし、山部２５で切
断することにより、カツター１０の刃先１５が内
層２６を傷付ける虞れが全くなくなる。

第４図のように空調パイプの外被２４が蛇腹状
である場合には、山部２５で切断されて、内層２
６が傷付かないことが分る（第５図参照）。

なお、本考案は上述の実施例に限定されず、要
旨を逸脱しない範囲で設計変更自由なことは勿論
であり、例えば、第１図乃至第３図の実施例にお
いて、弾発部材２１をコイル状バネとしても良
く、また、切断用刃部７を単一部材のカツター１
０で構成せずに、揺動アーム２自体に一体形成す
るも好ましい。

〔考案の効果〕

本考案は、次のような著大な実用的効果を奏す
る。

規制板１６は、切断用刃部７の刃先１５より
も突出しているため、規制板１６の先端２３，
２３の間に蛇腹状の被切断物８の山部２５を挿
入することにより、山部２５での切断の位置決
めが容易にかつ確実に出来る。

切断用刃部７の刃先１５が被切断物８に切り
込まれる間は、規制板１６の先端２３，２３が
被切断物８の山部２５の両側を下方に押圧して
いるため、刃先１５の切り込み位置がずれるこ
とがなに。従つて、美しい切断面が得られる。

被切断物８に対する刃先１５の切り込み深さ
Ｘは、板状連結部材２０が横長下矩形部３６内
を上下動可能な所定ストロークＺと、規制板１
６の先端２３が刃先１５よりも突出する所定量
Ｙとの差で決定できるため、切り込み深さＸを
高精度にかつ一定に規制出来る。

切断部６の厚さ寸法が小さく出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す切断工具の側
面図、第２図は同正面図、第３図は要部の正面断
面図、第４図は被切断物の一例を示す斜視断面
図、第５図は切断状態を示す要部の正面断面図、
第６図は横長凸形状の角孔を示す要部の側面図で
ある。 ２，３……揺動アーム、４……支軸、５……把
持部、６……切断部、７……切断用刃部、８……
被切断物、９……凹状受け部、１５……刃先、１
６……規制板、１７……規制機構、１８……胴
部、１９……角孔、２０……連結部材、２１……
弾発部材、２３……先端、３６……横長下矩形
部、３７……横長上矩形部、Ｈ……高さ、Ｊ……
上下幅寸法、Ｐ……幅、Ｑ……溝幅、Ｔ……材
厚、Ｙ……所定量、Ｚ……所定ストローク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ２本の揺動アーム２，３を支軸４にて交差状に
   枢結し、該支軸４に対する該揺動アーム２，３の
   一端側を把持部５とすると共に、他端側を切断部
   ６とした切断工具であつて、一方の揺動アーム２
   の上記切断部６側に切断用刃部７を形成すると共
   に、他方の揺動アーム３の切断部６側に蛇腹状の
   被切断物８を受ける凹状受け部９を形成し、 さらに、上記切断用刃部７に該切断用刃部７の
   背部から横断面コ字状に外嵌される規制板１６を
   設け、かつ、該規制板１６の高さＨを該規制板１
   ６の先端２３が上記切断用刃部７の刃先１５より
   も所定量Ｙ突出するように設定し、かつ、該規制
   板１６の溝幅Ｑを蛇腹状の上記被切断物８の山部
   ２５の１山分の幅Ｐと略同一に設定し、 上記切断用刃部７の胴部１８に、横長下矩形部
   ３６と該横長下矩形部３６の上に積み上げた形状
   で該横長下矩形部３６よりも短い寸法の横長上矩
   形部３７とからなる横長凸型の角孔１９を、貫設
   し、 さらに、上記横長下矩形部３６の上下幅寸法Ｊ
   よりも薄い材厚Ｔを有し、該横長下矩形部３６を
   挿通して両端を上記規制板１６に固着されると共
   に該規制板１６の表裏を連結した、上記横長下矩
   形部３６内を所定ストロークＺだけ上下動可能な
   板状連結部材２０と、上記角孔１９内に内装され
   て該板状連結部材２０を下方へ押圧付勢する弾発
   部材２１と、から構成される規制機構１７を設け
   たことを特徴とする切断工具。