JPH0338977Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、乗用田植機または乗用直播機等の乗
用作業機において、その乗用走行部に設けられた
ミツシヨンの改良に関するものである。

（従来の技術） エンジンを搭載した乗用走行部に植付部を装着
してなる乗用型田植機は、例えば特開昭56−
144005号公報に記載されており、この乗用型田植
機においては、乗用走行部の前後輪および植付部
に動力を伝達するためのミツシヨンが乗用走行部
の前部に設置されている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上記従来の乗用田植機においては、
ミツシヨンを左右の前輪間の上方に配置している
が、ミツシヨンの後輪駆動軸および植付部駆動軸
はもとより、入力軸および変速歯車軸がすべて前
輪駆動軸の後方に位置しているので、これらの各
軸およびそれに装着されている歯車やプーリ等の
重量がミツシヨンの後部に片寄つて加わり、機体
の前後バランスを崩す欠点がある。特に、乗用田
植機のうちで植付部の苗載台に多量の苗を載せる
構造のものでは、苗の植付け作業中に前輪の浮上
りが生じやすく、作業上に支障をきたしている。

（問題点を解決するための手段） そこで本考案は、ミツシヨンの入力軸、変速歯
車軸、後輪駆動軸、作業部駆動軸、油圧機構駆動
軸およびそれらの関連伝動軸を前輪駆動軸の前方
に配置したことにより、上記問題点を解消しよう
とするものである。

（作用） エンジンからミツシヨンの入力軸に入力する動
力は、ミツシヨン内部の変速機構を経て前輪駆動
軸、後輪駆動軸、作業部駆動軸にそれぞれ伝達さ
れ、これら各軸から所定の部位に動力が伝達され
る。また、油圧機構駆動軸にはエンジンから直接
入力し、油圧機構が駆動される。

本考案に係るミツシヨンの構造は、前輪駆動軸
の前方に入力軸、変速歯車軸その他のすべての軸
が配置されているので、ミツシヨンの重量は、そ
の大部分が前輪駆動軸より前方、すなわち、乗用
走行部の前輪より前方に受止められる。このた
め、乗用走行部の後輪を基準とする前後バランス
が良好となり、乗用走行部に装着する作業部の重
量が大である場合であつても、前輪の浮上りが生
ぜず、機体は安定走行する。したがつて、作業に
支障をきたすことはない。

（実施例） 第１図には乗用作業機として乗用田植機が例示
されている。１は乗用走行部、２は植付部で、乗
用走行部１には植付部２が装着装置３によつて昇
降自在に装着され、乗用田植機が構成されてい
る。乗用走行部１には、その前後にそれぞれ左右
の前輪４および後輪５を有し、前部にはエンジン
６が搭載されており、左右の前輪４間の上方には
ミツシヨン７が設けられている。８はミツシヨン
ケースである。９は運転席、１０は操向ハンドル
で、操向ハンドル１０のステアリングシヤフト１
１の基部はミツシヨンケース８の前部に挿入さ
れ、かつセクターギヤ１２に噛合されている。

上記ミツシヨン７においては、第２図に示すよ
うに、前輪駆動軸１３がミツシヨンケース８の後
部に配置されており、入力軸１４、変速歯車軸１
５、後輪駆動軸１６、作業部駆動軸１７、油圧機
構駆動軸１８は上記前輪駆動軸１３の前方に配置
されている。そして、変速歯車軸１５、作業部駆
動軸１７および油圧機構駆動軸１８は、入力軸１
４の周囲近接位置に配置されている。ミツシヨン
７の入力軸１４とエンジン６の出力軸１９間は伝
動ベルト２０によつて連動されており、２１はそ
のテンシヨンクラツチである。２２は変速レバー
である。

前記ミツシヨン７およびその関連機構の伝動系
統は第３図に示されている。すなわち、ミツシヨ
ン７の入力軸１４には変速歯車２３，２４が装着
されており、この変速歯車２３，２４は、変速歯
車軸１５に固着されている固定歯車２５，２６に
選択的に噛合されるものである。上記変速歯車軸
１５の他の固定歯車２７は前輪駆動軸１３のデフ
リングギヤ２８に常時噛合しており、左右の前輪
４には前輪駆動軸１３を介して動力が伝達される
ように構成されている。また、デフリングギヤ２
８に常時噛合している後輪駆動軸１６の固定歯車
２９にも動力が伝達され、伝動軸３０、ベベルギ
ヤ３１、サイドクラツチ３２を介して左右の後輪
５が駆動されるようになつている。３３は油圧機
構を構成する油圧ポンプで、この油圧ポンプ３３
は油圧機構駆動軸１８に連動されている。そし
て、油圧機構駆動軸１８の遊転歯車３４と入力軸
１４の変速歯車２３の選択噛合、および遊転歯車
３４と一体の遊転歯車３５と変速歯車軸１５の固
定歯車２５との常時噛合とによつて後退走行状態
となるものである。作業部駆動軸１７には変速歯
車３６が設けられており、この変速歯車３６と入
力軸１４の固定歯車３７，３８との選択噛合、さ
らに入力軸１４の固定歯車３９と常時噛合してい
る遊転歯車４０とのクラツチ４１による係合とに
よつて、作業部駆動軸１７が変速駆動される構成
となつている。植付部２には作業部駆動軸１７か
らトルクリミツタ４２および伝動軸４３を介して
動力が伝達される。なお、油圧機構駆動軸１８は
エンジン６の出力軸１９に伝動ベルト４５によつ
て連動されている。

叙上の如き構成において、ミツシヨン７は乗用
走行部１の左右の前輪４間の上方に配置されてい
るが、ミツシヨン７の前輪駆動軸１３はその後部
に位置しており、かつ入力軸１４、変速歯車軸１
５、作業部駆動軸１７、後輪駆動軸１８はすべて
前輪駆動軸１３の前方にまとめられているので、
ミツシヨンケース８は後方に突出した形状となら
ず、また、ミツシヨン７の重量はミツシヨンケー
ス８の前部に集中する。このため、乗用走行部１
の後輪５を基準とする前後バランスが良好とな
り、たとえ、植付部２が多量の苗を載せるため
に、第１図に示す如き前後に長い苗載台４５を設
けたものであつても、乗用走行部１の前輪４が浮
上ることがなく、乗用走行部１は安定走行し、作
業を円滑に行うことができる。なお、ミツシヨン
ケース８の後方への突出がないことから、乗用走
行部１の小型化を図るうえできわめて有利であ
る。

本考案の一実施例としては乗用田植機を示した
が、乗用走行部１に、植付部２に換えて播種部を
装着すれば、乗用直播機となる。

（考案の効果） 本考案は、前記のように、乗用走行部とこれに
装着された作業部からなり、乗用走行部の前部
に、エンジンから乗用走行部の前後輪および作業
部にそれぞれ動力を伝達するミツシヨンを配置し
てなる乗用作業機において、ミツシヨンの入力
軸、変速歯車軸、後輪駆動軸、作業部駆動軸、油
圧機構駆動軸およびそれらの関連伝動軸を前輪駆
動軸の前方に配置したから、ミツシヨンの重量の
大部分を前輪駆動軸より前方、すなわち乗用走行
部の前輪より前方に加えて、乗用走行部の後輪を
基準とする前後バランスを良好に維持することが
でき、乗用走行部に装着する作業部の重量が大で
ある場合であつても、前輪の浮上りが生ぜず、機
体を安定走行させて円滑な作業を行うことができ
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す乗用田植機の
全体側面図、第２図は同上ミツシヨン部分の拡大
縦断面図、第３図はミツシヨンおよびその関連機
構の伝動系統を示す展開図である。 図中、１は乗用走行部、２は植付部、４は前
輪、５は後輪、７はミツシヨン、８はミツシヨン
ケース、１３は前輪駆動軸、１４は入力軸、１５
は変速歯車軸、１６は後輪駆動軸、１７は作業部
駆動軸、２０は伝動ベルト、２１はテンシヨンク
ラツチ、２２は変速レバー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 乗用走行部とこれに装着された作業部からな
   り、乗用走行部の前部に、エンジンから乗用走
   行部の前後輪および作業部にそれぞれ動力を伝
   達するミツシヨンを配置してなる乗用作業機に
   おいて、上記ミツシヨンの入力軸、変速歯車
   軸、後輪駆動軸、作業部駆動軸、油圧機構駆動
   軸およびそれらの関連伝動軸を前輪駆動軸の前
   方に配置したことを特徴とする乗用作業機のミ
   ツシヨン構造。 (2) 変速歯車軸、作業部駆動軸および油圧機構駆
   動軸を入力軸の周囲近接位置に配置したことを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の乗用作業機のミツシヨン構造。