JPH0338470Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、内燃機関の潤滑オイルを循環させ
るオイルポンプの改良に関する。

（従来の技術） 従来より、内燃機関の潤滑オイルポンプとし
て、クランクケースに形成したポンプ室内に、ア
ウターローターとこれに噛合するインナーロータ
ーを回転自在に配し、クランクシヤフトにより回
転伝達機構を介して駆動される駆動シヤフトにイ
ンナーローターを結合し、クランクシヤフトの回
転力を利用して、ポンプ室内でアウターローター
とインナーローターを回転させ、両ローターの回
転ズレによりポンプ作用を生じさせる構造のロー
タリー式オイルポンプが用いられている。

この種のオイルポンプでは、ローターの駆動シ
ヤフトに、例えば、実開昭59−19910号公報に記
載の如く、中実構造の駆動シヤフトが使用されて
いる。

（考案が解決しようとする課題） 上記するように、クランクケースにポンプ室を
形成する場合、クランクケース側に駆動シヤフト
の基部を支持する軸受孔は、クランクケースの構
造からして盲端軸受孔とせざるを得ない場合が多
いものである。

例えば、駆動シヤフトの基部を支持する軸受孔
がクランクケースを貫通していると、軸受孔を通
じてオイルが外部へ漏れてオイル消費量が増え、
また、クランクケース面にダスト等が付着して外
観を損ねるようにもなる。

そこで、軸受孔を盲端軸受孔とし、これに従来
のような中実の駆動シヤフトの基部を支持する
と、ポンプ室で加圧された高圧オイルの一部が盲
端軸受孔内流入して該シヤフトの基端を押上げる
ため、軸受孔と反対側の、シヤフトのスラスト止
めとなるポンプ室カバー体に、インナーローター
若しくはスラスト止め用のピン等が強く押し付け
られるようになり、この状態で駆動シヤフトが回
転することによりインナーロータ若しくはスラス
ト止め用のピン等とポンプ室カバー体との間で摩
擦による摩耗が生じ、一定期間を使用している
と、オイルポンプの吐出性能が低下してくること
がある。

この考案は上述の点に鑑みなされたもので、盲
端軸受孔に駆動シヤフトの基部を支持して、軸受
孔内において駆動シヤフト基端に対してオイル圧
が作用せず、インナーローターやポンプ室カバー
体の摩損を防止し、オイル漏れ等もなく、製造も
容易で、メンテナンスも簡単な内燃機関の潤滑オ
イルポンプを提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記する目的を達成するためのこの考案の要旨
とするところは、クランクケースに形成したポン
プ室内に、アウターローターとこれに噛合するイ
ンナーローターを回転自在に配し、クランクシヤ
フトにより回転伝達機構を介して駆動される駆動
シヤフトにインナーローターを結合し、アウター
ローター及びインナーローターの回転でポンプ作
用を生じさせる潤滑オイルポンプにおいて、前記
駆動シヤフトを中空にし、該駆動シヤフトの基部
を支持する盲端軸受孔側からのオイル圧を、該駆
動シヤフト内を通して先端側へ逃がすようにした
ことを特徴とする内燃機関のオイルポンプにあ
る。

（作用） 駆動シヤフト基部を支持する盲端軸受孔内に、
ポンプ室内で加圧された潤滑オイルの一部が流入
しても、中空構造の駆動シヤフト内を通過して先
端側へ抜け出るので、駆動シヤフトにはこれを先
端側へ向けて押圧するスラスト力が作用しない。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図はこの考案の実施例を示すエンジン内装
式オイルポンプの縦断面図、第２図は同−線
断面図である。

これらの図において、１はエンジンハウジング
の一部とされるクランクケースＡに形成した円形
状凹所からなるオイルポンプ室、２はこのポンプ
室１内に回動自在に装填したトロコイド式のアウ
ターローター、３はこのアウターローター２内
に、アウターローター２に噛合して回転自在に装
填したインナーローター、４はこのインナーロー
ター３の中央に穿設した軸孔３ａに貫通したパイ
プ部材等からなる中空構造の駆動シヤフトで、こ
の駆動シヤフト４に係止ピン４ａによりインナー
ローター３が一体的に結合されている。

５は前記ポンプ室１内中心位置に、駆動シヤフ
ト４の基部を支持するために、クランクケースＡ
に穿設した盲端軸受孔で、この軸受孔５に前記駆
動シヤフト４を支持した状態で駆動シヤフト４の
先端はオイルパンＢの上方に開放されている。

６はオイルパンとポンプ室１の吸込口１ａとを
連通させたオイル通路、７は潤滑オイルを供給す
るエンジン内の各部（図示せず）とポンプ室１の
吐出口１ｂを連通させたオイル通路、８はポンプ
室１の開口端面に止ネジ８ａにより着脱自在に装
着したポンプ室カバー体で、前記駆動シヤフト４
は、このポンプ室カバー体８に穿設した軸孔８ｂ
を貫挿している。９は回転伝達機構としての被駆
動ギヤで、この被駆動ギヤ９に穿設した軸孔９ａ
に前記駆動シヤフト４を貫挿し、係止ピン９ｂに
より駆動シヤフト４に一体的に固定される。

１０は被駆動ギヤ９と噛合する駆動ギヤで、こ
の駆動ギヤ１０はクランクシヤフト（図示せず）
に一体回転可能に取着されている。

次に、上記実施例について、作動態様を説明す
る。

第１図において、エンジンが作動してクランク
シヤフトが回転すると、前記ギヤ９，１０を介し
て駆動シヤフト４が回転し、同時にインナーロー
ター３とアウターローター２が同一方向に回転
し、両ローター２，３間に生じる回転のズレによ
り、ポンプ室１内における両ローター２，３間の
容積が変化して吸込口１ａからオイルがポンプ室
１内に吸込まれ、吐出口１ｂからエンジン各部へ
圧送される。

然して、ポンプ室１内のオイル圧は、通常５気
圧位まで上昇するので、ポンプ室１内のオイルの
一部が、インナーローター３とポンプ室１との接
触部及び駆動シヤフト４と軸受孔５周壁間から盲
端軸受孔５内に流入することがある。

こうして盲端軸受孔５内に流入したオイルは中
空構造の駆動シヤフト４内を通過して先端側へ流
出してオイルパンへ戻される。

（効果） 以上説明したように、この考案の潤滑オイルポ
ンプは、上記した構成からなるから、下記の如き
効果を奏する。

(1) ポンプ室からの高圧オイルが、駆動シヤフト
基部を支持する盲端軸受孔内へ流入しても、こ
のオイルは中空構造の駆動シヤフト内を通過し
て先端側へ流出するので、オイル圧が駆動シヤ
フト基端に作用して駆動シヤフトを先端側へ押
圧することがなく、従つて、従来の中実駆動シ
ヤフトのようにインナーローターや駆動シヤフ
トにスラスト力が掛かつてポンプ室カバー体に
押付けられるようなことがなく、ポンプ室カバ
ー体とローターや係止ピン間に摩擦による摩耗
が生じず、オイルポンプの吐出能力を低下させ
ることがない。

(2) ポンプ室カバー体とインナーローター間で摩
擦による摩耗がないので、長期に亙に交換する
ことなく使用できて、経済的である。

(3) 盲端軸受孔に流入したオイルは、中空構造の
駆動シヤフトを介してオイルパンに戻すことが
できるので、クランクケース外へオイルが漏れ
てオイル消費量が増えたり、オイルで濡れたク
ランクケース面にダスト等が付着して外観を損
ねるようなことがない。

(4) 駆動シヤフトにパイプ材を用いれば、駆動シ
ヤフトを中空構造にするための加工が不要で、
安価に製造出来る。また、実施例のように駆動
シヤフトに対するインナーローターや被駆動ギ
ヤの取り付けを係止ピン等により着脱可能にす
ると、オイルポンプの全構成部材が容易に分解
でき、メンテナンスが簡便に行える。

(5) 従来のように、インナーローターや被駆動ギ
ヤを鋳込みや圧入等により駆動シヤフトに取着
する必要がないので、製造が簡単でコストダウ
ンが図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す潤滑オイルポ
ンプの縦断面図、第２図は第１図の−線断面
図である。 １……ポンプ室、２……アウターローター、３
……インナーローター、４……駆動シヤフト、５
……盲端軸受孔、８……ポンプ室カバー体、９…
…被駆動ギヤ、１０……駆動ギヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランクケースに形成したポンプ室内に、アウ
   ターローターとこれに噛合するインナーローター
   を回転自在に配し、クランクシヤフトにより回転
   伝達機構を介して駆動される駆動シヤフトにイン
   ナーローターを結合し、アウターローター及びイ
   ンナーローターの回転でポンプ作用を生じさせる
   潤滑オイルポンプにおいて、前記駆動シヤフトを
   中空構造とし、該駆動シヤフトの基部を支持する
   盲端軸受孔側からのオイル圧を、該駆動シヤフト
   内を通して先端側へ逃がすようにしたことを特徴
   とする内燃機関のオイルポンプ。